Machinakaの日記

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中心市街地とは何か? 中心市街地活性化基本計画の現状 -中心市街地区域の設定傾向に着目して-

 

まえがき

今回は映画記事ではなく、私の研究分野についてご紹介したいと思います。

 

中心市街地とは何か? 

市内で一番大きいターミナル駅、行き交う雑踏、大きなデパート。

都市の中で一番人通りが多く、商業施設が集積しているまちの「顔」というイメージを持つでしょう。

しかし、中心市街地が栄えていたのははるか昔。3大都市圏を覗いて、持ちこたえているのは札仙広福やその他政令市程度。それより小さな都市の中心市街地は、衰退の一途を辿っています。

 

政府は中心市街地活性化法を成立させ、同法に基づいた基本計画を市区町村に実行させようと講じている現状です。

この法律で初めて法律的な解釈で「中心市街地」が語られる事となります。中心市街地活性化法の第二条一項から三項について、以下の定義がなされています。

 

第二条  この法律による措置は、都市の中心の市街地であって、次に掲げる要件に該当するもの(以下「中心市街地」という。)について講じられるものとする。

 当該市街地に、相当数の小売商業者が集積し、及び都市機能が相当程度集積しており、その存在している市町村の中心としての役割を果たしている市街地であること。
 当該市街地の土地利用及び商業活動の状況等からみて、機能的な都市活動の確保又は経済活力の維持に支障を生じ、又は生ずるおそれがあると認められる市街地であること。
 当該市街地における都市機能の増進及び経済活力の向上を総合的かつ一体的に推進することが、当該市街地の存在する市町村及びその周辺の地域の発展にとって有効かつ適切であると認められること。

 

なんか、ざっくりな定義ですよね。。仕方ありません。これは全国の都市の中心市街地について定義をしないといけないのですから。具体的な数値条件は付けられないのですね。中心市街地の定義としては、一項の小売業(商業施設)と都市機能(交通施設・公的施設)が集中しているかどうか、ということです。

 

この法律に基づく基本計画は、自治体が中心市街地の区域を自ら考えて設定する必要があるのです。そのため、自治体が中心市街地をどのように捉え、活性化するエリアを絞っているのかが見えてくるのです。

 

自治体が設定した中心市街地区域

 

さて、実際に自治体はどんな中心市街地を設定してきたでしょうか。まずは内閣府のHPを見てみましょう。中心市街地活性化の情報発信本部は、国土交通省ではなく内閣府のHPにあります。

 

一覧を観るのは以下のサイトからです。

www.kantei.go.jp

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一番右の概要で、その都市がどのような目標で計画を実行しているのか、中心市街地の設定はどこかを定めています。例えばこれは富山市ですが、436haもの中心市街地区域を設定しています。私の計算では、2015年6月9日までに認定された中活計画で設定された中心市街地の平均値は約166.2haとなります。

 

これと比べると、富山市は非常に大きい区域を設定している事となります。

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中心市街地区域のまとめ

 

上記の内閣府のHPから、各都市で認定された中心市街地の区域を確認することができます。しかし、残念ながら認定された全ての都市の中心市街地を整理し一覧表にしたものは、筆者の知る限りどこにも存在しませんでした。

もう、自分で作ることにしました笑。

 

 

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縦軸には人口規模、横軸には計画の認定年となっており、表を作りました。次に、各セルに該当する中心市街地を配置していきました。

 

それぞれの中心市街地区域図の縮尺は全て同じです。そのため同一比較が可能になります。

 

一つ一つの図が小さくて恐縮ですが、富山市の第1号認定から2015年6月9日までに認定された中心市街地区域を掲載しています。

 

まずは人口規模での考察。

 

人口が大きいほど、中心市街地区域も拡大しています。特に30万人以上の都市では、比較的大きな区域を設定しますね。ちなみに、日本で一番大きい中心市街地は金沢市の860haとなっています。

 

認定都市の中で最大都市である名古屋市の中心市街地区域は174haですので、いかに大きな区域を設定しているのかが分かります。

また、人口規模が大きい都市の方が多く認定されていますね。中小都市は認定されにくいのか、そもそも計画を提出していないのか、気になりますね。

 

中小都市ほど中心市街地の衰退が顕著であり、そういった都市ほど中活計画の認定を受けるべきだと筆者は思うのですが。

 

その理由について国も調査していますが、その話はまたの機会に。

 

 

次に認定年別の考察

 

2008年の認定が最も多いですね。2007年は多くの都市で様子見を行った、ということなのでしょうか。一方、最も認定が少ない年は2011年です。震災の影響があったかとは思いますが、まさかここまで少なくなるとは。

 

その他の考察

 

最も認定数が多いのは人口規模が30-50万人の都市であり、人口類型の中で唯一、毎年認定を受けています。最も活性化に取り組んでいるのは、30-50万人の都市である可能性がある、ということですね。また、区域の大きさも50万人以上と同等・もしくはそれ以上の都市もあります。

 

 

おわりに

論文を書いている訳ではないので、考察が浅い件についてはご了承ください。ただ、この記事を作成するにあたって大量のデータが手に入ったので、これを元に現在論文を投稿中です。

 

また論文として発行できる場合は、このブログにてお知らせしたいと思います。とにかく中心市街地活性化については、情報の共有が重要です。各都市で取り組んでいる中心市街地活性化も、一つの表にまとめてみるといろんな傾向が見えてきます。このような新たな発見を公表し、活性化のヒントとなれば幸いです。

 

その他質問等ある方はコメントも是非ご活用くださいませ。また、本記事で作成した図は本ブログのアドレス及び名称さえ明記して頂ければ、ご自由にお使いいただいて結構です。

 

 

 

 

 

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