- まえがき
- ジョージ・クルーニーが映画をコントロール!
- ジョージだから出来た、超豪華キャスティング
- きっかけは本屋で見つけた一冊の本_ジョージ様のスピード決断
- ジョージ・クルーニー率いるチームは結局何だったの??
- 映画の感想
- これぞ映画の意義 戦わずして戦争に勝つ
- ナチス軍が捕虜になるシーン
- 一人のナチス兵隊が紛れ込んでくるシーン
まえがき
今回批評するのはこちらの映画!
「ミケランジェロ・プロジェクト / The Monuments Men 」
http://img.ksl.com/slc/2513/251398/25139860.jpg
はい、前3人を観ていただいても分かるように豪華キャストでお送りしている本作。一体中身はどのようになっているのか。まずは予告編をごらんください。
映画『ミケランジェロ・プロジェクト』予告編 - YouTube
第二次世界大戦×美術品です。こんな組み合わせ、観たことがありません。
ジョージ・クルーニー、マッド・デイモン、ビル・マーレイはじめ超豪華キャストが登場する本作の魅力に迫っていきまーす!
ジョージ・クルーニーが映画をコントロール!
製作・監督・主演:ジョージ・クルーニー
本作を制作したのはSmoke House Pictureという会社。あまり聞いたことないですね。
設立者の名前を見てみると、、、
「George Clooney」の文字が・・・
Private | |
Industry | Motion picture |
Founded | 2006 |
Founder | George Clooney Grant Heslov |
Headquarters | California, United States |
Key people
|
George Clooney Grant Heslov |
Products | Film Production |
Smoke House Pictures - Wikipedia, the free encyclopedia
そう、この映画の制作はジョージ・クルーニーが設立した会社が行っているのです。ジョージは監督・主演も務めており、まさに映画をコントロールしているのです。
こんなのは日本の製作委員会方式ではまず観られないものですよ!
これだけ肩入れしているのですから、ジョージ・クルーニーがこの映画を通して伝えたい強烈なメッセージがあるのです。それは何でしょうか。
ジョージだから出来た、超豪華キャスティング
主演のジョージ・クルーニーをはじめ、超豪華キャストでお送りしている本作
このキャスティングですが、ほとんどジョージ自らが直接交渉したのだとか!! これは一重に、ジョージの人望があってこそ!
マッド・デイモンとは、オーシャンズ11にて共演。以降親睦を深める。もちろん12・13もね!
ビル・マーレイとはファンタスティック Mr.FOX(アニメ映画ですが)にて
そのほか、ジョン・グッドマン、ジャン・デュジャルダン、ボブ・バラバン、ケイト・ブランシェットなどが参加しております。
また、毎度お世話になっているIMDBからの情報ですが、実はあのダニエル・クレイグもキャスティング候補に入っていたとのこと!!!!!
007のジェームズ・ボンド役で、テレビで観ない日はないでしょう!!
しかしスケジュールが合わずに、マッド・デイモンが代役で入ったそうです。
・・・・ちょっと待て、代打でマッド・デイモンってどんだけ豪華な俳優陣なんですか!!!笑
また「VANITY FAIR」というアメリカのファッション雑誌にて、3人が表紙を飾っていたので載せておきます。
表紙買いする人いっぱいいたんだろうな笑
きっかけは本屋で見つけた一冊の本_ジョージ様のスピード決断
制作会社の共同設立人&脚本家でもある、Grant Heslov(グラント・ヘスロヴ)さん
この方がとある本屋で見つけたのが、本作の原作である「Michelangelo Project」でした。
この書籍にインスピレーションを受けて、ジョージに相談&書籍を紹介。
ジョージも大変感銘を受けたみたいで、なんとたった2日で映画化が決まったそう。決まるというのは、製作会社としてGOサインが出たということです。
早すぎ!! そして男前過ぎです、ジョージ!!
公開館も少ないということで国内では情報が手に入りにくいのですが、今回の公式サイトは頑張ってくれました! プロダクションノートが非常に充実しているので、是非ごらんください!! 広報の方、ありがとうございます!
ジョージ・クルーニー率いるチームは結局何だったの??
予告を見ればおおよその映画のプロットは分かりますが、映画ではほとんど説明がないため本記事で詳細に説明を・・・
映画ではジョージ・クルーニーがお偉いさん相手にパワーポイント的なものでプレゼンをしており、それからマッド・デイモン、ビル・マーレイなどをスカウトする場面がありますね。
実はジョージ・クルーニーはハーバード大学に所属している文化・芸術の保護協会(ACLSーAmerican Council of Learned Societies)の一員だったのです。
最初はアメリカから動き始めた運動でしたが、世界各国の研究者・学芸員のネットワークにより、国境を超えて巨大な組織(MFAAーMonuments, Fine Arts, and Archives program)として活動したのです。
Monuments, Fine Arts, and Archives program - Wikipedia, the free encyclopedia
邦題では「ミケランジェロ・プロジェクト」となっていますが、世界的には「Monuments men」と呼ばれています。
これは原作とした本のタイトルから来ていると思いますが、MFAAの頭文字である「MーMonuments」も大きく関係していそうですね。
Monumentsを守る男たち、としてMonuments menと名付けられた、そういう位置づけです。
つまり、ジョージ・クルーニー達はMFAAに所属する国際的な芸術保護協会に属しており、仲間の研究者を集めて戦地に向かう、という話なのです。
ジョージがスカウトする場面からも伺えますが、MFAAに選ばれるのは歴史・芸術に精通している専門家ばかり。
銃器なんて扱ったことない人たちばかりです。
また、ベテランの専門家ばかりなので、チームは異常な高齢化率です笑
映画の感想
映画自体の感想なんですが、実話をベースに作っているため、堅実にストーリーを説明しているため、非常に地味な作り方をしています。
それも仕方ありません。戦争の話なのに大爆発も起きないし、人も大量に死なないし、とにかくセリフ回しで話を進めていく展開が多いからです。
なぜ今回そういう作り方をしたのか、それは映画でMonuments men達がナチスの領地に入ったのは、1945年ごろの話ですから。つまり、終戦間近のナチスを描いているからです。
ジョージ達はフランスのノルマンディーから上陸しますが、そこはもうもぬけの殻。死体も落ちていない綺麗な海となっています。
ノルマンディー上陸作戦は、スティーブン・スピルバーグが制作した「プライベート・ライアン」で、その凄惨さが伝わったかと思います。
スピルバーグが写したノルマンディーとは、正反対です。。。
http://pds.exblog.jp/pds/1/201401/18/43/b0217643_206755.jpg
あと、Monuments menのほとんどが高齢者(ジョージ様も含め)ということもあって、激しいアクションシーンはありません。若手のマット・デイモンは、フランスでケイト・ブランシェットとぬくぬくしている時間が多いですし笑
なので、戦争アクション映画ではありません。コメディーテイストのアート映画、、、という位置づけでいいですかねー、この映画は。
可愛らしいBGMといい、作風がウェス・アンダーソンと非常に近い気もします。ビル・マーレイもいますし、美術に恐ろしくこだわっているところも。
音楽を担当したのはアレクサンドル・デスプラさん。
なんと、ウェス・アンダーソン監督作品ー「グランド・ブタペスト・ホテル」の音楽も担当したとのことです!!(ちなみに昨年はアカデミー作曲賞を取りました・・・) どうりで曲調が似ていると思った。。。
ほのぼのしている映画ですので、見る人によっては単調な映画だった、面白くなかったという方もいらっしゃると思います。
私自身は、ジョージ・クルーニーを始めとして、ビル・マーレイのコメディ演技やマッド・デイモンのラブストーリーを観れたので満足、という印象です。ただし、観た後に興奮したりとかはありませんでした笑
これぞ映画の意義 戦わずして戦争に勝つ
最近はフランス・パリでの同時多発テロ事件など、イスラム国vs世界各国という構図が出来ており、世界情勢が大変不安です。
私がこの映画に見出したのは、「戦わずして戦争に勝つ」ということ。
ジョージ達は途中で何回もナチス軍と出くわしますが、必要以上に相手を傷つけることはありません。というか、私の記憶の中ではジョージは物理的に人を傷つけることはなかったはずです、戦争映画なのに、です。
ナチス軍が捕虜になるシーン
普通の映画だったら徹底機に拷問して、美術品がある場所を強引に聞き出そうとします。例えばイングロリアス・バスターズでのブラッド・ピットとかは、かなりエグい。。。
しかしジョージは一切暴力を振るわずに、ドイツ語が喋れる兵士を捕虜の横に配置させ、捕虜が油断して喋るまで「待つ」のです。
一人のナチス兵隊が紛れ込んでくるシーン
ボブ・バラバンが用を足しに森に出ると、なんと一人の若いナチス兵士が。。。
中々戻ってこないボブを心配したビル・マーレイもその現場に出くわしてしまいました。
普通なら捕虜にするなり殺したり、なんでもできるのですが、ビル・マーレイがその場を収めるためにとった驚きの行動とは・・・・
これは劇場で観るまでのお楽しみにしておきましょう笑
そして、この映画の最大の見せ場となるシーンである、ジョージ・クルーニーがドイツ将校(捕虜になった)に尋問するシーン。
ジョージは、「ドイツ将校に指一本触れることなく、ただひたすらドイツ将校に語りかけるのです」
そして、
「戦争なんて無駄なんだ、お前が一生懸命ナチスのために働いて新聞記事の一面を飾ったとしても、そんなのすぐにみんなから忘れ去られる」と言い放つ。
※ネタバレを防ぐため、背景色と同じ白文字にしています。映画を鑑賞された方はマウスをドラックしてご覧ください。
ジョージ達は軍人ではありませんから、戦争といっても芸術の戦争ーつまりArt of war です。戦わずして戦争を収める、という、理想的な勝ち方をジョージ様は示してくれるのです!
ジョージクルーニーのまくしたてるようなセリフの応酬は、まるでイングロリアスバスターズ(09年)のクリストファ・ヴァルツが演じたナチス将校のようでもありました!!!
力には力を持って対抗する、というのが今のフランスーイスラム国間では観られますよね。大変悲しいことです。
戦争は本当に無駄なこと。ジョージ様を観て、今の国際問題の解決方法を考えてみませんか?