Machinakaの日記

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知らないと映画館で爆睡!? 映画に必要な経済用語を1枚の画像でスッキリ解説! 実話に基づいた話「マネーショート /The Big short」批評

こんばんは!  Machinakaです。

 

今回批評するのはこちら!!

 

「マネーショート / The Big short」

 

 

 

https://j-newyorker.up.n.seesaa.net/j-newyorker/image/The20Big20Short20Film20Poster.202.jpg?d=a1

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ブラッドピットがプロデューサーとなり、自ら製作した映画です。

映画オープニングで流れる「PLAN B」の文字は、章立ての文字でなくて、製作会社の名前です。

https://i.ytimg.com/vi/4qXJjuadR_g/hqdefault.jpg

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この会社がブラッド・ピットが作った製作会社です。「それでも夜は明ける」と同じく、ブラッドピットが出演し、映画製作もしているシステムです。

 

まずは予告編をどうぞ!!!

 


『マネー・ショート 華麗なる大逆転』予告編

この映画の感想・評価・レビュー・考察をしていきます

 

 

あらすじ

クリスチャン・ベール、ライアン・ゴズリング、スティーブ・カレル、ブラッド・ピットという豪華キャストが共演し、リーマンショックの裏側でいち早く経済破綻の危機を予見し、ウォール街を出し抜いた4人の男たちの実話を描いた。「マネーボール」の原作者マイケル・ルイスによるノンフィクション「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」を原作に、「アントマン」脚本などを手がけてきたアダム・マッケイが監督。第88回アカデミー賞では作品賞、監督賞など主要部門を含む合計5部門にノミネートされ、脚色賞を受賞した。05年、ニューヨーク。金融トレーダーのマイケルは、住宅ローンを含む金融商品が債務不履行に陥る危険性を銀行家や政府に訴えるが、全く相手にされない。そこで「クレジット・デフォルト・スワップ」という金融取引でウォール街を出し抜く計画を立てる。そして08年、住宅ローンの破綻に端を発する市場崩壊の兆候が表れる。

https://eiga.com/movie/83256/

 

実話に基づいた話です。原作はビッグショートと名付けられています。

 

 

世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)

世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 名作のはずなのに観客は、、、

 

公開初日、TOHO日本橋の午後の部にて鑑賞してまいりました。劇場は8割方埋まってましたかね。平日にも関わらずかなりの数でした。

リーマンショックのネタがストーリーの中心のため、おじさんサラリーマンが多いかなぁと思いましたが、意外に若い人も来てました。驚いたのはカップルがいたことですね。ブラピが出てると誰でも見れるみたいな安心感でもあるのでしょうか。テレビでも宣伝していましたから、知名度は抜群なのかもしれません。

 

いざ映画観賞。しかし、途中で私は衝撃の光景を目の当たりにしてしまいました。

 

 

 

あれ、寝てる人多くね?

 

 

アカデミー脚色賞を取った作品ですよ、ストーリーの質は折り紙付きのはず。俳優の演技も抜群! でも寝てる人が多い。。。 

 

映画の途中なのに人間観察してる私も私ですけど笑

 

なぜ寝てる人が多いのか、率直に考えれば、「ストーリーについていけなかった」んでしょう?

 

クリスチャン・ベール、スティーブ・カレル、ライアン・ゴズリング、ブラッドピットの4人が、特に交わることもなく、群像劇のように交互に流れていくため、複雑になっているから分かりづらいのか?

 

否。話を分かりづらくしている要因は、おそらく「難解な経済用語」のせいなんです。

例えば以下の3つの経済用語

・MBS

・CDO

・CDS

 

この3つのうち、どれか一つでも答えられますか? この用語がサブプライムローンとどんな繋がりがあるか、解説できますか?

 

分からない人は、悪いことは言いません。このブログを最後まで読んでください。後悔はさせません。

 

もちろん劇中にも説明はありますけど、たかだか5秒くらいの解説字幕がポッと流れるだけで、あとは略語で済まされています。これ字幕の問題もあると思うんですよね。簡単に説明しすぎです。といっても、映画の字幕には1シーンに打てる文字数というのが決まっていて、略語を使わないと文字数オーバーになっちゃうんですけどね。

 

つまり、映画を観る前にあらかじめ経済用語は理解しておかないといけないわけです。

「リーマンショック」

「サブプライムローン」

これは経済用語じゃなくて一般常識の言葉です! 

 

予習しておかないと、映画館で爆睡すること間違い無しです笑

高いお金を払って映画を観るんですから、元が取れるようにしましょうね!!

 

 

 

  • 経済用語の解説

経済用語をどうやって説明すればいいか、考えました。私自身勉強するためにいろんな証券会社のホームページを辿りましたけど、、全て文章なんですよね。しかも広辞苑みたいな難解な言葉で書いてあるし、、、

 

というわけで、本ブログでは1枚の画像で全てを説明したいと思います!!

 

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まずは赤で塗られた用語の解説

 

「MBS」

数ある証券の中で、不動産を購入するときの担保として証券化されたものです。家を買うときに、本当に最後までお金を払ってくれるかどうか、売主は不安ですよね? そうすると売主は「何か価値のあるものを預けてください」とお願いするのが筋。それがこのMBS、不動産担保証券なのです。ちなみにアメリカではモーゲージ債と呼ばれており、字幕もこれで統一されてます!

 

 

「サブプライムローン」

MBSを低所得者限定の住宅ローンに特化させたものが、「サブプライムローン」です。サブプライムとは、Sub-Prime(Sub:下層の Prime:優良)の意味で、(不動産売主にとっては)優良ではない顧客という意味です。

 

一括で買えれば話は簡単ですけど、ほとんどの人はローンを組みます。ましてや低所得者はローンすら組めない。「そんな困ったアナタ! サブプライムローンが助けますよ!」

と言って不動産販売の業者が低所得者に持ちかけます。

映画では何と「ストリッパー」がサブプライムローンを使って家を購入しています!

いわば水商売の人にも一戸建ての家を買えるようにしたのです。経済が良く分からない人でも、そんな上手い話はないって思いますよね笑

 

また、サブプライムローンの関連作品として「99HOMES」という映画があります。興味がある方は検索してください! サブプライムローンを債務不履行となった家族の話です。

 

 

 

「CDO」

低所得者が契約したサブプライムローンは、証券化されて金融商品となります。それをCDO-債務担保証券となります。つまり、「約束通り(家の)借金を返しますよ」という約束を証券化したものです。これを投資家たちが購入していたのです。家を買うローンですから、もちろん金利は付きます。しかも低所得者向けのローンですから、金利が普通より高いんです。高いリターンを期待した世界の投資家たちは、このCDOを爆買いしたんですね。

大人気のCDOはどんどん値段が上昇していきます。つまり、住宅を買えば買うほどCDOの価値が上がる構造になったのです。そうなると比例して、住宅自体の価値も釣り上がります。これがアメリカの住宅バブルの正体なんです。

 

でもちょっと待ってください!! 

「低所得者が抱える住宅ローンなんて、ちゃんと払えるわけないじゃないか!!」

と怒る投資家がいてもおかしくないですよね?

しかし、サブプライムローンが証券化されると「どんな人が」住宅を買ったなんて直接分からないようになっているんです。

 

さらに、決め手は格付け会社の評価です。サブプライムローンを証券化したCDOは、なんと最高評価のAAAの評価を付けてしまうのです!!

最高評価とは、デフォルト(債務不履行)がまずありえない証券ですよ、と太鼓判を押されることです。同じくAAAの証券として、アメリカの国債などが格付けされていましたね。日本の国債もそれに近い評価をされていました。

 

でもなぜ格付け会社はCDOを最高評価にしてしまったのでしょうか?

それは、CDOを作った会社が、格付け会社に交渉(という名の接待)を繰り返していたからなんです。

格付け会社をとにかくおだてて、酒を飲ませて女の子を呼んで、「最高評価にしてくださいよぉ〜」とおねだりしまくったのです。これは原作に詳しく書いてあるみたいです。そのCDOマネージャーがパイロン・マン演じたMr.Chauなんです。

 

つまり、CDOを作った連中は「住宅価格を操作し、バブルで儲けよう」としたんですね。映画では悪役になってますので、赤色にしました。

 

 

 

次に、青で塗られた用語の解説

 

「CDS」

住宅バブルに浮かれるアメリカの中で、唯一クリスチャンベール演じるマイケルはサブプライムローンの本質に気づきます。マイケル自身はCDOを購入しておらず実害はなかったのですが、ここでとある商売を思いつきます。

 

「CDOの保険を作って加入しまくって、もしデフォルトになれば、、、俺大金持ちじゃね?」

 

簡単に言えば、CDSはCDOが破産した時の保険制度なのです。マイケルは、保険金目当ての殺人を企てたようなものです笑

 

これを商品化したマイケルは、ゴールドマンサックスにこの保険制度を提案。

「毎月保険金払うから、俺と契約しようよ!」と営業を持ちかけます。

ゴールドマンサックスは、もちろん了承。だって何もしなくてもお金を貰えるんですから笑

 

マイケルは他の証券会社も回りまくって、莫大な保険金を支払います。それが何と2005年の頃の話ですから、、、末恐ろしいものです。

 

このCDSですが、思わぬ形で他に漏れてしまいます。

マイケルが営業用に持って行った資料が大事に保管されずに机の上に放置されていたのです。

これをきっかけにバリバリの銀行マンのライアン・ゴズリング、元銀行員で伝説のトレーダーだったブラッド・ピットに資料を持ち帰られてしまうのでした。。。

そしてライアン・ゴズリングは、ヘッジファンドのスティーヴ・カレルに「CDSがお買い得ですよ」と話を持ちかけるのです。

これでバラバラだった4人の主人公がつながりましたね。

 

CDOに対する保険金で儲けようとしているのですから、住宅バブルが崩壊することを願っている訳です。バブルが崩壊すればCDSは債務不履行に陥り、大量の保険金が獲得できるのです!! なので、青色で囲まれた人達は「バブルの崩壊に賭けた男たち」と名付けることができるでしょう。

 

もっと簡単に言えば、「CDOさん保険金殺人事件」みたいな話です。

 

 

ようやく用語解説が終わりました。

専門用語を抜きにすれば、バブル崩壊するか・しないかに賭けた男たちの金融闘争劇なんです。単純な対立構造のストーリーなので、安心してくださいね。

 

ここまでおつき合いいただきありがとうございます。文章読むのがキツイという方は、画像を見てくれるだけでも幸いです。

 

 

 

 

※以降若干のネタバレを含みます!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 映画の感想

 

当たり前ですけど、話がわかればわかるほど面白い!!

 

特にクリスチャン・ベール演じるマイケルがCDSに投資する金額が凄すぎて、、、、鳥肌が立ちましたが、その後呆れて笑ってしまいました。

誰も成功したことのないビジネスモデルを、即決して爆買いしちゃうなんて、とんでもない度胸だなと驚いてしまいました。

だって、下手したら保険金を払いすぎて自己破産する可能性だってあるわけですよ笑

そんなの世界中から笑い者ですよね。

これが実在の人物なんで、本当に恐ろしいです。

ちなみに、マイケルは1点買いのトレーダーらしく、この映画の時はCDSの一点買いだったんですね。

 

そして映画のエンディングで、、、、なんと!

マイケルが現在一点買いしている金融商品が明らかにされます!

 

リーマンショックの勝ち組のマイケルだから、さぞかし突拍子もないモノを買ってるんだろうなと思ってましたが、、、

 

彼が現在一点買いしているのは意外なモノでした。。。

 

マイケルが今何に集中しているのかは、劇場でご覧下さい! アナタも勝ち組になるかもしれませんよ!!

 

 

また、難解な経済用語をなるべく簡単にしようと、多彩な演出を使って工夫していましたね。

 

CDOのことを、一流シェフのアントニーさんが

「CDOはな、シチューと一緒なんだよ! 腐った魚や野菜も、シチューに入れて煮込んじゃえば誰も分かんないだろ!?」

妙な説得力がありました笑

https://i.ytimg.com/vi/nQ_JyIgjwkc/maxresdefault.jpg

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極めつけは、サブプライムローンを説明する時の演出。

投資会社のオフィスで、マイケルがサブプライムローンについて説明すると思いきや、「俺の代わりに説明するヤツがいる」と言って

 

 

どーん。イケイケな姉ちゃん、シャンパン、泡のお風呂。

汗だくのおじさんに変わって、金髪の美女が教えてくれます!!

リーマンショックを描いた経済映画なんて、若い人よりもおじさんが来るに決まってます。おじさんが好きなモノって何でしょう? 

そうですね! 可愛くてムチムチなお姉ちゃんですよね!!!

おじさんへの接待がすごい映画だと思いました笑

 

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ちなみに、この画作りにはちゃんと意味があります。泡のお風呂は、文字通りバブルを表しています。住宅バブルと重ねているんですねー。上手い!!

 

 

 

  • リーマンショックに勝者なんていない

 

周知の事実の通り、住宅バブルは崩壊して、リーマンショックが起きます。クリスチャンベール側の「バブル崩壊に賭けた男」たちは莫大な保険金を勝ち得ることになります。普通なら、いっぱいお金稼げれば喜びますよね? 4人が集まって酒場でパーティーして終わりでもいいですよね?

 

 

しかし、そんなお気楽ムードで終わらないのです。

 

バブル崩壊で大儲けしたということは、逆に考えれば多くの犠牲の元に成り立った儲けなのです。

多くの犠牲とは、もちろんサブプライムローンを支払うこととなった低所得者層たちです。。

 

ブラッドピットがCDS勝利の時に言いますよね

「俺たちが勝つということは、多くの人が負けることを意味するんだ。もちろん死人も出る」

 

だから、日本版タイトルにある「華麗なる大逆転」は、明らかな間違いですよね。本当に映画に対して失礼極まりない。タイトルつけた人は、おそらく本編見てないんじゃないですかね? 

 

多分予告だけ見て判断しちゃったんじゃないのかなぁと思ってしまいます。悲しい限りです。

 

副題の「華麗なる」に象徴されるように、この映画をエンタメ感満載の娯楽映画として売り出したかったのだと思います。監督のアダム・マッケイは元々コメディ映画出身で、これまでの監督の作風からイメージしたのかもしれません。

 

映画は商品であると同時に、映像と音響の総合芸術作品でもあります。絵画のタイトルを美術商が勝手に変えるようなものです。それがいかに不適切で不謹慎なのか、配給会社は認識しているのでしょうか。

 

 

 

 

 

という訳で、真面目な映画であることに間違いありませんけど、当時あんなに話題になったリーマンショックの真実を教えてくれる貴重な映画だと思います。

 

是非とも劇場で鑑賞してください!!

 

超おすすめです!!!!!

 

 

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