こんばんは! Machinakaです。
今回批評するのはこちら!
「クリーピー 偽りの隣人」
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はい、存命する映画監督の中では、世界で最も知られているんじゃないかと思う黒沢清監督の作品です。黒沢清監督といえば、この間カンヌ国際映画祭で「岸辺の旅」にて「ある視点」部門で監督賞を取りましたね!
さて、「ある視点」部門で賞を取るくらいの監督が、日本で凱旋上映です!!
1.あらすじ
「岸辺の旅」でカンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞した黒沢清監督が、日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した前川裕の小説「クリーピー」を実写映画化したサスペンススリラー。「東南角部屋二階の女」で長編監督デビューした池田千尋と黒沢監督が共同脚本を手がけ、奇妙な隣人に翻弄されるうちに深い闇に引きずり込まれていく夫婦の恐怖を、原作とは異なる映画オリジナルの展開で描き出す。元刑事の犯罪心理学者・高倉は、刑事時代の同僚である野上から、6年前に起きた一家失踪事件の分析を依頼され、唯一の生き残りである長女の記憶を探るが真相にたどり着けずにいた。そんな折、新居に引っ越した高倉と妻の康子は、隣人の西野一家にどこか違和感を抱いていた。ある日、高倉夫妻の家に西野の娘・澪が駆け込んできて、実は西野が父親ではなく全くの他人であるという驚くべき事実を打ち明ける。主人公の犯罪心理学者を西島秀俊、不気味な隣人を香川照之が演じるほか、竹内結子、東出昌大ら豪華キャストが集結。
はい、西島秀俊、香川照之とTBSドラマ感が満載ですね!
この間まで、99.9刑事専門弁護士で佐田弁護士役を務めていた香川照之さんですが、今回はサイコパスな役どころのようで、、、いくら深山弁護士でも、この人の弁護は無理、、、だね笑
はい、この二人が出ているだけで、普通の映画とは違う先入観がある状態で、鑑賞してまいりました!!!
2.監督とキャスト
監督は黒沢清
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立教大学で、蓮實重彦先生の授業を受けていた学生だったらしいです。ちなみに、同期には「FAKE」を撮った森達也監督もいたそうです!
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最近の映画はあまり見てないのですが、彼の印象は、とにかく気味の悪いホラー映画を撮るってこと。
1997年のCURE、2001年の回路は、結構印象に残っているホラー映画でしたねー。
また、リングとはちょっと違う怖さがあるんですよねー。めっちゃくちゃ暗い画作りを徹底していて、見た後に何か残りそうな、気分の悪い映画を撮る人のイメージがあります(褒めてます!)
あまり大衆作品を撮るようなイメージがなくて、自分の好きなものを撮る、作家性の強い監督だと思ってます!
主演を務めるのは西島秀俊さん、
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そして、危ない隣人を演じるのは香川照之さん
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はい、この二人を見るだけで、TBSが思い浮かんできますねw
実は、西島秀俊さんの演技を見るのは、テレビでも映画でもこれが初めてです!
どれだけ日本のドラマに興味ないんだっていうw
はい、それでは映画の感想です!!!
3.映画の感想
怖い! 気持ち悪い! でも面白い!!!
はっきり言って、これは物語性を重視していて、リアルさは追求していません。
私は、「現代の怖いおとぎ話」だと思いました。
予告編を見ていると、「あなたの近くにも怖い隣人がいるかも?」という、日常のリアルな恐怖を味わう映画だと思ってました、、、が、違う意味で裏切られましたw
これは、あくまでもおとぎ話で、作り物の話ですよーと強調しているような気がしました。
俳優の演技ですが、香川さんは相変わらずよかった、、、サイコパスの隣人を演じているのですが、表情を変えずにトンデモない行動に出るわ、何か喋ったと思いきや全く意思疎通できてないわ、、、とにかく、人とコミュニケーションが全く取れない、強い人って印象です。
そして、主人公の西島さんですが、、とにかく無表情で無愛想な演技でした、、。
あれ? 西島さん、こんなに下手くそだったの?って最初は思ってましたが、ちゃんと理由があるんですね、これには。。。
4.おとぎ話として見ると楽しい
大事なのは、エンターテイメントを追求しているため、現実味が全く無いということ。突然、殺人鬼に巻き込まれる家族を描いた、おとぎ話のような作品でした。
予告では「隣人の恐怖」がメインテーマのように感じるんですが、タイトルを見れば、「クリーピー 偽りの隣人」となってます。クリーピーは、「ゾクゾクする」という意味。つまりですね、ゾクゾクすることがメインにあるんですね。
そして、あまりにも都合よく話は進みます。
香川照之さん演じる西野は、警察に怪しまれることもなく隣人を演じている。西島さん演じる高倉と西野との一騎打ちになるんですね。
あと、決定的だったのは照明・天気と美術セット。これがあまりにも現実味から離れているんです。
照明の場合は、昼間のシーンにも関わらず急に電気が落ちたみたいに暗くなって、なんだか演劇を見ているような、暗〜い場面になる。また、外で車を走らせていると、周りは絵の具で塗ったみたいに黒くなって、とにかく不気味になる。
美術セットの場合は、木造の一軒家に見える西野の家は、中へ入ってみればコンクリート打ちっ放しの牢獄みたいな部屋がある。見た目の間取りから考えても、現実に立っている家とは思えない。
ストーリーの展開次第で、現実の世界をいくらでも脚色して画作りをしてやろうというのが、黒沢清監督の作風なんだと思います。
そして、フィルムノワールばかり撮っているから、とにかく画面を暗くする人なんだなぁと。監督の名前通り、「黒」を「沢」山使う監督です。そこに共感できるかどうかですねー。
リアルな隣人恐怖を描くより、大事なものが監督にはあったんでしょう。
同じ監禁事件で言えば、園子温監督の「冷たい熱帯魚」をすぐに思い出すと思います。
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やってることは同じなのに、この映画とは真逆ですね。どちらの作品も、家族が殺人鬼に巻き込まれる話なんですが、、、、
冷たい熱帯魚はR18でエログロ満載。一方のクリーピーは、全年齢なんですね。
そして、冷たい熱帯魚は埼玉愛犬家連続殺人事件を元に作られていてます。一方のクリーピーは、、、おそらく、北九州洗脳事件をモデルにしてるのではないかと思います。
あまりにも残忍すぎて、マスコミもあまり報道していないと有名になっている事件です。
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これをモデルにしている作品は、漫画「闇金ウシジマくん」の「洗脳くん」という回です。
ハッキリ言って、一度読むとトラウマになりますので、よほどの覚悟がない限り見ないでください。
あぁ、今思い出しても嫌な漫画だったなぁ、、、(褒めてます!)
5.本当に怖いのは、アイツだった
ここからはネタバレ注意です!!!
はい、ではいきますよ。
映画を見た方は、ある違和感にお気づきになったのでは?
それは、、あまりにも西島さんの演技が下手、、に見えてしまうこと。まるで心がないような、棒演技なんですよね笑
こんなこと、ベテランの役者にあるのか?って思ってたんですけど、、、、 ある結論に達しました。
それは、主人公の西島さんも既におかしくなっていること。
大学教授になる前は警察でサイコパス犯罪を相手にしていた西島さん。とある事件をきっかけに、警察から足を洗うのですが、、やっぱりおかしいんですよ、この人。。。
授業中に犯罪事件の内容を説明しているんですが、強姦・殺人・死体遺棄など強烈な言葉を呟いた後に、「いやぁ、アメリカはスケールでかいですねぇ」とニタニタしてるんです。
東出くんと喋っている時も、コーヒーをぶん投げる笑 川口春奈ちゃんに聞き取り調査をしている時も、腕をグッと掴んで恫喝する。すっごい粗暴なヤツなんですよ、西島さんって笑
実は、リアルに嫌なタイプは西島さんの方だと思うんですね。
サイコパスばかり相手にしていて、辞めて大学教員になっても、まだサイコパスの事件に引きづられて、結局昔に戻ってしまう。警察の時の権力を行使しようとするから、周りから危険視される。
西島さんの壊れた演技が、逆に良かったですね、、
はい、長くなりましたが、初めて映画館で見る黒沢清映画としては、良い出会い方をしたと思いました!! つくづく、カンヌ映画祭の「ある視点」で賞を取れた理由が分かりました。
変な映画だけど、面白い!!
オススメです!!