こんばんは! Machinakaです!!!
今回批評する映画はコチラ!
「わたしは、ダニエル・クレイグ」
https://img.cinematoday.jp/a/N0082808/_size_1200x/_v_1463627676/main.jpg
ヨイショーーーー!!!!!
ってあれ? すいませんタイトル間違えてましたw
正しくはコチラ
「わたしは、ダニエル・ブレイク」
https://www.artrix.co.uk/media/3593/i-daniel-blake-3.png
タイトルをよくみてね!!!笑
ネットで予約してて、思わず「ダニエル・クレイグ」と誤変換したまま映画館に行ってしまいました。
英国発の映画ということで、ジェームズ・ボンドを演じた某有名俳優の苦労話系ドキュメンタリーかと思ってしまいました、本気で。
だって「イギリスのダニエル・◯レイクの映画」って言われたらジェームズボンド想像しちゃうでしょ!?笑
思わず劇場の付箋に書いちゃいましたからね笑
はい、というわけで同じ英国映画でも、「ダニエル・ブレイク」さんの方の映画を鑑賞しに行きました。おそらく、ダニエル・クレイグと間違えたのは私だけだと思います、はい笑
ということで、今度こそ、、、、
「わたしは、ダニエル・ブレイク」批評行ってみよー!!!!!!!
あらすじ
2016年・第69回カンヌ国際映画祭で、「麦の穂をゆらす風」に続く2度目の最高賞パルムドールを受賞した、イギリスの巨匠ケン・ローチ監督作品。イギリスの複雑な制度に振り回され、貧困という現実に直面しながらも助け合って生きる人びとの姿が描かれる。イギリス北東部ニューカッスルで大工として働くダニエル・ブレイク。心臓に病を患ったダニエルは、医者から仕事を止められ、国からの援助を受けようとしたが、複雑な制度のため満足な援助を受けることができないでいた。シングルマザーのケイティと2人の子どもの家族を助けたことから、ケイティの家族と絆を深めていくダニエル。しかし、そんなダニエルとケイティたちは、厳しい現実によって追い詰められていく。
本作は69回のカンヌでパルムドールを取っています!
パルムドールとグランプリがあるらしく、どれも「優勝」ってイメージがあるのですが、何か差はあるのでしょうかね?
ちなみにグランプリを取った「たかが世界の終わり」の批評はこちらです
www.machinaka-movie-review.com
というわけで、非常に期待が高まっているでしょうね。皆さん。
ヒューマントラストシネマ有楽町様に敬礼!
本作は18日に一般上映でしたが、13日に特別上映を行ってます。
当日ネットで検索してたらイベント付きの上映が行われてるということで、急遽参加してまいりました!!!!
ゲストはピーターバラカンさんでした!!! スマホ切ってたので写真取れなかったんですが、司会者の方が写った写真は間に合いました!
司会者の方、本当に可愛かったです。超可愛かった〜〜〜(どこに感動してるのやら)
ピーターさん曰く、監督のケンローチさんは「イギリスの良心」であるとのこと。素晴らしいコメントを頂けてよかったです!!
というか、本当にヒューマントラストシネマ有楽町さんにはお世話になりっぱなしです。
私が初めてミニシアターに入ったのは貴館で「サンシャイン〜歌声が響く街」を見たのが最初で、本当に感激したのを覚えています。
今この文章はブログ読者というよりも貴館に対して書いてますが笑 本当に貴館と出会えてよかったです!!!
首都圏在住でまだヒューマントラストシネマ有楽町に行かれてない方、また地方在住で東京に旅行予定のある映画好きの方、、、是非ともヒューマントラストシネマ有楽町を訪れてみてください!!!
ヒューマントラストシネマ有楽町関連の記事はこちらです!
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監督
監督はケン・ローチさん!
https://img.eiga.k-img.com/images/person/30270/300x.jpg?1366800596
お恥ずかしい、今まで存じておりませんでした。。。
カンヌ映画祭の常連として知られ、
Black Jack(原題)」(79)、「リフ・ラフ」(91)、「大地と自由」(95)で国際批評家連盟賞
「ブラック・アジェンダ 隠された真相」(90)、「レイニング・ストーンズ」(93)、「天使の分け前」(13)で審査員賞
「麦の穂をゆらす風」(06)で最高賞パルムドール
となっているそうです!
どんだけすごいんだよ!!! 山田孝之と山下監督にも、ケンローチの映画見て欲しいなぁ、、、、
え? 最近ドラマ批評の更新してないって? うるさい、まずはこの映画の批評を優先してるんだ俺はwww
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無名の役者たちで取ったカンヌ
映画ドットコムで調べたのですが、本作に出演している俳優の方が、、、
ほとんど無名の役者の方でした!! というか、映画には出てない人たちばかり!!!!
イギリスのテレビでは活躍してる方らしいですが、映画には初出演だし、もちろん私も知らなかった。。。
え? こんなの見たことないです。ってかこれでカンヌ取れるんだ、、、、
恐ろしい。。。。 ってかこれでよく配給したよね、日本。。。
つまり、俳優のネームバリューで売れた映画ではない、ということなんです。
いやぁ、日本のプロデューサーにもこの映画見て欲しいね、まったく。
はい、というわけであらすじは以上。
映画を見る直前まで本気で「ダニエル・クレイグの自伝映画」だと勘違いしていた私。
有名ではない「ダニエル・ブレイク」さんの映画に惚れることができるのか?
それでは映画の感想でっす!!!!
映画の感想
ダニエル・ブレイクという一人の男の物語。
英国の労働者階級で社会の不条理に苦しみながらも精一杯生きる姿に感動!
自分が貧しかろうが、生活が苦しかろうが、他人に敬意を払い誠実に接する姿に感激!
いつもの通り感涙するかと思いきや、あまりにリアリティを追求した作りに驚き、泣くことすらも許されなかった!
ダニエル・クレイグじゃなくて少し残念だったけど、ブレイクさんはスパイ活動はおろか、一切嘘を付かない誠実で素晴らしい英国紳士だったよ!!!!
彼が妻を亡くしながらも精一杯生きる姿、イギリス人として威厳を保つ姿、時たま説教しながらも隣人には優しくする姿、、、、
イギリス版「グラン・トリノ」の誕生だっ!!
超ベテラン監督の究極の「味噌汁映画」
大変面白かったんですけども、鑑賞後の印象はクリント・イーストウッド監督の作風と似ているなぁ、と思いました。
無駄な部分が一切ない、そしてワンカットが多い。
以前「ハドソン川の奇跡」で「究極の味噌汁」のような映画と評しましたが、
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今作「ダニエルブレイク」は、もっとシンプルでスマートな映画です。
銃撃戦やカーアクションもない、極めて質素な映画です。
だがこの映画、開始10秒で笑わせてくれますwww
ネタバレはしないですが、映画が始まってすぐ笑わせてくれるのは本当にありがたいことです。この映画、「貧困」とか「労働者階級」とか、重くて社会的なメッセージがある映画だと思って、シリアスな映画だと感じる人が多いですから。
私みたいにジェームスボンドが出てくるとは思ってないでしょうけど
観客の緊張を、開始10秒でほぐしてくれるのは本当にありがたい!
サービス精神に溢れているよ!!
本当に質素な映画なので、音がほとんど出ません。基本的にBGMはなしですから。
一番大きな音は、、、 子供がボールで壁当てする音ぐらいですかね笑
https://deep_shin2.c.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_7f1/deep_shin2/20140920.jpg
それくらいシンプルで、質素で、スマートな映画でございます!
まさにイギリス版「グラントリノ」
タイトルだけでは中々分からないものがありますが、分かりやすく説明するならばイギリス版「グラントリノ」のような映画だったと思います。
グラントリノ、、映画ファンなら説明不要かと思いますが、クリント・イーストウッド監督の屈指の名作「グラントリノ」です。
屈指の名作と名付けるのは何となくではありません。どこの評価を見ても100点満点に換算すると90点近く取っているという、バック・トゥー・ザ・フューチャーのような化け物映画なんですから、、、
私の評価は、、もちろん「人生ベスト級」ですよ!!!!
グラントリノとの共通点をいくつか挙げてみたいと思います
二人とも頑固オヤジでものづくりに打ち込んできた職人気質。
仕事は真面目にやってきたからこそ、ルールに厳しくこだわりがある。昔はそれで生活できたけど、老いが訪れ妻に先立たれ、気づけば一人暮らし。。。
その時偶然出会った隣人と触れ合い、世界が変わって見えてくる、、、
共通点が多すぎる!!!
要は「古き良き母国の文化と風習を来世にも伝えたい」男の物語なんだと思いました。
ダニエルブレイクさんもクリント・イーストウッドも、現代に馴染めてないんです。
今作のダニエルブレイクさんは、インターネットは全く使えないし興味もない。
しかし、今はネットがないと職探しもできない。失業手当も受けられない。。。
「ネットが無くても紙でいいじゃないか!」と怒ると、「警備員さんー!!!」とすぐに通報される、、笑
現代に馴染めてないブレイクさんは、確実に社会的弱者になりつつあるんですね。
貧困ではなく、「基本的人権の尊重」の物語だ!
もちろん「ダニエルブレイク」は、「労働者階級」や「貧困」が元になっている映画であるし、そういった感想が多く出てくると思うのですが、、
ダニエルブレイクさんは、貧困に怒っている訳ではないのです。
彼が一番腹を立てているのは、貧困でもなく、仕事が見つからないからでもなく、「平等に扱ってもらえないから」ということに対して怒りを感じているんです。
ダニエルさんは劇中で度々怒ります。ただ、それには理由がある。
ダニエルさんが怒っているのはネットが使えないから、ということではなく、ネットが使えないからといって周りにバカにされたり、職業手当が受けられなかったり、職探し自体ができないという馬鹿げた現況に怒っているのです。
職業安定所に行っても全てネットで作業しろ、とだけ伝える役人。そこには何の感情もない。どこの世界に行っても同じなんだな、役人は、、、
ネットが使えない人は職探しが出来ない。役人は助けないし、むしろ「お前ふざけてんのか」と罵られる始末。
つまり、ブレイクさんは現代のイギリス(政府)に人間扱いされてないのです。
だって、失業手当ももらえないし、職探しもできないし、それが政府の役人によって妨害されているのですから。そんなの殺されるのと同じですよね。
ブレイクさんはイギリス人として扱ってもらってないことに怒っているのです。
決して貧困に怒っているわけじゃない。
つまりは、日本でいう「基本的人権の尊重」に対する物語じゃないのかなぁと思うのです。イギリスだとどういう名前なのか分かりかねますが。
人間が、人間らしく生活するために、生まれた時から持っている権利が、基本的人権です。そしてこの権利は、侵すこと※のできない永久の権利として、日本国憲法で保障されています。※侵す:邪魔する、なくしてしまうという意味
役人は縦割り社会なので、彼の失業手当の可否しか判断しません。しかし、失業手当がないということは、彼の人生はどうなるか、普通に考えれば済むのに、、、
これだから役人は!!!笑
フード・テリングが秀逸だった!
余談ですが、この映画はフード演出が非常に巧みでした。
ブレイクさんと仲良くなる隣人のケイティさんは、最近ロンドンから引っ越してきた22歳。
子供が二人いながら通信制の大学に通う大学生。もちろん職に就ける訳もなく、生活は困窮をきわめる。。
ケイティさんが子供に作ってあげる料理は、いつもパスタでした。
https://activewoman.jp/images/genchi2-1.jpg
パスタって日本じゃそこそこ高いんですけど、海外だと肉や野菜と比べてスっごく安いんですよ!!!!!
スーパーやモノによっては、1キロで2ユーロとかのパスタもあります!
要は生活必需品の炭水化物ってすごく安いんですよね! ヨーロッパに限らず、アメリカでも炭水化物はめちゃくちゃ安いんですけど、、、
だから、ケイティの家庭がパスタばかり作っているのは生活に苦しんでいるからなんです。決してパスタが好きなわけじゃない笑
日本だと安い肉なんていっぱい売ってるし、それこそ豆腐やもやしなど激安で栄養バランスが良い食品あるので本当に恵まれてますよ、、、、
一方、ケイティが生活に困り食糧配給所にいくと、そこでは玉ねぎとか人参とか、色とりどりの野菜が溢れている。。。
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これは普段パスタばかり作っているケイティにとっては、どれだけ嬉しいことか、、、 つまり向こうじゃ野菜=豊かな食→豊かな生活を象徴しているんです。
野菜って海外じゃ貴重なんですよ、特に欧米では、、、、
欧米に大豆文化が根付けば生活困窮者も救われるのになぁ、、、と感じました。
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/0905/img/spe2_il_01.jpg
はい、一般公開前ということで、ネタバレなしで解説してみました。
グラントリノをご覧になった方は、是非とも映画館に行ってみてください!