まえがき
今回批評する映画はこちら
「海底47m 古代マヤの死の迷宮」
どっからどう見てもB級作品。え?なんでこれを見ようと思ったかって?
それ以外新作やってないからだよ!!!
しかもこれ、、シネコンで大々的にながれてるからなぁっ!!
今更コンフィデンスマンJPを見るのもアレだし、かといって全く見ないのも良くない。
だって木曜日に新作が公開するなんて、相当珍しいことですよ。
いっつも金曜日仕事終わったアトに鑑賞する身としては、朝イチに映画見てブログ書けるのは幸せ以外の何者でもないんですよ!
正直、JK以外は全く期待してませんが、鑑賞してみたいと思います。
それでは「海底47m 古代マヤの死の迷宮」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。
あらすじ
・海に沈んだ檻の中で人喰いサメの恐怖と対峙する姉妹の姿を描いた海洋パニックスリラー「海底47m」のシリーズ第2弾。親同士の再婚で姉妹になったミアとサーシャ。まだどこかぎこちない娘たちの距離を縮めようと考えた父親の提案で、2人は週末に行われる船中からサメを鑑賞するツアーにでかける。当日、現地で偶然友人たちと出会った2人は、マヤ文明の遺跡が眠る海底洞窟を目指すケーブダイビングに誘われ、海に潜ることに。神秘的な海底遺跡に目を奪われる2人だったが、複雑に入り組んだ遺跡を前に迷子になってしまう。そして、そこには盲目の巨大人喰いサメがいた。監督は前作同様のヨハネス・ロバーツ。主人公の姉妹を演じるのは「やさしい本泥棒」のソフィー・ネリッセと、オスカー俳優ジェイミー・フォックスの娘コリーヌ・フォックス。そのほか、シルベスター・スタローンの娘のシスティーン・スタローンも出演。
「海底47m 古代マヤの死の迷宮」のネタバレありの感想と解説(短評)
「#海底47m古代マヤの死の迷宮 」鑑賞
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2020年7月23日
サメ以外ナッシングー清々しいほどのサメサメパニック映画!
映画館の予告編だけを見て、マヤの古代文明に呪い殺される映画だろうと勝手に思っていた私は一体何だったのか。完全にサメ映画じゃんこれ。
なんというか、「やりたい邦題」って感じ(褒めてます)。
やりたい邦題のサメ映画
最初に言っておきます。調べなかった俺も悪い。
でも、「古代マヤの死の迷宮」というタイトル、予告編の作り。
こんなの騙されるでしょうが!!!
え? 何に憤慨してるのかって?
観る前はサメ映画だと思わなかったんだよ!!
いかにもミステリアスな雰囲気を漂わせたマヤ遺跡に迷い込んだ女子高生たち。調子に乗ってマヤ遺跡を探検して、「インスタ映えよぉぉぉ!!」なんてほざいてマヤの銅像と
いつマヤの呪いが彼女たちに降りかかるのか、どうやって呪い殺されてしまうのか。。
B級映画で「インディージョーンズ」をやってくれるのかと思って、ドッキドキ・ワックワクしてたんだけど・・・
結局、古代マヤ全然関係なかったじゃねぇかよ!!
ただのマップじぇねぇかよ!!!
全部サメが持ってったんだよ!!
一番仕事したのはサメだったんだよ!!
なんだよ、古代マヤって。なんだよ、死の迷宮って。
そりゃ予告編にもサメは出てましたよ?
でも、あくまで古代マヤの悪霊が放ったサメトラップ的な位置づけだと思ってたんですよ。
サメはあくまで余興、メインは古代マヤだと思っていた私は、この清々しいほどのサメ映画に面食らってしまったのです。
ちなみに今作の邦題は「47 Meters Down Uncaged」。
古代マヤとか、死の迷宮なんてワードは一切出てきておりません。
勝手に邦題がマヤ文明のイメージを膨らませただけにすぎないのです。。
ちきしょう!!
本当にやりたい邦題なタイトルだな!!!
見事に騙された私でしたが、意外と悪い気はしていません笑
むしろ、サメで良かったとさえ感じています。
古代マヤの呪いを匂わせながらも、単なる置物として鎮座しているマヤの像たち。
これによって、結局は全部サメが持っていく展開に盛大な肩透かし感を与えてくれたのです。
この肩透かし感があることで、単なるジャンル映画に収まらない魅力があるのだと思います。
話は変わりますが、皆さんジャンル映画に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?
ジャンル映画という予測できる展開と結末、観る前から見定められている演技・演出のクオリティ。
もはや鑑賞する方にも一定の責任が求められる。ジャンル映画をクソ映画と言うのも、おかしい気がしてるのは私だけでしょうか?
そんなジャンル映画の枠を超えて、特定の付加価値を付け、観る人の予想を裏切ることが良いジャンル映画の条件だと思っているのです。あくまで持論ですが。
今作は「マヤの死の迷宮」という強烈な要素を持ち合わせつつも、結局はサメに全て持っていかれる予想外の展開に面白さを感じました。これもジャンル映画にとっては良い裏切りなのです。
こういった良い裏切りを提供してくれたのも、配給のGAGAさんがあってこそ。
本当に素晴らしい仕事をしてくれました。
直接お会いする機会があれば、「ふざけんな!!」と言いたいです(もちろん、良い意味で)
最初からサメ映画だと分かって観に行くよりも、途中でサメ映画だって判明する瞬間が、僕にはあったのです。
主人公はサメだった
昔、ウィル・フェレル主演で「主人公は僕だった」という映画がありましたが、今作はまさしく「主人公はサメだった」と言いたくなるような展開の連続でした。
上にも書いたとおり、最初はサメ映画だと分からず鑑賞してしまったので、途中で主人公が改めて分かる展開も「主人公は僕だった」と凄く似ていて。。 はい、誰も共感してくれないと思うのでこの話やめますね。
普通ですね、ホラー映画やパニック映画における敵(人間に危害を加えるキャラ)って、あくまで主人公(人間)の視点から見る場合が多いんですよね。
カメラも主人公の目線の延長線上に置いている場合が多くて、主人公がメインだってスタンスを崩さない。
しかし今作は、サメ目線になっているカメラワークが非常に多いんですよ笑
サメの目線の延長線上に主人公を見据えるような構図をされると、あたかもサメが主人公のような気分になってしまうんですよ。
思えば、今作のファーストカットはプールの底から人間を見上げるようなカメラワークになっていたのも興味深いですね。
いじめられっ子の主人公がプールに突き飛ばされて落ちてしまうシーンも、サメ目線にすることで印象的なショットになるというか。あの目線が先の伏線になっていたとは思わなかったですね笑
そして、目をみはるのはラストシーン!
「ただの」マヤの遺跡と凶悪なサメから逃げ船に助けを求めるも、その船はサメ鑑賞ツアーを絶賛開催中で、主人公の周りにサメの餌を撒き始めるんですw
人間目線であれば、なんという悪夢だ、、と悲しくなってしまうんですけど、サメ目線で見ていた私的には「お祭りだぁぁぁ!!」と狂喜乱舞してしまいましたww
また、姉妹が船に上がろうとはしごを掴んだ瞬間にサメに襲われてしまう展開が何故か何度も繰り返されるクドさ加減も最高で笑
普通、一回でいいじゃないですか?最後の最後にビビらせとけばいいじゃないですか。でも、これも作り手の配慮だったのかなぁ〜、何度もサメにチャンスを与えるっていうねww
これは大いに笑わせてもらいました笑
エンドロールを観ることの意義を再確認
本編終了後、エンドロールが流れてそろそろ帰ろうかなぁと思った時に、何故か日本語字幕が流れて
「今作では一切サメを傷つけていません」といったテロップだけが翻訳されるんですよ。 エンドロールの文字よりも日本語字幕の方がフォントサイズが大きいので、凄く目立つっていうねw
続けて、「人間がサメに襲われ死亡する事案は、年間10件にも満たない。対して、人間は1年間にサメを1億匹殺している」
という、映画では散々サメを痛めつけておきながら、最後は観客に説教を垂れる始末w
サメを養護して人を蔑むという、男尊女卑よろしく鮫尊人卑のメッセージが日本語字幕として流れてくるんですよ。
普通さ、「サメを傷つけてません」くらいで止めとけばいいじゃん!? なんで「人間はサメを・・」って余計な一言を加えるのよ!!(褒めてます)
この作り手のふてぶてしさが逆に面白く感じるというか、本編の感想と同じく肩透かしを食らったと言うか笑
単なるジャンル映画で、こんなエンドロールが流れるなんて誰が予想できたでしょうか?
エンドロールを観ずに帰る人も多いですが、今作はエンドロールも含めて一つの映画となっているんですよ。
このメッセージを受け取るか受け取らないかで観る人の視点も確実に変わるし、エンドロールは映画に必要不可欠なんだと、改めて感じる瞬間でもありました。
こうした気付き・再確認をジャンル映画で教えてくれるのは本当に意外性があって良い。
こういうところも、配給の細かい気配りの一つだと思います。本当に良い仕事でした。
正直、このエンドロールがなかったら「まぁまぁ面白かったなぁ」くらいに留まっていtのかもしれません。本当に、本当に素晴らしいエンドロールでございました!!
まとめ
中盤までは「なんだ、サメ映画じゃねぇかよ!」って怒ってたんですけど、
サメ目線で観ると本当に面白くなってきて、ラストシーン、エンドロールで評価が爆上がりした作品でした。
これまで何度もサメ映画を見てきましたが、新たなサメ映画を切り開いてくれたと言うか、サメ映画がなくならない理由がよくわかったというか。。
多分、自分がアメリカ人で現地の予告・タイトルで見ていたらつまらなかった作品だと思います。
作り手はもちろんですが、今回は配給会社の功績が非常に大きかったと思います。
配給が独自でタイトルを考えて、原題とは全然異なる邦題を考えてくれて。
また、サメ擁護の説明文に着目して、わざわざ日本語字幕を付け強調することで、映画をさらに面白くしてくれた。
日本の洋画公開は他国に比べて遅くて、面白い作品をDVDスルーして、色々文句を言われることの多い日本の配給会社。
でも、こうした配給の創意工夫によって映画が面白くなるのって日本ぐらいじゃないですかね? こんなにもタイトルを原題から変えることも珍しいし。
私も「やりたい邦題」なんて言っちゃいましたけど、邦題によって展開をミスリードしたことで、サメ映画に意外性を与えてくれるなんて素晴らしいことじゃないですか。
改めて、配給のGAGAさん、ありがとうございました!
日本でこの作品が観ることができて、本当に感謝しております!!
Machinaka的には、今年ベストのエンドロールでございましたw
85点 / 100点