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劇場版「ゴブリンスレイヤー GOBLIN'S CROWN」ネタバレあり感想解説と評価 今作で明らかになるゴブリンの真の正体

 
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この記事では、「ゴブリンスレイヤー GOBLIN'S CROWN」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

「ゴブリンスレイヤー GOBLIN'S CROWN」のネタバレありの感想と解説(全体)

 
 

 

今回批評する映画はこちら!

 

「ゴブリンスレイヤー GOBLIN'S CROWN」

 
 

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(C)蝸牛くも・SBクリエイティブ/ゴブリンスレイヤー製作委員会
 
 

 

 

昔からこの手のアニメは大好きで、市井の人からはあまり良い顔をされないこともあるが、実写メインになった今となっても、継続して鑑賞しているジャンルである。

 

ブログにてエログロアニメは日本伝統芸能だと豪語するほど、このジャンルには誇りと期待を持っている。

 

予算でも、宣伝力でも、負けるかもしれない。しかし、絶対に日本以外はできないこのダークファンタジーを、もっと評価しても良いはずだ。

 

今作「ゴブリンスレイヤー」も残虐描写が多いが、女性に対する陵辱が多く盛り込まれているのが特徴である。 

  

最近は「メイドインアビス」、過去には「Fate」の桜ルートの劇場版を鑑賞しているが、今作は似てるようで非なるもの。
今作ほど女性に勧めにくい作品もないだろう。当然ながら、映画館は男性で埋め尽くされていた。
 

 

が、そんな作品をあえて深読みし、価値を見出すものこそ意義がある。

間違いなく面白い作品を、このまま素通りするわけにはいかない。

 

世知辛い状況で、視聴者が限定される作品を頑張って公開していることを賞賛したいし、テレビの深夜アニメ枠が生き残る方法を提示してくれた一作でもあるのだから。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
・シリーズ累計500万部を突破した蝸牛くもの人気ライトノベル「ゴブリンスレイヤー」を原作とするテレビアニメの新作エピソードを描く劇場版。ゴブリン討伐だけで序列三位の銀等級にまで上り詰めた冒険者の男。「ゴブリンスレイヤー」と呼ばれる彼は、手段を選ばず、手間を惜しまず、ゴブリンだけを退治していく。ある日、彼は行方不明になったある冒険者を救うため、極寒の山岳地帯へと足を踏み入れるが……。キャストは梅原裕一郎、小倉唯、東山奈央、井口裕香、内田真礼、中村悠一らテレビシリーズから続投の人気声優陣に加え、新キャラクターである令嬢剣士の声を上坂すみれが担当。

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『ゴブリンスレイヤー ゴブリンズクラウン』2月1日劇場上映開始! 妖精弓手役・東山奈央さんカウントダウンコメント

 

 
 
 
 

名がない、才がない、人気がない。ないない尽くしの英雄譚

 

今作はテレビアニメ版の続編で、公式が「劇場版」と銘打っているだけあって、映画というよりはテレビアニメの延長線上にあるような内容である。

 

なので、いきなり鑑賞するとキャラの特徴や物語の目的がすぐには理解しづらくなってしまうので、ここで改めて説明しておきたい。

 

ゴブリンスレイヤーは、主人公ではあるが、勇者ではない。

魔王を倒すのではなく、ゴブリンだけを対象にモンスターを討伐し続ける冒険者であり、決して王道のファンタジー物語ではない。

 

しかし、遠くの魔王よりも近しいゴブリンを討伐することで、「親愛なる隣人」と名付けるのがふさわしい下町のヒーローであり、ファンタジー世界にスパイダーマンを足したような作品だと、巷では言われている。

 

映画にすると「スターウォーズ」のスピンオフ作品である「ローグワン」が近いのではないか?

 

www.machinaka-movie-review.com

 

 

一般的なファンタジー世界のため、魔王もいるし勇者もいる。しかし勇者はゴブリンスレイヤーのパーティに入ることもなく、一瞬映るだけである。

 

勇者が助けるわけもなく、自身は特別な才能があるわけでもなく、ごくごく普通の面々でパーティが構成されているのが特徴だ。

 

この「普通」を強調するためなのか分からないが、今作のキャラクターには一切名前が付けられていない。あるのは「女神官」や「妖精弓手」といった役職名だけである。

 

ゴブリンスレイヤーを除き、モブキャラと大した差のないメインキャラクターのデザインも、匿名性の高さをより一層惹き立てる。

 

普通のアニメならありえない設定だが、オンラインゲームで自由にファンタジー世界を闊歩できる今の時代だからこそ、こうした普通のキャラクターが受け入れられ、まるで自分の追体験のように感じることができるのだろう。

 

 

 

 

劇場版の感想:残虐描写の中にも人の優しさを感じる作品

 

今作は「令嬢剣士」と言う新キャラクター(上坂すみれ)がゴブリンを討伐する場面から始まる。

いわゆる「ゴブスレ一派」とはまた異なるパーティが登場し、まるで「ゴブリンスレイヤー」の1話を彷彿とさせるシーンとなっている。

 

1話を彷彿とさせるというと、だいたい想像がつくと思うが、残念ながら令嬢剣士はゴブリンに乱暴され、幽閉されてしまう。

 

その後ゴブリンスレイヤーが令嬢剣士を保護し、共にゴブリンへの復讐を開始するというのがあらすじである。

 

1話の女神官がいるパーティと同じく、ゴブリン討伐に異議を唱えて仲間割れするパーティの人間関係が描かれ、テレビアニメではすっかり脅威ではなくなったゴブリンの恐ろしさを改めて思い知らされることになる。

 

同じことの繰り返しにも見えるが、今作とテレビ版の序盤で決定的に違うのは、ゴブリンスレイヤーの仲間になる女性のゴブリンに対する怨恨の強さだ。

 

令嬢剣士はゴブリンスレイヤーによって救出「されなかった」側であり、ゴブリンに対する恨みが全開。武器を持たずに素手でゴブリンをなぐり殺すシーンは、もはや「令嬢」という呼び名が形骸化しているように思えるほどだ。

 

しかし、そんな憎しみを全開にしていた令嬢剣士も、ゴブリンスレイヤーと仲間になり共に戦うことで、憎しみから解放されていく構造になっていく。

 

普通ならゴブリンへの復讐がメインとなり、レイプリベンジとも言えるような作品になりかねないが、ゴブリンスレイヤーが与えるのは憎しみではない、優しさである。

 

ゴブリンスレイヤーは寡黙で、誰にも頼まれていないのにゴブリンのキルカウントを言い続ける尖った人物だが、彼の行動が周囲の人間を変えていく様子は、見ていて清々しい。

 

しかも、陵辱された側のキャラが味方に転じ、ゴブリンへの憎しみから解放される話は新しい。同じような話に見えて、全く異なっている。

 

令嬢剣士を通して、キャラクターの心情の変化が大きいのも、今作の特徴であろう。

 

また、見るのも耐え難い陵辱シーンも、キャラクターの人格を形成するためには必要な演出だと感じる。決して陵辱が目的ではないことを、強調しておきたい。

 

残虐・陵辱描写の中にも、人の優しさを垣間見ることができるのが、ゴブリンスレイヤーの大きな特徴である。むしろ、見るに堪えがたいシーンがあるからこそ、優しさがより強調されるのではないか?

 

令嬢剣士のバックボーンはあまり説明されないが、彼女が周囲から期待され、努力を欠かさなかったのも分かる。あの剣も、冒険者に合格した祝いとして親に買ってもらったものなのだろうか?

 

剣術と魔法に長けていることからも、勇者を目指して邁進していたのではないか?

バックボーンすら匿名性になっているのも今作の令嬢剣士の特徴であり、観客が創造する楽しさがあるのも良い。

 

 

 

 

今作で明らかになるゴブリンの真の正体とは

 

ゴブリンスレイヤーがゴブリンを討伐する理由は、テレビアニメで既に明らかになっている。

 

他のキャラクターについても、竜になりたいとか、名声を上げたいとか、ゴブリン討伐を通して何かを得ることが各キャラの目的になっている。

 

決して単なる復讐心でゴブリンを討伐しているのではない。ゴブリンは倒すべき敵であると同時に、己がレベルアップするための通過点になっている。

 

しかし、今作の令嬢剣士がゴブリンに対峙する理由はどうだろうか。

 

ゴブリンへの復讐心が人一倍あることは分かる。ゴブリンを倒して前に進みたいのは分かる。しかし、復讐心以外で具体的な何かが分からない。意図的に描かれていないのだ。

 

キャラクターのバックボーンだけでなく、目的さえも抽象化された非常に謎の多い令嬢剣士だが、そんな新キャラの視点から見えてくるものがある。

それは、ゴブリンの真の正体だ。

 

今作で印象的なのは、令嬢剣士を対象に、ゴブリンを殺戮するシーンとゴブリンに陵辱されるシーンが交互に流れること。

回想シーンにしては過剰な多用であり、今作の中でも歪さが際立つシーンになっている。

 

結論から言ってしまえば、ゴブリンは令嬢剣士の欲求そのものである。

 

ゴブリンとは似ても似つかぬ容姿で、清廉潔白に見える令嬢剣士であるが、そもそもゴブリンを討伐する理由自体が、ゴブリンの人間に対するそれと酷似している。

 

私利私欲のため、自分の欲求を満たすために利用するモノとして、ゴブリンを捉えているのだ。

恨みがあったわけでもなく、何かを奪われたわけでもなく、自分の欲求を満たすためだけに殺害する。

 

ゴブリンスレイヤーは大切な人のために、仲間たちは己の目的とゴブリンスレイヤーのために。既存のキャラクターたちが集団を意識する一方で、令嬢剣士ほど「個」を強調するキャラクターもいない。

 

令嬢剣士とゴブリンを一対比較することで、ゴブリン=欲求という構図が見えてきた。

より一層、ゴブリンスレイヤーの見方が増す一作であることは間違いない。

 

余談だが、令嬢剣士がゴブリンをなぐり殺す所作は、もはやゴブリンと同化していたのではないだろうか?

 

 

まとめ

 

既存のキャラクターでは描けなかったゴブリンと人間の一対比較を、新たなキャラクターを加えることにより達成した作品だと感じる。

 

あえてゴブリンと人間との比較(あるいは同化)を強調することで、今作が持つ人間の業の深さを改めて感じるのも味わい深い。

 

ゴブリンは憎むべき敵であり、復讐の的。ただ、それだけではない良さが今作に詰まっている。

 

 

75点 / 100点 

 
関連画像

 

 
 
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