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映画「グッドバイ、バッドマガジンズ」ネタバレあり感想解説と評価 1つの文化が殺される瞬間

 
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この記事では、「グッドバイ、バッドマガジンズ」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「グッドバイ、バッドマガジンズ」

 
 

(C)ふくよか舎/ピークサイド
 
これこれこれ!!
 
ナックルズの元編集長でもおなじみの久田将義さんが出演するニコ生の番組で話されていて、ずっと興味あったんですよ。

 

今では無くなってしまったエロ雑誌にまつわる話。第1印象だと万人向けではないと思うのですが、その内実やいかに。

 

それでは「グッドバイ、バッドマガジンズ」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

あらすじ

  
男性向け成人雑誌を作る人々の奮闘を描いたドラマ。
志望していた女性誌とは正反対の男性向け成人雑誌の編集に配属されてしまった女性。ひと癖もふた癖もある編集者やライター、営業担当者たちに囲まれながら一人前の編集者として成長していくが、物語は思わぬ方向へと転がっていく。性的メディアに従事する多くの関係者に取材を行い、電子出版の台頭による出版不況、東京オリンピック開催決定に伴うコンビニエンスストアからの成人雑誌撤去、新型コロナウイルス感染拡大の影響など、激動の時代を生きる人々の苦悩と葛藤を描き出す。
「小説の神様 君としか描けない物語」の杏花が主演を務め、「学校裏サイト」のヤマダユウスケ、セクシー女優の架乃ゆらが共演。監督は「新橋探偵物語」の横山翔一。

eiga.com

 
 
 

「グッドバイ、バッドマガジンズ」のネタバレありの感想と解説(全体)

 
 

 

誰もが見るべきアツきお仕事映画

やられました。。

こんなに面白かったなんて。

この映画を見た後じゃエロ雑誌なんて言えませんね。いや、「雑」誌とも言いたくない。

成人向け雑誌は、1つの文化であり1つの作品だったんだなとひしひしと感じております。

 

物語は新卒で出版社に入社した若い女性「森詩織」(俳優:杏花)が主人公で、同社のサブカルチャー誌が大好きで入社したのに配属されたのは成人向け雑誌の編集部。

男だらけ、エロ本だらけ、AVだらけ、大人のおもちゃだらけ。 性と精の匂いしかしない環境の中で、死物狂いで働くお仕事映画。

 

周りが見えない中、新人が必死になって業界の頂点を目指すという意味で、吉岡里帆主演の「ハケンアニメ!」を彷彿とさせます。

確かに、公開規模も俳優の知名度も予算も全く違う作品です。

でも、決して負けている訳ではありません。

自分の希望とは違う部署に配属されても、腐らずに真摯に成人向け雑誌づくりに向き合い、立派な仕事として全うしていく展開に胸が熱くなりました。。

 

主人公はもともとサブカルが大好きで出版社に入社しましたが、アダルトも1つのカルチャーとして興味がわき、必死になって仕事に励んでるんです。これ、全国の新入社員・若手に見せてあげたいですよ。社内研修で見せるべきですよ!!

 

ただでさえ、アダルト業界は社会から忌み嫌われる存在。どんな人がどんな努力をしているのかなんて、知られないし知りたくもないって人が多いのも事実。

皆さん、アダルト業界の人が何を考えて仕事しているか分かりますか?答えられますか?

激中で何度もセリフとして出てきます。

 

「面白いものが作りたい」「良いものが作りたい」と。

 

ただ仕事だからとイヤイヤやってるわけじゃないんです。

ただ金稼ぎしたい訳じゃないんです。

純粋にモノづくりに励む人たちだからこそ、出てくる言葉なんです。

アツいんです!!胸熱なんです!!!

 

絶対に見て欲しいです!!!

 

 

一つの文化が殺される瞬間

この作品を見ていて感じたのは、成人向け雑誌という一つの「文化」があったんだなということ。

普段生きている中で文化について考えることはなくって、もちろん文化の日なんてただの休みだと思っていて。ましてやアダルトと文化がここまで結びつくとは思わなくって。時間が進むごとに自分の中の価値観がアップデートされていきました。

 

なぜなら、成人向け雑誌というのは、自分にとっては文化ではなく「消費」するものであって、射精するための「手段」でしかなかったのですから。

特に成人向け雑誌の文章に目をつけたこともなくて、お目当ては写真と付属のDVDでした。僕はそういう人間でした。これを読んでる男性諸君も同じだと思います。中でこれだけ頑張っている人がいたなんて、文章やキャッチコピーにこれだけ命を掛けてるなんて、、、自分には想像力が足りてないんだなと思いました。そして、改めて成人向け雑誌の凄さを感じました。

下世話な文章なんかじゃない。限られた文字数の中に作り手の気持ちが注がれてるんですよ。主人公はキャッチコピーの中に四文字熟語を入れるのが好みで、締めの言葉に「和同開チン」と書いてて大爆笑しましたw でも、強烈に印象に残るんだよなぁ。きちんとエロさも伝えられて、それであって面白い。凄い練られてるんですよ。

 

文章、写真、動画。あらゆる手段で表現するエロの玉手箱が成人向け雑誌なんですよ。

もともとは300年ほど前に流行した江戸時代の春画が元祖なんですかね。紙媒体の性風俗誌は、日本に昔から根づく文化なんですよ。

でも、時代とともに封殺されてしまい、主戦場だったコンビニから雑誌が消えてしまいました。

 

成人向け雑誌って青いテープが貼られてたじゃないですか?

あれと同じように、エロには蓋がされる時代になったんですよね。劇中にも描かれてますが、2013年に東京オリンピックが決定した時からどんどん縮小していったんですよね。単にネット利用者が増えたとか、そういうのじゃなくて、売り場が殺されていったんですよ。

あえて「殺された」という表現を使いたいです。売り場がなくなり、仕事がなくなり、自分たちがプライドを持って取り組んできたものが否定されて、、、。こんな耐え難いことってないですよね。性風俗という文化とそれに取り組んできた人たちが殺されてしまったわけですよ。

今作は最初はコメディタッチなんですけど、進みゆく時代とともに次第に成人向け雑誌の風当たりが強くなり、衰退していく姿が描かれてるんですね。

1つの文化が殺される瞬間を目撃したような気分になりましたよ。

 

文化が殺されるって、こんなに酷いものなんですね。

今作の素晴らしい点は、視点が出版社に関わる人間にしか向けられてないところで、誰か特定の人間が成人向け雑誌を忌み嫌う描写や出版差し止めをする描写等の一切がないところなんですよね。

誰が文化を殺したのか明確な人がいるわけではない。でも、気づけば殺されていた。

「時代」という曖昧で便利な言葉を使って片付けられてしまうけれども、そんな言葉で誤魔化してほしくない問題だと強く感じました。

 

個々人のエロに対する意識の変容こそが、成人向け雑誌を殺したのではないでしょうか?

国の偉い人や知事の行動がそうさせた訳じゃないですよ。我々一人一人の意識も確実に影響している問題です。少なくとも、私もその1人です。「ネットのほうが楽じゃん」という合理化の意識だけで、雑誌からネットに切り替えたのですから。

色々長く書いちゃいましたが、成人向け雑誌を通して一つの文化の興亡を見て、そこに消費者としての自分も加害者の1人だったのではないかと感じてしまいました。

 

You Tubeのように、今やスマホ一台でアダルト動画が作れてネットに公開できる時代です。私も散々見てきましたし、これからも見るでしょう。でも、どんな動画を見てもタイトルや説明文にグッと来るものは無かったですよ。でも、FANZAとかにあるレーベルのAVは言葉に命かけてるんですよね。

30を超えて、私もそういうことを感じれるようになってきました。

アダルトのプロが考えた文章は、もっと評価されるべきものではないでしょうか。

 

・・・今更後悔しても遅いのですが、言わせてください。

主人公が必死になって作った文章やレイアウトやキャッチコピーを、もっとちゃんと見ていればよかった。。味わいたかった。。。

もし古本屋などで見る機会があれば、必ず注目してみたいと思います。

 

性風俗は常に下に見られてバカにされネタにされる文化ですが、それでも必死になって作っている人たちがいるんです。文化の立役者がいるんです。

 

エロは社会的には忌み嫌われる存在ですが、同時に需要が減らない存在でもあります。

TPOに合わせてエロを控えるのは悪くないことですが、いくらなんでも蔑まされ過ぎではないですかね。

 

絶対に教科書に乗らないけど、絶対に必要な文化の物語でした。

 

 

まとめ

余談ですが、私が成人向け雑誌を一番買っていた時代は2007~8年のときでした。

上京して一人暮らしになり、親バレしない安心感と当時はネット動画も少なかったのでDVDが最上級だったんですよね。で、てきとうな雑誌を買ってきて文章には目もくれずDVDを見てたんですよね。

 

で、その中で一番お気に入りの動画っていうのが、出版社っぽい場所で素人娘が行為に及んでるモノでした。

今作でもとある不祥事が理由で出版社がAVのロケ場所になってましたが、まさか僕が見た動画もそういう理由が何かあったのかなと強烈に思い出しましたww

 

今ではすっかり見なくなった成人向け雑誌ですが、今作をきっかけに見たくなりましたねぇ。。

 

いろんな思い出がありますよ。成人向け雑誌って。。

タイトルでは皮肉にも「バッドマガジン」って書いてますが、私的には「スーパーバッド」な雑誌だったなぁと思ってます。

「スーパーバッド」というのは、英語で「超カッコイイ」「めっちゃ良い」っていう意味のスラングです。バッドなんかじゃないよ!スーパーバッドだったよ!と言いたいです!!!

 

皆さん、ぜひともご覧になってください!!

 

あと、主演の杏花(きょうか)さんが本当に美しいのでフォローもお願い致します!!

ファンになりました!!!

 

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99点 / 100点 

 

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 以上です! ご覧いただきありがとうございました!
 
 
 
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