まえがき
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「蛇の道」
黒沢清の新作とあらば何が何でもいきますよ!
新作と言っても、セルフリメイクですが。。
1997年に公開された哀川翔主演の「蛇の道」。
27年もの時を経てフランスを舞台にリメイク。
なんということでしょう。なぜ今更。。
哀川翔から柴咲コウへの大きな変更。
そして忘れてはならぬ照之の存在。
映像も相まってスタイリッシュな印象を受けますが、果たして内容はいかに。。
それでは「蛇の道」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。
あらすじ
「岸辺の旅」「スパイの妻」の黒沢清監督が柴咲コウを主演に迎え、1998年に手がけた同名映画をフランスに舞台を移してセルフリメイクしたリベンジサスペンス。娘を殺された父親と彼に手を貸す精神科医が繰り広げる徹底した復讐の行方を、全編フランスロケ&フランス語で描き出す。
8歳の愛娘を何者かに惨殺された父親アルベール・バシュレは、偶然知り合った精神科医・新島小夜子の助けを借りながら、犯人を突き止めて復讐を果たすべく殺意を燃やしていた。やがて2人はとある財団の関係者たちを拉致し、次第に真相が明らかになっていくが……。
他人の復讐に協力する謎めいた精神科医という難しい役どころを柴咲がフランス語で熱演し、2019年のフランス映画「レ・ミゼラブル」で注目を集めたダミアン・ボナールが復讐に燃える男アルベールを演じた。
「蛇の道」のネタバレありの感想と解説(全体)
「#蛇の道」鑑賞🐍
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2024年6月14日
これぞまさしくドゥーイットユアセルフ!!
オリジナルの荒々しさや難解で荒唐無稽にも思える設定は無くなり、リベンジムービーとしての鋭度が際立つ。
主人公を柴咲コウに替えることで格闘時の緊張度と監禁時の冷淡度が格段に上がる。
格式高いサイコな一本。にしても秀俊は一体... pic.twitter.com/8b2wEJo3j9
完全DIYなリベンジムービー
オリジナルと似て非なる一作でございました。
当時の撮影技術やフィルムのざらつき、そして何より照之のオーバーアクトが無いため、荒々しさは半減していました。
ただし、柴咲コウを主演に迎えて設定を医者にすることで、より不気味で異様な存在感を放つ主人公に仕上がっておりました。
柴咲コウ、もともと細くて目がギラっとしてる人なのですが、黒沢清作品の撮影とも相まって余計に怖さが増すというか。
どんな登場人物も、全ては彼女の手中にあるんですよね。
共犯のアルベールも、財団の人間たちも。
これも全ては自身の復讐のためなのだけど、もっと超越した底知れぬ恐ろしさがあるというか。
感情をグッと抑えて、普段は話し慣れないフランス語を使って抑揚的な演技を見せる柴咲コウ。
フランスを舞台にした効果は観るまで分かりませんでしたが、異国で起きるエキゾチックなリベンジムービーということで、またしても一風変わった作品に仕上がっておりました!!!
個人的には前田敦子主演の「Seventh Code」を見た気分に近いですw
異国で大変な目に遭って、それでも最後は大逆転。。。みたいな笑
流石に今作でミュージックビデオは流れなかったけどもw
監督自身のセルフリメイクということで、何か並々ならぬ想いがあったのでしょうか。
オリジナルで嫌だった部分を直したかったのか、、いやそれだけじゃ無いはず。
今作の方が、よりリベンジムービーとしての鋭度が高いと思うんですよね。
一見無計画にも思える監禁。からのアルベールへの報復。
オリジナルの照之は主人公を食ってしまいそうな勢いで演じてるのですが、アルベール役のダミアン・ボナールは洗脳されたように無機質で無気力。
こいつは何かがおかしい。でも腹の底が見えない。。という第1印象を与えてくれます。
まとめると、前作よりも洗練されて見やすくなった、というのが本音でしょうか。
監禁よりも何よりも怖かったシーン
不気味なシーンだと、柴咲コウの患者である立場の西島秀俊が忘れられない。
MVPは秀俊かも知れない。。
正直、監禁されるシーンよりも病院の方が俄然怖かったです。
まるで「CURE」の萩原聖人のような感じ。人との距離感が全く掴めず、自分の主張を押し通そうとする。
暴力を振るうわけでもないが、何の躊躇もなく相手の心の中へ入っていこうとする図々しさ。
出身は?家族は?独身?
言い方によっては全く問題ない質問であっても、あのトーンとあの密度で話されると神経を逆撫でされる。
しかも、首より上を隠して音声だけ聴かせることで、底知れぬ恐ろしさが際立つんですよね。。
秀俊、結局何が目的だったんだよww
まとめ
決して心に残り続ける作品ではありませんでしたが、黒沢清ファンは是非とも鑑賞してください!!!
95点 / 100点