Machinakaの日記

新作映画の情報・批評を、裏ネタ満載で包み隠さずお届け




映画「犬鳴村」ネタバレあり感想解説と評価 難易度高めな「ポツンと一軒家」

 
こんにちは! 
 
Machinakaです!! 
 
Twitterもやってます!
 
 
 
この記事では、「犬鳴村」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

「犬鳴村」のネタバレありの感想と解説(全体)

 
 

 

今回批評する映画はこちら!

 

「犬鳴村」

 
 

f:id:Machinaka:20200205211848j:plain

(C)2020「犬鳴村」製作委員会


Jホラーの名手、清水崇監督の最新作と聞いて、胸が高まった。

 

最近、東映ビデオ版の「呪怨」を鑑賞したが、あまりの怖さに吐き気を催したほど。

  

呪怨 (ビデオオリジナル版)

呪怨 (ビデオオリジナル版)

  • 発売日: 2018/01/01
  • メディア: Prime Video
 

 

そして今作の予告を見て、「これは信頼できる」と思わず膝を打った。

 

絶対に怖い、絶対に夜寝れなくなる。

 

強い期待を抱きながら、劇場に足を踏み入れたのだが・・・

 

 

 

 

 

なんということだろう。

 

 

予想をはるかに下回るクオリティに、怒りを通り越して呆れすら感じる。

 

随所にヒヤッとする場面はあるのだが、後半に進むにつれて、もはやホラーではなくなってしまう怪奇現象が起こってしまうのだ。

 

一体今まで、何を見てきたのだろう。

 

犬鳴村の村人に呪い殺されるのを期待していたが、ただただ村人の昔話を聞き、その土地のルーツを知るだけの結末に、唖然とした。

 

過去に犬鳴村に起きた悲劇など、知りたくない。

今そこで起きている悲劇を、たっぷり描いて欲しいのに。

 

呪われた村人を描くべきなのに、綺麗で清潔感たっぷりな村人を登場させた理由がわからない。

なぜここまでヒューマンドラマを入れたのか、分からない。

 

ドローン撮影で写した雄大な自然と、その中にポツンと佇む犬鳴村。

 

その様子はまるで、某民放で毎週放送されているあの番組に酷似している。

過酷な山道を抜け、人里離れた集落に住む人々を尋ねる、あの番組に。
 
 
 

困難を極める捜索! 

やっとの思いで行き着いた先には、様々な経験をくぐり抜け、想像もつかない人生があった! 

 

といったキャッチコピーがこの映画にはお似合いだ。

 

どんな人が、どんな理由でここに住んでいるのか、を知る映画であったことは、疑いの余地がないだろう。

 

 

f:id:Machinaka:20200208081042j:plain

©2018 テレビ朝日

 

 
ただ私は、ホラーを見に来たのだ。
犬鳴村の温故知新など、本当にどうでもいい話だった。
 

 

 

 

 

 
 

あらすじ

  
・「呪怨」シリーズなどで知られるホラー映画の名手・清水崇監督が、福岡県に実在する心霊スポットを舞台に描くホラー。主演は「ダンスウィズミー」の三吉彩花。臨床心理士の森田奏の周辺で奇妙な出来事が次々と起こりだし、その全てに共通するキーワードとして、心霊スポットとして知られる「犬鳴トンネル」が浮上する。突然死したある女性は、最後に「トンネルを抜けた先に村があって、そこで○○を見た……」という言葉を残していたが、女性が村で目撃したものとは一体なんだったのか。連続する不可解な出来事の真相を突き止めるため、奏は犬鳴トンネルへと向かうが……。主人公の奏役を三吉が演じ、坂東龍汰、大谷凛香、古川毅、奥菜恵、寺田農、石橋蓮司、高嶋政伸、高島礼子らが脇を固める。

eiga.com



 


映画『犬鳴村』九州先行上映CM

 

 
 

前半の不気味さは素晴らしい

 

散々罵倒してしまったが、悪いことばかりではない。

 

冒頭のYoutuber的なノリのシーンは、いいとして・・

 

三吉彩花が病院で遭遇する幽霊の気持ち悪さは、かつての呪怨を彷彿とさせたし、いつ襲ってくるのが、何が目的なのか分からない幽霊を出したのは大正解だと思う。

 

また、今作で異彩を放ったのは明菜の存在だ。

 

犬鳴村「何か」に取り憑かれた明菜が放尿しながら放浪するシーンは、たまらない不気味さがあった。そして訳もわからないまま、鉄塔から落下し死んでいく明菜を見て、心が震えている自分がいた。

これだ!これが俺が見たかったものだ!!! と興奮した。

 

特に、放尿が素晴らしい。ただ村をふらつくのでは不気味さが出ない。

かといって、セリフをまともにしゃべれる様子じゃない明菜を、放尿一発で異彩を放つことに成功したのだ。

 

あの姿に、ギョッとした人も多かったのではないか? 

 

見事な映画的演出をかましてくるあたり、清水監督はただ者じゃないと感じる。

それにしても、犬鳴村でも明菜にトイレを強要させ、放尿させ、何かそっちの趣味でもあるのだろうか、監督は。。

 

 

ともかく、前半は犬鳴村の謎が明らかにならないまま、登場する幽霊の目的が分からないまま、次々と人が死んでいくのが恐怖を煽ってくれる。

 

 

 

後半がホラーでなくなる理由

 

しかし、後半はいよいよ訳が分からなくなってくる。ホラーとは到底思えないような描写の連続に、辟易する。

 

後半が全くもってホラーでなくなってしまう理由は、犬鳴村の謎が明らかになり、村人に感情移入できてしまうところにある。

 

何事も、カラクリが分かってしまうと怖くもなんともなくなってしまう。

なぜ女性ばかりが発狂してしまうのか、理由がわかると別に怖くもなんともない。

 

さらに、村人の悲劇をたっぷり描き、三吉彩花との関係性を描き、もはや村人に親和性を感じさせる物語進行が、最も恐怖を阻害した原因だと思う。

 

幽霊側にも、事情があるのは分かっている。理由なしに、人を襲うはずがない。

 

ただ、村人を主人公側に寄せるのは、いかがなものだろう。

 

三吉彩花が犬鳴村にルーツがあり、だから霊が見えたり幻聴が聞こえたりするまでは良い。

ただ、あくまでも主人公と村人は別々であるべきだ。

主人公と、犬鳴村出身のイケメンの守護霊と一緒に、犬鳴村を救おうなんて結末を誰が期待しただろうか。。

 

 

 

ホラー映画にはラスボスが必要

 

今作にはところどころ怖いシーンはあるのだが、決定的な何かが足りない。

物足りないと感じた方も多かったのではないか。

 

そう、今作にはラスボスとなる幽霊が存在していないのだ。

一応、最後のバトルでラスボス的な女幽霊はいるのだが、彼女の名前も、バックボーンも、何も分からない。

彼女の怨念の強さ、おぞましさを、彼女の初登場シーンで推し量るしかないのだ。

 

こんなの、ラスボスでもなんでもない。

 

どんなホラー映画にも、強烈な個性を放つラスボスはいる。

 

現代では貞子、伽倻子。昔ではお岩さんに恐怖を感じることができたのも、強烈な個性を磨いたからだ。

 

今作は犬鳴村の村人という集団を恐怖の対象にしただけであって、「個」の強化を磨くことはしなかった。

 

これでは、どんな幽霊をぶつけられても、お化け屋敷的な恐怖からは抜け出せない。

 

 

 

 

元ネタはアンビリバボーにあり

 

犬鳴村に関しては、アンビリバボーが過去に取り上げている。

もちろん、こちらの方が100倍怖い。

 


恐怖のアンビリバボー/犬鳴峠の恐怖『トンネル内の霊の正体』

 

また、村の所在がよく分からないという点では、杉沢村を多く参考にしたのではないか。

 


アンビリバボー 杉沢村3

 

 

 

 

 

まとめ

他にも言いたいことはいっぱいある。

 

予算が少ないからなのか、恐怖の対象であるはずの幽霊村人の姿をCGでブレブレにして、全く怖くない人物に仕上げてしまった。

恐怖はおろか、焦点さえ合ってない幽霊を見ても、人はノイズとしか感じない。

 

ノイズといえば、仰々しい音響をなり響かせることで、どんなシーンも恐怖を半減させていたのも、許しがたい。

 

どれを取っても、惨憺たる結果。

 

唯一の美点は放尿だったとしか、言いようがない。。

 

年間ワースト級、間違いなし。

 

3点 / 100点 

 

 

f:id:Machinaka:20200103143727j:plain

 
 
 以上です! ご覧いただきありがとうございました!
 
 
 
© 2015,machinaka.hatenablog.com