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映画「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」ネタバレあり感想解説と評価 マイ・プライベート・愛だよ♥

 
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Machinakaです!! 
 
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この記事では、「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」

 
 

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(C)THE DEATH AND LIFE OF JOHN F. DONOVAN INC., UK DONOVAN LTD.

 

 

1989年生まれ。若くしてカンヌでパルムドールを獲得し、天才の名をほしいままにするグザビエ・ドラン。

 

彼の特徴は、これまで見たことのない映画を作れること。

 

前作「たかが世界の終わり」を新宿武蔵野館にて鑑賞したが、感想後は正直

 

ポカーーーン・・

 

とせざるを得なかった。

 

終わりがあるようで全くない、映画の目的がどこにあるのか一見すると分からない。これまでのヒューマンドラマの形を破壊するような、そんな衝撃的な作品であった。

 

「カンヌだから凄い映画なのッ!!」

「絶対に凄い理由があるのッ!!」

 

と、戸惑う頭に刷り込みをかけて、良かったシーンを必死に考察したりもした。

 

www.machinaka-movie-review.com

 

 

コロナウイルスで大作が延期しなければ、おそらく見に行かなかったであろう作品。

またしてもポカーン状態になるのを恐れているから、以外に理由が見つからない。

 

次はどんな作品を見せてくれるのか、彼の才覚は私の頭に合うのだろうか。。

 

 

それでは「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
・「Mommy マミー」「たかが世界の終わり」などで高い評価を得ているカナダ出身の若き俊英グザビエ・ドランが、初めて挑んだ英語作品。2006年、ニューヨーク。人気俳優のジョン・F・ドノヴァンが29歳の若さでこの世を去る。自殺か事故か、あるいは事件か、謎に包まれた死の真相について、鍵を握っていたのは11歳の少年ルパート・ターナーだった。10年後、新進俳優として注目される存在となっていたルパートは、ジョンと交わしていた100通以上の手紙を1冊の本として出版。さらには、著名なジャーナリストの取材を受けて、すべてを明らかにすると宣言するのだが……。物語は、ドランが幼いころ、憧れていたレオナルド・ディカプリオに手紙を送ったという自身の経験から着想を得た。出演は「ゲーム・オブ・スローンズ」のキット・ハリントン、「ルーム」のジェイコブ・トレンブレイをはじめ、ナタリー・ポートマン、スーザン・サランドン、キャシー・ベイツら豪華実力派がそろった。

eiga.com

 

 
 
 
 
 

「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」のネタバレありの感想と解説(全体)

 
ため息が出るほどの強烈な作家性に驚け!! 
 
これぞカンヌ常連のドラン映画なり! 
 
あまりに私的なテーマとオマージュ、どう捉えるか難しいテーマ、一見すると「無難」に見えるメッセージ。
 
観客を置いてけぼり?映画を私物化してる? 
 
だったらあんたは何を求めて映画を見てるのさ!? 
どのシーンも監督を形成する何かであり、個性の結晶であり、映画を見る=作り手と出会える機会に溢れている! 
 
映画は個人のものでいい、自分の中で終わればいい、そんな潔ささえ教えてくれる、監督の個が突き抜けた作品! 
 
批評家の意見は手厳しいが、Machinakaは全面的に応援したい!!
 
 

 
 

 

映画は人との出会いに他ならない

 

今年のアカデミー賞にて、ポンジュノ監督が放った「最も個人的なことは、最もクリエイティブなことだ」という言葉が、まだ記憶に新しい人も多いのではないか?

 

今作はまさに、この言葉が似合う最も個性的で、最もクリエイティブな作品であったに違いがない! 

 

同性愛がテーマで、主人公のジョン・F・ドノヴァンは29歳。ほぼ同年齢のグザビエ・ドランが、自分を重ねないはずがない。

 

また今作は監督が少年時代の時に、レオナルド・ディカプリオに手紙を送ったことがきっかけになっているという。

これほどまでに自分の実体験を直接的に描く作品も珍しい。

 

さらに、今作は監督が愛するリバー・フェニックスにオマージュを捧げており、ラストシーンで二人の男性がバイクに乗るシーンは、キアヌ・リーブスとリバー・フェニックスの「マイ・プライベート・アイダホ」のカットが元になっているという。

 

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マイプライベートアイダホの表紙より引用

 

こうしたバックボーンを知らないと、単に「同性愛で悩んでいた少年が、なんだかんだで最後は前を向いて記者のおばさんも大感動ヤッホおおおおい!!・・・で、それがどうした?」

 

と肩透かしを食らう人もいると思う。大いにありえる。

 

今作の何が魅力的なのか、一言で説明するのは難しい。

が、あえて言うならば、、

 

今作を通して、グザビエ・ドランという一人の青年の物語に出会えたこと、この一点に尽きる。

 

ラストシーンの「マイ・プライベート・アイダホ」に象徴されるように、今作は「マイ・プライベート」な作品であり、恥じらいを捨てて言うが「マイ・プライベート・愛だよ❤️」と訴えかけるようにも思える。

 

映画、特に商業映画ばかり見ていると、作り手が何をテーマに、どんなメッセージを伝えたかったのか、分からなくなる。

 

娯楽として映画を見るのも大いに結構、それが映画の根本たる必要性であり必然性なのは間違いない!!

 

が、今一度思い出して欲しい。

そもそも映画とは、物語とは、作品とは、作り手という人との出会いが目的ではないか?

 

自分の身の回りにいない、全く価値観の異なる人が作った作品を見て、間接的にその人の人生を垣間見る、それが映画の真の楽しみ方だと感じる。

 

マイ・プライベート・愛が炸裂する今作。

正直言って、私は同性愛者でもないし、リバーフェニックス作品は「スタンドバイミー」しか見ていない。(ちなみに、スタンドバイミーの曲が劇伴に使われているのはリバー・フェニックス愛ゆえに!) 

もっと言えば、散々引用している「マイ・プライベート・アイダホ」はまだ見ていない、そんな私が、、なぜか強烈にリバーフェニックスに興味をそそられている。

 

グザビエ・ドランとは会ったこともないし、正直話が通じるか分からない。でも、今作を見て彼が熱心に自分の好きなことや好きな人について熱く語っている様子を見ていると、なんだか胸が熱くなる。。

 

人が熱く語っている姿は、聞いてて面白いし応援したくなるものじゃないかっ!!

 

こちらまで熱くなってしまう、とても個人的ながらクリエイティブな作品で、本当に大満足だった!!と信じて疑わない!!

 

また、劇中のセリフで「物語は旅をする」と言っていたが、まさしく今作は海を越え、日本に住む私にも刺さった作品!

 

会ったことも話したこともない、なんの接点もない人とここまで濃厚接触できる媒体は、映画以外にあり得るだろうか?

 

映画の奇跡を改めて感じたような、そんな気持ちさえ与えてくれる作品だった!

 

 

 

極端なクローズアップが示すものは?

 

映画を見てすぐに気づいたことで、おそらく誰が見ても分かるだろう、とある撮影の癖。

そう、皆さんもお気づきな、アレ。

 

映画のほとんどが、大胆なクローズアップで構成されていること。

 

画面の大部分が役者の顔で構成され、背景はフォーカスが外れ、役者以外のピントが合ってない。

 

これだけ褒めておいて言うのもアレだが、、、

 

なんちゅう妙な撮り方たるや!!!

 

※映画のショットについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの動画なんか参考になると思います


Examples of film shots

 

 

役者にとっては非常に嬉しい配慮かもしれないが、見ている方は本当に周りで何が起きてるかわからない。ここがどこかも分かりづらい。役者の表情や役者間の関係性でしか、見せられない。

極端に制限されたショットが、強烈な印象を放った作品だと誰しも思うだろう。

 

このクローズアップの多用によって、個人的には現実味のない話が真実味を帯び、共感を与えてくれる。

例えば、ファミレスで友達とご飯を食べている時、4つ隣の席で痴話喧嘩するカップルを見かけたら、あなたはどう思うだろうか?

「あらぁ、よろしくやっちゃって♥」

「うわ〜、修羅場修羅場wwww これツイッターに書きこもぉぉブヒブヒwww」

 

とまるでゴシップ記事を見ているような気持ちになるのではないか?

 

しかしこの喧嘩が、一つ隣のテーブルで行われているものだとしたら、同じ気持ちになるだろうか?他人事と思えるだろうか?

 

人生は遠くから見たら喜劇、近くで見ると悲劇とチャップリンが放った言葉があるが、クローズアップによって描かれる映像は、まるで自分の目の前で起きているかのように錯覚し、とても他人事とは思えない気持ちになってしまう。

 

これが今作でクローズアップが多用される理由だと考えられる。

その効果もあって、ドノヴァンが苦しむ様子を見ていると自分の胸もキュッと縛られるような、そんな感覚さえする。

 

 

 

光と影を、役者の顔で表す

 

また、強烈な映像の個性として光ったのは、

 

役者の顔半分が影で隠れていること

 

 

ポスターもしかり、今作のどのシーンを切り取っても役者の顔半分が暗く、全面的に光が当たっている場面は少ない。

 

これをどう解釈するかは多種多様だが、個人的にはキャラクターがこれまで歩んできた人生を、光と影を交えて表現したかったのではないか?

 

先に挙げた通り、今作はクローズアップが中心の映画。

役者の顔が画面の大部分を占める以上、役者の顔をどのように映画的な表現に昇華させるかが、肝となる。

 

顔の半分を暗くすることによって、その人に二面性があるかのような印象を与える。また、光も影=栄光と挫折を表現しているようにも見える。

 

そう考えると、今作は

前半:TVドラマで人気絶頂を博し、まさしく栄光を掴んだ(ように見える)ドノヴァンの「光」の部分

後半:友人関係もなくなり、役者としての道も絶たれ、文通が世間にバレてスキャンダルとなり、転落人生を送る「闇」の部分

 

で構成されており、この光と影を役者の顔をもって表現しているのではないか? 

と考えることもできる。

 

また影以外にも、今作は役者の側面から撮られるショットが多く、これも光と影の演出同じく、顔半分が見えない作りとなっているのも特徴だ。

 

 

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© ジョン・F・ドノヴァンの死と生

 

まるで、死:見えてない顔、生:見えている顔を表しているようにも見え、非常にコンセプチュアルな構図・ライティングに見えてしょうがない。

 

 

 

菊地成孔のラジオを聞いてるような、トレンブレイくんの名調子

 

「スタンドバイミー」が流れながら、母に関する手紙をトレンブレイくんが読み上げるシーン。これも非常に強烈なシーンだった。。

 

自分のお母さんのことを、まるで自分の恋人のように語り、「彼女」だなんて呼び方をするあたり、、

トレンブレイくんの名演技はもちろんだが、見事なマセガキっぷりも僅かながら感じてしまう、なんとも絶妙なシーンだったように感じる。

子供時代からずっと大人に囲まれたら、そりゃ大人びるわな。。芦田愛菜ちゃんが自分より精神年齢が高そうに見えるのも、そのせいかな。。

 

本題にはいると、あのトレンブレイくんの名調子は、ジャズシンガー菊地成孔の「菊地成孔の粋な夜電波」で語っていた「二人の母。母の死。」の回と非常に重なる部分があった。

 


菊地成孔の粋な夜電波 「二人の母。母の死。」#275 2016.09.03

 

このブログを見ている人でどれだけ菊地成孔を知っているか分からないが、映画ファンに分かりやすく説明するなら、映画「セッション」で町山智浩さんと映画の是非を口論しあった、その相手が菊地成孔さんである。

 

トレンブレイくんのあの名調子に興味があれば、もしよかったら聞いてみてほしい。

 

 

 

選曲の独特なセンス

 

言い忘れないように、最後に述べておくが、前作「たかが世界の終わり」でも感じたように、選曲の独特なセンスが光ったのも面白い。

 

少し陳腐な言い方をすれば、彼の選曲はその作家性の強烈さに相反して、超どメジャーな曲をあえて使用するのが特徴。

 

オシャレを気取った服屋やカフェで流れているような、ヒットチャートで上位に入るようなメジャーな曲を使うのが、とてつもなく奇妙に感じる。。

 

例えば、オープニングクレジットではアデルの「Rolling in the Deep」が流れ、「スタンドバイミー」が流れ、ラストではThe Verveの「Bitter Sweet Symphony」が流れ、、、

 

そして極め付けはグリーン・デイの「Jesus of Suburia」が流れている。。

 

こんなことを言うのはグリーンデイに非常に失礼かもしれないが、、

 

グザビエドランの映画に、グリーンデイだぞ!!

 

 

こういう選曲を見ると、ドランに「若さ」と「外連味」を感じるのは、私だけだろうか。。

 

 

 

 

まとめ

 

 

まぁ良くも悪くも監督の作家性が刺さる作品で、受け付けない人も多いのは理解できる。

 

批評家も観客の感想もあまり芳しくないのも、海外サイトで確認している。

 

別にカンヌを獲っている監督の作品だから偉いとか、すごい映画に見えたわけじゃない。

 

グザビエ・ドランという人のパーソナリティがこんなにも強烈に刺さり、人と人との出会いを感じた作品も珍しいのだ。

 

今作をこれから観る人も、見て意味がわからなかった人も、こんな擁護派の記事を見て参考にしていただけるとありがたい。

 

 

89点 / 100点 

 
関連画像

 

 
 
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