ネタバレありで感想と解説を始めます
今回公開する映画はこちら!
「ラスト・クリスマス」
押尾学とのイチャコラが目につく前は、矢田亜希子って最強に清純で可愛い美女だったんですよ。今の子は知らないか。。
それでは「ラスト・クリスマス」、感想・解説、ネタバレありでいってみよー!!!!
あらすじ
・1984年の発売以降、クリスマスの定番ソングとして全世界で愛されている「ワム!」の「ラスト・クリスマス」をモチーフに、「ゲーム・オブ・スローンズ」のエミリア・クラークと「クレイジー・リッチ!」のヘンリー・ゴールディング主演で描いたロマンチックコメディ。ロンドンのクリスマスショップで働くケイト。華やかな店内で妖精エルフのコスチュームに身をまとうケイトは仕事に身が入らず、乱れがちな生活を送っていた。そんなある日、ケイトの前に不思議な青年トム現れる。トムはケイトが抱えるさまざまな問題を見抜き、彼女に答えを導き出してくれた。そんなトムにケイトは心をときめかせるが、2人の距離は一向に縮まることはなかった。やがてケイトはトムの真実を知ることとなるが……。脚本は「いつか晴れた日」でアカデミー脚色賞を受賞し、女優として本作にも出演するエマ・トンプソン。監督は「シンプル・フェイバー」のポール・フェイグ。
彼の作品には女性が主人公のものが多く、女性がメインの映画が多い印象があります。
2011年には「ブライズメイズ」で結婚式での女性同士の醜い争いを映像化したり
2013年には「デンジャラス・バディ」ではブライズメイズに続きメリッサ・マッカーシーと組み、女性のバディアクションものに挑戦。
2015年の「SPY」ではまたしてもメリッサ・マッカーシーとジェイソン・ステイサムがバディとなり、今まで見たことないスパイ・バディものを見せてくれました。
記憶に新しいのは「ゴーストバスターズ」だと思います。メリッサ・マッカーシーやクリステン・ウィグよりも、ケイト・マッキノンが話題をかっさらったなぁ。。
映画の感想
ポール・フェイグの18番である中年女性のドタバタコメディを封印! これまでの作風から脱し、新しい挑戦を選択したのは素晴らしい。
ラブコメディ&人生賛歌を謳う意欲作ではあるが、その前にもっと歌の練習しませんか?
TOHOシネマズ六本木にてポールフェイグ最新作「ラストクリスマス」を鑑賞
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2019年12月6日
うーん、、コメディだけじゃなく人間賛歌的なテーマを入れ込もうとする意欲は分かるが、テーマが大きすぎて腑におちない。
笑いの打率の高さ、テンポの良さも序盤だけ。何より歌でアガらないんだよなぁ。。#ラストクリスマス
設定は面白いだけに、残念
好きな監督だけに、単純につまらないとも言えない。
意欲作だと言いたいけど、実際にこの映画を他人に勧めるかと言えば、勧めない。
失礼な言い方ですが、あまり話題にしようとも思わない映画でした。とにかく気分がのらないのです。
これ、台本の時点ではすごく良いと思うんですよね。
ネタバレになるので詳しく言いませんが、今作はワム!の「ラストクリスマス」を斬新な解釈によって現代に蘇らせてくれました。
ワム!自身がこの解釈を予想していたかは分からないし、歌詞のメッセージが大きく変わる解釈ではありますが、意欲的という点では素晴らしいと思うんです。
(いろんな意味で)程よく脂の乗ったエミリア・クラークと、「クレイジーリッチ」でも理想の男を演じたヘンリー・ゴールディングの凸凹コンビの恋愛物語。
まるで「メリーに首ったけ」の男女逆転バージョンのような。。
どう考えても、この二人って結びつかないよなぁ。。って思ってたら大きな仕掛けが待ち受け、我々が予想していたより遥かに大きなテーマで物語は動いていた、ここで初めてワム!のラストクリスマスの新たな解釈を理解し、カタルシスを得る。
ってのが今作の特徴ではあるんですけども。。
設定のカタルシスに比べて、演出が追いついていない!
ってのが率直な感想です。
以後、詳しく語っていきます!
アカペラの歌は難易度が高すぎる
今作では最初と最後に歌を歌うシーンがあり、最後はエミリア・クラークがラストクリスマスを歌う仕組みになってるんですね。
今作の物語にとっては、どんなセリフ・シーンよりもラストクリスマスを歌い上げることが最後をシメるにちょうど良いのは間違いない。だから、方針としては間違っていないと思うんです。
ただ決定的な欠点があって、、、歌うシーンでカタルシスを得られないですよね。。
エミリア・クラークの歌が上手い下手とか、そんなの言うつもりはありませんよ。いや、言いたいけど。
1000歩譲って歌唱力には言及しないにしても、総合的に見て歌のクオリティが低すぎるんです。
歌のクオリティが低い原因は、基本的に歌がアカペラってこと。
いやぁ、アカペラって難しいですよ? そりゃゴスペラーズみたいに上手けりゃいいですよ?
エミリア・クラークのアカペラは正直言って感情が全く伝わってこないし、なんだか深みがないというか。いや、これも全てアカペラのせいですからね、彼女の歌唱力について文句言いたいわけじゃありませんよ?
伴奏がない状態で歌を歌い、印象的なシーンに仕上げるのって本当に難しいと思うんですよ。本当に乗れなかったなぁ。。
今作では「ラストクリスマス」が色んなバージョンで流れるんですけど、一番カタルシスがあったのはエミリア・クラーク版じゃなくてワム!本家のラストクリスマスだったのが致命的なんですよ。
Wham! - Last Christmas (Official Video)
別にこれ音楽映画じゃないですけど、感情を伝えるってのはできるでしょう?
2時間ないにしても長い間エミリア・クラークの人生を追いかけて、少しは肩入れしてるつもりですよ?
だから歌が上手かろうと下手だろうと、エミリア・クラークのラストクリスマスにカタルシスを得たいのが筋ってもんでしょう?
それが映画ならではのマジックってもんでしょう?
大事にするつもりはありませんが、今作を見終えて映画の敗北を感じましたね。。
もっと歌、エフェクトかけてもいいから練習してほしかったなぁ。。まぁ、心臓の手術もあり体が弱っていることもありしょうがないとは思うんですけど、だからってありのままの声で歌わせるのはちょっと。。
ただ、、織田裕二に歌わせた方が個人的には泣けたかもしれません。
もはや映画そっちのけですが、それくらい今作のラストクリスマスに肩入れできなかったなぁと。。
別にエミリア・クラークを責めてるわけじゃないんです。
あと、別に織田裕二を褒めたいわけじゃないんです。
コメディ映画にも目的が必要だ
一番の欠点はエミリア・クラーク演じる主人公の目的がよくわからなかったことですよね。
トムと付き合うこと? 歌で人を幸せにすること?
今作はそのどちらでもなくて、目的がぼやけてしまっていて、分散していて。映画のスジがよくわからなかったのが大きな欠点かと。
私なりの言葉で言わせてもらえば、物語的解像度が粗い。
というのが印象としてあって。
たくさんの写真を見せてくれるのはありがたいんだけど、どれも荒くてキリッとしてなくて、顔の焦点があってない写真を見せられているような。ただ、ロンドンの街は美しかったから背景はバッチリ映ってるんですけどねw
コメディ映画であっても何らかの目的って必要なわけですよ。
ただ、コメディ映画だから主人公の目的達成自体が目的化しなくたっていい。
大義名分でもいいんですよ。とりあえず分かりやすく、明快な目的を付けて欲しかった。それこそ1行で説明できるハイコンセプトな目的であってもいい。
例えが悪いですが、「40歳の童貞男」にもちゃんとした目的があるわけですよ?
「ヤレるか?」という明快かつ簡潔な目的が。
エミリア・クラークにも、「付き合えるか?」や「歌えるか?」と言った簡単な目的でいいんです。何かに的を絞るのが目的。どんな目的でもいいから、欲しかった。
余談ですが、日本映画の父である牧野省三の名言に
1スジ、2ヌケ、3ドウサ
と言う言葉があって。
どんなに映像が綺麗だったり曲が良かったり(ヌケ)、役者の演技が素晴らしくても(ドウサ)、そもそも最初の最初で映画の目的が提示されなければ、スジ自体が上手く作れないわけで。だからその後のヌケ、ドウサにもあまり感動できないわけで。
私は別に脚本を注視するタイプではありませんが、今作はあまりにもスジがなかった。スジ以前に、スジを立たせるための目的がなかった。。
満足できなかった人も、できた人も。
・「エルフ」
ジョン・ファブローの隠れた?名作。
基本的には大爆笑ですが、最後にそっとクリスマスの大事さを教えてくれる素晴らしい映画です。
www.machinaka-movie-review.com
・「マンアップ」
ロンドンが舞台で、偶然出会った男女の恋物語として少しだけ今作に共通してるかも。
ただ、こちらの方がはるかにクオリティが高い。。
www.machinaka-movie-review.com
追記
自分の感想を書き終えるまでは絶対に他人の感想見ないようにしてるんです。
ただいま書き終えてツイッターで友人の感想を見てるんですけど、あまりにも評価が自分と違いすぎて、少し愕然としています。
とにかく、今作を満足して鑑賞できた人、おめでとう!
そして俺、ファック!!
というのが率直な感想で。
Rotten Tomatoesを見たら、評論家と観客で全然評価が分かれてて。私は評論家の側に立ってしまったってことですね。
もちろんコメディとしては笑えるシーンもあって、特に序盤は最高に良かった。テンポも良くて。
トムの正体がわかった時には泣けたし、改めて言いますがラストクリスマスの新しい解釈をやってのけたエマ・トンプソンは素晴らしい!
とにかく、今作に満足した人には素直に祝福したいです。
仕事終わりで見たのが悪かったのかなぁ? 疲れたのは間違いないし。
今作のメッセージはすごく伝わったし、世界中に幸せを届けられる映画であったと思うのですが、、、
どうにも最近、正しすぎる映画ってのが少し苦手になってて。
もっと素直に、上を向いて歩ければいいなぁと感じるばかりです。
・・・とりあえず誰か、飲みに行きませんか?