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映画「ライトハウス」ネタバレあり感想解説と評価 まさしく灯台下暗しな場所で起きるスリラー映画

 
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この記事では、「ライトハウス」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「ライトハウス」

 
 

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(C)2019 A24 Films LLC. All Rights Reserved.

 

「A24にハズレなし」というのは、もはや映画好きの共通認識になってると思う。
 
 

 

外れがない、良作ばかりを配給する会社というのは、数少ないが存在する。

 

個人的には、ブラピが経営する「PLANB」やディズニー傘下となった「サーチライトピクチャーズ(旧フォックスサーチライト)」など。

 

これまで多くのA24作品を見てきたが、今回はどのような良作を見せてくれるのか。楽しみで仕方がない。

 

※A24作品の鑑賞履歴

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それでは「ライトハウス」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
「ウィッチ」のロバート・エガース監督が、「TENET テネット」のロバート・パティンソンと名優ウィレム・デフォーを主演に迎え、実話をベースに手がけたスリラー。外界と遮断された灯台を舞台に、登場人物はほぼ2人の灯台守だけで、彼らが徐々に狂気と幻想に侵されていく様を美しいモノクロームの映像で描いた。1890年代、ニューイングランドの孤島。4週間にわたり灯台と島の管理をおこなうため、2人の灯台守が島にやってきた。ベテランのトーマス・ウェイクと未経験の若者イーフレイム・ウィンズローは、初日からそりが合わずに衝突を繰り返す。険悪な雰囲気の中、島を襲った嵐により、2人は島に閉じ込められてしまう。

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「ライトハウス」のネタバレありの感想と解説(全体)

 
 

 
 

 

灯台を活かした不気味な演出が光る

 
まさしく灯台下暗しな場所で起きる、スリラー映画。
 
孤島に灯台守として働く、ウィレムデフォー演じるトーマス。
そのもとに、ロバート・パティンソン演じる若者イーフレイムが新米として働き始める。
 
昼間はイーフレイムが掃除や機器のメンテナンスを、夜間はトーマスが灯台を照らす役割分担で、交代制で働いている。
 
孤島に2人。高圧的なトーマスにいびられながらも黙々と働くイーフレイムだったが、次第に奇妙なものが見えはじめ、トーマスのパワハラもあり精神に異常をきたし始める。
そして、物語は最悪の結末へと向かっていく。
 
 時代設定は19世紀で、孤島という設定もあり、ランプの明かり以外は真っ暗な状態。
上で灯台がまばゆい光を放っているが、その方向は海の方向だけ。
 
二人が暮らす小屋は一切照らされない。灯台が照らす光との落差で、外は実際よりも余計に暗く感じてしまう。
まさしく「灯台下暗し」な場所で起きるスリラー映画だ。
灯台という場所性は、スリラー映画を描くには実に合理的だと感じた。
 
また、今作はモノクロでスタンダートサイズの画面となっている。
最初は40-50年代風の映画にすることによって、本作の時代的抽象性を高めたかったのかと思っていたが、実は単純にスリラー映画としての「強度」を高めるために機能しているのだろう。
 
モノクロによって色情報をなくし、純粋な光の輝度だけで画を判断しなければならず、灯台の光がより眩しく感じ、2人の住む小屋がより暗く感じさせる。
スタンダードサイズによって画面の広がりを制限することによって、映画・テレビで横長の画面ばかり見ている我々にとっては閉塞感さえ感じてしまう。
孤島が舞台で主に狭い小屋ばかりが映るため、閉塞感はより強調される。
 
スリラー映画が持つ不気味な雰囲気を最大限引き出すために、舞台・照明・画面設計が最大限仕事をしているのだ。
 
余談であるが、少しだけ劇場での出来事を紹介したい。
 
遅れて劇場に入ってしまい、既に本編が始まっていた状態だった。
劇場の照明自体も暗く、おまけに画面自体も非常に暗いため、指定した席がどこだかも分からず、しばらく端の階段で映画を見るハメになってしまった。
 
指定したのはC列の端の席。それらしい座席の前に移動したのだが、映画の不気味な雰囲気に蹴落とされて、「もしかして私の席に人が座っているのでは?」と疑問が湧いてしまった。
一向に変わらない真っ暗な画面。携帯電話のライトを照らすわけにもいかないので、おそるおそる座席に手を伸ばした。。
しかしその瞬間、「すいません!」と思わず誤ってしまった。座席を触った時の感触が、明らかに人の足のような、生暖かくモチモチした触感だったからだ。
 
僕は最悪だ。旧劇エヴァンゲリオンのシンジのような罪悪感を味わった。というか、下手したら事案じゃないかと思って不安になってしまった。
画面はまだ真っ暗で、ウィレムデフォーがむしゃむしゃとパンを食べている。早く食べろよデフォー、もうイーフレイムに話しかけんなと心の中で叫んでいた。画面が明るくなるまで、待った。
 
ようやくデフォーが食事を終えて、灯台へ向かった。ようやく画面が明るくなり、再び指定した席を見ると、、
 
そこには誰もいなかった。
 
改めて座席を触ってみると、さっきの触感と全く同じだった。
 
ただ、座席がフカフカなだけだったのだ。
 
映画館には感謝しないといけないが、もう少し某宝を見習って固めの座席だったら、私の変な妄想は起きなかっただろう。
 
今作でイーフレイムが人魚を目撃したように、私にもこの世ならざる者がいたように錯覚してしまったのである。
 
 
 
 
 
 

実に勘弁してほしい音響設計

 
また、音響も外せない。低音が中心で、重苦しく不気味な音響が絶えず劇伴として流れてくる。
 
この音響が、実に良い仕事をした。本当に勘弁してほしいと思うほど、怖かった。
 
ホラー・スリラー映画の場合、ジャンプスケアと言って急に音量が大きくなり観客を驚かす演出が多用されるのだが、今作ではこのような不気味な音だけが流れ続ける。
 
台風の轟音、2人の怒号も相まって、劇中は絶えず悪いバイブスが流れ続けている。
また、人のうめき声のような音も少し混ざっていて、そこに誰かがいるような気さえしてくる。
本当に、本当に本当に勘弁してほしい音響だった。ただでさえ画面には不協和音が広がっているのだから。

 

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2人だからこそ改めて感じる、人間関係の難しさ

 

なにより今作で目立ったのは、上司と部下の関係ではないだろうか。

 

分かりづらいかもしれないので言い換えると、上司トーマスと部下イーフレイムの関係が次第に悪化していくのは、見ていて非常に現実味があったのだ。

 

偉そうに雄弁を垂れ、部下を犬としか思っていないトーマスは、本当に最悪な上司の典型である。19世紀が舞台のため、まだ浸透していないかもしれないが、「パワハラ」以外の何物でもない。

 

映画には描かれなかったが、イーフレイムが外壁の塗り直し中に落下した時、トーマスは絶対に謝らなかったはずだ。

  

ダメダメ上司 であるトーマスにしびれを切らし、ぶちぎれるイーフレイムは、全サラリーマンが共感し泣いたはずだ。

 

クトゥルフ神話や神秘的な灯台など抽象性の高い今作だが、人間関係だけはリアルさが残っていた。つまるところ、今作のあの結末に至ったのも人間関係が全てだろう。

 

トーマスは灯台でイーフレイムより上の場所で働いているというのも、イーフレイムのルサンチマンを溜めた原因だ。

 

イーフレイムが何を話しても、まともに取り合ってくれない。口から出るのは自身の自慢、イーフレイムの悪口だけ。酒を飲んだ時だけは仲良く振る舞ってくれるが、あの時は一緒に歌を歌っているだけ。イーフレイムの主張や言論を受け止めてはいない。

 

こんな地獄の現実がずっと続いたからこそ、イーフレイムは気が狂ったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

スリラー映画において灯台は抜群の効果を発揮するのだと、改めて感じた映画だった。

 

これから、灯台映画にハマりそうな予感がしてならない。

 

92点 / 100点 

 
関連画像

 

 

 
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