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映画「あの夏のルカ」ネタバレあり感想解説と評価 ベスパはベストパートナーの略です

 
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この記事では、「あの夏のルカ」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「あの夏のルカ」

 
 

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(C)2021 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 

 ピクサーの新作。確か前回は昨年の12月末に公開された「ソウルフルワールド」。

 

ピクサーは半年に1度新作を公開するペースなので、今回も順当に新作が来たわけだ。が、どう考えても2ヶ月くらいしか経っていない気がする。

 

時の流れは恐ろしい。

 

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 全く予告を見ておらず、あらすじも何も分からないのだが、たまにはそういう大作があってもいい気がする。

 

 

それでは「あの夏のルカ」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

  

「リメンバー・ミー」「ソウルフル・ワールド」のディズニー&ピクサーによる長編アニメーション。北イタリアの美しい港町ポルトロッソを舞台に、海に暮らす「シー・モンスター」と呼ばれる種族の少年ルカが、あこがれの人間の世界に足を踏み入れる、ひと夏の冒険を描いたファンタジーアドベンチャー。北イタリアの港町ポルトロッソの住民たちは、海に住む未知の存在「シー・モンスター」を恐れていた。しかし、実はシー・モンスターたちもまた、地上に暮らす得体の知れない存在である人間たちを恐れている。それぞれの世界は海面で隔てられ、お互いを恐れ、決して交わることはなかった。しかし、地上への好奇心が抑えられないシー・モンスターの少年ルカは、ある夏、親友アルベルトとともに禁断の地である人間の世界へ冒険に出る。監督はピクサーの短編「月と少年」を手がけ、長編はこれが初監督となるイタリア出身のエンリコ・カサローザ。Disney+で2021年6月18日から配信。

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「あの夏のルカ」のネタバレありの感想と解説(全体)

 

 
 
 
 

人と海を繋ぐワクワクする冒頭

 
海の物語。シーモンスターが出るという。
 
次々と船内の美品を盗む謎の生物。
 
ファイングドリーのような、海の物語。。と思ったら半魚人のような不思議な家ルックスの男の子。
 
人間側を見せた後、すぐさま海の中の世界を見せる。
 
人間と海の生物の融和を表現するような、そんな素早い切り返し。
 
この段階では、最初に出た船にいる人間たちとの交流が描かれるのかと思っていたが、物語はあくまでシーモンスターの方に進む。
 
家に帰ったルカは、夕食の時間になり家族と食卓を囲む。
 
カニ・コンテンスト、そして料理。なんだ、この料理の作り込みは。
 
海藻だと思うが、にしても手が込みすぎている。ちまきのような改装、ソテーのような改装。 イタリアのアマルフィを舞台にしているからか、イタリア料理のような多様な料理がテーブルに盛られている。
 
この作り込みを見ることこそが、ピクサーの醍醐味だ。シーモンスターという存在自体がファンタジーなわけだが、この料理を冒頭に出すことによって一気に現実味を帯びてくる。
 
そして、皿に盛られた食べるという行為そのものが、人間の食事に直結する。
 
「リトルマーメイド」のように人間になりたい願望が強調されるわけでもない。あくまでさりげなく人間との接点を紡いでいく。そんなさりげないタッチが素晴らしい。
 
あくまで、さりげなく軽やかに。爽やかな夏のように、ゆったりと物語は進んでいく。

 

 

 

 

妙齢の主人公が続いたピクサーが心機一転の若返り

 
爽やかで、淡い。淡白な終わり方に見えるが、将来性を感じる。
 
90年代ディズニーのような、そんな定番の物語だった。
 
ピクサーはこれまで、妙齢の主人公を多く描いてきた。
 
1作目の「トイ・ストーリー」から始まり、「カールじいさんの空飛ぶ家」、「ファインディング・ドリー」、「カーズ・クロスロード」、そして「ソウルフルワールド」。
 

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子供向けのアニメかと思いきや、中高年が主人公であることが多かった。
 
そのため、主人公は既に成長しきった人物であることが多く、「ソウルフルワールド」や「トイストーリー4」、「カーズ・クロスロード」では「終活」を意識させるテーマが描かれた。
 

しかし、本作は今までのピクサーのセオリーを覆すように、主人公は非常に幼い。

 

前述した「終活」の物語構造が多いピクサーは、主人公のバイタリティは時間とは反比例になりやすい。

 

言い方がよろしくないが、主人公は自らの死期を悟り、人生を下っていく話になりやすい。

 

しかし、少年二人を主人公にした本作は、最初から最後までバイタリティが上がり続ける。

 

それを暗喩しているかのように、ルカとアルベルトは海から陸。そしてベスパによって陸から空に昇っていく。

 

このような彼らの物理的な上昇志向は、主人公の内面をそのまま反映している。

 

彼らにとっては、人間と共に暮らすこと自体が目的ではない。あくまで、「ひと夏の思い出」を満たすためのきっかけでしかない。

 

彼らは人間に憧れているのではない、ベスパに憧れているだけなのだから。

 

太陽がさんさんと輝く真夏。

好奇心と恐怖心が同居しながら、前へ前へと進む様子は、まるで海の「スタンドバイミー」を見ているようだった。

 
 
 

 

本作が魅せる「ほわほわ」したファンタジー

  

シーモンスター、人間への変身能力。普通の映画であれば丁寧に説明されるべき特殊な設定を、本作ではさも当たり前のように描いていく。

 

船の美品を盗んだアルベルトにつられて、その友達に釣れられて、強制的に陸に出る。
 
死ぬ・・と思ったのだが、違った。なんと人間の姿に生まれ変わっていた。
 
そもそも、なぜ人間になれる能力を見に付けているのだろうか?
 
そして、水に濡れても一瞬で速乾し、再び人間に戻れるのはなぜだろうか?
 
様々な「なぜ」が脳内に駆け巡ってくるのだが、説明に使う時間を徹底的に省略し、ファンタジーとして片づける。
 
子供が観ることを意識しているからか、時間が勿体ないからか、とにかく説明は省略している。
 
 
なんというか、本作は徹頭徹尾「ほわほわ」している。
 
「ほわほわ」といえば、主人公のキャラクター造詣がまさにそうだ。
 
気弱で、頼まれたら断れない主人公ルカ。
 
海に変えると、母親に怒られる妄想を始め、ベスパを見るとアルベルトと共にお花畑を走る夢を見る。
 
その後も、何度も妄想を繰り返すルカ。
 
まるで夢を見ているような、ほわほわした世界観が魅力的だった。
 
特に、水に浸かると一瞬で別人に変わってしまうシーン。
 
 
まるで「らんま1/2」のようだった。

 

 

 

 

 
 

感覚が研ぎ澄まされる

 
人間の生活を学ぶルカの様子を見ていると、人間の複雑さに改めて気が付く。
 
重力という概念を知る、足を使って歩く。エラ吸じゃなく、口呼吸で。
 
人間の基礎的な所作を学ぶ様子は、捧腹絶倒間違いなし。
 
なんだこのユーモアセンスは。世界中、いや宇宙にだってこの面白さは伝わる。人間である以上、笑えて仕方がない。
 
また、ルカと母親は決して姿ではお互いを知ることが出来ない。しかし、声が同じなので音で存在を知ることができる。
 
人間が当たり前のように使用している五感の素晴らしさを、本作で伝えている。

  

 

 

まとめ

 

爽やかな夏を体現するかのような、淡く切ないファンタジーだった。

 

ジェノヴァの学校に通うシーンでラストを迎えてしまうが、エンドロールで描かれる限り幸せな人生を送るのだろう。

 

なんて爽やかな映画だったんだ。真夏が到来直前だからこそ、是非とも劇場で!

 

90点 / 100点 

 
関連画像
 
 
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