- まえがき
- あらすじ
- 「ミラベルと魔法だらけの家」のネタバレありの感想と解説(全体)
- 魔法とプリンセス。ディズニーの二大代名詞を欠落させた主人公造形に感服!
- 同日公開のあの映画と共通点多数
- 持たざる者の物語として切なく苦しい場面も
- まとめ
まえがき
今回批評する映画はこちら
「ミラベルと魔法だらけの家」
それでは「ミラベルと魔法だらけの家」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。
あらすじ
・ディズニー・アニメーション・スタジオによる長編アニメーションで、南米コロンビアを舞台に、魔法にあふれた家に暮らす少女ミラベルの活躍を描いたミュージカルファンタジー。コロンビアの奥地にたたずむ、魔法に包まれた不思議な家。そこに暮らすマドリガル家の子どもたちは、ひとりひとりが異なるユニークな「魔法の才能(ギフト)」を家から与えられていた。しかし、そのうちの1人、ミラベルにだけは、何の力も与えられていなかった。力を持たずとも家族の一員として幸せな生活を過ごしていたミラベル。ある時、彼らの住む魔法の家が危険にさらされていることを知った彼女は、家族を救うために立ち上がることを決意する。監督は「ズートピア」のバイロン・ハワードとジャレッド・ブッシュ。ミュージカル「イン・ザ・ハイツ」や「ハミルトン」でトニー賞、グラミー賞など数々の賞を受賞しているリン=マニュエル・ミランダが音楽を担当。
「ミラベルと魔法だらけの家」のネタバレありの感想と解説(全体)
「#ミラベルと魔法だらけの家 」鑑賞!
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2021年11月26日
核家族化もなんのその!超多世帯住宅で暮らす魔法一家の劣等生が起こす、ザッツディズニーな底抜け明るいミュージカル!!
魔法と姫というディズニーの二大代名詞をあえて欠落させ、持たざる者に勇気を与える新たなる希望の物語!! pic.twitter.com/2mv3aqckwv
魔法とプリンセス。ディズニーの二大代名詞を欠落させた主人公造形に感服!
同日公開のあの映画と共通点多数
持たざる者の物語として切なく苦しい場面も
ミラベルを見ていて、本当に胸が苦しくなった。
前述した通り、ミラベルは魔法一家の中で唯一、何の魔法も持ち合わせておらず持たざる者の代表格として扱われている。
ミラベル自身、魔法が無いことに常に悩んでいるようには見えない。周囲の人も気にしていないように思える。
しかし、魔法の話題になった時、魔法関連のイベントがあった時、確実にミラベルの表情は険しくなる。
ミラベルの年下の従兄弟が初めて魔法を授かる行事では、不安な様子で待つ従兄弟に「大丈夫大丈夫よ!もし魔法が持てなくても私とずっと一緒だよ!」と緊張を紛らわせる素敵な一言を投げかける。
なんだ、こういうキャラか。
その時は楽観的に思っていた。
しかし、いざ従兄弟が行事に参加している最中には、ミラベルの弱々しい表情が映し出される。そしてミラベルが過去に魔法を授かれなかった回想が交互に映されていき、魔法を得るトリガーである特殊なドアの前に従兄弟が立った瞬間、ミラベルの顔がすっぱ抜かれる。。
下を向いている。目が泳いでいる。明らかな不安が付き纏っている。
その不安は、決して従兄弟だけに向けられたものではないのは明らかだ。
自分自身が一番不安になってるんだ。
もし従兄弟も魔法を持ったら、もっと自分の肩身は狭くなってしまう。
また、一人になってしまう。
この時のミラベルの絶望感を秘めた不安な表情が絶妙で、悲しくて泣くわけでもなく、あくまで通常通り気丈に振る舞うミラベルの所作が泣けて仕方ない。。
なんてリアルなんだ。。
ミラベルは、俺そのものだ。。
まさかディズニーの主人公に同調してしまうとは。こんなことも初めてかもしれない。
ミラベルのような立場の人は、数多くいる。
一人だけ巣立てずに、前に進めず。
ずっと同じ位置に居続けることの地獄を、ディズニー映画が見せてくれるのだ。
ここで、映画とは全く関係ない自分の昔話をしたい。
私は大学に10年在籍していた。博士後期課程も含めているので、決して留年や勉強不足ではない。
多くの仲間たちや後輩が就職を決める中、私は大学院生の道へと進んだ。その時は何の後悔もなかった。院生に進むのは珍しいことじゃないし、仲間たちもたくさんいる。
苦しくなってきたのは博士課程に入ってからだ。友達も社会に出て、誰一人として大学に居残ってる人はいない。
次々と前へ進んでいく学生。自分だけ一人ぼっちで、新しい生活ができなくて。
巣立っていく後輩におめでたい気持ちと、お前も離れていくのか、と焦燥感にかられいた気持ちを思い出す。
自分だけが取り残されたような気がして、本当に苦しくなった。
今作は、そんな過去のトラウマを思い出させるほど強烈だった。
まとめ
ディズニーらしからぬ主人公に泣かされた。
そして、まさかディアエヴァンハンセンと共通点が多いとは。これも劇場が仕組んだ何かなのだろうか。
あまりにお行儀がよくハッピーエンドも少し微妙ではあったが、それでも序盤にミラベルが見せた表情は忘れられない。
ミラベル、ありがとう。そして、さようなら。
94点 / 100点