ネタバレありで感想と解説を始めます
今回公開する映画はこちら!
「楽園」
それでは「楽園」、感想・解説、ネタバレありでいってみよー!!!!
あらすじ
・「悪人」「怒り」など数々の著作が映画化されてきたベストセラー作家・吉田修一の短編集「犯罪小説集」を、「64 ロクヨン」の瀬々敬久監督が映画化。綾野剛、杉咲花、佐藤浩市ら豪華キャストが集結し、犯罪をめぐる喪失と再生を描き出す。ある夏の日、青田に囲まれたY字路で少女誘拐事件が起こる。事件は解決されないまま、直前まで被害者と一緒にいた親友・紡は心に深い傷を負う。それから12年後、かつてと同じY字路で再び少女が行方不明になり、町営住宅で暮らす孤独な男・豪士が犯人として疑われる。追い詰められた豪士は街へと逃れ、そこである行動に出る。さらに1年後、Y字路に続く限界集落で愛犬と暮らす養蜂家の善次郎は、村おこし事業を巡る話のこじれから村八分にされてしまう。追い込まれた善次郎は、ある事件を起こす。
映画の感想
シネマサンシャイン平和島にて「楽園」鑑賞
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2019年10月18日
瀬々監督らしい慟哭のヒューマンサスペンス。「怒り」や「羊の木」を彷彿とさせる、人を信じることの難しさを描く。
ただ、あまりにわざとらしい田舎ディストピア描写のせいで、本来の趣旨がかなりブレたように感じる。もっと自然に、人を描けないのかなぁー
日本の闇を炙る、地方都市ディストピア
外国籍で、確か難民申請した(と言われている)綾野剛とその母。綾野剛が住んでいる家は間違いなく公営住宅で、見た目ですぐに異様さが伝わってくる。
綾野剛の母の仕事は、最終的には病院の清掃員になっており、どう考えても高収入とは思えない。ゆえに公営住宅に住んでいるんですが。何だろう、負の連鎖ってこういうことなのかな。
綾野剛とその家族は、母国から逃げて日本という「楽園」を求めてやってきたはずなんです。でも、そこは決して楽園じゃなかった。
こういった描写は、本当にリアルですね。。外国人排斥といえば、日本だと東アジア(中国・韓国)が多く映画で描かれてきましたが、今回は(おそらく)東南アジア人が置かれている過酷な状況を、遠慮なく描いておりました。
本当にどうしようもないですよ。
確か、綾野剛が少年の頃、自分の住まいである公営住宅が中学生に嫌がらせを受けていたシーンがあるんですけど、あそこは実にリアルだなぁと思いました。
私の実家にもですね、映画に出てきたような公営住宅が並んでいるエリアがあるんですよ。しかも、そういう場所に限って中学校から近いところに位置していることが多くて。
誰とは言いませんが、昔からずうっと田舎に住んでいる人に限って、公営住宅のことを悪く言うんですよね。だから私も、大人に「公営住宅には近づくな」とか普通に言われてて。そんなこと、子供の頃から言われてたら信じるしかないですよね。
村上虹郎さん演じる野上が、いとも容易く綾野剛を不審がるのも無理はないんです。彼は先天的に、外国人に対するイメージ、公営住宅のイメージを持ってしまっているんですよね。
あまり説明はされませんが、これぞ地方都市のリアルなんですよ。もちろん、都内にも公営住宅はあるんですけど、都内じゃ土地不足のため普通の団地とあまり見分けがつかないんですよね。
ただ、地方だと公営住宅がやたらと目立つんだなぁ。。明らかに普通の家じゃない作りをしてるので、違和感しかないんですよね。
とにかく、今作では東南アジアの難民が田舎の閉塞感に巻き込まれていく様子が絶品でございました。これぞ今の日本のリアル。。
田舎こわいよ描写が強すぎ&不自然な場面も
今作では田舎の閉塞感が強烈に描かれるんですけど、少しご都合主義すぎてついてけない部分もありました。
外国人である綾野剛を疑う場面もそうです。綾野剛と当時一緒にアイカちゃんを探していた地元男性が、「あいつは怪しい!だってアイカちゃんのランドセルを触らせないようにしたから!」と、一応綾野剛を疑う理由は付けてるんですが、、
どう考えても、すんごく自分勝手でなんの客観性もない理由なんですよね。さすがにどんな田舎の人でも、憶測の犯人断定に違和感を感じるでしょう?
佐藤浩市だってそうです。過去の「楽園」を持つ佐藤浩市は、とあることをきっかけに村八分にされてしまうんですが、田舎の人の対応が妙にぎこちないというか。
なんか、わざと憎たらしい顔しているベテラン俳優とか見ちゃうとね。
鑑賞中に思い出した映画
人間を信じることの難しさを描いた作品といえば、わりと最近ですが「怒り」を重い足ました。
また、こちらも地方の閉塞感と人を信じることの難しさを描いた映画