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映画「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」ネタバレあり感想解説と評価 「不都合な」自然の真実、の先に見えた奇跡の軌跡

 
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この記事では、「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」

 

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(C)2018 FarmLore Films ,LLC

 

連日連夜の残業

 

怒号が飛び交う激動の職場

 

帰宅ラッシュとコロナウイルスに揉まれる電車内

 

コンクリートジャングルとコロナウイルスに囲まれ、都会の喧騒が牙を向く現代社会に疲れたそこのアナタ。。。

 

 

自然、足りてますか?

 

 

個人的にも非常に自然が欲しくてたまらない私。

自然ならどんなことも受け入れてくれる。

コンクリートジャングルから逃げたい、逃げたい、と願う気持ちが抑えきれず、ランチタイムに思わず「脱サラ農家」とググってしまっていた私は、かなり末期な症状だろうか?

いや、おそらく1日千人くらいは検索しているに違いない、そう思いたい。

 

大手映画レビューサイトRottenTomatoesを見ると、信じられないほどの高評価。

なんということだろう、見る前からすでに信頼しかできない。

 

 

自然に対して妙な期待を抱いているせいで、見る前から神格化してしまいそうな作品。

とにかくもう、癒されたい。。。

 

 

それでは「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
・自然を愛する夫婦が究極のオーガニック農場を作り上げるまでの8年間を追ったドキュメンタリー。ジョンとモリーの夫婦は、愛犬トッドの鳴き声が原因でロサンゼルスのアパートを追い出されてしまう。料理家である妻のモリーは、本当に体によい食べ物を育てるため、夫婦で愛犬トッドを連れて郊外の荒れ果てた農地へと移住する。都会から郊外へと生活環境がガラリと変わった2人は、自然の厳しさに直面しながらも、命の誕生と終わりを身をもって学び、動物や植物たちとともに美しいオーガニック農場を作るために奮闘の日々を送る。映画製作者、テレビ番組の監督として25年の経歴を持つジョン・チェスターが、自身と妻、そして愛犬の姿をカメラに収めた。

eiga.com

 

 

 
 
 
 

「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」のネタバレありの感想と解説(全体)

 
・自然に囲まれて生きたい!
・脱サラ農家でストレスフリーぞぇ!
・オーガニック食品って最高よねぇ! 
 
と、自然に無垢な憧れを抱く人にはオススメできません! 
 
自然の酸いも甘いも、光も闇も全てをさらけ出し、都合よく自然の良さを打ち出したりしない。
真の自然に迫った結果、一種の自然の「不都合さ」が垣間見える。
 
「それでもあなたは、自然と暮らしたいですか?」と観客を試すような瞬間もある。しかし、目を背けずに最後まで鑑賞してほしい。
 
「不都合な」自然の真実、の先に見えた奇跡の軌跡が、そこにある。
 
 

 
 
 
 
 

 

決して都合の良いネイチャードキュメンタリーではない

 

2006年、アメリカのゴア元副大統領が製作した、「不都合な真実」というドキュメンタリー映画があった。環境破壊による地球温暖化問題を訴え、当時は環境問題に疎かったアメリカ国内に強い影響を与えたと言われている。

 

不都合な真実 (字幕版)

不都合な真実 (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

しかし、この作品は事実誤認やデータ誇大化によって、環境問題の内実よりセンセーショナルなメッセージが先行してしまい、一部では非難されている。

不都合な真実を描こうとしたあまり、都合が良すぎる内容になったしまったのは、なんという皮肉だろうか。

 

本題に入ると、私はこの手の都合の良い環境問題提起や、都合の良い自然保護はあまり好きではない。

 

・自然第一

・人間より自然を大事に

・私たちの地球を守れ!

 

と声高らかにする人たちを見ると、実に辟易する。そんな環境大好き人間はぜひこちらの作品を見てほしい。

 

www.machinaka-movie-review.com

 

 

前置きが長くなったが、本作はそんな都合の良い自然を描くわけでも、環境問題に訴求するわけでもない。

 

ただただありのままの自然の中で生きる人間たちを描いたドキュメンタリー作品となっているのが、最たる特徴になっている。

ドキュメンタリーはかつて「記録映画」と呼ばれ、演出を加えることなくありのままを記録する映像作品である。

 

そういう意味では、本作は都合の良い自然を描かずに、ドキュメンタリーの本質を見事に描き出しているのが実に好感が持てる。

 

自然を保護するための苦悩と葛藤を描いた「ヴィルンガ」も、都合の良い自然を描かない優種なドキュメンタリーである。

 


ヴィルンガ 予告編 - Netflix [HD]

  

 

 

THANKS TO ウンチ

監督・主演:全ての自然と生き物たち、と言っていいほど、そこにはありのままの自然が描かれている。

 

映画やドラマ、CMなどで描かれる自然とは、大抵は視聴者にとって都合の良い自然であることが多い。

 

まばゆい光の中で、可愛い犬と羊がたわむれている様子だったり、暖かい大地の中で寝そべっている人たちを描いたり、美しい風景だけを抽出したり。。

 

本作は新宿ピカデリーで見たのだが、本編開始前に某マヨネーズのCMが流れていた。

 

油という全くの人工物にこのようなCMをつけて「THANKS TO NATURE」とだいたい的な自然への感謝。

 

さらにさらに、「自然と、私と、野菜」というキャッチコピー。締めは「愛は・・」と、ドサクサに紛れて愛まで詰め込んでしまう。。

 

・・・なんと素晴らしい(都合の良い)映像なんだろう!!!!

 

 

しかし、こんな綺麗のカタマリでできている自然は、自然ではない。

 

本作は、決して自然を過度にリスペクトするものではない。

 

そもそも、監督であり農場主のジョン・チェスターは、最初からオーガニックに興味があったわけでもなく、犬と暮らす環境を求めて農場を開いただけのことだ。

 

監督は農業をビジネスとして捉え、そのために計画書を作り、資金調達に苦労し、、という非常に実直に自然と向き合っていることが分かる内容になっている笑

 

そして、農業初心者の彼らが最初に感謝したのは、、、

 

 

 

ウンチであった

 

 

チェスター夫妻が助けを求めたのは、オーガニック農場の権威であるアラン氏。彼が提唱したのは、とにかく多くの生き物を集めて、住まわせること。

 

不毛な土地ながらも、畑が残っている場所を伐採してまで、鳥や豚や牛など、家畜が住むためのエリアを工作していくチェスター夫妻とアラン氏。

 

このシーンで、本作がただ自然を擁護する映画じゃないことは明らかだろう。

オーガニック農業という非常に自然的な仕事に対して、まずは「自然を破壊する」ことを見せるのが素晴らしい。

 

なぜこんなにも自然を破壊し、生き物を住まわせるのか、最初は戸惑う夫妻たち。

 

しかし、そんな思惑もつかの間、牛の大便が勢いよく流れるシーンが大スクリーンに映し出される。

 

牛を飼う目的は、牧畜をするのではなく、大便を有機肥料とすることで不毛な土地を耕すことだったのが、ここで初めて明らかになる。

 

麻布十番のおしゃれカフェで、オーガニックな食材を食べて「ハァ〜、やっぱりオーガニックな食べ物は癒されるわねぇ〜〜」とママ友に話しかけているそこのご婦人。。

 

あなたは、間接的にウンチを食べている。

 

オーガニック食材を扱うレストランや店舗では絶対に見れない、オーガニックの真実が本作で描かれている。

 

こうしたウンチに対する感謝を描くのも、本当に自然を愛している証拠である。

 

汚いと思われる部分を見せてこそ、自然に対する真の描き方ではないだろうか?

 

某マヨネーズのキャッチコピーをお借りするならば、THANKS TO ウンチが、本作で最も衝撃的かつ白眉となるシーンである。

 

 

その後は THANKS TO ミミズ、THANKS TO ウジ虫などといった、THANKSシリーズが続いていくのだが、お食事中の方もいると困るので、これくらいにしておく。

 

ともかく、オーガニック農業という耳障りの良いイメージを本作では徹底的に破壊し、真の自然を見せてくれるのである。

 

 

 

農家はつらいよ

 

そんなありのままの自然を描く本作であるため、農家ならではの苦労も存分に見せている。

まず、チェスター夫妻が田舎に移り住んで以降、彼らが休んでいるシーンがほとんどない。

大体は手持ちカメラで、農業や牧畜の仕事をしながら撮影している。あくまで撮影は仕事の合間に行っている。

 

農家に休みはないとよく言うが、それを映像で改めて知らされることになる。

 

あえて休んでいるシーンはカットしているかもしれないが、農業と牧畜を広大な面積で行う彼らには、本当に休みがないんだろうなぁと辛さがよくわかる。

 

さらに、コヨーテによる鳥の殺戮、近隣住民の銃の発砲、干ばつや山火事による天災など、農業を取り囲むあらゆる災いをたっぷり描いている。

 

本作の全体のトーンは、どちらかというとダークな印象になっているのもそのためである。

 

極め付けは、よりにもよって愛犬が鳥を傷つけてしまうという、普通なら描きたくないシーンまで描いている。

 

普段は可愛いワンちゃんばかりを見ている人にとっては、血の付いた白い犬が大スクリーンに映るのはさぞかし衝撃的だろう。

 

 

 

食物連鎖が映画にカタルシスをもたらす

 

そんな災害まみれの農業生活だが、自然による問題は自然が解決してくれるのである。

オーガニック農業を営むゆえ、農薬は使えない。

チェスター夫妻が講じる対策は、あくまで自然由来の方法である。

 

例えば、カタツムリが大量発生し植物を食い荒らしてしまう問題では、飼っているアヒルを野に放つ。本作を見て初めて知ったが、アヒルはカタツムリが好物なんだとか。おかげでカタツムリは激減する。

 

また、ウジムシが大量発生した時には鳥を野に放ち、ウジムシを食べさせ、結果的にハエの大量発生を抑える。

 

などなど、食物連鎖によって問題を解決してしまう。

 

映画でカタルシスを得られるシーンは、主人公たちが抱える問題を解決する場面に他ならない。本作では食物連鎖によって、映画的カタルシスを与えているのも素晴らしい。

 

 

 

 

まとめ

 

今までに見たことのない、ありのままのネイチャードキュメンタリーだった。

決して都合の良い自然を見せずに、人によっては汚い部分も見せる、素晴らしい記録映画だった。

 

オーガニック農業を演出なくありのままに見せる行為自体が、オーガニックな=作為的でないドキュメンタリーを製作することに成功しているとも言える。

 

余談だが、ドイツの地方都市でオーガニック野菜を食べる機会があったのだが、どことなくウンコの匂いがしたのは気のせいでなかったと、本作を見て改めて感じたことだ。

 

これを見て農業を始めてみようとか、自然が好きになったと言える人は、本当に自然を愛する人なのだろう。

 

これからはTHANKS TO NATUREでなく、THANKS TO ウンチ精神で、真に自然を愛してみませんか? 

 

 

 

90点 / 100点 

 
関連画像
 
 
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