はじめに
今回公開する映画はこちら!
「ウィーアーリトルゾンビーズ」
どんなファッションショーじゃい!!!
奇抜な色、服、原宿にもこんな奴らいねぇよ。渋谷ハロウィンにもいねぇよ。
非常に奇妙な色使い、ポップながらもサイケデリックなデザイン。
しかもタイトルに「ゾンビ」がついている。
巷では「第二のカメラを止めるな」と評されるほど、非常に評価の高い作品でございます。
サンダンス映画祭、ベルリン国際映画祭で賞を取っている(グランプリじゃないが)ということで、ポスターには「世界二冠」と堂々と書かれている。
無名の作り手によるインディーズっぽい映画が売れるのは本当に嬉しいんですけど、「カメ止め」って、ちょっと喧伝すぎやしないかい? そこまでハードル上げられてもなぁ。。
まだ半信半疑なんですけど、水道橋博士が「バラいろダンディ」でゲキ押ししていたので、観に行ってまいりましたー。
それでは「ウィーアーリトルゾンビーズ」、感想・解説、ネタバレありでいってみよー!!!!
あらすじ
・「そうして私たちはプールに金魚を、」が第33回サンダンス映画祭ショートフィルム部門でグランプリを受賞した新鋭・長久允監督の長編デビュー作。音楽を通して成長していく子どもたちの物語を、ギミック満載の映像表現や独特のセリフ回しで描く。火葬場で出会ったヒカリ、イシ、タケムラ、イクコは、両親を亡くしても泣けなかった。ゾンビのように感情を失った彼らは自分たちの心を取り戻すため、もう誰もいなくなってしまったそれぞれの家を巡りはじめる。やがて彼らは、冒険の途中でたどり着いたゴミ捨て場で「LITTLE ZOMBIES」というバンドを結成。そこで撮影した映像が話題を呼び社会現象まで巻き起こす大ヒットとなるが、4人は思いがけない運命に翻弄されていく。「そして父になる」の二宮慶多、「クソ野郎と美しき世界」の中島セナらが主人公の子どもたちを演じ、佐々木蔵之介、永瀬正敏、菊地凛子、池松壮亮、村上淳ら豪華キャストが脇を固める。第69回ベルリン国際映画祭ジェネレーション(14plus)部門でスペシャル・メンション賞(準グランプリ)、第35回サンダンス映画祭ワールドシネマ・ドラマティック・コンペティション部門で審査員特別賞オリジナリティ賞を受賞。
映画の感想
子供達は、悲しみ方が分からない
両親が死んでしまった12歳の子供達の夢のような冒険譚をゲームテイストで描く物語でございました。
ゲームテイストが出てきて配色も似ている映画としてはマイケル・セラ主演の「スコットピルグリム」があるんですけど、これは内容自体もポップで、明るい作品だったんですよね。
ただ今作は親の葬式で泣けない子供達、という一見すると重いテーマを描いてるのが特徴で。音楽もいいしカメラワークも独特でいいけど、結局何が伝えたいの?って思った人もいるかもしれません。
個人的には、とてつもなく大切な何かを子供が失った時、子供はどう行動するのか?どんな気持ちを秘めるのか? を子供達の精一杯の知識で映像化したのがこの映画の特徴だと思っていて。
結婚はおろか、人生経験が非常に乏しい子供達にとっては、親を失うことは全くの未体験。大切な人が死ぬこと自体、まぁ経験してないでしょう。もっと言えば、子供達にとっては親を失う=家族を失うことに等しいんですよね。
これがまだ幼稚園くらいの幼い子供だったらいいんです。まだ死ぬという概念がよくわかってないから。でも12歳の子供は、いろいろ考える力を持ってしまっている。
確かに親は死んだけど、それが当たり前だと思っていた自分にとっては、何が起きているのかまだ分からない。分からないからこそ、ゲームや音楽や何かに夢中になるしかない。とにかく、前に進むしかない。
悲しいことは分かってるし、死んでよかったなんて思ってる子供なんていない。でも、子供達は悲しみ方が分からない。どうやり過ごしていいか分からない。
つまるところ、感情をどうやって出したらいいのか分からないんですよ。
虚無感を埋めるように、反骨精神を象徴するロックチューンを歌い上げるシーンは、社会で抑圧されてきた子供達の心の叫びのような気がして、聞いてて少し涙が出ました。
色がすげぇ
なんだろう、どうにも形容できないけども、デザインは現代アート的ですよね!
もっと言えば、芸人のくっきーが書いたイラストみたいな配色ですよね。原色強めで、非常にクセが強い。他人の意見をまるで反映しないような主張の強い色が画面にこれでもかというほど詰め込まれてました。
個人的な趣味としては、あまり好きではないデザインなんですけど、今回は曲のポップさとも相まって、ある意味まとまったデザインのように見えました。
8ビットの音楽が映える
オープニングから8ビットの音楽が全開で、あの懐かしい思い出が蘇ってくるようでした。今の子供がレトロゲームなんてやるのかなぁと思う所もありましたが、中にはそんな子もいるんでしょうね。
監督の趣味が炸裂してるとも言えるかもしれませんよね。
80−90年代のゲーム音楽は、僕も好きです。出せる音が限定されてるからこそ、独特の味が出るしセンセーショナルにも聞こえる。
この音楽の制約こそ、子供達の未熟さ、活動範囲の狭さを物語っているようにも感じます。
ただ、制約されてるからこそアートの世界では爆発することがある。それが結実したのが、このMVでしょう。
【公式MV】WE ARE LITTLE ZOMBIES (映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』テーマ曲)
ぶっちゃけ歌はうまくない。全編スマホ撮影も相まって、どう考えても未熟。
でも子供であれば、その未熟さがマッチするような感じがするんですよね。