今回公開する映画はこちら!
「ボーダーラインソルジャーズ・デイ」
それでは「ボーダーラインソルジャーズ・デイ」、感想・解説、ネタバレありでいってみよー!!!!
- [あらすじ]
- 映画の感想
- 現代アメリカと地続きなクライムアクションの傑作
- 国境だけじゃない、ボーダーラインに込められた意味とは?
- ボーダーラインー国籍の境界
- ボーダーラインー善悪の境界
- ボーダーラインー虚実の境界
- ボーダーラインー大人の境界
- オススメ!関連作品!!
[あらすじ]
アメリカとメキシコの国境地帯で繰り広げられる麻薬戦争の現実をリアルに描き、アカデミー賞3部門にノミネートされた「ボーダーライン」の続編。アメリカで市民15人が命を失う自爆テロ事件が発生した。犯人がメキシコ経由で不法入国したとの疑いをかけた政府から任務を命じられたCIA特別捜査官マットは、カルテルに家族を殺された過去を持つ暗殺者アレハンドロに協力を依頼。麻薬王の娘イサベルを誘拐し、メキシコ国境地帯で密入国ビジネスを仕切る麻薬カルテル同士の争いへと発展させる任務を極秘裏に遂行するが……。前作から引き続きベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリンが出演するほか、イザベラ・モナー、ジェフリー・ドノバン、キャサリン・キーナーらが脇を固める。脚本は前作「ボーダーライン」と「最後の追跡」でアカデミー賞脚本賞にノミネートされたテイラー・シェリダン。監督は前作のドゥニ・ビルヌーブから、イタリア人監督のステファノ・ソッリマにバトンタッチ。撮影は「オデッセイ」など近年のリドリー・スコット作品で知られるダリウス・ウォルスキー。音楽は前作を手がけ18年2月に他界したヨハン・ヨハンソンに代わり、ヨハンソンに師事していたアイスランド出身のヒドゥル・グドナドッティルが担当。
www.machinaka-movie-review.com
前作はエミリーブラントが主人公で、彼女が次第にベニチオ・デルトロ、ジョシュ・ブローリン側に染まっていくという話だったので、「正義とは何なのか?」という疑問がふつふつと湧き上がる作品という印象でした。
しかし、今作ではエミリーブラントは一切登場しません。
これはスタッフとのトラブル、、ではなくて、もともと脚本のテイラー・シェリダンはエミリー・ブラント及び彼女のキャラクターを出す予定はなかったそうな。
また、今作は前作の公開からひと月経たないうちに2の製作が決定されたらしく、相当前から2もありきで話が作られてきたんでしょうね!
ということで、今回はベニチオ・デルトロとジョシュ・ブローリンがメインとなる話になるそうです。
もう血みどろな予感がしてなりません。エミリー・ブラントみたいに「こんなのおかしいわよ!」とつっこむ人がいない!
もう誰にも止められない!
彼らはどこまでメキシコを壊すのか、正義もクソもない泥沼の暗黒世界を見せて欲しいです!!!
映画の感想
現代アメリカと地続きなクライムアクションの傑作
前作に引き続いてメキシコのマフィアとアメリカのDEA及び政府のドロドロの戦いを描く物語ですが、今回は前作のような潜入アクションものではありませんでした。
エイリアン2のキャッチコピーを借りるならば、
「今度は、戦争だ!」
メキシコ警察もマフィアとグルになり、メキシコで誰も信じられる組織がいない中、世界規模の麻薬取引を阻止しようとするアメリカDEAが取った方法は、メキシコのマフィアに戦争を仕掛けること。
しかし、DEAという立場上、政府には逆らえない。国際世論も無視できない、ということで、戦争をでっち上げる作戦を検討することから本作は始まります。
もはや話し合いで解決出来る問題ではない、武力のみが絶対的な力関係を示す暗黒世界の序章という位置付けが、本作にふさわしい思います。
悪いことしてるのは見てるこっちも分かってる。分かってるんだよ。
でも、じゃあどうすればマフィアの悪行を止められるっていうんだ。
目には目を、歯に歯を。悪には悪を!
まるで現実のアメリカとメキシコ国境で起こっているような駆け引きがたまらない!
DEAがあれだけ他国に介入できるかは分からないけども、アメリカが戦争するためにあれこれ画策する作戦、あれイラク戦争とかでもやってたんだろうなぁっていうリアル感がありました。
戦争を起こしてまでもマフィアを撲滅したい大人と、その戦争に巻き込まれてしまう子供。
エミリー・ブラントのような真面目な警官は何処へやら。でも、もう良心とかそんなの言ってる場合じゃないんですよ!!!
今作はボーダーラインという勧善懲悪じゃないキャラクター・物語ですが、脚本が非常に親切で分りやすいんですよね。
ジョシュ・ブローリンが置かれた状況を端的に説明し、マフィアの娘を拉致する必要性・合理性を説明し、悪いことだと思いながらも「あ〜なるほどね!」とガッテンしてしまうこの説得力!
ジョシュ・ブローリンの狂気が垣間見えながらも、一方で麻薬からアメリカを守ろうとする彼なりの信念も伝わり、総じてキャラクターと物語に深みを与えるような作りになってるのが実に良いです!!
そしてもう一人の主人公、ベニチオ・デルトロ。。。
どうやったらあんな顔出来るの!?
と本気で心配してしまうほど、喜怒哀楽という言葉では説明できないような、あの顔。。。
世界に絶望し、マフィアを撲滅しようとするその信念と執念だけが彼を突き動かしてるんだろうなぁ、、もう彼にはヒットマンという生き方しか出来ないんだろうか、、、と思わせるような顔面的説得力とその演技力!
間違いなくベニチオ・デルトロ最高傑作だと思います!!
一番良かったのは、メキシコのマフィアを殺す時に銃をシャカシャカって連打するのがもう最高っ!!! そして目は死んでいるwwww
もう最高です! シャカシャカ!!!
landscape-1530448703-benicio-del-toro-sicario-2.jpg
また、一応今作は前作からの続編となっていますが、前作見なくても楽しめます!
というか、全く問題ない! 前作は前作の、今作は今作の物語があり独立しているので、また一味違った映画になってるのが本当にうまい!うまいですこの脚本!
脚本のテイラー・シェリダンがテキサス州出身ということもあり、実人生で体験したことも入ってるんだろうなぁ。。
今作は不法移民ビジネスも触れられており、テイラー・シェリダンの周りにもたくさん移民がいたんだろうなぁ、と容易に想像できます。
国境だけじゃない、ボーダーラインに込められた意味とは?
今作はアメリカとメキシコの国境で起こる物語。だからボーダーライン=境界線というタイトルが付いてるんですが、そう簡単な話ではありません。
本作には複数の境界線が貼られていました。
簡単に紹介していきます。
ボーダーラインー国籍の境界
まずは国籍の境界。メキシコかアメリカ人かってことですけど、今回ジョシュ・ブローリンの唯一の誤算として、自爆テロの犯人を勝手にメキシコ人と決めつけてしまったこと。
テロ行為をする人物を勝手にメキシコ人って決めつけてなければ、もっと話は簡単だったのに。簡単に戦争できたのに。。
人を国籍で判断すること、国で線を引くことが間違っていたのです。
ボーダーラインー善悪の境界
そして、何より今作は善悪の境界がさらに分からなくなる話でした。
前作まではマフィア邸宅にこっそり潜入する話でしたが、今回は戦争を仕掛けるようなスケールになり、仕掛ける張本人がアメリカの役人というww
これがアメリカのリアルなのか。。
ボーダーラインー虚実の境界
今作ではメキシコのマフィアによるビジネスの主流を、麻薬ビジネスから不法移民ビジネスにシフトしています。
これ、すごくリアルだなぁ、、、
トランプ大統領になった今、ますます移民が難しくなっている時代。
今作では誰が大統領か明言してませんでしたが、移民ビジネスをやめさせるために、そしてそもそも移民自体を減らすために、戦争を仕掛けようとしてるのかも。
ニューヨークとかカリフォルニアとかメキシコから離れた場所ではリベラルが多くて、移民受け入れろ!って言うんだけど、メキシコ国境のテキサスでは移民問題って直に治安にも影響するし、切実な問題なんでしょうねぇ。。
もちろん映画はフィクションですが、今のアメリカの現実を投影するようなリアルさがありました。。
ってか移民ビジネスって本当にやってるからな。。
ボーダーラインー大人の境界
はい、そして今作の肝は二人の少年・少女の好演にありましたね!
子供と大人のちょうど境界線である18歳の男の子・女の子が、大人の戦争に巻き込まれていくあの感じ。。
従兄弟がマフィアの手下であるミゲルくんの、非常に無表情ながらも淡々と仕事をこなし、過酷な世界を生き抜こうとする暗い顔が実に最高でしたね!
あと、マフィアのボスの娘、イザベラちゃん。
最初の登場シーンで、校庭でガチの殴り合いをするところを見せることで彼女が今まで歩んできた粗暴な環境を垣間見得ることができました。
自宅でもお父さんがガンガン銃打ってんだろうなぁwww
とにかく、二人の好演が見事でした!!
オススメ!関連作品!!
・ブレイキングバッド
・カルテルランド
www.machinaka-movie-review.com
・ゴーストリコン ワイルドランズ
今回の話は、完全にゴーストリコンだったなぁ、、
ゴーストリコン ワイルドランズ 【CEROレーティング「Z」】 - PS4
- 出版社/メーカー: ユービーアイソフト
- 発売日: 2017/03/09
- メディア: Video Game
- この商品を含むブログ (4件) を見る