- まえがき
- あらすじ
- 私がアイドルのドキュメンタリーを観る理由
- 「ももいろクローバーZ アイドルの向こう側 特別上映版」のネタバレありの感想と解説(全体)
- 構成はシンプルだが、ももクロのアイドルとしての「実力」がよく伝わる作品
- ももクロが今後の女性アイドル像を創っていく
- まとめ
まえがき
今回批評する映画はこちら
「ももいろクローバーZ アイドルの向こう側 特別上映版」
それでは「ももいろクローバーZ アイドルの向こう側 特別上映版」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。
あらすじ
・百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏、高城れにの4人からなり、「ももクロ」の愛称でも広く知られる人気グループ「ももいろクローバーZ」に密着したドキュメンタリー。
2008年春に「ももいろクローバー」として結成され、11年に「ももいろクローバーZ」へと改名、14年3月には女性グループ初にして結成から6年という異例の速さで国立競技場でのワンマンライブを成功させた、ももクロ。以降もさまざまなフィールドで活躍を続け、女性アイドルグループの最前線を走り続けている。本作ではそんな彼女たちに密着し、10代から活躍を続け、30代が目前となった4人がこれからどこへ向かうのか、何を考えているのか、ももクロの「今」に迫っていく。普段はあまり語ることのない人生観や将来などについて語るメンバー本人へのロングインタビューや、映画「幕が上がる」などでタッグを組んだ本広克行監督、ももクロのチーフマネージャー・川上アキラ氏など関係者へのインタビューなども交え、等身大の4人の姿を明らかにする。
監督はTBSで「どうぶつ奇想天外!」のディレクターや「A-Studio」のプロデューサーを務めてきた酒井祐輔。2022年3月に開催された「TBSドキュメンタリー映画祭2022」で上映されたバージョンに、新撮映像なども追加した「特別上映版」として、22年8月に単独劇場公開。
私がアイドルのドキュメンタリーを観る理由
まず、私の立場を説明させてください。
ももいろクローバーZに関しては、私はズブの素人です。
有名な曲は知っていますが、振り付けをやれと言われてもできないし、ライブ映像も最初から最後まで見たことなんてない。
ではなぜこの作品を観たのかというと、アイドルのドキュメンタリーが好きだからです。
もともとドキュメンタリーが好きで、自分が知りもしなかった人の生活や舞台の裏側を知るのが大好きな人間です。
色んな作品を観てきましたが、ドキュメンタリーとアイドルは非常に相性が良いのです。
なぜなら、ドキュメンタリーは今作のタイトルにもあるとおり「向こう側」を知る媒体として長けているからです。
テレビやライブでは絶対に見れない練習中の風景や打ち合わせの様子、楽屋でお弁当を食べている姿など、何も映えない日常が写ることで、アイドルの知られざる一面が見れる。
普段は気丈に振る舞っている人であっても、普段の様子はどうなんだろう。
本音は何なのか。その人を限りなく立体的にできる媒体がドキュメンタリーなんです。裏を知れると言った方が分かりやすいかもしれません。
ドキュメンタリーで裏側を写すことによって、どんな芸能人でも表舞台に立っている時とのギャップを観ることができます。
そういう意味では、常に笑顔と元気を振りまくアイドルの存在は、まるでドレスに着替える前のシンデレラを見ているようで、、ドキュメンタリーで写した時に最大のギャップが生まれると思ってるんですよね。
調子が良い日もあれば悪い日もあります。人間なんですから。
でも、アイドルの仕事はそうはいかない。辛い時でも笑ってなければいけない。
なぜ表舞台に立ち続けるのか。どんな苦労をしているのか。
生まれ持ってアイドルになっている人なんていません。なぜ今現役でアイドルを出来ているのか、理由を知りたいのです。
と、長文になってしまいましたが、いつかどこかで私がアイドルのドキュメンタリーを観る理由を文章に認めたかったのです。
ということで、要はノット・モノノフな私が今作を見てどう思ったのかの感想でございます!!!
「ももいろクローバーZ アイドルの向こう側 特別上映版」のネタバレありの感想と解説(全体)
「#ももいろクローバーZ~アイドルの向こう側~ 」鑑賞!
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2022年8月19日
元はTBSテレビの映像で、会話中心のシンプルな構成であったが、彼女たちの佇まいに驚愕した。本当に裏表がない。真剣な話でも常に笑顔を絶やさない。
2010年から12年間メンバーの交代がない奇跡のアイドルを大スクリーンで観れたことに感動。 pic.twitter.com/UdAqpjLpcP
構成はシンプルだが、ももクロのアイドルとしての「実力」がよく伝わる作品
もともとはTBSテレビのドキュメンタリーということもあって、要はテレビ向けの映像なんですよ。
テロップも多いし、ナレーションも多い。インタビューやクロストークなど会話中心の内容が多く、基本的にはまったりのんびりしている。もちろん、ライブ映像をふんだんに使ってくれたのは嬉しいし、舞台裏も見せてくれたんですけど、私が期待していたものとは違っていた。
普通のドキュメンタリーであれば、苦手なタイプです。
劇映画ではないからこそ、ドキュメンタリーは動く必要があると思っています。
話が「動く」、キャラが「動く」、そして観客の心が「動く」。
ただただ記録映像として撮るのではなく、画に変化を付けてほしいと常に願っています。
もともとテレビ用だったので、動くドキュメンタリーを期待するのは無茶なことでした。
最初は平坦な会話ばかりだなぁと思っていたのですが、次第にももクロの凄さに気づくことになりました。
AKBとか嵐とか、著名なアイドルのドキュメンタリーであっても、普段は映らない苦悩と葛藤が見えることが多いんですよね。
AKBだと「DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る」が好きなんですけど、西武ドームで前田敦子はじめメンバーがバタバタ倒れていく様子がそのまま写ってますからね・・・
前述した通り、そうした舞台裏を見せることはドキュメンタリーの18番でもあるし、作り手側も観客のそんな期待に応じなければと裏側を見せることが多い。
でも、ももクロのメンバー常にニコニコ笑っていて、アイドルの時とそうでない時との境界線が無いのです。これは驚きました。というか、未だに信じられないです。
ライブの打ち合わせであっても練習であっても、苦しい顔ひとつ見せない。
どんな環境だろうと、いつも屈託のない笑顔を振り撒いてくれる・・・
宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」を思い出しましたね!
もちろん作り手側も明るく楽しい雰囲気のももクロに合わせた編集を心がけているはずなんですけど、1秒たりとも苦悶の表情を浮かべるメンバーがいないのが意外すぎて・・
絶対に苦しいはずなんですよ。中学生から普通の子とは違う生活を送って、いきなり大人と一緒に仕事をすることになって、もちろん若い時から追っかけていないから映像にないのは仕方ないんですけどね。
30手前となったももクロメンバー。アイドルとしてはベテランの域でしょう。表情を作ることも、持続させることも、プロ中のプロです。
でも、それにしても、アイドルとしての表情が全く崩れないことに驚きました。
一問一答形式でメンバーに問いかけていく構成なんですけど、次第に回答が難しいものになっていって。
「結婚してもアイドルやりたいですか?」
「恋愛したいですか?」
「アイドル辞めたくなったことはありますか?」
「今後のアイドルはどうなっていきますか?」
など、普通ならお茶を濁すような回答をしても良いのですが、彼女たちは真摯に受け止め自分なりの考えを打ち明けます。
でも、語調や内容は真面目でも、常に表情はニコニコで口角が上がってるんです。
単に苦笑いをしてるわけではありません。ライブと全く同じの笑顔です。
このプロ意識こそが、12年間メンバーチェンジをしていないももクロの実力なのだと思いました。いやぁ、これはとんでもないものを見た。。
テレビだと見過ごすかもしれないんですけど、映画館の大スクリーンで彼女たちの表情を見れたことが大きな収穫でした。
アイドルの凄さが分かるドキュメンタリーとして、この作品は永遠に刻まれることになるでしょう!!!
ももクロが今後の女性アイドル像を創っていく
今作を見ていて、改めてももクロのアイドルとしての地位というか、担うべき役割というものがわかってきたような気がします。
彼女たちは決して驕り高ぶらず、芸能界の天下でなくアイドルの天下でなく笑顔の天下を取りたいという名言が生まれたのも納得です。
ただ直向きに、アイドルとしての社会の役割を全うしようとしてみせる。
今まで全然ファンじゃなかったのですが、これはモノノフになる理由も納得だ。。
名実ともに今後のアイドルを背負っていく存在として、やはり気になるのは「結婚してもアイドルをやるか」「何歳までアイドルをやるのか」といった年齢とアイドルの関係。
これについて、メンバーに深掘りしていくシーンが印象的でした。
彼女たちは意外なほど冷静に捉えていて、かつ共通の答えを持っていました。
年齢に縛られるものではない、と。結婚しても40歳になってもアイドルのままでいたい、と。
これまでどんな女性アイドルであっても、年齢の壁を越えるのは大変なことでした。
私自身すごく不思議に思っていました。なぜ男性アイドルはいつまでもアイドルができるのに、女性となると急に難しくなるのか。
結婚したら、子供ができたら何故アイドルを辞めなくていけないのか?
家庭に入らなければいけないのか?
男女が平等に働ける権利が求められている中で、アイドルの寿命を例に考えると日本の現状が見えてきますよね。
なぜ男性だけ(アイドルとして)働き続けられるのか、女性はダメなのか。
ももクロが現役続行を宣言するのは、今後のアイドル像にも大きく影響するものだと思います。
ぜひライブ(職場)に子供を連れてくることが出来れば、、、
なんで海老蔵だけ勸玄くんを連れてくることができるのか、私は甚だ疑問です!!
まとめ
苦悩や葛藤が見れないアイドルのドキュメンタリー。こういう形があっても良いのではないでしょうか。
AKBのドキュメンタリーによって、アイドルという存在とそれを観るものの残酷性が浮き彫りになりましたが、今作によって再びアイドルはリアリティから離れていって、まさに偶像であることの素晴らしさが強調されたように思えます。
推しがいることの幸せを感じました。
モノノフの方、こんな素晴らしいメンバーと時間を共にできて、幸せだろうなぁ。。。
94点 / 100点