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「億男」
ってな感じで当時はすごく怒ってました。さて、そんな駄作から2年半後。東宝にもいろいろありました。私にもいろいろありました。
果たして川村元気さん原作はどんな成長を見せたのか、、、
それでは「億男」批評、いってみよー!!!!
目次
- [あらすじ]
- [映画の感想]
- [邦画の悪い癖が本当に少ない!]
- [佐藤健は「紙」に囚われていた]
- [金稼ぎまくった東宝のメタファーか?]
- [吃音者の視点からー高橋一生はなぜ話せるようになったか]
- [ツッコミどころ]
[あらすじ]
・映画プロデューサー・川村元気の同名ベストセラー小説を佐藤健&高橋一生共演、「るろうに剣心」シリーズ、「3月のライオン」の大友啓史監督のメガホンで映画化。3000万円の借金を残して失踪した兄に代わり、借金返済に追われる一男。借金苦の日常に愛想を尽かした妻は娘とともに家を出てしまった。そんな不幸続きの一男に宝くじ3億円当選という幸運が舞い込む。この大金で借金返済、家族の修復と、一発逆転を夢想するが、ネットで悲惨な人生を送る高額当選者の記事ばかりが飛び込んでくる。不安になった一男は、起業して億万長者となった大学時代の親友・九十九にアドバイスをもらうため、九十九を訪ねるが、酔いつぶれて目が覚めると、九十九は3億円とともに姿を消していた。一男役を佐藤が、九十九役を高橋が演じるほか、藤原竜也、北村一輝、沢尻エリカ、池田エライザらが顔をそろえる。脚本は「ドラゴンクエスト」シリーズの開発などで知られる渡部辰城。
[映画の感想]
舐めててすいませんでしたっ!!! 最初から期待してなかったので、逆に、逆にすごい面白く見ることができました!!
金とは何か?人間と金とは? 金をテーマにした壮大な人間ドラマでした!!!
あと、高橋一生が吃音だった件について、なぜ喋れるようになったのか、吃音者の俺が徹底解説!!!
[邦画の悪い癖が本当に少ない!]
はい、完全に舐めきっていたMachinakaです。
川村元気さん、すいませんでしたっ!!!
どうせつまんない映画だろうなって思ってた俺に、ゲンコツでも何でもいいんで裁きを!!!
高橋一生さんと佐藤健くん主演で、実にスケジュールが逼迫する中でこんなに面白い作品を作ってくれたことに感謝です。実に面白かった!!!
まず言いたいのは、邦画の悪い癖が本当に少ないところです!!
・文字テロップによる過剰な説明描写がない
・やたらと心理状況を説明する描写が少ない
・テンポが良い
映画にとっちゃ当たり前だと思えるこれらの映画的演出も、邦画は全くできてないことが多いんです。特に商業映画だと。
なんか、最大公約数的に「どんな人でも分かるように」って丁寧すぎる説明をしすぎて、映画としてダメになってしまうことが多いんですよ、邦画って。
しかし、今作は最初から最後の手前まで、非常にテンポよく進み過剰な説明描写もなく、1秒たりとも飽きることがなく見れたのが本当に良かったです。
この映画の成功は、リアル「億男」である高橋一生を追いかけるということに、話の道筋が一本になり、回り道をせずにどんどん話が進んでいくのが実に良かったと思います。
高橋一生が演じるのは、フリマアプリを作ったIT長者。なんか今のIT長者ブームを皮肉るようなキャラクターであるのも面白かったですね。
その億男ー高橋一生が、親友である佐藤健が当てた3億円を盗んで消息を絶った。話が進むにつれて、高橋一生のビジネスが上手くいってないことを知り、ますます盗難疑惑が増していてく。この作りも、十分観客を騙すのに有効な話の進行だったと思います。
・・・まぁ、会社やってる割に事務所に人がいなかったり、デスクがなかったのはツッコミどころでもあるんですが、まぁ黙っておきましょうw
そんなツッコミどころを忘れさせるような、非常にテンポの良い話の進み、高橋一生と佐藤健くんの名演、次第に明らかになっていく億男の正体とお金の正体。。
人間とお金の付き合い方について、非常に考えさせられる一本でした。。
そこまで気持ちを集中することが出来たのも、まずオープニングから時系列をいじってくれたのが良かったです。
予告編では①三億円を当てた→②高橋一生と出会う→③持逃げされる→④北村一輝や藤原竜也と出会い、疑惑を増していく。
という、何も時系列をいじらずに順番通りに話が進んでいったのですが、本編ではまず③持逃げされる、ところから始まるんですよね。
このシーンでほとんどセリフも説明描写もなく、ひたすらお金をばらまく愚かな佐藤健を見せつけることで、彼が犯した愚行ー誤ったお金の使い方を見せるのが良かったですね。
そこから高橋一生を探す旅になり、高橋一生の関係者と触れ合ううちにお金の本質を探ろうとするのが、シンプルながら非常に分かりやすい作りになっていても佐藤健に感情移入して見れたのも、最初に佐藤健の愚行が見れたからだと思います。
[佐藤健は「紙」に囚われていた]
佐藤健は 3億円を手に入れた時からお金に振り回された、という風に見えますけど、実は彼は最初から金に囚われていたんだと思います。
もちろん、3000万円の借金があったというのが一番大きい要素ですが、彼の職業である「図書館司書」という設定も、金に関係していると思います。
「金は所詮紙だ。でも、そんな紙が金になり神になる」的な趣旨の発言を、劇中で藤原竜也が言ってますね。
1万円はただの紙で、重さにすると1グラム。これは一円玉と同じ。でもお金の価値は全然違う。この矛盾こそが、人間が金に囚われている証拠だ、金という宗教に囚われているのだ、という話もしていました。
つまるところ、ただの紙が金になり、人を狂わせるという話ですね。
で、佐藤健は図書館司書という大量の本=「大量の紙」を扱う仕事についてるのが、実に皮肉な職業だなぁと思いながら見てました。
頭の中では借金=金に悩まされ、仕事では本=紙に悩まされている、紙と紙幣に悩まされている佐藤健という設定が、金に翻弄される姿を表すのに適していたと思います。
よく考えれば、本というものもすごい売り物ですよね。基本的にはただの紙なのに、漫画や雑誌や新聞ならまだしも、専門書だと1万円とか余裕で超えますからねw 何もお腹を満たすわけでも、生きてくために必ず必要というものでもないのに。
でも、そんなただの紙に値打ちを付け、本という商品にして好きな値段で売っていくという商売が、高橋一生の言っている「売りたい人が好きに値段をつける、これって素晴らしいことだ!」ってセリフにも呼応しているようにも感じました。
[金稼ぎまくった東宝のメタファーか?]
[モロッコが証拠]
「君の名は。」でクソほどお金を儲け、まさしく進撃の勢いで儲かっている東宝です。どんどんビルも建ててます。映画館もどんどん建ててます。今、絶頂の勢いであるに違いありません。
www.machinaka-movie-review.com
その証拠に、今作ではモロッコロケを敢行してるんですよw いいですか、モロッコですよ!?
相当お金かけないと出来ないですよね、これw
キャストと製作陣含め、主要な人は絶対にファーストクラスかビジネスクラスだし、スタッフたくさん連れてっただろうし、これだけでどんだけお金積んでるんだって、思わず計算しちゃいましたよw
これ、松竹や東映や日活だと絶対に出来ないですからね、これwww
ま、東映で作ったあぶ刑事は例外としましょうw
www.machinaka-movie-review.com
東宝が非常にバブリーなところを象徴していた、モロッコロケだと思いました。
今年も安定のコナンとコードブルーの馬鹿売れに、また海外ロケが増えそうな予感がするのでした。。
[出演者とスタッフの一部はみんな億男]
この映画が面白く、大金を持ってしまった人たちの物語にリアルがあったのは、間違いなく出演者とスタッフの一部がみんな「リアル億男」だったからだと思ってます。
佐藤健、高橋一生、その他豪華出演者、監督やプロデューサー、、確実にリアル億男・億女であることに違いありません。
彼ら・彼女らも、最初から億男じゃなかったんです。いきなり仕事が舞い込んできて、いきなり大金が入って、確実に佐藤健のような「急激な生活の変化」があったに違いありません。
それこそ、原作者の川村元気さんも、確実に億男でしょう。東宝の社員ですが、プロデューサーとして、作家としての収入は、確実に億男に値するレベルでしょう。。
すいません、なんか妬みに聞こえるかもしれないですが、そうですね、完全に妬みです。
出演者とスタッフの一部の全員が、「億男になった瞬間」を知ってるからこそ、あそこまでリアルな演技や演出、大金を手にした時の戸惑いを、あそこまで徹底的に描けてたんじゃないかって思いました。
[吃音者の視点からー高橋一生はなぜ話せるようになったか]
あと、高橋一生さんの喋り方に、どうしても引っかかってしまいました。
映画じゃ明言してなかったですが、確実に吃音者ですね、あの人。
ただ、「きつおん」という普段聞き慣れない用語を映画に入れると、それこそ「世間一般の人にとって分かりづらい」という配慮から、藤原竜也さんも「どもるなよ」って言ったんだと思います。まぁ、これは仕方ありません。
なぜここまで私が高橋一生さんの話し方に注目してしまうかというと、この私自身が劇中の高橋一生さんと同じく、吃音者だからです。
最近生放送してるんですけど、ちょいちょいどもってます。すいませんねぇ、、お聞き苦しいところを、すみません。
ただ、他の人のトークは非常にスムースで聴きやすいので、ぜひとも見てやってください!
ちなみに、リアル億男がこの中に!!! ・・・いません、残念ながらww
#俺たち映画ならず者 の動画をモーメントでまとめます
— 物語るカメ@井中カエル (@monogatarukame) October 8, 2018
過去放送も楽しんでください!
https://t.co/Q9q9Gs9jn8
これまで、結構自分で吃音って言ってたので、私のブログを知る人にはすでにご存知かも知れません。
はい、以上が私が吃音者だってことの証拠というか、これまで書いてきたことをまとめました。これで信じて頂けたはずです。
さて、吃音者の私からしても、高橋一生さんの吃音の演技は非常に上手かったと思います。どうしても喋れない時には顔がクシャってなって、ちょっと心配になっちゃうところも、すごくリアルでしたね。
あと、喋れる時と喋れない時のシーンを絶妙なバランスで入れていたのが良かったと思われます。大事なセリフは絶対にどもらずに喋らせる、と言った具合に「都合の良い吃音」にならなかったのが、本当に良かったです。
さらに、モロッコで旅行中に英語で話しまくる高橋一生でしたが、英語だと何もどもりません。これは、「英語でどもった経験がないから=失敗体験が少ない」からだと思います。私自身も、旅行中に経験することです。
ちなみに、彼が落語でどもらなかったのは、おそらく「人と喋ってないから」だと思います。私は落語したことないですが、歌うのがすごく好きなんですよ。で、歌う時は全くどもらないんですよね。
これは単純に「人と喋る、人に向かって喋る」ことと、「単に声を出す」ということの違いがあるから。普通の人には「何も変わってないよ」って思うかもしれませんが、吃音者にとってはすごく変わるんですよ、これ!!!!
誤解されやすいんですけど、吃音者にとっては「上手く喋れないことが怖い」わけじゃないんです。「上手く喋れないことで、人から見下される。評価が下がる」ことが怖いんですよ。
それこそ、「お金の価値」と比較することができます。同じ人間なのに、「喋れると喋れないで人間の価値が変わってしまうんじゃないか」という恐怖と毎日、吃音者は戦ってるんです。それが仕事の場面だと露骨に査定とか給料とかに反映してくるので、もう毎日が戦いなんです。
本当に毎日が戦いなんだよ!!!
そういう文脈を踏まえると、高橋一生さんは「お金の価値」だけでなく「人間の価値」についても非常に考えたはずです。何故なら、喋れないということで「自分は劣っているのか」と、「自分の価値は何か」と考えたことがあるはずだから。
川村元気さんがどこまで考えていたか謎ですが、少なくとも私にとってはそう感じてしまいました。
そんなどもりの高橋一生さんが巨万の富を得て成功してる姿は、まさに私が思い描く自分でした。上手く喋れなくても、絶対に他の奴に勝つんだ、俺は人間的に劣ってないんだ!!って証明しているような気がして、僕はすごく嬉しかったです。
でも、結局仕事に買ってお金を儲けても、待ってるのが必ずしもハッピーエンドとは限らないんです。
これは完全に僕の見方ですが、高橋一生にとってのお金は、「自分の実力・価値・存在を証明するもの」だったと思われます。
だから、自分の会社を売って大金を儲けることが出来るチャンスにも「俺は売らない」って主張したんだと思います。
だって、会社を売ったら自分の実力・価値・存在がなくなってしまうから。
映画じゃ描かれなかったですが、少なくとも私はそう感じました。
[ツッコミどころ]
はい、ここからはツッコミです。すごく良かったんですけど、最後に罠が待ってましたねぇ、この映画。。。
[子役まじファックです]
子役にファックという言葉が許されるのは日本だけだと勝手に思っております。(許されんのか?)
せっかくの佐藤健の好演も、子役のクソ演技によって台無しです。
もちろん、棒読みセリフがクソなのは、誰もが突っ込むポイントでしょう。もう言わずとも分かります。
でも、一番許せないのは、「子供の異常な聞き分けの良さ」
親は離婚寸前で、お父さん借金抱えてるっていうのに、なんであそこまで聞き分けが良いんだよ!!!少しは反発しろよ!!反抗しろよ!!!
どうしてもセリフを言わされてる感が半端ないんだよ!!!!
監督さぁ、、いや助監督もさぁ、、、 少しは子役に気を使ってよ!!子役のせいで、どんだけ空気が壊されてるか分かってるでしょ!?なんで演技指導しないの!?
監督の実力不足が浮き彫りになる瞬間でしたね。子役に興味ないんでしょうね。。
[手紙止めて。。。]
佐藤健が娘のために自転車を買って、手紙を付けてるのはちとダサいなぁ。。しかも手紙を「音読する」演出、、あれはクソですよ!!!!
最後は佐藤健と高橋一生が別れて終わりでいいでしょう。なんで最後に家族サービスを入れるんだよ!!!
ってか、なんで最後の最後で「お金の使い道を具体的に映像化しちゃった」んだよ!!!!!!
佐藤健がどうお金を使うかは、観客の想像に委ねろや!!!アホか!!!!!!
[ラストのモロッコ旅行記・・いる?]
ラストのエンドロール、 コードブルーと同じような構図でしたね。
左半分はおまけ映像、右はクレジットで。
最後の最後に、映画とはなんの関係もない佐藤健と高橋一生のモロッコ紀行。しかも何も起きることなく、ただ買い物してキャンプして、、
俺は旅番組を見に来たわけじゃないんだよ!!!!
ってか映画では別れたのに、エンドロールだとなぜ再会してるんだお!!!!
[監督名で止めないで・・・]
もうこれ最悪。
エンドロールの最後の最後、監督の名前が出てくるんですけど、
「監督 大友啓史」
でピタッと止まったんですよww
おいおいおいおおおいおおいいいい!!!!!!
「はい、これ俺の名前ですよ!俺がこの映画作ったんですよ!!」ってこれ見よがしにアピールするの、本当にやめてくんないかなぁ、、、
あんた、そこまで偉いのかい?
是枝裕和さんでも、黒沢清さんでも、エンドロール止めないよ?
はい、なんだかんだツッコミどころ満載ですが、非常におすすめです!邦画の中では大変あたりです!!!
おすすめです!!!!
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