まえがき
今回批評するのはこちらの映画
「パディントン / Paddington」
はい、イギリスで製作された映画です。予告を観ると可愛い〜〜クマさんのドタバタコメディに感じますが、魅力はそこだけではありませんよーーーー。
映画の原作
原作はクマのパディントンという、1958年に書かれた非常に古い作品です。
何故パディントンか、それは原作者のマイケル・ボンドさんが住んでいた家の近くにパディントン駅があったからです。
イギリス旅行に行かれた方はわかると思いますが、パディントン駅はロンドンの駅でもかなり大きく、イギリス人なら誰もが知っている駅だと思います。
なお、クマを主人公にした理由は、妻にクリスマスプレゼントとして買ったぬいぐるみがクマだったからだそうです。非常に自分の実体験に基づいて描かれている作家さんですね。
コメディの掛け合いも含めて、字幕で見ることをお勧め。
クマのパディントンがロンドンでドタバタするアクションがとても面白かったです。極力セリフを使わずに、映像だけで見せる笑いのシーンが多く、これは万国共通にウケるなーと思いました。
パディントンは英語も喋れますけど、基本的にはクマ語です。
クマ語と英語の掛け合いのシーンもあるので、是非英語字幕で鑑賞することをお勧めします。
松坂桃李さんのことを悪く言うつもりはありませんけど、やっぱり声優初挑戦じゃないですか。しかも明らかに事務所のごり押しって感じなので、、あんまり見る気が起きないんですねーーーー。
都内では日本橋とか六本木なら字幕も結構やってますよ!
ウェス・アンダーソンとも思える絵本のような美術製作
コメディシーンも多くて、クマも可愛くてとっても満足なのですが、実はこの映画、美術に相当なこだわりがあります。
こういう家の断面図を作って、可愛らしい絵作りにしているんです!!
どう見ても普通の家じゃないでしょ!? 明らかに映画用に、何らかの意図を持ってデザインされている部屋を実際に作っているんです。
ここがパディントンの住む事になった家ですが、このお宅を紹介するシーンが、ウェス・アンダーソン作品とそっくりでした。
上下左右にしか動かないカメラワーク、絵本のような美術・衣装デザイン。パディントンも児童文学ですから、その映画となるとやっぱりウェス作品を意識してしまったのでしょうか。
私はウェス作品大好き人間なんで、大変美味しく頂きました!!
赤色を多用した意図は?
それに、病的にも見える赤色の描き方。なぜここまで赤色を使ってるんでしょう?
本作は赤を基調としたデザインになっています。
それにしても、綺麗な赤ですよねー。それに繊細。
日本で見る赤って、単色のものだったり、レストランでよく見かけるくらいしかありません。
私も仕事でデザインのレイアウトを考える時は、まず赤って全体に塗りつけないですよ。ただでさえ目立つし、赤は特定のイメージを持たれやすいし、攻撃的な色ですからね。
例えば、スターウォーズのライトセーバーの色をとって見ても、赤色って危険で攻撃的ですよ。
「赤色系」は帝国軍。「青色や緑」は反乱軍と決まっておりますので。
ではこのパディントンの映画で定めた「赤色」とは何なのか?
それは、「パディントンとの親密度」を表しているのです。
パディントンの古ぼけた帽子。オレンジっぽくも見えますけど、大まかに分かれば赤色ですよね。これはパディントンが親子で大事にしている、冒険家の身につけていた帽子です。まさに、パディントンを象徴するのが赤色なのです。
パディントンを保護することになった家族。全員がパディントンのことを良くは思っていませんでした。しかし、奥さんと息子だけは、最初からパディントンのことが大好きです。
だから赤色を使って、部屋を塗り分けてるんですねー。
ちなみにパディントンが嫌いな父親と娘の部屋は、青色になっています。
しかし、エンディングに近づくにつれて、家族全員がパディントンのことを信じ、好きになります。
エンディングの時の家族の服装!!!
みんな赤色です笑
特にお父さん、赤Tシャツに赤シャツなんて重ね着しちゃって、普通に考えたらファッションセンスおかしいぜ!!!
一番お父さんがパディントンのことを軽蔑したし、嫌いでしたから、エンディングになってまさかの大ドンデン返しです。
これを見てもわかる通り、パディントンとの友情を色で表現するという、とてもアートな作品です。
コメディも面白いですが、「赤」の使い方を知っているともっと映画が楽しめると思います。
超オススメです!!!!!