こんばんは! Machinakaです。
アカデミー賞授業式まであと2日となりましたね。 私は何もノミネートされていませんが、何だか心が落ち着きません。
今回批評する映画は何個アカデミー賞を取れるでしょうかね。。。
「ヘイトフル・エイト / The Heitful Eight」
はい、クエンティンタランティーノ監督作品の第8作目となります。
まずは予告編をどうぞ!!
あらすじ
「イングロリアス・バスターズ」「ジャンゴ 繋がれざる者」のクエンティン・タランティーノ監督の長編第8作で、大雪のため閉ざされたロッジで繰り広げられる密室ミステリーを描いた西部劇。タランティーノ作品常連のサミュエル・L・ジャクソンを筆頭に、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンズ、デミアン・ビチル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーンが出演。全員が嘘をついているワケありの男女8人が雪嵐のため山小屋に閉じ込められ、そこで起こる殺人事件をきっかけに、意外な真相が明らかになっていく。音楽をタランティーノが敬愛する巨匠エンニオ・モリコーネが担当した。70ミリのフィルムで撮影され、画面は2.76:1というワイドスクリーンで描かれる。
これから映画の感想・評価・レビュー・考察していきます。
- アカデミー賞にノミネートされた本格サスペンス
2016年作曲賞と撮影賞にノミネートされています。
作曲は、エンニオ・モリコーネ。イタリアの作曲家です。なんと現在87歳!!
http://homepage3.nifty.com/mahdes/ennio1.jpg
荒野の用心棒、夕陽のガンマンなど、いわゆるマカロニウエスタンの映画に多くの歌曲を提供しています。
余談ですけど、あの「ソドムの市」にも参加しています。。
マカロニウエスタンといえば、映画マニアでも有名なタランティーノ監督が一番好きなジャンル!!
実は過去作でもエンニオさんにオファーを出していたのですが、条件が合わずに今まで仕事したことがなかったそう。
今回が初めてのタランティーノ映画で、監督自身大変喜んだそう。自分の大好きな映画の作曲家に、曲を作ってもらえるなんて、、、映画マニアの夢ですなぁ、、、。
そして撮影ですが、、今回は70mmフィルムカメラを使っています。
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010516/digipr13.jpg
デジタルではないため、記録媒体にSDカードなんて使えません。後ろの大きな円がありますけど、これにフィルムが入ります。
もちろんですが、今の時代に日本のどのテレビ局も映画撮影もフィルムカメラでなんか撮影している人はいません。
それだけ手間とコストが掛かるカメラです。過去の遺産として語られるものです。
今回はなぜ、そんなカメラで撮影したのでしょうか?
通常のデジタルカメラであれば、35mmのレンズです。70mmのレンズですので、通常の倍ということになります。フィルムが70mmで、レンズの大きさではありません。→コメントありがとうございました。2016/3/4
この撮影方式は最近は見ないと思いますが、実はこれ、マカロニウエスタン映画で多く活用されていたのです!!
「殺しが静かににやってくる」
黄金の棺
自分が好きなマカロニウェスタン映画と同じ画面作りがしたい。その一心で本当に撮影しちゃうなんて、恐ろしい映画狂ですな笑
また、今回の70mmフィルムは、ウルトラパナビジョンでの撮影が可能になるモデルでした。アスペクト比の違いだと考えてください。
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/71/75c20fdc1d29a4120cfeb5f49e3547e6.jpg
ピンク色の2.76:1が、ウルトラパナビジョンでの撮影で取れるアスペクト比です。
簡単に言うと、超ーーーーー横長なんです。
下の写真はヘイトフルエイトから。
画面作りについては後述しますけど、とてもつもなく広大な景色を撮るのに向いてるんですね。
今回のヘイトフルエイトはアメリカのコロラド州の、本物の雪山で撮られていますので、ウルトラパナビジョンにより、よりリアルで壮大な自然風景の表現に成功しているんですね。ただマカロニウエスタンが好きだから、ではない訳です。
2.映画の感想
2.1 とにかく過激なサスペンス!
R−18指定だけあって、残虐描写が凄まじかったですねーーー。主役の8人に女性が一人いたので、山荘でイチャコラーーがあるかと思ってたんですけど、性的な描写は一切ナシ。
暴力表現だけでR−18に指定されました。戦争映画でもないのに、スプラッターを目的とした映画でもないのに、です。
普通の映画なら写さなかったり、画面を真っ暗にするところなのに、クッキリ鮮明にあんなモノやこんなモノが出まくってます。
大人でも、グロゴア描写が苦手な人なら見ないほうがいいかもしれません。
タイトルにも書きましたが、普通の密室サスペンスモノより、遥かにハードな描写が多いです。テレビだと絶対にできないです。
なので私は、この映画を「過激なサスペンス」=「過サス」と呼ぶことにします
某民放でやっていた火サスではありませんよ、あくまで過サス。
2.2 犯人探しをしちゃダメ!
予告編を見ると、この8人の中で誰が犯人か!?という触れ込みがありますよね。
私も映画を観る前は犯人は誰かと思いながら見ていました。
でも、犯人を探そうにも絶対に見つからないんです。
先ほども書いたのですが、ウルトラパナビジョンでの超横長カメラですから、伏線を探そうにも見つかりません。美術も大変凝っているので、情報量が多すぎるんです。さらに、8人の行動を見張ってないといけませんから、常に動く映像を整理しながら犯人探しなんかできません。
というのも、実はこの映画で出てくる8人の中に犯人なんていません。
だって「ヘイトフル・エイト」ですよ!!
主要キャラの8人は、種類は違えど何かしらの「憎しみ」を抱えていて、「憎しみ」をそのまま犯罪に活かしてましたよね。
キャラの説明描写でも明らかになっていましたが、この8人は全員何かしらの犯罪を犯しているのです。そういう意味では、全員「悪人」です。
じゃあ、この映画の犯人って一体何だったの?
それは、「ヘイトフル・アメリカ」です。
映画の犯人は、奴隷解放を目的とした南北戦争直後のアメリカ、そして現代に通じるアメリカに対する痛烈な批判なのです。
この映画で強く感じるのは、「白人に対する黒人の差別、または黒人に対する白人の差別」です。
サミュエル・L・ジャクソンが名言を放ちますね。
「俺たち黒人が安心できるのは、(銃を持ってない)丸腰の白人だけだ」
それくらい、白人を恨んでいた黒人の描写が強調されます。
一方で、ジェニファー・ジェイソン・リー演じるデイジーが映画冒頭で、「ニガー、ニガー」と連呼しますよね。とても英語では書けないですけど、ニガーというのは黒人に対する最悪の差別用語です。
この映画は人種差別をとても強調しているのです。
リンカーンが話によく出たのも、彼が初めて奴隷解放を目的に戦争をしたからです。
でもそれって、まだ解決されてない問題ですよね?
アカデミー賞で、黒人監督のスパイク・リーが「主演俳優ノミネートに白人ばかりなのはおかしい」と強く批判してましたね。
だたグロいだけではありません!! 現代アメリカに通じる人種差別について、痛烈な批判がされている大変貴重な作品です。
ぜひ劇場でご鑑賞ください! オススメです!!!
3. 今回はパンフレットがお買い得!!
結構パンフレットを買っているのですけど、今回はかなり満足した内容でした。
普通のパンフレットって、、、
A.印象的なシーンの写真
B.ストーリー紹介
C.映画の概要
D.キャスト、監督インタビュー
E.映画評論家の解説(1人か2人)
F. A.と同じ
G.エンドクレジットのコピー
って構成ですよね?
今回のパンフレットは、上に挙げたE.のボリュームが違います!
ハッキリ言って段違いです!
まず、町山智浩さんの解説が入り、次に本映画でモチーフになったマカロニウエスタンの研究家の解説、、、これで終わると思いきや、さらに3-4人の映画評論家のコラムがあります!!
ネットからの情報ではなく、徹底的に映画を分析して明らかになった名解説もありますので、是非とも劇場でお買い求めください。
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