- ネタバレありで感想と解説を始めます
- あらすじ
- 映画の感想
- 周防監督の想いが詰まった、決して古くない傑作!
- アクションシーンが多い理由
- 稲垣浩さんとは?何故最後に?
- この題材を、よくやった
- 活動弁士を知りたいなら、、
ネタバレありで感想と解説を始めます
今回公開する映画はこちら!
「カツベン!」
周防正行監督、最新作!!
映画ファンなら見るっきゃないよね!
どれくらい「カツベン」こと活動弁士のことを知ってるか分かりませんが、日本人なら必ず知ってほしいです。
そもそも、昔の映画は音がなかったことを、どれくらい知っているのでしょうか。。
ただ、題材としてる時系列はそこまで古くないものの、扱う文化が今やニッチすぎてパッとしない人がいるのは間違いないですね。
これを気にサイレント映画に挑戦してほしいな、、。あ、活動弁士がいないとダメか。。
まぁ、、とにかく古い作品も見よう!これを機に!!
それでは「カツベン!」、感想・解説、ネタバレありでいってみよー!!!!
あらすじ
・「Shall we ダンス?」「それでもボクはやってない」の周防正行監督が、サイレント映画時代を舞台に一流活動弁士になることを夢見る青年を主人公にしたコメディドラマ。当時の人気職業であった活動弁士を夢見る俊太郎が流れ着いた小さな町の閑古鳥の鳴く映画館・靑木館。隣町にあるライバル映画館に人材も取られ、客足もまばらな靑木館にいるのは、人使いの荒い館主夫婦、傲慢で自信過剰な弁士、酔っぱらってばかりの弁士、気難しい職人気質な映写技師とクセの強い人材ばかり。雑用ばかりを任される毎日を送る俊太郎の前に、幼なじみの初恋相手、大金を狙う泥棒、泥棒とニセ活動弁士を追う警察などが現れ、俊太郎はさまざまな騒動に巻き込まれていく。主人公・俊太郎役は、「スマホを落としただけなのに」「人間失格 太宰治と3人の女たち」など話題作に立て続けに出演し、本作が映画初主演となる成田凌。ヒロイン役を黒島結菜が演じるほか、永瀬正敏、高良健吾、井上真央、音尾琢真、竹野内豊ら周防組初参加のメンバー、竹中直人、渡辺えり、小日向文世ら周防組常連陣が顔をそろえる。
映画の感想
周防監督の想いが詰まった、決して古くない傑作!
活動弁士というもはや誰も知らない映画文化を題材に、映画ファンならずとも一般観客も納得する王道のエンタメでございました!!
僕はオープニングのモノクロの「東映」マークからすでに感動しちゃったんですけども、一般の人はそんなマニアックなことに感動しなくていいんです。
京都撮影所で時代劇、といっても活動弁士が活躍した明治ー大正時代を切り取った作品と言うだけで感謝感激雨嵐! でもそんなの一般の人には関係ない。
映画ファンとしは鼻血ブーものにもかかわらず、普通の映画として見ても十分に楽しめるんですよね。
成田凌くんが活動弁士として成長し、恋愛あり、逃走劇あり、笑いあり、バラエティ豊かなエンタメ要素が満載で、活動弁士について何も知らなくても何も興味がなくても映画として十分に楽しめるのが素晴らしい!
成田凌、高良健吾のイケメン弁士でウットリし、喋るたびに汗をかく謎設定の弁士もいたりw 裏方では渡辺えりさんや竹中直人が盛り上げ、、もうどれだけ主役級の人が出てるんだと、驚きを隠せません。
この面子が同じ映画に出てること自体が奇跡!
古い時代を選びながらも、決して古くない作品だったと思います。
アクションシーンが多い理由
活動弁士が主役だと、セリフを話してるシーンばかり写って退屈になってしまうのかな?と思いましたが、一切そんなことはなく、むしろアクションが多いというサービス付きでww
カツベンの時代はセリフがなく、映画の中で笑いを作るためには体を貼る必要があったんですよね。
穴に落ちたり、殴ったり、高いところから落ちたり。。
これを映画用語で「スラップスティックなギャグ」と言うんですが、監督はあえてカツベンの時代に合わせて、スラップスティックを多めに入れたのではないでしょうか?
稲垣浩さんとは?何故最後に?
エンドロールに出てくる、「かつて映画はサイレントで、音がなかった。しかし、日本には音が途絶えたことはない。活動弁士がいたから。」的なテロップが流れ、最後に「稲垣浩」という名前が出てくる。。
稲垣浩さんは日本でも初期の映画監督であり、俳優である人。「無法松の一生」で有名だそうです。
映画が好き好き言っておいて、あまり稲垣さんの作品を見ておりません。。もっと見なくては!
そして、何故この言葉を最後に入れてきたんでしょうか?
映画の最初や最後は監督の込められた思いが隠されている場合があります。
今作はまちがいなく、今後の日本映画に対する思いと覚悟が詰まっていたと思っています。
「日本には音が途絶えたことはない。」と言うセリフは、これまでの日本映画は盛り上がってきた。そしてこれからも観客がワイワイ出来るような=音が絶えない、面白い作品を作ろう、と言う意思表明にも感じました!
この題材を、よくやった
成田凌演じる染谷と黒島結菜さん演じる松子の少年時代から、大人になり活動弁士も終わりを迎えそうな時代までを描いた作品。
タイトルが「カツベン!」だけあって、活動弁士の全盛期のみを描くと思いきや、以外とそうでもなかったんですよね。
活動弁士が活躍したのは染谷と松子が子供の頃、以降は次第に音が入るようになり、活動写真から映画に移り変わっていく。。
この長い時系列で活動弁士の時代を追いかけられたことに、幸せを感じます。
活動弁士の話は、ラジオだったり博物館で勉強してはいたんです。
ただ、映画で活動弁士を描いたものって、今まで見たことがなかったんです。
まず、日本映画でしか活動弁士って描けないですからね。
なぜなら日本しか活動弁士はいないから。
今や日本に音が付いてるのは当たり前。どんなにダメな映画でも音がつきます。
音がつかない映画なんてありえないでしょ? と思う人もいるかもしれません。
でも、昔は昔でよかったんです。
そう思わせてくれる作品だったのが本当によかったんです。評価すべきなんです。
何故なら、今作がスベったらもう活動弁士を映画で知れる機会がない、、はずだと思うからです。
青春恋愛映画ばかりが流行る昨今、活動弁士と言う誰も知らない昔の職業を題材にした映画に投資する人はほとんどいないはず。
周防正行という逸材だからお金が集まった、と言う可能性もなくはない。そうでないと、危なすぎるw
以外とプレッシャーのかかる仕事だったと思っています。活動弁士はこれからも博物館に飾られるだろうし、本も出るだろうし、ネットにも大量に動画が残されることでしょう。しかし、映画というキャッチーなコンテンツで活動弁士について取り上げられることは、少ないと思います。
本当によかった、、面白くて。
これまで相撲(シコふんじゃった)や社交ダンス(Shall we dance?)や舞妓さん(舞妓はレディ)や、誰もが知る職業や趣味の映画を撮ってきた監督にとっては、ニッチな職業を題材とするのは相応のリスクがあるはず。
「それでもボクは、やりました。」と、監督の想いが伝わってくるような気がしました。
活動弁士を知りたいなら、、
国立映画アーカイブに活動弁士の展示が常時行われております。
昔使っていた機材や、活動弁士の番付なども貼ってあるんですよね!