- まえがき
- 低予算なのにじわじわと大ヒット! 新たなホラージャンルの確立か!?
- 単なるホラー映画ではない、社会現象にもなった映画の評価
- 何が新感覚ホラー!? 不安を煽る演出のオンパレード
- 映像ではなく、音響でノックダウンされました。
まえがき
明けましておめでとうございます。
旧年中は多くの方々に本ブログをご覧いただき、また貴重なコメントをいただきまして、大変お世話になりました。
今年もMachinakaの日記をよろしくお願いいたします。相変わらずの熱量と情報量で、皆様に映画の魅力を伝えていければと思います。
さて、新年一発目に批評するのはこちらの映画!!I
「イット・フォローズ / It follows」
※ネタバレ全開で徹底解説していますので、こちらもご覧下さい!!
www.machinaka-movie-review.com
「It follows」とは、単語通り「それが追いかける」という意味です。
何者かは特定できないけど、とにかく「何かが」追いかけてくる映画です。
とりあえず予告をご覧あれ!!
日本の配給会社が作った予告もあるのですが、どうも説明過剰だったのでアメリカ版のリンクを貼ることにしました。
低予算なのにじわじわと大ヒット! 新たなホラージャンルの確立か!?
本作は2014年にアメリカで公開されました。そのため、既に多くのサイトで解説やネタバレの記事が多いです。
監督はデヴィット・ロバート・ミッチェルさん。
https://www2.pictures.zimbio.com/gi/AFI+FEST+2014+Presented+Audi+Tribe+Midnight+CTPg8dNU3Qul.jpg
1971年生まれの映画監督。
アメリカのミシガン州、デトロイド市の生まれです。
40歳を超えていますが、長編映画を撮ったのはこれが2作目です。
ハリウッド映画からお呼びがかからないので、この映画は2億円という非常に低予算な中作られました。
ただし、ロケ地であるデトロイド市から映画作成のための補助金を受けたりしていたようで、実際にはもっと掛かっていると思います。
最初は全米で4館のみの上映でしたが、ピーク時には1600館まで広がったそうです。予算は2億円で、興行収入は20億円を超えました。予算の10倍ですから、大儲けです。
単なるホラー映画ではない、社会現象にもなった映画の評価
低予算で最終的に大ヒットしたホラー映画は、ブレアウィッチプロジェクトやRECなど、挙げればキリがありません。
しかし本作は、そのようなホラー映画とは一線を画します。
なぜなら、ホラー映画にも関わらず映画の全体的な評価が高いのです。Rotten tomatoesでは、97%の評論家が満足したそうです。Inside outが98%であることを考えると、この数字は驚くべき結果になるでしょう。
また、この映画は単に怖いだけでなく、映画の結末が多くの批評家の中、そして監督を巻き込んで大いに議論されました。
映画監督であり映画マニアでもあるクエンティン・タランティーノがこの映画を見て、「こんな設定は見たことがない!」と言いました。さらに、この映画の解説やダメだしを始めたのはいいものの、それが監督の癪に障ったらしく、ツイッターで揉めるという論争にまで発展しました。
何が新感覚ホラー!? 不安を煽る演出のオンパレード
「It follows」の文字通り、何かが追いかけてくる。ずっと、追いかけてくるのです。
ルールは以下の通り
・それは、ゆっくりと、確実にあなたを追いかける。
・それは、いろんな人に変身してあなたを狙う。友人や愛人に化けてやってくることもある。
・それは、性交渉で人に移すことができる。
イットが走ってきたり乗り物を使うことはありません。普通の歩くスピードくらいです。
さらに、特定の幽霊や奇人変人ではなく、不特定の誰かが敵なのです。
人に移すことができるという機能は、不幸の手紙であったり、リングの呪いのビデオに近い性質がありますね。しかし今回は「性交渉」なのです。
ま、ホラー映画のお約束ですが、イットに捕まると殺されてしまいます。
こんな設定は見た事がありません。ましてやタランティーノが「こんなの見た事ないよ!」と絶賛したのですから、似たような作品が多いホラー映画に新たな設定を作り上げる事に成功したのです。
さて、この設定のどこが怖いのか?
いつ来るかわからないから常に緊張状態が続く。イットが誰か分からないから常に緊張状態が続く。主観視点ではなく、一歩引いたカメラ視点だからこそ、周囲が気になって仕方がない。
もうね、常に緊張状態が続くんです! まるで主人公の立場に置かれたみたいにね。イットは女性にも男性にも変化するし、子供やおばあちゃんにもなる。服を着てる場合もあるし着てない場合もある。
普通のホラー映画の幽霊なら、ドヤ顔で「ヤッッホーーー!!」って登場するのに、この映画にはない。
ルール通りゆっくりと主人公を追い詰めてくる。観客は、誰がイットが、要するにどこで怖いシーンが出てくるのか、常に心の準備をしないといけません。
でも、この映画は初めから終わりまで常にイットは追いかけて来るんです。だから、心の安らぐ時間がない。
常に心拍数が高くて、心臓がドキドキしっ放しでした。
この監督はどうやってこの作品の設定を作ることができたのでしょう。インタビューでも答えていましたが、
監督が少年時代によく見ていた「悪夢」をそのまま映画化したんだそうです。
ある意味実話モノ!?笑
そりゃあ思いつきませんよ、色んな文献を見たって、映画を見たってわけでもないんですから。
あとは、カメラの撮り方。
https://s1.dmcdn.net/JdezS/x240-IOF.jpg
https://mattmulcahey.files.wordpress.com/2015/04/it-follows-6-copy.png
この映画、ドア恐怖症になっちゃいます。閉じられたドアを引いた視点で撮られることが非常に多いのです。
イットが来るかな!? 来ないのかな!?
イットが来るかな!? 来ないのかな!?
イットが来るかな!? 来ないのかな!?
・・・・・・・・・!!!!!!!!!!
と、常に不安を煽る演出があります。
映像ではなく、音響でノックダウンされました。
今までは映像について触れましたが、この映画のすごいところは音響にあり!
映画館で鑑賞しましたが、スピーカーが割れるんじゃないかと思うほどの爆音で、とにかく不安や恐怖を煽る音楽が流れてきます。
私がノックダウンされたのは、急激に流れてくる不気味な音楽です。
皆さんはパソコンやスマホで聞いているので、ちょっと不気味だなー、という印象しかないかもしれません。
しかし、今回は映画館の音量が凄まじく大きかったです。私は六本木で鑑賞しましたが、もう、スピーカーが壊れるんじゃないかと思ったくらいです。
この音楽が流れる場面で、私、思わず目と耳を塞ぎこんでしまいました。
映像を見てるぶんには、まだギリギリ体がもったんですけどね。音はどうしようもありませんでした。
というわけで、公開館は非常に少ないのですが、見る価値は大いにあります!
面白いこと間違いなし、本気で怖がれるホラー映画は、最近珍しいですから。
オススメです!!!
※ネタバレありで、映画のテーマを考察してみました。
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