はい、こんばんは! Machinakaです。
久しぶりの映画批評コーナーになります。
今回批評するのはこちらの映画
「キャロル / CAROL」
はい、今年度アカデミー賞6部門にノミネートされた映画です。
作曲賞(Carter burwell )
主演女優賞(ケイト・ブランシェット)
助演女優賞(ルーニー・マーラ)
脚色賞
撮影賞
コスチュームデザイン賞
アカデミー賞についてはコチラで詳しく取り扱っています。
www.machinaka-movie-review.com
同性愛を扱う映画ですが、本作ではそれだけに留まらず、恐ろしく計算し尽くされた超大作になっています。
こちらの映画の感想、評価、レビュー、考察、解説をしていきます!
詳しくは後で書きます。まずは予告編をどうぞ!!
日本の予告編はアカデミー賞だなんだってうるさいので、アメリカ版を見た方がストレートに凄さが伝わると思います。
CAROL - New Online Trailer - The Weinstein Company
- 戦後まもないアメリカの同性愛価値観
本作は1952年のニューヨークを舞台に、二人の女性の同性愛を描いています。
50年代初頭では、まだ多様な愛のカタチが許されなかった時代です。もちろん同性愛なんて言語道断。ありえないモノとして世間から見下されていました。LGBTなんて言葉もありません。
映画が美しく描かれているため分かりにくいですが、同性愛がその当時いかに禁忌的だったのかが分かります。まるで犯罪を犯したかのような眼差しがアチラコチラから向けられます。
現代活劇の同性愛であったらこうはいかないでしょう。昔を描いたからこそ、価値があるのかもしれません。
- なぜ今になって1950年代の同性愛を描いた?
答えは簡単です。 この映画には1952年に書かれた原作をベースにしているからです。
パトリシア・ハイスミスさんという、アメリカ人の女性作家さんが1952年に出版した「The price of Salt」を基に映画は作られました。
パトリシア・ハイスミスさんは「現在」同性愛者であったことが公にされており、The price of Saltが作られたのも納得できます。
しかし、この事実は、1990年になるまで明らかになりませんでした。何故なら、「The price of Salt」だけは、1952年の出版当時は「クレア・モーガン」という別名義で書かれていたことになっていたのです。
つまり、出版されてから40年近く経過した後に、本当の著者が判明したのです。日本ではこんな事例ありますかね?
原作者の情報については、たまむすびで町山さんが解説していますので、気になる方はこちらもお聞きください。
まとめると、
・原作が1952年に出版されており、映画の時代設定も同じ。
→原作に忠実に作ろうと意図した
・原作者が同性愛者で、自分が日々溜め続けてきた感情を小説で爆発させている可能性がある
→実体験を綴った小説→忠実に映画化→名作の予感!?
- 映画の見どころ
アカデミー賞のノミネートを見ればわかるとおりですが、特筆すべきは二人の女優。
https://livedoor.blogimg.jp/jean_0214/imgs/f/0/f08c39bc-s.jpg
ケイト・ブランシェットさん(役名:キャロル)
https://www.crank-in.net/img/db/191433_300.jpg
ルーニー・マーラさん(役名:テレーズ)
もちろんお二人とも美人ですけど、この映画では特にその美しさが際立っています。
何というか、役柄にピッタリ沿った綺麗さとか、可愛さなんです。特にルーニー・マーラさんの変貌っぷりがまた凄いんだこれがww
50年代のアメリカ映画のように撮っていることもあって、ルーニー・マーラさん演じるテレーズはオードリーヘプバーンの再来か? とも言われています。
https://carol-movie.com/index/img/visual.jpg
https://i.ytimg.com/vi/2hMWTz7UGys/maxresdefault.jpg
https://i.huffpost.com/gen/1308101/images/o-AUDREY-HEPBURN-facebook.jpg
この二人がそれぞれ主演女優賞、助演女優賞にノミネートされているのですから、二人の演技に注目するのは当然なのです!
そんな映画の内容は、、、
-
まずは一言で
美しい。
女優さんも、衣装も、お部屋も、その他美術品も。もっと言えば街並みまでが繊細にコントロールされており、計算し作れさた画作りに感動しました。
オシャレと言うには簡単すぎます。
実はこの映画、ある配色のルールが徹底されています。色に注意してみれば気付いた方もいらっしゃるかもしれませんね。その結果、キャロルとテレーズにしか目がいかないように仕向けています。
ただこれを語るには映画の本筋の感想とずれてしまうので、別記事にて詳しく書きたいと思います。もっとこの映画を知りたいという方は、こちらもどうぞ!!!
www.machinaka-movie-review.com
- 同性愛を「カナシミ」・「ヨロコビ」の両面から描いた快作
ー同性愛のカナシミー
同性愛の映画の多くは、世間から侮蔑されたカップルを悲壮感たっぷりに描いています。もちろんこの映画も、同性愛の辛さや悲しみを表出させるような描写が続きます。
面白いところは、キャロルもテレーズともに異性の恋人がいることなんです。
キャロルに関しては、ガタイの良い男と結婚しており、子供までいます。
そう、二人は同性愛に加えて、異性も恋愛の対象になっているのです。
結婚して子持ちのキャロルは、テレーズと付き合い始めてから、人生の歯車が狂い始めてしまいます。後半はキャロルの家庭崩壊が描かれ、心理描写が多いため彼女が主役なのでしょう。
キャロルはテレーズと不倫に走ったことで離婚を要求されますが、親権争いの裁判で「同性愛」をマイナスポイントとみなされてしまいます。
同性愛で裁判が描かれるというシーンに、私は一つの映画を思い出しました。
動作チェックのため予告編を見ましたけど、もう何度も本編を見ているのに、涙が止まりませんでした。。。。
まだ見ていない方は、是非ともこちらもご覧ください。Machinakaは映画館で見ましたが、声をあげて泣いてしまいました(悲しいから泣くというわけではなく、社会的マイノリティの力強い主張が心に届いたからです)
MachinakaがYahoo映画にてレビューしていた頃の記事です。こちらも是非!
裁判では暴力的な表現こそないものの、客観的に物事を表さなければいけないため、同性愛をいかに悪者にするかを徹底的に練られてセリフが付けられています。
裁判ではキャロルが徹底して戦いますが、一人の母としてではなく、あくまでも同性愛者のキャロルとして自分の尊厳を守ろうとします。
弁護士との打ち合わせでは、「直接的な証拠がないため自白しなければ同性愛はなかったことに出来る」と囁かれるのです。親権のためなら同性愛はなかったことにもできますが、キャロルは我慢が出来ませんでした。
ここで名言が、、
「自分に偽りを持って生きるなんて嫌だわ」
そこで思わず、泣いてしまいました。私は同性愛者ではありませんが、誰にでも響く強烈な言葉でした。
ー同性愛のヨロコビー
以下はエンディングのネタバレに直結するので気をつけてください。
それでは行きます。
エンディングにて
ヨリを戻そうとテレーズが緊張した様子でキャロルに近づきます。キャロルは妖艶な笑顔で返し、キャロルが微笑んだまま映画は終了します。
このエンディング、100億点です!!!!!
セリフは一切ありませんでしたけど、あの笑みから読み取れるのは「もう一度おいで」とか「あら、可愛い子ちゃんね」とか、積極的に恋愛したい様子でした。
キャロルの家庭は同性愛のおかげで大変なことにはなりましたが、最後の最後で同性愛を全肯定しています。
もちろん辛いこともあるけど、愛は止められないの。楽しいものなのよ!
と私はメッセージを受け取った気がしました。
- 最後に小ネタ
時系列がバラバラになってましたね。
オープニングで二人が食事中のシーンが流れ、そこから急に二人が出会ったデパートへと時系列は戻ります。
そして最後にまた、食事のシーンへと戻る。
最近の映画でよくある時系列のシャッフルですね。私が最近見たのは「あと1センチの恋」が、この映画と全く同じ順番で時系列を入れ替えていました。
- 単なる同性愛映画と侮るなかれ
さすがはアカデミー賞6部門ノミネートです。並みの映画とは違います。
セリフが極端に少なく、情報量も少ないので、困惑する方も多いと思いますけど、アカデミー賞にノミネートされるだけの価値は大いにある映画でした。
非常にオススメです!!!!!!!!!!!
こちらの批評もどうぞ! 映画キャロルに隠された、とある配色ルールについての考察です。
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