こんばんは! Machinakaです。
今回批評するのはこちらの映画!
「カルテルランド」
https://i.ytimg.com/vi/35JIPSUAIyg/hqdefault.jpg
はい、メキシコ麻薬カルテルの自警団を密着取材した、ドキュメンタリー作品です。アカデミー賞長編ドキュメンタリー作品にも選ばれましたね!
1.あらすじ
「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグロー監督が製作総指揮を手がけ、2006年から続くメキシコ麻薬戦争の最前線をとらえたドキュメンタリー。メキシコ、ミチョアカン州の小さな町の内科医ホセ・ミレレスは、地域を苦しめる凶悪な麻薬カルテル「テンプル騎士団」に対抗するべく、市民たちと蜂起する。一方、コカイン通りとして知られるアリゾナ砂漠のオルター・バレーでは、アメリカの退役軍人ティム・フォーリーが、メキシコからの麻薬密輸を阻止する自警団「アリゾナ国境偵察隊」を結成。2つの組織は勢力を拡大していくが、やがて麻薬組織との癒着や賄賂が横行するようになってしまう。若き映画監督マシュー・ハイネマンが決死の覚悟で取材を敢行し、メキシコ社会の実態を明らかにしていく。2016年・第88回アカデミー長編ドキュメンタリー賞にノミネート。
本年度アカデミー賞ノミネート『カルテル・ランド』|5月7日(土)全国公開!
2.劇場鑑賞情報
5/7時点では、公開しているのは日本では1館のみ!!
というわけで行ってまいりました、シアター・イメージフォーラム
この映画館はオンラインチケットがなく、当日じゃないとチケットが買えません。並ばないといけないんですね。
10時半から受付開始。見たい映画の時間は14時50分なんですが、オープンと同時に映画館に行ってチケットを確保しました。。
なんたって、丸山ゴンザレスさんが来るんだもん!
映画館に着いたら、すでに行列が、、、
ヤベーヤベー、大丈夫か? 見れるか? ゴンザレスさんに会えるか、、?
心配しすぎでした、無事に買えましたよー!!
普通ならこんなに混むってことないと思うんですが、トークイベントつきだと、、、大変なんですね。エラい目にあった、初シアター・イメージフォーラムでした、、、。
3.映画の感想
ドキュメンタリー映画である以前に、、、映画としての出来栄えが良すぎるよ!!
不謹慎と思われるかもしれないが、映画として面白いと言わざるを得ない。
正義と悪と分けるのはこのメキシコでは不可能。誰も守ってくれない住民たちが下した決断とその行動力に驚きました。
これが実際に起こってるんですよね。まだ解決してない問題なんですよ。
ネタバレは避けますけども、自警団の結末には絶句してしまいました。
「この世に正義なんてないじゃないか!」
今まで信じてきた常識を覆す、恐ろしい映画です。
警察を信じているアナタ、この世に正義があると「勘違い」しているアナタ。この映画を見てください。
4.ドキュメンタリーなのに主人公がいる
普通のドキュメンタリーだったら、多くの人のインタビューを順番に流していってストーリーを作るんですが、、
今回は明確な主人公が存在しました。マフィアに街を奪われ、警察も守ってくれない環境に嫌気がさし、自ら自警団を設立したミレレスさんです!!
マフィアから街を奪還した業績が讃えられ、雑誌の表紙になっていました!
彼を主人公として話が進むので、カルテルと自警団の複雑な関係も分かりやすく解説してくれます。
彼の人生を辿っていくにつれて、自警団がどうなっていくか分かる。そんな感じで。
個人的には、アカデミー賞を取ったアクトオブキリングと手法が似てると思いました。インドネシアの元チンピラのおじいさんにお願いした「とあるお芝居」が、思わぬ展開へ転がっていく、、、
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5.映画の完成度が高すぎる
ーストーリーテリング力と編集の力ー
エンドクレジットを確認したんですが、、
Story Consultantとして3人、編集として4人ついています。普通のドキュメンタリー映画で、ここまで多くの人員を割くって中々ないと思います。
つまり、ドキュメンタリー作品でありながらも、「映画」として成立させるために、ストーリーに凝っているのです。
そういう意味では、この映画凄かったよ。映画として成立するどころか、かなり高いレベルだよ!
なんなら、劇映画でリメイクしてほしいとも思いました。。
そして、何といっても今回は編集が素晴らしい!
普通ドキュメンタリー映画って、長回しのカットが多いと思うんですよね。比較的インタビューが多いものですから。
しかしこの映画は、カット数が非常に多く、ある意味キレッキレの編集なんです笑
同じ画が何秒も続かないので、観客は飽きることなく、映画に集中できるんですね。
会話のシーンは手際よく進み、大事なセリフだけを抽出してテキパキ進む。
車で会話していると思いきや、いきなり銃を持つ自警団たち。昼間にも関わらず、街には銃撃が響き渡り、日常は地獄へ突き落とされる。
メキシコの治安の悪さというものが、映像で表現されることにより、誰でも理解出来るんです。メキシコの人には申し訳ないが、絶対行きたくねぇよ!!! って思える内容でしたw
ー象徴的表現が多く挿入ー
これもドキュメンタリー映画らしくないんですけど、象徴的表現が多く挿入されています。
例えばおばあちゃんが家族を殺されたシーンで、「生きたまま火に焼かれたの」と言った瞬間、スクリーンには溢れんばかりの炎が、、
http://freebies-db.com/wp-content/uploads/2012/09/free-texture-flame-photostream.jpg
ハッキリ言って、エンタメ性高めすぎてないか!? とツッコミたくなりましたが、これも映画として満足度を高める為でしょうか。
その他にも多くの象徴的な表現を用いており、ドキュメンタリー映像とは明らかに別撮りしたモノも混ざっていると思います。
6.クレイジージャーニー取材との関係
この映画で皆さんが一番気になるのは、クレイジージャーニーとの関係ですよね!
4/28と5/6の深夜に放送された、TBSの「クレイジージャーニー」にて、丸山ゴンザレス氏がメキシコ麻薬カルテルに潜入取材していましたね!
https://pbs.twimg.com/media/ChrmLR-VAAAvSv4.jpg
http://i2.wp.com/trendya.net/wp-content/uploads/2016/04/ChI4yOoU8AA7sdl.jpg?resize=600%2C338
テレビでも言ってましたけど、「クレイジージャーニー」と「カルテルランド」には密接な関係があります。
また、最近「ボーダーライン」という映画が公開されましたけど、これも同じくメキシコ麻薬もので、関連があります。
というわけで、久しぶりに画像を作成しましたよ!!
まずはこちらをご覧ください。
簡単に言えばですね、メキシコ麻薬戦争のステークホルダーは大きく分けて、「麻薬カルテル」「メキシコ政府(警察や軍)」「自警団」の3つなんです。
で、カルテルと自警団との戦争を描いたものが「クレイジージャーニー」と「カルテルランド」、カルテルとメキシコ政府との戦争を描いたものが「ボーダーライン」といった分け方にしたいと思います。もちろんこれは便宜的な分類ですけど。
そして、こちらの画像をご覧ください!
ボーダーラインは劇映画なので置いといて、、、
「カルテルランド」ってざっくり言えば、「スーパーヒーローのミレレス」を中心とした自警団の発足から始まり、自警団の栄光と衰退を描く物語なんですよ。
そして「クレイジージャーニー」での丸山ゴンザレス氏の取材は、「カルテルランド」から2年経ったメキシコ取材なんです。つまり、自警団が起こした「衝撃の事件」が起きてしばらく経ってから取材してるんですね。
つまり、「クレイジージャーニー」の取材は、「カルテルランド」の続編を撮っているようなものなんです。
なぜ今回同じメキシコで、同じような映像が撮れたかというと、「カルテルランド」の推薦コメントを丸山ゴンザレス氏に依頼したところ、映画配給会社に自警団とつながりのある人物を紹介してほしいと同氏からお願いがあったみたいです。
丸山ゴンザレス氏は「カルテルランド」を見て、とても悔しいと思ったらしいです。これぞジャーナリズム魂ですね。
そして「クレイジージャーニー」で店員の女の子が「自警団についてどう思う?」との質問を拒否し、「カルテルについてどう思うか?」との質問に、「どっちのカルテル?」と返したことが話題になりましたよね。
店員の女の子からしたら、「カルテルと自警団、自分にとってはどっちもカルテルよ」と答えたんです。
http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/slices/20160430/20160430020153.jpg
この女の子のコメントの意味が、最初はよくわかりませんでした。しかし、この「カルテルランド」を見れば、よーく理解できます。
「カルテルランド」と「クレイジージャーニー」は、相互に関係しているため、両方を見れば、よりメキシコ麻薬戦争の真意が分かるんです。
7.クレイジージャーニーの裏話も!? 丸山ゴンザレス氏のトークショー動画
初日公開では丸山ゴンザレス氏のトークショーが付いてました。
なんと運営側から「動画撮ってどんどん宣伝してください!」とのお声が!!
ということで、公開しますよー。
そしてそして、本ブログで初めて「動画」を作成しました〜!!!
せっかくならと、YouTubeにあげました。
はい、これでヒカOンの悪口は言えなくなりましたねー。私も立派な(?)ユーチューバーの仲間入りです!!
クレイジージャーニーのこぼれ話を披露! 映画「カルテルランド」公開記念トークショー ゲスト:丸山ゴンザレス
丸山ゴンザレス氏がクレイジージャーニー裏話を披露! 映画「カルテルランド」トークショー machinaka
この二本をご覧いただければ、クレイジージャーニー、カルテルランドの両方の理解が深まると思います。
以上です!
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