[はじめに]
今回公開する映画はこちら!
「ヘレディタリー継承」
それでは「ヘレディタリー継承」、感想・解説、ネタバレありでいってみよー!!!!
- [はじめに]
- [あらすじ]
- モノホンの幽霊が映ってると噂
- 映画の感想
- 映画館で死ぬかと思った
- 予告編を全て裏切る
- 監督自身が体験した、家族という地獄
- 「もし芸術映画監督のウェスアンダーソンがヒッチコックの「サイコ」を撮ったら」
- 子役の顔が本当に怖い
- ホラー映画の新たな「音」表現
- 俺も母ちゃんを継承している
[あらすじ]
・家長である祖母の死をきっかけに、さまざまな恐怖に見舞われる一家を描いたホラー。祖母エレンが亡くなったグラハム家。過去のある出来事により、母に対して愛憎交じりの感情を持ってた娘のアニーも、夫、2人の子どもたちとともに淡々と葬儀を執り行った。祖母が亡くなった喪失感を乗り越えようとするグラハム家に奇妙な出来事が頻発。最悪な事態に陥った一家は修復不能なまでに崩壊してしまうが、亡くなったエレンの遺品が収められた箱に「私を憎まないで」と書かれたメモが挟まれていた。「シックス・センス」「リトル・ミス・サンシャイン」のトニ・コレットがアニー役を演じるほか、夫役をガブリエル・バーン、息子役をアレックス・ウルフ、娘役をミリー・シャピロが演じる。監督、脚本は本作で長編監督デビューを果たしたアリ・アスター。
モノホンの幽霊が映ってると噂
スタッフも、この靄のようなものを全く気づかなかったらしく、製作陣の糸でこの青白い靄を出したわけじゃないそうです。
本物の幽霊映像が、全国の映画館で公開されるという奇跡。なんということだ。。
これまでも、ホラー映画に幽霊が写っているという噂や証拠映像はたくさん出回りましたよね。
一番有名なのは、「サスペリア」ですかね。
雨の降る車の中、絶対に人が映れない場所に白い男の断末魔のような顔が見える映像が、正直戦慄を覚えざるを得ない。
はぁ、はぁ、、、今このブログを書いてるのは深夜なんですが、なんか背中がゾクゾクしてくるんですよね。今さっき、部屋で変な物音したし。
これ、本当に観に行くんですか、、、嫌だなぁ。。。
あーあ、見ちゃうんだぁ、、、、
すいません、もしかして最後の最後にビビって映画を見ずに終わるかもしれません。そして、せっかく書いてきたこの記事がお蔵入りになる可能性も十分にあるので、あしからずです。。。
映画の感想
今やホラー映画ばかり上映してる、伝統あるTOHOみゆき座にて鑑賞
TOHOシネマズみゆき座にて「ヘレディタリー継承」鑑賞!
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2018年11月30日
上映前に漏れるため息、上映中の張り詰めた緊張感、そしてラストは皆思わず「ヒャッ!」と悲鳴が・・
かくいう私も、上映中は冷や汗と寒気が止まりませんでした。
この映画には、絶望しかない。死を受け入れる覚悟はあるか?#ヘレディタリー
映画館で死ぬかと思った
はい、勇気を振り絞って最後まで見ましたよ!
まず、最後まで見た俺に拍手をください! 本当に、本当に怖かったんだから、、、、
鑑賞した後、震えが止まらなくて、思わず「カッ」「カッ」って舌を鳴らし続けてしまいましたww
そんな精神状態で売店を見かけたもんだから、気づいたらパンフ即買いしてましたよ!
はい、私のブログの作風だと、どうにもこうにも怖さが伝わらないと思うんですけど、、、、
これ、絶対映画館で見てください。
家で一人になってホラーを見るのも良いと思うんですけど、この映画だけは映画館という大きなスクリーンと音響、大きな空間で見ることに価値があるんです。
スクリーン以外は真っ暗という映画館の特性を十分に活かしきった、ホラーだからです。
本当に、映画館で死ぬかと思った映画です。
見ている間、本当にどこかに幽霊がいるんじゃないかと思って、周りを見回したり、小さな音にビクッとしたり、この世には絶望しかないんだなぁと思うほどダウナーな気分になります。
本当に、体調の悪い方は見ないでほしいと言いたいほど、アブない映画でございました。
だって、見てる間ずっと緊張して、変な汗かいて、肩がヒュってすくむ映画なんて珍しいですよ。もちろん、僕は映画しか見てないし、映像と音響しか体験してない。映画だから間違いなく作り物でもある。
でも、本当に死ぬかと思うくらい怖がって、それが呼吸や体調にまで影響してくる映画は珍しいです。それくらい、ラストの畳み掛けるような地獄絵図は本気で心臓が止まるかと思いました。
前評判に圧力を受けていたのも事実ですが、これほどまでに恐怖、そして死を感じる映画も珍しいと思います。
そして、その恐怖を大人数とともに味わうという体験は、絶対に映画館じゃないとできないし、映画館じゃないと出せない音や映像があるんです。
舞台は一軒家で起きる家族の恐怖物語なんですが、その一軒家というのがかなり大きいんです。多分日本じゃ大富豪じゃないと難しいほどの敷地・部屋数のある家です。
そんな大きな空間は、自宅じゃ出せないでしょう。真っ暗闇で大きな空間の映画館だからこそ、出せない恐怖があるのです。
・・・これまで全く映画の内容話してないですが、とにかく映画館で観るべき映画というのをお伝えしたいです。
あぁ、まだ震えが止まらないや。
予告編を全て裏切る
予告編を見ると、いかに〜もホラー映画といったようなビビらせる演出ばかりが目白押しで、王道たるホラー映画のような印象を受けますね。
しかし、本編では予告で見た印象を全て裏切るような演出になっていて、「こんなはずじゃなかった!」と心の中で叫べること間違い無しです。
では、どう具体的に「裏切られた!」と思ったのか。その理由を書いていきます。
WARNING!!!
WARNING!!!
これから、映画に関する重大なネタバレがあります。
まだ映画を見てない方は、絶対に見ないでください。
ちゃんと映画を見てから、もう一度このブログを見ましょう。
・・・カッ
はい、では語っていきます。
まず、この映画は散々「怖い映画」「幽霊が出る映画」だと思っていたのですが、決して幽霊が出る映画ではないのです。
怖いのは幽霊ではなく、家族です。
映画のプロットには「おばあちゃんからの遺言に『これから起きる事を許してね』」と意味深な文章が添えられていますが、別にこの遺言自体が幽霊を呼び起こすわけでもないし、完全に人間が作り上げた妄想だけで恐怖が増大されていいくんですよ。
もっと言えば、新興宗教となってしまうんですよ。おばあちゃんは新興宗教に入っていて、ペイモンという悪魔を崇拝してるんですよ。
これが、ラストでピーターがペイモンとして崇め奉られることの裏返しになるんですけども。
おばあちゃんが亡くなり、葬式をするところから映画は始まりますが、すでにそこから地獄は始まってるんですよ。
家族の中だけで物語が進み、次第に家庭が崩壊していく。家族崩壊ものというジャンルが正しいかと思います。確かにホラー演出は多いです。怖いです。
でも、それは幽霊という非現実的なものを見せるために作ってるわけじゃない。あくまで「家族を信じられなくなったらどうなるか」という恐ろしい過程の元にできているわけです。
映画では、幽霊は確かに出てきますが、それはあくまでも「夢や妄想」としてでしか出てこない。心霊現象としては出てこないんです。
だから、超常現象ではないわけです。
出演する家族の中で、母親が一番こじらせてるんですけども、やたらと「見える!見える!」ってわめているくせに夢遊病というこれまた厄介な特徴があって。
このおかげで、現実なのか夢の世界なのか母親が境目を失ってしまい、どんどん狂っていく話なんですよね。
そう、この映画の恐怖は「幽霊」でもなんでもなく、「母親の精神崩壊」にあるんですよね。そして、母親の狂気が家族に浸透してしまい、家族も崩壊してしまう。
そんな母親は、映画冒頭で亡くなる祖母の精神を継承しているわけです。彼女も母親と同じく、心霊を盲信し、霊媒師にハマり、悲惨な人生を歩んでいるのです。
被害妄想を貫き極限まで人を信用できないと、母親のようにオカルトにはまってしまうんです。
ちなみに、監督はヒッチコックの「サイコ」を参考にしたそうな。
その証拠に、サイコで極大な被害妄想の末に殺されてしまう女ジャネット・リーを「継承」するシーンがあります。
ラストになぜかジャネット・リーのフォトフレームが壁に立てかけられてるんですよね。
だから、ホラー映画だからといって非現実的な話じゃない。母親を持つ全ての人に突き刺さる、現実に起こり得そうな話だからです。
サイコパスな母親に、娘と息子は完全に影響されてしまって、息子も「とある大事故」をきっかけに「ある幽霊」が頭から離れなくなってしまう。
「とある大事故」が何なのか、さすがにこのブログでもネタバレを避けたいと思います。
ただ、その大事故が起きた瞬間、もう想像を絶する重たい空気が映画館い振りかかります。
何度も言いますが、心霊現象でもなんでもありません。
これはネタバレしてもいいと思いますが、単に交通事故です。
ただ、これほどおぞましい交通事故を見たことがないし、まるで本当に交通事故で亡くなった人を見たようで、異常なリアルさを醸し出していました。。
はぁ、、
・・・カッ
監督自身が体験した、家族という地獄
サブタイトルにもありますが、「継承」というタイトルがぴったりくる、家族の中での遺伝や運命性を描いた話なんですよね。
何をどうあがいても、家族同士である以上、遺伝子は変えることができない。両親が歩んできた人生を、自身も歩んでしまう可能性だってある。
その人生の継承をホラー映画に置き換えたことで、ここまで怖くすることが出来るのがすごいですよ。
なんでここまで家族の地獄のような話を描いたのかというと、
これ、実は監督自身が体験した実話に基づいてるんだそうです。
監督自身の家族が、とある大きな災いのようなものを家族代々引き継いでいて、それが自分の元にまで回ってきたそうな。家族に受け継がれる恐ろしく忌まわしいものを映画化しようと思ったそうです。
ちなみに、監督が何を継承したのかは、絶対に言いたくないんだとか。
ちなみに家族崩壊系の映画といえば、「葛城事件」や「ババドッグ」がありますが、これはもっと怖いですね。。。
「もし芸術映画監督のウェスアンダーソンがヒッチコックの「サイコ」を撮ったら」
そんな怖い映画なのに、撮り方はウェス・アンダーソンっぽさ全開なんですよ!!
シンメトリーな構図からのドリーショット(レールを敷いて水平移動するような機械的なショット)の連発、可愛らしい模型で児童文学っぽい絵の作り。。どう考えてもウェス・アンダーソンなんです。
巷じゃキューブリック・ホラーの復興みたいなことも言われてますが、私としてはウェス・アンダーソンっぽかったですね!!
なので、私としてはこの映画は「もし芸術監督のウェス・アンダーソンがヒッチコックの「サイコ」を見たら」というタイトルがぴったりなんですよね。
子役の顔が本当に怖い
今作のMVPは間違いなく、このチャーリーたんことミリー・シャピロです。
ぶっちゃけ、どう役作りしたらこんな顔になるわけ?
この子が終始怖いんですよ。
特別学級に通い、鳥の首をちょん切り、笑うことがない恐怖の子役。実はこの子は10歳でミュージカルの大変名誉ある賞を受賞しています。
・・・カッ
・・・カッ
ホラー映画の新たな「音」表現
ホラー映画って、普通は大きな音で「びくっ!!」ってする演出が多いと思うんですが、この映画は違うんです。
小さい音にびくっ!!とするんですよ。
チャーリーの口癖である「カッ!」という音に、ずっとビクビクしてるわけであります。
チャーリーはすでに死んでしまったのに、「カッ」という音が劇中にたまぁに流れるんですよ。
その度に「びくっ!」ってしちゃって、本当に強いわけです。
俺も母ちゃんを継承している
あと、これは個人的な話なんですけども。
うちの母ちゃん、結構幽霊が見えるんですよ。あんまり嘘をつかない人なんで、「幽霊が見えた」という発言が嘘に聞こえないんです。
かくいう私は、幽霊自体は見えなくなったものの、音はすごく聞こえる体質です。
もしアニーみたいな母ちゃんだったら、子供自分の俺はもっと幽霊を見えていたかもしれないし、もし幽霊が見える能力が継承されていたら、と思うと絶句です。
本当に幽霊がいるかといえば、正直わかりません。
でも、うちの母親の言葉で淡々と説明される幽霊は、ニセモノだと思えないんですよね。。。
はい、ということでこれまで書いてきましが、もうずば抜けて怖いと思います。とんでもないものを作ってきましたね、配給さん。
是非とも鑑賞して欲しいです!!
上映中、怖い場所に何か人影が移ったら、幽霊だと思いましょう。そう見えてくるはずです。
恐ろしい世界へようこそ!!!
怖すぎて、もうしばらくいいや。。。