はい、こんばんは! Machinakaです。
今回批評するのはこちらの映画
「バンクシー・ダズ・ニューヨーク / Banksy does NY」
2013年10月1日から、NYのとある壁にスプレーアートが出現しました。バンクシーと名乗るイギリス出身のアーティストが描いた一枚の作品から、この物語は始まります。
1.あらすじ
謎のストリートアーティストとして世界的に知られるバンクシーが、2013年10月、ニューヨークの路上に作品を発表し、その場所を探し当てるために人々がニューヨークを駆け巡った1カ月間を記録したドキュメンタリー。13年10月1日、スプレー缶を手にした少年の絵がニューヨークの路上に現れた。それから1カ月間、バンクシーは毎日1点、ニューヨークのどこかに作品を残し、場所を明かさずに公式サイトに投稿。人々はTwitterやInstagram、Facebook、VineといったSNSを駆使し、その作品がどこにあるかのを捜索する「バンクシー・ハント」に明け暮れた。「都市や屋外、公共の場所こそアートが存在すべき場所」「アートは市民とともにあるべき」という持論を展開するバンクシーの仕掛けにより、人々が熱狂した1カ月を追った。
壁にスプレーで吹き付けるアートって、色んな町で見かけることありますよね? ほとんどの作品がバンクシーと比べると全く出来の悪いものですけど笑
この映画は、バンクシーが手がける作品によって、人々がどう動かされていくのかを、各関係者のインタビュー、SNS、現地に出向いて記録したドキュメンタリー映画になっております。
2.映画の感想
私の場合は、バンクシーの作品はもちろんのこと、バンクシーが監督した映画「イクジット・スルー・ザ・ギフトショップ」すらも未鑑賞の状態でこの映画に臨みました。
バンクシーの「バ」の字も知らないような感じです。
映画の感想は、、、
I love Banksy ❤️
ドキュメンタリーのストーリーよりも、インタビューを受けた人々よりも、何よりもバンクシーに夢中になりました!!
こちらは劇中に出てきた作品の中で、私が一番気に入った作品です。
実はこれ、資材置き場に放置されていたコンクリートを使って描かれたアートなんです。額縁に見える四角形は、コンクリートの空洞を使ってるんです。
つまり
□+■
普段は誰も見ようとしないガラクタにスポットライトを当てて、一流の絵画芸術にまで昇華させた傑作だと思いました。ちなみに、バンクシーの作品は一つ100万ドルとも言われています。タダ同然のものが一億円になるんですよ!! バンクシーの力は偉大だ!そう思ってしまいます。
3.バンクシーに影響を受けた「人」を追ったドキュメンタリー映画だった
バンクシー最高とは言いながらも、この映画の主題はあくまでも「バンクシーに影響を受けた人」について焦点が当たっています。
バンクシー本人がこの映画に出演することはありませんし、バンクシーの作品を褒め称える内容でもありません。
バンクシーの芸術作品によって、人はどう変わっていくのか、社会がどう変わったのかを描いています。
それこそまさに、バンクシーが意図していたものであり、優れたアートの証拠でしょうね。
社会問題に無関心、常識や慣習に囚われて思考停止している人々をアートの力で変えるという芸術表現の最たる意義を、バンクシーは果たしたのです。
彼らは劇中に出てくるバンクシーの大ファンなんです。最初は「影響されすぎだろw」ってバカにしてたんですけど(女の子の意外なメタボ腹にも目がいきましたが笑)、最後は「そうだよね、バンクシー最高だよね!」と共感している自分がいるのでした笑
https://i.vimeocdn.com/video/515038902_640.jpg
バンクシーを巡って、色々な人が生まれます。
①バンクシーの純粋なファン
②バンクシーのアンチ
③バンクシーの作品を盗んで転売する奴ら
④転売しようとするものを美術館に飾ろうとするもの
、、、etc.
バンクシーの作品が新たなビジネスを生み、それが大きなニュースとなり、人々の意識に強く植え付けられるのです。まさに、社会を変えたアートと言えるでしょう。
ドキュメンタリー映画としては非常に単純な構造です。立場や思想の異なる人々にインタビューを行い、ストーリーの進行とともに何回も同じ人のインタビューを流す。
しかし、このドキュメンタリー映画が面白いのは、、
①人々がバンクシーに熱狂していく様を表現するかのようなハイテンポな音楽!
②膨大な情報量を超スピードでぶつけてくる編集!
にあると思いました。
実際に起きたバンクシーに対する熱狂っぷりを、この映画でも表現しているかのような、そんな印象を受けて、この映画上手いなー! と思いましたよ、正直に。
4.配色から見るバンクシーの作品の凄さ
色んなサイトによって、バンクシー作品の凄さが述べられていますが、どれも「反社会的」「圧倒的な分かりやすさ」などと書いてありますが、まだ配色について述べている人は少ないようにも感じます。
Machinakaの日記といえば、「カラーで映画を読み解く」ことを精力的にやってきたので、今回も「カラー映画」として読み解いていきたいと思います!!
ちなみにこれまでの「カラー映画」の視点で読み解いた映画はコチラ!
www.machinaka-movie-review.com
www.machinaka-movie-review.com
はい、では本題に入ります。
バンクシー作品の配色の特徴は、徹底的に絞られた色の種類の少なさにあります。
ほとんどの作品は、「赤と黒」で構成されていることにお気づきでしょうか?
https://barkerhost.com/wp-content/uploads/sites/4/2015/05/banksy2.jpg
https://d2jv9003bew7ag.cloudfront.net/uploads/Banksy-–-Girl-And-Balloon-in-London-2002.jpg
https://www.stencilrevolution.com/photopost/2013/04/No-Future-Girl-Balloon-by-Banksy.jpg
https://renote.s3.amazonaws.com/uploads/article_image/file/42979/banksy-trees_3460301b.jpg
https://www.seren.bangor.ac.uk/wp-content/uploads/2015/03/banksy.jpg
普通ならもっとカラフルにストリートアートは存在するものです。
https://st-style.com/wp-content/uploads/2012/12/Doce9.jpg
・赤と黒の配色の理由
おそらく、既存のストリートアートの常識をぶち壊したかったのだと思います。カラフルなストリートアートに対して、ほぼモノクロに近いデザインで勝負することにより、既存のストリートアートとの差別化を図りたかったのではないかと思います。
そして、バンクシーのアーティストは恐ろしいまでに几帳面でルールに則った仕事をしているのも大きいかと。おそらく「赤と黒」という配色も、初めから決めていたのではないでしょうか?
・赤と黒の役割と効果
もう一度バンクシーの作品を確認してください。よーく見てくださいね。赤と黒の単純な配色でも、一つの共通項が見えてくるはずです。
そうです、キャラクターは黒色、文字は赤色で表現されているんです。
キャラクターと文字がくっついている作品に限っては、すべてこの法則が当てはまっていると思います。
そして、黒と赤では、当然赤色の方が強調したい部分、ということになりますよね?
ただし、赤文字だけのストリートアートなんて、人は見向きもしません。ポップなアイコンが付属してこそ、初めてアートとして人に認識されるのです。
基本的に使う色の種類が少なければ少ないほど人に与える印象は大きくなるし、分かりやすいとされています。
色に頼らずに強調したい部分だけを赤色で示すことは、絵画芸術的に圧倒的に正しい方法で勝負しているのです。文句が言えません笑
こちらの本は、本作でとりあげられたニューヨークでの作品集を記録してあります。私もつい買っちゃいました、、、
BANKSY IN NEW YORK バンクシー・イン・ニューヨーク【日本語版】
- 作者: Ray Mock,毛利嘉孝,鈴木沓子
- 出版社/メーカー: パルコ
- 発売日: 2016/01/30
- メディア: 単行本
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というわけで、後半は映画に関係ないですが、少しでも映画を見るきっかけになれば幸いです!!
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