こんばんは! Machinakaです!!
今回批評する映画はこちら!
「トランボ ハリウッドにもっとも嫌われた男」
https://s.newsweek.com/sites/www.newsweek.com/files/2015/11/06/trumbo.jpg
はい、今年度アカデミー主演男優賞にノミネートされた、本格派の作品がついに日本にやってきました!!
2月にアカデミー賞やったのに、、、本当に日本は待たせますね笑
映画を観る前から期待度が高かった映画です! なんたって、映画好きとしてはあの「ローマの休日」の脚本を書いた人の映画なんですから、見ないわけにはいきません!!!
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1.あらすじ
「ローマの休日」など数々の名作を生んだ希代の脚本家ダルトン・トランボの波乱万丈な人生を、テレビシリーズ「ブレイキング・バッド」で知られるブライアン・クランストン主演で描いた伝記ドラマ。脚本家トランボはハリウッド黄金期に第一線で活躍していたが、冷戦の影響による赤狩りの標的となり、下院非米活動委員会への協力を拒んだために投獄されてしまう。釈放された後もハリウッドでの居場所を失ったトランボは、偽名を使用して「ローマの休日」などの名作を世に送りだし、アカデミー賞を2度も受賞する。逆境に立たされながらも信念を持って生きたトランボの映画への熱い思いと、そんな彼を支え続けた家族や映画関係者らの真実を描き出す。共演に「クィーン」のヘレン・ミレン、「マレフィセント」のエル・ファニング、「運命の女」のダイアン・レイン。「ミート・ザ・ペアレンツ」のジェイ・ローチ監督がメガホンをとった。
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2.トランボの人生は全てに通ず
トランボさんのお顔です。お風呂でも脚本を書いていたそうですね。。恐ろしい、絶対に湯冷めしちゃうよ笑
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はい、1950年代のアメリカ。時代は冷戦に突入する寸前で、アメリカはロシアを、ロシアはアメリカを敵視していた時代です。なので、アメリカ国内においては共産主義は忌み嫌われていました。この社会の流れはハリウッドも例外ではなく、いわゆる「アカ狩り」が横行していたんですね。しかもプロデューサーや監督だけでなく、俳優も赤狩りに加担していたんです。今と比べるとありえないです。こんな政治色が強い映画時代があったなんて、、、 単なる劇中でのメタファーではなく、映画には関係なく直接アカ狩りをしていたんですから。
このトランボも、ハリウッドで戦前から活躍しながらも、共産主義だったんですよね。ハリウッドにおいてアカ狩りに反対していた人たちを「ハリウッド・テン」と呼んでいました。このトランボも立派なハリウッド・テンのメンバーだったわけです。
アカ狩りに遭うとどうなるかというと、アカ狩りの主導者たちのブラックリストに入ります。ブラックリストに入った映画人は、映画製作会社に圧力が掛かり、仕事がもらえなくなります。トランボは脚本家ですから、脚本の仕事が一切なくなってしまうのです。日本の芸能界でいう、いわゆる「干される」状態になります。
ただ、当時のアカ狩りはもっと過激なものでした。単に仕事がなくなるだけではなく、場合によっては訴えられて、敗訴した場合は服役しないといけないんです。。。
トランボさんの場合は、アカ狩りの容疑を掛けられて議会に召喚されました。しかし、自分がアカとも認めず仲間のアカも漏らさず、議会のメンツは丸つぶれ。怒った議員たちは、トランボを議会侮辱罪として有罪判決にします。そのまま刑務所に入れられて服役しまうことになります。
・アカ狩りのせいで仕事がもらえない
・議会に召喚されたら訴えられ、そのまま刑務所にぶち込まれた。
・妻と子供がいる。妻は専業主婦。金は減るばかり。
・刑務所から戻っても、アカ狩りのせいで復職できず。
以上のことから、トランボさんはあまりにも過酷な環境に追いやられてしまうのです。
あまりにも辛いです。
しかし、刑務所から戻ってきたあと、彼は怒涛の快進撃を見せます。「ローマの休日」を筆頭に、数々のアカデミー賞作品を創作していくのです。
さて、こんな状況の中、トランボはどうやってキャリアを取り戻せたのでしょうか?
夢のようで、本当の話がこの「トランボ」なのです。
単なる映画ファンのための映画ではありません。
「社会の不条理によってどん底に落とされた人間がどうやって這い上がるのか」という普遍的なテーマを題材としているのです。
もうお分かりでしょう?
この映画は誰にでもオススメなんですよ!!!
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3.キャスト紹介
主演のトランボを演じるのは、はみんな大好き! ブライアン・クランストンさん!!
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あれ?分かんないって?
じゃあこの顔なら分かるかな?
そうです! ブレイキングバッドのウォルター・ホワイト=ハイゼンベルグを演じた人です!
数ある麻薬(メス)映画・ドラマの中でも、このドラマがオールタイムベストですね!!!
日本人にとっては麻薬が身近にある人って少ないですよ?
ただ、一部の州で当麻が合法化されているアメリカにとっては超リアルな社会問題なんです。日本とは違って給料の低い高校教師(夫のみ)の家庭、障害者の子供持ち。夫がガンのせいで仕事を辞めざるを得ない状況に。彼に残された道は、アウトローなドラッグ製造の道しかなかった、、、
このストーリーが、多くのアメリカ人に共感されているんですから、おかしな国ですよね、、、 でも、これが現実なんです。
ブレイキングバッドはシーズン5まであるんですが、個人的にシーズン1のエピソード6のラストが最高です!!
高純度のドラッグを作ったはいいが売れる卸屋がなかった。しぶしぶ、近所のマフィアのトゥコに売りつけにいくが、もちろんちゃんとお金を払うわけもなく、恐喝されてしまう。
これで悔しがって終われば単なるおじさんなんですが、ウォルターはガンが進行していて、近いうちに死ぬ運命にあるんです。つまり、もうすぐ死ぬんだからマフィアとの闘争にも死を恐れない。一度死ぬと思った人間は強い。ボンクラな高校教師ウォルターが、ドラッグ王の「ハイゼンベルグ」に変わる瞬間なんですね。。。
何度見てもカタルシスあるぜ!!! ここの音響は素晴らしかった!!!
Breaking Bad - Heisenberg vs. Tuco (Catch Yer Own Train) (Lyrics)
はい、クレイジーなドラッグ王を演じたブライアンさんが、映画脚本の巨匠を演じます。 振れ幅広すぎでしょ、、、、笑
さて、前置きが長くなりましたが、映画の内容はいかに!?
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4. 映画の感想
誰にでもオススメできる、人生大逆転劇に涙腺緩みっぱなし!!!
誰もが見たであろう、「ローマの休日」のあのシーンには鳥肌が止まらない!!!
これ、ミニシアターじゃなくてシネコン案件にすべきだよ!!!!
映画を観る前は偉大な映画人のシリアスなヒューマンドラマ、、、という色眼鏡を掛けてたんですが、これが思ったよりも笑えるシーンが多くて、、、てか多すぎ笑
重い話と思いきや、、、ちゃんとドラマチックな人生逆転劇を作ってくれて、合間合間に笑わせてくれて、、、それに社会的背景もちゃんと交えた勉強になる映画に仕上がるなんて、、、、
「娯楽」機能を詰め込んでくれた、実は真面目な作品、、、映画として正しい!! 正しい作りすぎるよ!!!
はい、もうオススメです! 早く映画館に行ってください!!!!!!!
走れ! 走れ!!!!
前章でも述べましたが、トランボはキャリアのピーク中に脚本の仕事を全て降ろされるんですよね。で、議会に召喚されてそのまま刑務所に入ってしまう。人生のどん底に陥るわけですよ。でも、仲間を裏切らずに自分の信念を信じて生きた。生き続けた。その意志の強さがあの名作を生んだ、、、
つまりですね、、、
「社会の風当たりがどれだけ強かろうが、自分が正しいと思っていることをやり続けることで、最後は必ず勝つ!」という普遍的なメッセージが込められているんです。
これは泣けるよ、、、だって、ほとんどの人間が社会の荒波に流されて、自分の信念を持って仕事を貫ける人なんていないんですもん、、、
トランボは、不条理な理由ではありますけど、当時は有罪判決として、刑務所に入ったんですよ。犯罪者扱いされて、近隣住民からもいじめられても、脚本を書き続けた。トランボは、とにかく自分を信じ続けた男なんです。カッコイイよ、本当に!!!
個人的に、「実際にあった話で、米ソの冷戦時代、社会の不条理と戦い続け勝利を得た男」という意味では、「ブリッジオブスパイ」が似ていると思いました。
こっちは裁判がメインの映画ですけどね。
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また、最初はどんな人かも分からなかったトランボが、時代が進むにつれて、いかに映画人として優秀な人だったのか分かるシーンが多々あります。
個人的には、カーク・ダグラス(実際にいた俳優)に「スパルタカス」の脚本を書いてくれ、と依頼されるシーン。。。実はトランボに見せる前に、イギリスのあの巨匠にオファーしていたのですが、、、その人の名前を聞いた瞬間、鳥肌がゾワーーーーですよwww ゾワーーーーですwww
最後に、主演のブライアン・クランストンを除いて個人的MVPは、トランボに仕事を与えたB急映画会社プロデューサーを演じたジョン・グッドマンです。
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彼はアカ狩りされているトランボを公平・中立な眼で評価し、単に脚本の出来栄えに惚れ込んで、仕事を与え続けました。
そんなことしたら、アカ狩りに加担している映画プロデューサーや俳優たちは黙っているハズがありませんね。ジョン・グッドマンの事務所に、アカ狩りの映画プロデューサーがやってきて、トランボをクビにしろと命令するのですが、、、、 それに反発したジョン・グッドマンの攻撃、、、いや口撃は注目です。
会場は一番沸いてましたよww 面白すぎです、ジョン・グッドマン!!!
最近ではクローバーフィールドの続編に出てましたね。
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5.「ヘイル・シーザー!」と合わせて見るべし!!
同じ1950年代のハリウッド業界を対象にして、アカ狩りに逢う脚本家を描いているという点で、「ヘイル・シーザー!」が非常に近いです。。。てか、この映画と合わせてみないと、「ヘイルシーザー」の意味が分からないでしょう。
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この二本セットで見る鑑賞法は、町山さんがオススメしています。
町山智浩が映画『ヘイル、シーザー!』と『トランボ/ハリウッドで最も嫌われた男』を語る
例えばこのシーン。ヘレン・ミレンは日本でいう「週刊文春」のようなゴシップ誌の記者で、ハリウッドに拠点を置いているんです。ヘイル・シーザーでも、ゴシップ誌記者がジョージクルーニーに「あなた、アカなんじゃないの?」と詰め寄る場面がありましたね。
https://cdn.hitfix.com/photos/6130479/BryanCranstonHelenMirrenTrumbo.jpg
はい、以上です!!!
早く映画を見に行ってください!!
ただ、都内では有楽町(日比谷シャンテ)と、お台場のメディアージュしかありません、、、
もちろん、日比谷シャンテがオススメです!!
なぜなら、観客が笑いのツボを分かっているからです!!!!!
とにかくオススメです!!! オススメです!!! 実話モノとしては、年間ベスト級でした!!!!