こんばんは! Machinakaです。
今回批評する映画はこちら!
「奇跡の教室 / Les Héritiers」
はい、フランスのヒューマンドラマ&戦争映画です。
フランス語では、「Les Héritiers」直訳すれば、「受け継ぐ者たち」です。
予告編で大変感動しましたので、初日&初回公開に行ってきました!!
もちろん、御用達のヒューマントラストシネマ有楽町です。
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会場は満員御礼でした! いいねぇ、この映画を知ってる人、ほとんどいないんじゃないの? それでもこんなに満席になるんだから、、、なんだか嬉しいよねw
映画を批評する前に言いたいことがあって、、、初めに言っておきます、愚痴です笑
私の隣には中高年のご婦人が二人座ってらっしゃいました。
しかし、、、映画の最も感動するシーンで、、、、
「ねぇねぇ、ちょっと寒くない? ここの映画館?」
と、小声ながらも隣のご婦人に喋りかけてたんですよ!!!!!
はぁ? はぁ?
はぁはぁ?????
アホか!!!!!
この映画の最も感動するシーンで、最もカタルシスのあるシーンで、なんでそんなどうでも良いことを喋るんだよ、、、、、
このクソ◯◯ァ!!!
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周辺の人は、感動のあまり泣いてるんですよ? そんな空気の読めないことできます? 逆にそのマイペース羨ましいわ!
で、これ以上喋られると周りにも迷惑かけるんで、というか私が一番迷惑なんで、、、注意しちゃいました。
映画館で注意したの初めてだな、、、、でも、我慢できなかったんだもん!!!!!!!!!!!
ミニシアターであんな空気読めない人いるの初めて見ました、、すんげぇショックです。。。。
はい、すいません。映画の批評する前に言っておきたかったんでね笑
それでは映画批評行っきまーす!!!
1.あらすじ
実話をもとに、学校から見放された問題児たちの集まるクラスが、ベテラン教師の情熱によって次第に変化していく様を描いたドラマ。貧困層が暮らすパリ郊外のレオン・ブルム高校。様々な人種の生徒たちが集まる落ちこぼれクラスに、厳格な歴史教師アンヌ・ゲゲンがやってくる。情熱的なアンヌは、生徒たちに全国歴史コンクールに参加するよう勧めるが、「アウシュビッツ」という難解なテーマに生徒たちは反発する。そこでアンヌは、強制収容所の生存者を授業に招き、彼らの経験を語ってもらう。その壮絶な話を聞いた生徒たちは、その日を境に変わっていく。本作にも出演したアハメッド・ドゥラメが自身の体験を映画化してもらおうと動き出したことから実現した作品で、ドゥラメはセザール賞有望男優賞にもノミネートされた。
フランスの予告もどうぞ
Les Heritiers - Bande annonce officielle
はい、不良の掃き溜めみたいなクラスを受け持つことになったフランス人のアンヌ先生。先生は歴史と地理を専攻している。アンヌ先生は、不良生徒に全国歴史コンクールという超真面目な学術発表会に参加しないかと誘う。テーマは「ナチスのホロコースト」。不良生徒とアンヌ先生は、どん底からどう這い上がるか?
2.映画の見どころ
はい、この映画は、非常に特殊な映画です。映画では「実話ベース」というジャンルがあります。脚本のオリジナルではなく、実際の人物や事件・事故をベースにして映画を作る手法ですね。私の日記にも、単体のカテゴリーとして登録しています。
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この映画はなんと、、、映画の脚本を担当したアハメッド・ドゥラメさんが主演男優です!!
スタッフ情報を見てください。ほら、脚本とキャストにクレジットがあるでしょ?
アハメッドさんの写真はこちら!
https://pbs.twimg.com/media/CjGj-zRUoAAUo2s.jpg
なんとポスターでも目立ってますw これ、ギャラの分担とかどうなってるんだろ笑
アハメッドさんが2009年に体験した、素晴らしい先生との出会いを脚本に書き、監督にメールしたところ、採用され主演まで務めるという、、、アハメッドさん自身の体験が凝縮された映画なんです。なんと、脚本を書いたのは18歳の時なんだそう!! え、マジかよ、、、、 どんだけ映画に精通してたんだよww
実話ベースと言っても、脚本家の実話ベースなんですね! そんな映画あるかい笑 私も初体験です、こんなの。
監督はマリー・カスティーユ・マンシオン・シャール、、、長い笑
日本ならアイドルや俳優を除いて、まずありえないですよね。18歳が書いた脚本を採用するなんて、どんだけ先見の明があるんだよ、、、
調べてみたらこの人、プロデューサー出身の映画監督らしいです。
コロンビア・ピクチャーズのDevelopment Excutive、ハリウッド・リポーターの国際版編集長を務めたあと、制作会社Trinacaでエクセキューティブプロデューサーを務める。1998年に制作会社LOMA NASHAを共同で立ち上げ、着想、脚本執筆、公開時のマーケティングなどの、プロジェクトを通した展開戦略に力を尽くしている。
ちなみに、2009年の時に高校1年生なので、今は21−22歳くらいでしょうか? 若い、若すぎるよ! それで脚本家になったんだから、大したもんです!!
また、このアハメッドくんが演じた生徒は、セリフを一個一個覚えるくらい映画好きな人で、まさに本人の生き写しなんです。
脚本書いてる時、楽しかっただろうなあー笑 だって、映画好きな自分が主演の映画の脚本を書けるんだもんww
一度でいいからやってみてぇ、、、、、!
はい、長くなりましたが、、、、
20歳そこそこの脚本家が書いた映画、しかも主演ww
映画の中身は、、、、?
3.映画の感想
スゲェ、、、スゲェとしか言いようがない、、、
もちろん、実話ベースで、ナチスの話がテーマ。教室での会話シーンがほとんどで、非常に地味な映画なんですが、、、
すっごく面白かった!! 単に勉強になるだけじゃなくて、ユーモアにも溢れてて、何度もカタルシスがあって、、、、、脚本家のアハメッドくん、偉いよ!!
普通に映画を見ていても面白かったんです。実は私、映画を見ている時はアハメッドくんの存在を知らずに見たんですね。もちろん彼が脚本を務めていることも知らなかった。
上映後、雑誌の切り抜きを見て初めて知ったんですよね。それを知った後、私の中で評価がうなぎ登りですよ!!!
https://ohm-sha.com/shohin/unaginobori.jpg
不良生徒たちが、衝突しながらもアウシュビッツについて学び、ユダヤ人虐殺について学ぶ、、、 生徒たちは勉強するにつれて、品行方正になり、何より先生を慕うようになる。それだけで感動モノなんですが、一番の衝撃は、実際にユダヤ人強制収容所で働き、生き永らえた実在の人物が映画出演していること。
俳優じゃないんですよ、一般人の人なんです。レオン・ズィゲルさんです。
https://pbs.twimg.com/media/CiFt7JhUUAACCqj.jpg
インタビューに、レオンさんんとの交渉が書かれています。
実話ベースと言いましたけど、実在する人物がそのまま映画に出演した例なんて、珍しいですよね。予想通り、レオンさんは映画の出演に関して何度も断割ったそうです。
しかし、何度も交渉して出演が決定。プロデューサー出身の映画監督だからこそ、粘り強い交渉ができたのかもしれません。
レオンさんが実在の人物ということは、予告編でわかってましたので、、、、
このシーンは本当に泣けた。。。。
ここで、先述したご婦人が喋っていて思わず注意しちゃったんですけどw
あと、この映画は名言が多いです。本当に。歴史の授業をこの人に教えてもらいたかった、、、 うちの高校の先生は、、、、生徒を見ずに教科書を見る人だったからなぁ、、、
特に、鳥肌が立ったセリフは、「ナチスのユダヤ人迫害は大量虐殺とは呼ばないの 大量虐殺の意味、知ってる?」です。
ナチスの蛮行は、ホロコースト=ナチスのユダヤ人に対する大量虐殺という言葉で説明されることが多いですよね。
しかし、このアンネ先生は、「ナチスのホロコーストは単なる大虐殺ではないの。もっと酷い行為なの」と説明します。もちろん、生徒たちは口ぽかんです。イスラム教徒、キリスト教徒も生徒にいますから、彼らは「ホロコーストはパレスチナの問題と同じだ」とか言って抵抗するんですが、、、そこでアンネ先生がどう切り返すか、、、
そして、それがいかに正しい発言だったのか、、それは映画をご覧になってください。
ナチスのユダヤ人の殺害方法とともに、アンネ先生は淡々と解説してくれます。その淡々さが怖い、、 でもこれは真実なんです。
で、今一度タイトルの「受け継ぐ者」に注目してみてください。
先生の名前は「アンネ」です。ユダヤ人でアンネという名前、、、
そうです、「アンネの日記」のアンネ・フランクですね。
歴史の教師の仕事とは、生徒に歴史を教えて、過去の人との橋渡しをする、受け継がせるわけですね。一方、アンネ・フランクさんは日記を書いて、今の我々にナチスの蛮行を歴史として受け継がせてくれた。
おそらく、脚本のアハメッドさんは、アンネ・フランクさんをアンネ先生に投影したのではないでしょうか?
4. 真のメッセージは、「イスラム教徒の差別」
で、この映画の凄いところは、不良生徒が真面目になって、歴史コンクールに挑む! という、スクールウォーズ的な、王道のストーリーにはなってないところにあるんです。
この映画の本当のテーマは、「フランス人の民族・宗教差別」にあるんですよ!!!
それを予告編でも、映画本編でも気付かせないように作っていた点が、脚本家として本当に優秀だなぁと思った理由です。
もう一度言いますけど、これ書いたの18歳ですからね!?笑
ありえんよ!!!
で、具体的にどんな差別を中心にして書いているかと言うと、イスラム教徒の差別を描いているんですね。
映画の冒頭のシーンで、イスラム教徒の生徒とその母親がイスラム教のスカーフを身につけながら、先生(アンヌ先生とは別の人)と揉めてるんですね。そこの高校は規則が厳しくて、先生が「スカーフを身につけてたら卒業を認めません!」と、なんとも無茶な理屈で生徒を卒業させないようにしてるんです。
で、生徒とその母親は怒り心頭、「これはイスラム教差別だ!!」と叫ぶ。
映画の冒頭シーンに最も自分の言いたいことが隠されているとか、いかにも映画好きな人が書いた脚本っぽいところも良いですね! デビット・フィンチャー作品の見過ぎなんじゃないかと思うんですけどもww
あと、主人公のアンヌ先生は、歴史・地理以外にも美術史に造詣が深くて、授業を担当してるんですけど、、
そこで、キリスト教の絵画を見せるんですね。
あくまでも絵画はイメージですよ。
https://macbeese.com/wp-content/uploads/2014/01/11.jpg
で、その絵画ってのは地獄をイメージして描かれたものなんですけど、アンヌ先生は「この人はムハンマドと言われているの」と言い放つんです。
つまり、ムハンマドは地獄に落ちたと言っているんですね。これはイスラム教からしたらとんでもない暴言で、イスラム教の生徒は怒り心頭。冒頭のシーンと重なりますね。
ただ、アンヌ先生の言い分は、「これは歴史の授業よ、史実として理解しなさい」
アンヌ先生は、宗教が違うからと言って、相手に失礼とかじゃなくて、歴史は歴史として認識して欲しいんですね。つまり、宗教で差別するつもりが全くない。そう知った生徒は先生に懐いていくんですが。
で、何故ここまでイスラム教の差別を描いているのか。脚本を書いたアハメッドくんがイスラム教徒なんですね。名前を見たらわかると思うんですが。
彼が脚本を書いたのは2009年です。イスラム国が存在していなかった時代です。つまり、彼自身の体験が色濃く反映されているのです。
アハメッドくんを知るたびに、この映画がより面白く見えます。知れば知るほど面白い映画、これこそ名作と言えるのではないでしょうか?
ただ、この映画に関してはなるべく予備知識を入れた方がいいかと思いました。アハメッドくんを知ってから見たら、もっと感動したに違いない。。だって、よくよく考えれば、色んなシーンに18歳当時の彼の思いが込められているんだもの、、、
5.アウシュビッツで殺されたのはユダヤ人だけじゃなかった
これは予備情報なんですが、、 この映画ではナチスの大量虐殺で、ユダヤ人以外に「ロマ族」も被害に遭っていたことをアンネ先生は説明してくださいます。
日本ではロマ族の存在がほとんど知られてないですからね。。ヨーロッパでは有名らしいです。
いわゆる、ジプシーの方みたいです。最近では普通に家で暮らしている方もいらっしゃるみたいです。
ヨーロッパの街を歩いている時に、駅前で物乞いをしているおばさん、いるじゃないですか?
https://haofu.c.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_ec0/haofu/2010_07Rome_mendiant01.jpg?c=a0
実は、ナチスはユダヤ人のみを迫害していたわけじゃなくて、基本的にドイツ人=アーリア人以外は敵視してたんですね。
実際に、ロマ族の方もユダヤ人に紛れてナチスの迫害を受けていたらしいです。
以上です! また長くなったな、、、