こんにちは! Machinakaです!!
今回批評するのはこちら!!
「犬猿」
もはや伝説的となったヒメアノ〜ルの脚本・監督である吉田恵輔さんの完全オリジナル脚本で全国公開!!!
吉田大八、吉田監督、、など日本映画には「吉田」がアツい!!
楽しみすぎて、初日に参加してまいりました!!
それでは「犬猿」批評、いってみよーーーー!!!
[あらすじ・見どころ]
・「ヒメアノ~ル」の吉田恵輔が4年ぶりにオリジナル脚本でメガホンをとり、見た目も性格も正反対な兄弟と姉妹を主人公に描いた人間ドラマ。
・印刷会社の営業マンとして働く真面目な青年・金山和成は、乱暴でトラブルばかり起こす兄・卓司の存在を恐れていた。
・そんな和成に思いを寄せる幾野由利亜は、容姿は悪いが仕事ができ、家業の印刷工場をテキパキと切り盛りしている。
・一方、由利亜の妹・真子は美人だけど要領が悪く、印刷工場を手伝いながら芸能活動に励んでいる。
・そんな相性の悪い2組の兄弟姉妹が、それまで互いに対して抱えてきた複雑な感情をついに爆発させ……。
・和成役を「東京喰種 トーキョーグール」の窪田正孝、卓司役を「百円の恋」の新井浩文、由利亜役をお笑いコンビ「ニッチェ」の江上敬子、真子役を「闇金ウシジマくん Part3」の筧美和子がそれぞれ演じる。
はい、もう予告編から楽しそうな面白さを持つ映画でしょう。
窪田正孝さんという演技ができて人気のある方をキャストに抜擢して、今や大大大人気の新井浩文さん!粗暴な演技に超期待です。この二人が兄弟をやると、に、似てねぇ、、、、
そして、名前は知ってたけど顔は知らなかった筧美和子ちゃん!ザ・グラビアアイドルって感じのエッチな娘(願望ですいません)なのです!! その姉に当たるのが、なんとニッチェの江上さんwwww 確か初めて見たのはゴッドタンの若手芸人紹介コーナーの時だったなぁ、相方が劇団ひとりとガチでキスするっていうね、やってましたねw その時にはこんなに売れるとは思ってなかったし、まさか映画まで進出するとは!まさか吉田恵輔監督作品!!! で、この二人が姉妹。
とまぁ、この4人が主人公となって兄弟・姉妹のバトルが繰り広げられると、、、 前作のヒメアノ〜ルもそうでしたが、この監督は非常にバランスが良いですよ。窪田正孝くんという花形俳優を置いて全国公開を実現させているし、新井さんのような演技派の人も主演に置いている。そして江上を入れる意欲的なキャスティング、、、 こりゃ見たくなるよw 商業映画とミニシアター系のバランス感覚が非常に素晴らしい監督の最新作、、、
それでは映画の感想でっす!!!!
[映画の感想]
・一言感想
兄弟いない俺でも楽しめる!! 男同士だからこそ、女同士だからこそ出来る兄弟・姉妹の奇妙にも思える人間ドラマの大傑作!!
ニッチェはアカデミー主演女優賞に是非!! なんなら俺のMachidemy賞をあげますww 笑いも怒りも悲しみも、全部江上が持ってったぞ!!!
そして、監督の作家性全開の非常にクセがある作り。兄弟・姉妹のシーンを交互に見せる「対」の構造と、二組の状況が次第に同質化していくシンクロ構造、、、 兄弟・姉妹のツイン(二組)のバトルがピークに達する時、何が起きるか? 見逃すな!!!!
・解説
・日本映画は言い訳できない。
はい、すでに犬猿を見終えたMachinakaでございます。
もちろん、大満足でございます。いやぁ、本当に面白いです。無駄な台詞が一つもなく、無駄なシーンも一秒たりとも無い。ここまで純度を高めた人間ドラマってあるのか?
しかも、爆笑できて怖がれて楽しめて、、、どれだけ感情を揺さぶられたか、、、私の映画の師匠、宇多丸さん曰く「吉田監督作品は胃をキリキリさせる」映画。
そう、キリキリします。兄弟がいない自分にとっては、普段は客観的に見ている兄弟と姉妹の関係性。しかし、今作を鑑賞中には否が応でも自分が兄弟・姉妹の一部になったかのような錯覚が起きるほど感情移入してしまう。。
そして、ラストのあのシーンでは涙を禁じえない。これ、完全にキャラが私の脳内で生きている証拠。キャラが人間として認識している証拠でもあって、本当に素晴らしいなぁと。後述しますが、兄弟と姉妹という対の関係を交互に見せていき、最後には二組が同じ状況(というか結末?)を迎える=ツイン(対ン)がピークを迎えるというツイン•ピークスのシーンには、感情を揺さぶられてしまうよね。ってか監督うまいですよね。
映画には対位法って演出方法があって、悲しいシーンに楽しげな音楽を入れるとかって方法の事を言うんですけど。
で、吉田監督って前作「ヒメアノ〜ル」では対位法っぽいことをやってたわけですよ。生と死の対位として、濱田岳のセクースシーンと森田剛さんが人を殺すシーンを交互に見せていくって方法を見せてたんですよ。
でも、今回は別々の場所にいる兄弟・姉妹が全く同じ状況に置かれ、それらを交互に見せていくという、ある意味対立法とは正反対のことをしていて、、、同じようなシーンを交互に見せていてくから対立法でなく堆積法っていうか、、、
あ!アメブロっぽくスイーツ的に言うならミルフィーユ・メソッドだよっ♡
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はい、このミルフィーユ・メソッドですけど、普通に考えれば同じシーンを男女別でやってるだけで、無駄とも冗長なシーンとも思えるんですけど、今作に限っては兄弟・姉妹での危機的状況に対する反応の微妙な違いを楽しめることや、共通点を発見できる楽しさ。何より悲しみが相乗効果で観客に伝わって来る感覚がするんですよね。
そんなミルフィーユ・メソッドをラストに持ってくる挑戦的な吉田監督、大好きです!!!見事に術中にはまりました!!
後ですね、好きなところを箇条書きにしますよ!
・江上さんの演技が凄すぎて、、コント出身の芸人さんって演技が上手いのは知ってるけども、ここまで凄いとは、、特に「悲しみ」を表す演技。悲しみというか、悲しみを通り越して「悲痛」や「虚空」を表していたのが、普段テレビでは見れないニッチェさんを楽しめました! 何より、映画に出てくるだけで笑える!病院のシーンは最高!そして、俺にもあのチャーハンを作ってくれ!!!!
・筧美和子ちゃんがエロ可愛くて、前作ヒメアノ〜ルの佐津川愛美ちゃんんを思い返してしまった、、、 そして、現実にもグラビアやってるんだね、筧美和子ちゃん、、、これからお世話になりまっす!!
・新井浩文さん、怖いっす!怖いと思ったら良い人じゃん! 怖いけどw 見事に長男としての役割を粗暴に果たしたと思います笑 王様のブランチに生放送に出演して、「待ってる間ずっとタバコ吸ってましたよ」ってどんだけ正直でしょうもない話してるんだよって思ったけど、これ役作りしてたんだね! 純粋で良い兄貴でした!!
・窪田正孝さん!! あなたが一番クズに思えたよ! でもリアルだよ! あんな次男いっぱいいるよ!!! 兄が憎くて消えてくれって思ってる人はいっぱいいるはずw
・4タイプに分けられる対の兄弟・姉妹
さて、ここからは真面目な解説を少ししたいと思います。この映画はさっきあげた対位法ならぬ堆積法「ミルフィーユ・メソッド」以外にも、珍しい演出法を使っていたと思います。
それはキャラ造形的「シンメトリー」構造。どういうことか?
この画像を使って説明したいと思います。珍しく画像を作りました。。。
顔写真:©「犬猿」制作委員会
横軸にキャラクターの犬系・猿系(犬:世の中の行動規範に縛られる。猿:自由奔放で野獣的)、縦軸に利口・純粋(利口:長男の陰に隠れて美味しいところを持っていく、ずる賢い、心に闇がある。純粋:思考が単純、正直な発言する、好きな人に一途。)をとると、このようにキャラを分類できるでしょう。
兄弟の窪田・新井と姉妹の筧・江上はそれぞれキャラの特性が対照的になっていて、決して交わることはない。似ている部分はないのです。
・窪田くんは犬系ながらも利口。いわゆる次男って感じで。お兄ちゃんには決して逆らえないけど、隙あれば攻撃しようとするタイプで。ラストシーンのあの行動には寒気を感じます。
・兄の新井さんは猿系で純粋。粗暴だけど、親孝行するところや物事をハッキリ言うところが純粋ですよね。
・次女の筧美和子ちゃんは猿系で利口。姉の会社に勤めながら芸能活動している、という自由奔放に見えて実は固い仕事もしている、というポジション取りで、社会的責任がほとんどないという次女っぽい位置にいる人。この子も発言と本音が違うというか、コソコソ生きてるなぁと感じる。
・そして長女の江上は犬系で純粋。この子が一番純粋で可哀想なキャラなんだ。。。窪田くんを好き過ぎるけど真面目で億劫なんで告白ができない。そんな間に、、、、あぁ、これ以上言えないっす!!!!! 悲しいよ。。。
とまぁこんなように、一人もキャラが被っていない。しかも、兄弟と姉妹で対照的なキャラにしている、対角線を引かないと繋がれないほど遠い距離にいるのです。そりゃ兄弟・姉妹喧嘩もするわな。。
このキャラの対照関係こそ「犬猿」を表象しているのであり、キャラ造形的シンメトリー構造だと思うのです。
そして、兄弟・姉妹のそれぞれの対角線が交わるのが「犬猿」という映画で。。。
まとめると、以下のような対照関係=シンメトリーがあったと思います。
・兄弟・姉妹内の対照関係
・兄弟・姉妹という対照関係
・編集の対照関係(交互に見せていく、という意味で)
・前作「ヒメアノ〜ル」との共通点が多すぎる
一人の作家が作ってるから仕方ないんですけど、ムチムチでエロ可愛い筧美和子ちゃんは前作で言うところの佐津川愛美ちゃんだし、兄弟・姉妹という2場面をメインに交互に見せていき、時に最終的に2組が交わっていくのもヒメのあ〜るっぽいし、また最後の最後で少年時代の回想シーンが流れるのも、ヒメのあ〜るっぽい!
・予告編をスルーできない映画館でしか体験できない最高のオープニング
これ、試写会でもあったのか分かりませんけども、、、
渋谷TOEIで鑑賞した私は、10分前に映画館に入って予告編を見てたんですよ。
東映の映画館ということもあり、プリキュアとか特撮の予告をやってたんですけど、なんと最後の最後でスイーツ系の映画の予告をやっていて、、
タイトルがhoneyハニーというね、、、これだけターゲット層が明確な映画も珍しいですよ。本当ウンポコピーですねぇ、、、
「またこんなスイーツ映画つくんのかよ!なんだよ!」って思いながら見てました。
そして、なんとなんと!!また似たようなスイーツ系の予告編が流れて、いかにも類型的なJKスイーツうんこ映画の予告編を二連続で見るっていうね。本当に最悪だなぁ今日の映画館って思ってたんですよ。
で、その映画の最後にいかにもーなエキストラスタッフが「共感する映画です!共感、共感、ぜ〜〜たい共感」みたいな言わされている感満載のコメントを言ってて、こっちは「もうやめろ!早く犬猿を見せてくれ!!!!」ってイライラしてたんですよ。
が、しかし!!!!!予告編が終わった瞬間、いきなり窪田正孝くんが車を運転している姿が写って、そのスイーツ系映画の予告編が車内のモニターで流れている映像が見えるんです。。。
つまりですね!! これ映画のために作った予告編なんですよ!!!!! 東映が主催する実在のスイーツ映画「ハニー」の予告編にシームレスに続いた同じくスイーツ系映画の予告は、映画のために作られた虚構の映画だったのです!!!!!!
実在するスイーツ映画の予告編を本編開始直前に、嘘のスイーツ系映画の予告編を本編開始直後に流すことで、あたかも本当のスイーツ系映画だと錯覚してしまうこの演出!!!
しかも、その予告編を見る窪田正孝くんの冷たい目、、、すっごく冷たい顔してるんですよ。。。 まるで興味ないって感じで。しかも「共感!共感!!共感!!」って共感を強調するシーンで窪田さんの冷たい表情が、、、
つまりこれは、「俺が作る映画は共感なんてさせる気ないからな! 共感なんて興味ないからな!!」と現代邦画を崩壊させているスイーツ映画への皮肉と、自分の作家性を宣言したのではないでしょうか!?
以上です。絶対にお勧め!!!!
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