こんにちは! Machinakaです!!
今回批評する映画はこちら!
「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」
はい、突然ですが「プロジェクト」ってどういう意味か知ってますか?
事業? ビジネス? 案件?
日本ではそういう意味合いにばかり使われてますけどね、実は今作でいう「プロジェクト」とっていうのは「低所得者向けが多く住むスラム住宅」のことを指してるんですよね。
つまり、フロリダ・プロジェクトというのはフロリダのスラムって意味なんです。
そんなスラム街を描く映画なんですけど、なんだかポスターが明るくないか? 本当にスラム映画なのか???
それでは「フロリダ・プロジェクト」批評いってみよー!!!!
[あらすじ]
・全編iPhoneで撮影した映画「タンジェリン」で高く評価されたショーン・ベイカー監督が、カラフルな風景の広がるフロリダの安モーテルを舞台に、貧困層の人々の日常を6歳の少女の視点から描いた人間ドラマ。
・定住する家を失った6歳の少女ムーニーと母親ヘイリーは、フロリダ・ディズニーワールドのすぐ側にあるモーテル「マジック・キャッスル」でその日暮らしの生活を送っている。
・周囲の大人たちは厳しい現実に苦しんでいたが、ムーニーは同じくモーテルで暮らす子どもたちとともに冒険に満ちた日々を過ごし、管理人ボビーはそんな子どもたちを厳しくも温かく見守っていた。
・そんなムーニーの日常が、ある出来事をきっかけに大きく変わりはじめる。主人公ムーニー役にはフロリダ出身の子役ブルックリン・キンバリー・プリンス、母親ブレア役にはベイカー監督自らがInstagramで発掘した新人ブリア・ビネイトを抜擢。管理人ボビー役をウィレム・デフォーが好演し、第90回アカデミー助演男優賞にノミネートされた。
監督はショーン・ベイカーさん。どちらもよくある名前と苗字ですよねw 本当にねぇ、こういう名前って覚えづらいんで、何か覚え方が欲しいものです。
この人はまだ新人に近い人で、前作の映画は何とスマホで撮影してたんですってwww それで面白い映画作れんのかよw ってか何回データをアップロードしたんだって心配になるくらいなんですけどw
前作では予算が1000万と、日本映画でも安く感じるほどの予算で映画撮ってた人なんですよね。
今作ではウィレル・デフォーが出てるし、資金も潤ってきたんじゃないでしょうかね。
今回の舞台はフロリダなんですけど、フロリダって聞いたら何を思い浮かべますか?
とりあえずディズニーワールドがあるってのを思い浮かべるはずですね。フロリダに観光に来たら、まずディズニー行くでしょう。なんたって、「マジック・キングダム」「エプコット」「ディズニー・ハリウッド・スタジオ」「ディズニー・アニマル・キングダム」の4つのテーマパークがあるんですから! 日本ではディズニーランドとシーだけですもん!!
ちなみに、ディズニーワールドはランドとシーの面積の122倍なんだってwww
どんだけ大きいかわかりますよね?
そんな巨大なディズニーワールドがあるフロリダで「プロジェクト」というスラム街。そんなのあるように思えませんけども、、、
実は今作で出てくるプロジェクトはですね、ディズニーワールドの近くにあるプロジェクトを舞台にしてるんですよね。
東京ディズニーワールドもそうですが、近くにホテルっていっぱいありますよね? ディズニーに来た人が宿泊するために。
ディズニーワールドでは周辺にたくさん「モーテル」と呼ばれる簡易宿泊所があって、高級なホテルの近くに乱立してるんですよ。
そんなホテル、モーテル街の中に、プロジェクトと呼ばれる超オンボロの公営住宅地みたいな住宅が建ってるんですよ。
今作の主人公は二十歳と六歳の母娘なんですけど、この母娘がどこに住んでるかというと、プロジェクトではなくモーテルの方なんですよね。変ですよね、プロジェクトってタイトルが付いてるのにモーテルに住んでるんです。
実はこの母娘、プロジェクトにすら住めない超超低所得者なんですよね。
日本で例えてみましょう。
アルバイトや生活保護を受けている人たちが公営住宅やオンボロアポートに住んでることをプロジェクト水準の人たち、と定義するならば、今作の主人公は漫画喫茶に泊まって日雇いの仕事で食いつなぐ人たちなんですよ。
もう親にも頼れず、明日の生活すら心配な、どん底中のどん底の家庭環境に陥ってる母娘。
二十歳の母親はどう見てもチャラい、ギャルい。粗暴。
その娘も、母親の態度を真似てしまったのか、ファックを連発する粗暴娘に育ってしまっているのですよ。。まぁ、外見はすごい可愛い子ちゃんなんですけども。。
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客観的に見ると、今すぐ粗暴な母親から娘を守ってあげて!って言いたくなるんですけど、母親は娘にだけ優しくて、娘も母親だけにはファックを使わなくて、二人の強い絆があるわけですよ。
そんなプロジェクト以下の生活水準で暮らす母娘の物語がどんな結末を迎えるのか?
それでは映画の感想でっす!!
[映画の感想]
今年ベストの大傑作!
夢の国の近くに住む夢なき母娘を描いた、苛烈なヒューマンドラマだっ!!
ラストには鳥肌間違いなし!そうだ、まだ希望が残ってるんだよ!
親のしつけって、本当に大事!
親の存在って本当に大事!
周りの大人も本当に大事!
子供ができたら、ちゃんと叱ってあげよう、愛情を込めて。。。
[キャラクター設定に大きな余白があるのが○]
はい、鑑賞を終えたMachinakaでございます。
いやぁ、見てて辛かった、過酷だった。。
母娘の結末は言えないとして、今作の全体な感想を述べるならば、、、、
大満足です!! めっちゃくちゃ面白いです!!
これ、あまり有名な俳優さんがいないし、ミニシアターになるのかなぁと思ってたんですけど、品川のTジョイで上映してくれるなど、シネコンでも上映してくれるんですね、よかったです。。
今作は、非常に解釈の余地があるというか、あまりセリフで説明しないんですよね。主人公の母娘が貧しいってことは分かるんですけど、なんで貧しくなったかは分からない。
漫画喫茶に寝泊まりしているような過酷な生活を送る二十歳と六歳の母娘が主人公。
母親は粗暴だって言いましたけど、会う人全員に喧嘩を売ってるんですよね。
娘がいるため補助金のようなものはもらってるんですが、どうやら仕事はしていない様子。でも、なぜ仕事をやらないのか分からない。とにかく楽して暮らしたい、としか思えないほど体たらくな母親のイメージしか残らないんですけど、娘は本当に愛してる。
だから、一概に「こんな母親から離れなさい!」とは絶対に言えない映画なんですよね。おいおい、娘と暮らしたいなら仕事してちゃんとした家に住みなさいよ、ってツッコミたくなるんですけどもww
あと、なぜ母娘だけで暮らしてるのか分からない。父親の話は一切出てこないし、母親の両親はどこで何をしてるかも分からない。映画では完全に孤立した二人だけが描かれてるんですよね。つまり、人間関係の詳細を大幅にカットしていることで、二人の母娘だけで生きていかねばならぬという強制力が働いてしまうというか。
おそらく、父とは離婚したのかな?ていうかできちゃった婚で父は父になる前に二人から離れたのかな? とか、いろいろ考えねばならぬ映画なんですよ。
なので、映画を見た人の中には意味の分からないシーンが多いと思います。なんで母はあんなに粗暴なのか、あんなにツンケンしてるから仕事なくなるし人間関係が出来ないんだろ、って思うんですけどね。。。
真実は何か分からないですが、おそらく母親は過去にとんでもない人間関係のトラブルがあったんでしょう。もう両親とは縁を切ってるかもしれませんし、、そう考えると、粗暴な母親を見ていても涙が止まらない。あぁ、どうしてこうなってしまったんだ、と悲しみが滲み出てるんですよ。。。
そんなどうしようもない母娘を影で支えるのは、名優ウィレム・デフォー演じるモーテルの支配人。
この支配人がねぇ、、お客さんである母娘を影で守るんですよね。決して「ちゃんと仕事をしろ!」とか「もっとしっかりしろ!」とか正論を言わずに、「仕事は見つかったのか?」とかあくまでも見守るスタンスで母娘を見ている。
娘とその友達たちが変態に絡まれている時には、変態をその場で成敗!!! 、、とはせずに、「おい、何しにきたんだ? ちょっとジュースでも飲もうぜ!」と言って子供たちから変態を引き剥がし、本当に自販機まで行ってジュースを一口飲んでから「バコォォーーン!」って一発ぶんなぐるwwww
そう、子供達の前で変態を殴ったりはしないのですよ。子供の前で絶対に暴力はしないって決めてるんですよ、殴る対象は性犯罪者であっても、、、
そんな優しいデフォーに、Machinakaは惚れてしまいましたwww
正義感を丸出しにするのではなく、大事なところで母娘を守っている、良きおじさんなんです。
絶対にデフォーが好きになる映画に違いないですw 顔は怖いけど、優しい心を持ち合わせているんですよ。:.゚ヽ(´∀`。)ノ゚.:。+゚
そんな優しいおじさんが支配人なんですが、彼の生い立ちや家庭環境がまるで分からないんですよ。。ひょっとしたら、娘がいて既に独立してるのかなぁとか、離婚して娘とは会えなくなってるのかなぁとか、色々想像してしまうんです。
各キャラクターはどれも魅力的なんですけど、キャラの生い立ちとは一切分からずに、モーテルに空間を限定してるため、モーテル以外の場所にすごく空白がある、考えながら観れる映画なんですよね。
一番分からないと思うのは、娘が夜になると必ず一人でお風呂にずーと入ってること。なぜ母親と一緒にお風呂はいらないのでしょうか?
娘がお風呂に入ってる間、母は何をしているのでしょうか? 最後の方に明らかになるんですけども、母がいない理由を知った時、楽しそうなお風呂シーンがすごく残酷なシーンに変わるんですよね。。。
[娘がいる人は、辛すぎて見てられない]
仕事もしない母親で、子供はどんな生活をしてるかというと、、
すっごく楽しそうなんですよね。
例えば、お金がなくてパン屋の余り物を貰いに行くシーンでは、友達と一緒に、まるでハロウィンに行くように陽気でキャッキャ言いながら店に行くんですよ。あと、アイスクリーム屋に行って、客に「お金恵んでくださ〜い!」って明るい声で小金をせびるww
母と一緒に高級ホテルで安く仕入れた香水を押し売りに行くシーンでは、まるでゲームをするかのようにニコニコしながら売っている。。。
そうです、子供は貧困を知らないんですよ。食べ物を恵んでもらうのは友達との遊び、香水の押し売りは母と一緒に遊べる、子供にとっては全てが遊びなんですよ、自分が貧困で乞食だってことを知らない。。。
本当にねぇ、泣けますよ、これ。どんだけ娘が可哀想なんだって話ですよ。娘がいる人は、見てられないシーンが多く続くと思います。もっとこの子に良い生活をさせてあげたい!って。いっその事、粗暴な母から娘を離れさせて、他の家族と住まわせた方が良い人生を歩めるんじゃないかって、、、
でも、母親は子供が大好きで、娘を愛していてるんですよ。
もちろん、生活は底辺中の底辺ですけど、二人の絆は愛に満ち溢れているんですよ。。。
どうにか母娘一緒にこの貧困から抜け出してほしい!と願いながら映画を見るっていうね。。でも、映画を見ているだけの我々は母娘に対して何もしてあげられないっていう。。
一番辛かったシーンは、子供の食事ですね。
アメリカは日本と違って、フードバンクなど低所得者やホームレスに向けて、賞味期限の切れたご飯をタダで提供する機会が多いんですけど、子供が食べてるものの大半がパンやパスタなど炭水化物ばかりなんですよね。。
肉や野菜はもちろん、魚なんて絶対に食べないんですよ。
子供なのに豊かな食事が出来ないんですよ、、
で、母娘が住んでるモーテルの住人が通りかかるシーンがあるんですけど、低所得者なのに凄く太ってるんですよ。。。
しかも太り方が下半身ばかり太ってるんですよね。アメリカ独特の太り方なんですけど、炭水化物ばかり取って車社会だから運動しないから、お尻ばっかり太るんですよね。。
つまり、まだ子供だから太らないんですけど、娘もずっと今の食生活を続けていたら近隣住民みたいに太ってしまうってことなんですよ。。。
このシーンにも余白があって、考えさせられましたねぇ、、
[ディズニーの近くに住むという意味]
母娘はディズニーの近くに住んでるんですけど、お金がないからディズニーなんて行ったことがない。
夢の国の近くに住んでるのに、夢が持てない母娘という設定が、非常にうまいと思いました。
娘が遊び場にしてるレストランやショッピングセンターってのは、よーく看板を見ると、「Disney Gift Shop」って名前があって、ディズニー関連の商店ばかりなんですよ。
普通の子供ならディズニーショップに食らいついてワーワー楽しむんですけど、娘にとってはお金がないから関係なし。
娘はディズニーグッズより、アイスが食べたいとか、プールで遊びたいとか、まるでディズニーに興味を示さないんですよね。なんたる皮肉なことか、、、おそらく、母親はディズニーのことを教えたら「行きたい!」ってせがまれるから、あまりディズニーのことを教えてないと思うんですよね。
娘がいたら、ディズニーランドに一緒に行きたいって思うはずなんですけど、お金がないからできない。でも、ディズニーの近くに住んでいる、、、本当に皮肉な環境設定というか、居住設定というか、、、
一番の皮肉はですね、母娘が住んでるモーテルの名前が「マジック・キャッスル」という名前なんですよww これ、ディズニーワールドのテーマパークの一つである「マジック・キングダム」を文字ってるんですよね。
夢の国には、物理的には近くても金銭的には遠い距離にあるんですよね。
ただ、最後の最後にディズニーと娘が触れ合うシーンがあるんですけど、そのシーンが本当に感動的でねぇ、、
母があんなに粗暴だし、周りも誰も助けてくれないんですけど、最後にディズニーという希望を提示して終わるんですよね。
撮影許可を出したディズニーは素晴らしいと思います。なんか、ディズニーに行きたくなってきた!!!!
[対位法が素晴らしい]
最後に!
この映画の特徴として対位法の多用が挙げられると思います。
対位法とは、悲しいシーンで明るい音楽を掛けたりする、正反対の映像と音響を組み合わせる演出方法なんですけども、今作では全編にわたって対位法を使ってるんですよね。
例えば、母娘の住むモーテルは、低所得者ばかりで暴力沙汰ばかり起こってる危ない住宅なんですけど、壁が全てピンクなんですよ。。。
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いつ子供が襲われてもおかしくない場所なんですけど、壁はピンクで可愛い。。
あと、母親の髪の毛が綺麗な青とピンクで染められていて、貧しいのにどこかゴージャスなルックをしているように見える、ぱっと見アーティストに見えるのも、意外な組み合わせなんですよね。また、これはフロリダの天気だから仕方ないんですけど、どんだけ怖くて辛いシーンでもピーカン照りで、景色は非常に明るいんです。
お金がなくてどうしようもない母娘の生活なんですが、映像を見る限りは明るくて楽しそうに見える、そんなアンバランスが美しくて、映画の魅力となっています。
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はい、ここまで紹介してきたフロリダ・プロジェクト。
これがそれなりの規模で公開してくれることに感謝ですし、今公開してるんだから是非とも見て欲しいです。
娘がいると辛いシーンも出てくると思いますが、景色は美しいし、母娘の愛を感じてあげてください。。
そして、最後の最後にドンデン返しが待ってます。なぜモーテルの名前が「マジック・キャッスル」なのか、分かります。
希望のなかった娘に希望が宿る、宿りそうになる瞬間を見届けてください!! 本当に傑作です!!!!
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