Machinakaの日記

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映画「ブラッククランズマン」ネタバレあり感想解説と評価 ヘザー・ヘイヤーとは?白人のために捧げた黒人映画

 
こんにちは! 
 
Machinakaです!! 
 
この記事では、「ブラッククランズマン」のネタバレあり感想解説と評価記事を書いています。
 
今作はネタバレありで書かないと、上手く感想が書けません。なぜなら、映画で伝えたいメッセージは最後の最後に隠されていたからです。
 
感想の途中からネタバレがあるので、ご注意くださいませ。
 

 

 
 目次
 
 
 

はじめに

 
こんにちは! 
 
Machinakaです!! 
 
Twitterもやってます!
 
 

 

今回批評する映画はこちら!

 

「ブラッククランズマン」

 
 

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待ってました、スパイク・リーの最新作にて話題作。

 

アカデミー賞授賞式にて、脚色賞を受賞して喜びを爆発させたスパイク・リー。

舞台に上がって脚本賞を読み上げたサミュエル・L・ジャクソンと抱擁。

受賞した喜びとサミュエル・L・ジャクソンと抱擁した喜びが混じり合い、アカデミー賞の生放送で「マザーファッ◯!!」と発してしまったのは、未だに忘れられないです。

 

もう音声消されてるかな?

 


Watch Spike Lee’s Oscars 2019 Speech for BLACKkKLANSMAN


さて、そんなアカデミー賞の珍事件の一幕は置いておいて、映画の感想に参りましょう。
 
 

それでは、「ブラッククランズマン」感想・解説、ネタバレありでいってみよー!!!!  

 

 

 

 
 

作品情報

 
・黒人刑事が白人至上主義団体「KKK(クー・クラックス・クラン)」潜入捜査した実話をつづったノンフィクション小説を、「マルコムX」のスパイク・リー監督が映画化。1979年、コロラド州コロラドスプリングスの警察署で、初の黒人刑事として採用されたロン・ストールワース。署内の白人刑事たちから冷遇されながらも捜査に燃えるロンは、新聞広告に掲載されていたKKKのメンバー募集に勢いで電話をかけ、黒人差別発言を繰り返して入団の面接にまで漕ぎ着けてしまう。しかし黒人であるロンはKKKと対面できないため、同僚の白人刑事フリップに協力してもらうことに。電話はロン、対面はフリップが担当して2人で1人の人物を演じながら、KKKの潜入捜査を進めていくが……。主人公ロンを名優デンゼル・ワシントンの実子ジョン・デビッド・ワシントン、相棒フリップを「スター・ウォーズ」シリーズのアダム・ドライバーが演じる。第71回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。第91回アカデミー賞では作品、監督など6部門にノミネートされ、脚色賞を受賞した。
 
 

映画の感想

 
 
 
 
注意!! 
 
 
 
ここからは映画に関する重大なネタバレがあります。お気をつけてください。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アカデミー脚本賞も納得!! 
エンターテイメントと社会的メッセージを両立させた大大大傑作!! 
 
黒人が白人至上主義に潜入するブラックユーモアの効いたサスペンス、「アメリカ・ファースト!」を掛け声にするKKKは、まさしく「アイツ」のメタファーw 
現政権に釘を刺しながらも、あくまで潜入捜査モノとしてのドキドキ・ワクワク感を維持したまま、最後まで本当に本当に面白く鑑賞できました!!! 
 
いやぁ、スカッとする映画で面白かった! よかった!! 
 
・・・ 
 
・・・と思いきや、ラストのラストで流れるあの映像に衝撃。 
 
今まで今作は黒人のための映画と思っていたら、そうじゃなかった。黒人ではなく、白人のために捧げたスパイク・リーの訴えに強く胸を打たれた。 
 
エンターテイメントと社会問題、そして最後に強烈なメッセージを投げかける、全く新しい人種差別撤廃映画!!
 

 

 

 

 

単なる社会風刺に非ず!エンターテイメントと社会問題を両立させた大傑作

 

本当に面白かったです。何度も言いますが。

 

トランプ政権に対する批判や多様性溢れた映画がアカデミー賞で評価される中、「ブラッククランズマン」というタイトルだけで人種差別を想起させる映画が、見事に脚色賞を受賞しました。

 

白人と黒人がタッグになって、白人だらけの空間に乗り込むという点では作品賞を取った「グリーンブック」と共通しています。

 

ただ今作は、「グリーンブック」よりも遥かにおバカで、メッセージが痛烈で、日本映画の宣伝でよく使われる「劇薬エンターテイメント」という表現がふさわしいのかもしれません。

 

とにかく、こんな刺激的な人種差別撤廃映画は見たことがない、本当に。。

 

黒人がKKKに潜入するという設定の面白さ、徹底的に白人をバカにする痛快さ、潜入モノ措定のドキドキ・ワクワク。映画にとって面白くなる要素がこんなにあるのに、社会問題もしっかり取り入れている点が本当に素晴らしいと思いました。

 

どうしても社会問題を入れると真面目な映画になってしまいがちですが、スパイク・リーはぶっ飛んでるんだよw 本当にすごいよw

 

エンターテイメントと社会問題を両立させたという点では最近では「ウインド・リバー」が際立ちましたけども、こっちは「サスペンスと社会問題の融合」。今作は「コメディと社会問題の融合」でしょうかね。

 

www.machinaka-movie-review.com

 

黒人がKKKに潜入と言っても、直接出向くわけじゃない(当然ながら)。電話越しにKKKとやり取りをし、実際に会いに行くのは白人のアダム・ドライバー。

 

しかし、アダムは黒人と同じくKKKの目の敵であるユダヤ人でもあったんです。つまり、アダムは白人と言ってもKKKに入るのは非常にリスキーなところなんですよね。

 

黒人だけでなくユダヤ人をも差別するKKKの人種差別の実態を紹介するとともに、潜入捜査モノとして面白くする設定にも使えてる点こそ、エンタメと社会問題の両立を象徴しているモノではないでしょうか?

 

 

KKKを黒人がコケにする爆笑シーンw

もう、何度笑ったことかww

 

今作の笑いの特徴は、電話越しでKKKと電話する黒人警官と、KKKの幹部とのやり取り。

白人英語の真似が上手い黒人警官のロン。わざと白人英語で話しかけるのですが、電話越しでは絶対に黒人だとバレないんですよねw

しかもKKKに気に入られるために、自ら「黒人なんてありえないですよ!まじどっかいって欲しいですよ!」とかキラーワードを国自体がそうするっていうw

 

口だけなら白人に見えるロンはKKKをまくしあげ、最初の電話で「ずっと君のような人材を探していたよ」ってKKKに言わせる始末w

 

セリフは黒人を罵倒する内容なのに映像では完全に黒人ww このギャップに笑わずは入られませんでした。

 

 

 

KKKとは?國民の創生のクリップをなぜ入れた?

 
KKKとはクー・クラックス・クランという白人至上主義の団体です。
 
その名の通り、白人が一番だと信じてやまない、最強に最低な極右団体です。
 
白人なら誰でもいいかと言うと、そうではありません。
 
白人の中でも、WASP(White Anglo-Saxon Protestant)やアーリア人の白人のみを仲間とし、それ以外の人種を全く認めない団体なのです。
 
アーリア人
 
そんなKKKが作った映画が1915年に作られた「國民の創生」
 
國民の創生 D・W・グリフィス Blu-ray

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映画でも何回も登場しますが、この映画では勇猛果敢(に見える)KKKが黒人やユダヤ人を痛めつけるんですよね。だからKKKの集会で上映されるわけです。
 
ただ、この國民の創生は映画史に永遠に引き継がれるほどの名作で、映画として大変立派な出来栄えなんですよ。おそらく、これからも多くの人に見られると思います。
 
だから、國民の創生を流すこと自体、人種差別撤廃を求める映画では珍しいんです。
 
 
 
 

 

アカデミー賞脚色賞も納得のクオリティ!その理由とは? 

実は今作のプロデューサーは、あの「ゲットアウト」の脚本を書いたジョーダン・ピールが務めているんですよね。
 
今作の重要な設定である「黒人がKKKに潜入する」というプロットは、実はプロデューサーであるジョーダン・ピールの提案であり、脚本に多大な影響を与えているんです。
 
ちなみに、ゲットアウトは2018年のアカデミー賞で脚本賞を受賞しています。そして今作ではアカデミー脚色賞。間接的な貢献も含めれば、ジョーダン・ピールは脚本賞と脚色を取っているようなモノなんですよw
 
ジョーダン・ピールの「ゲットアウト」も、どこか今作と似ているところがありますよね。黒人が、白人だらけの世界に入り込むっていう点で。 

 

 

 

ネタバレ大注意!!ラストのアレについて

最後はイラつく警官を警察署ぐるみで捕まえ、一件落着! これでもうロンに平穏な日々が流れる。。。
 
と思ったその矢先、全く映画とは異なる映像が。
 
1970年代の映画のはずなのに、最後に写ったのは2017年のニュース映像。
現在の白人至上主義団体KKKにインタビューを敢行した映像や、KKKとネオナチがデモしている映像が映る。デモ中に突進する車。そして車に引かれる人々を撮った映像が流れる。
次に映るのはトランプ大統領本人。そして、最後の最後には暴走車に殺された白人女性ヘザー・ヘイヤーの花束を写す。映画はヘザーに向けて作られたものだと分かる。
 

 

今までの時代背景をぶった切って、無理やり現代のニュース映像を入れたと思うしかない。なぜこんなにストレートなまでの政治批判をするのか?

 

正直、見た人は戸惑うでしょう。俺も最初、唖然としていました。

 

もちろんですね、「KKKは今でも続いているんだぞ!忘れるなお前ら!」って言いたいのは分かるんですけど、それってあえて映画でやらなくて良くない? って意見もあるわけです。

 

あのラストをどうやって飲み込むかですけども、、、俺は大賛成であり大反対です!! 

 

ちゃんと映画を見たら分かるけども、あんなにスマートに映画を取れる名匠が、まるでマイケル・ムーアのようなニュース映像のマッシュアップをベタベタと貼っているんですよ。

そして一番驚いたのは、何のメタファーも間接表現もなく、トランプ大統領をモロに写したこと。本編中では「アメリカ・ファースト」という言葉だけで表現していたのに、もう最後は何の包み隠しもなく、ストレートにトランプを。。

 

衝撃を受けました。

 

ただ、私の解釈としては、映画的でない直接的な表現をあえてしてまで、伝えたいメッセージだったんだろうと。自分の得意とする映画的表現を抑えて、あんなに直接的なメッセージまで。

 

正直ね、スパイク・リーにここまでやらせるなよ! って思って見てました。ああいうのはマイケル・ムーアがやればいい。テレビでやればいい。

 

映画を撮るプロであるスパイク・リーの作品の中に、こんなニュース映像が流れること自体、ナンセンスだと思うんです。

 

 

ヘザー・ヘイヤーとは?

 
ヘザー・ヘイヤーはKKK、ネオナチといった人種差別主義者のデモ行進中に暴走車によって引かれ、32歳の若さで死んでしまった公民権の活動家です。
 
ちなみに彼女は弁護士見習いの「パラリーガル」を職業とし、日頃からKKKやネオナチの行動を疑問視。声高らかに人種差別を糾弾していました
 
 
 
 
彼女は現代アメリカにおいて新しい公民権の象徴となったのです。
 

 

 

 

 

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