まえがき
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「ブラックパンサー2 ワカンダ・フォーエバー」
ワカンダ・フォーエバーーーーーーーー!!!!
ふぉおおおお!!!!!
うぉおおおおおおおおおおお!!!!!
MCU卒業、だなんてできねぇぜ!!!!!
161分?そんなの関係ない!!
チャドウィック・ボーズマンが亡き後も、代役を立てずに続編を制作!
このアツい心意気だけでも、もう泣けてきてしまう・・・
前作が大好きだったので、今回も非常に期待です!!
それでは「ブラックパンサー2 ワカンダ・フォーエバー」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。
あらすじ
マーベル・シネマティック・ユニバースの一作として世界的大ヒットを記録し、コミックヒーロー映画として史上初めてアカデミー作品賞を含む7部門にノミネート、3部門で受賞を果たした「ブラックパンサー」の続編。主人公ティ・チャラ/ブラックパンサーを演じたチャドウィック・ボーズマンが2020年8月に死去したが、代役を立てずに続編を製作した。
国王ティ・チャラを失い、悲しみに包まれるワカンダ。先代の王ティ・チャカの妻であり、ティ・チャラの母でもあるラモンダが玉座に座り、悲しみを乗り越えて新たな一歩を踏み出そうとしていた。そんな大きな岐路に立たされたワカンダに、新たな脅威が迫っていた。
監督・脚本は前作から引き続きライアン・クーグラーが担当。ティ・チャラの妹シュリ役のレティーシャ・ライト、母ラモンダを演じるアンジェラ・バセットをはじめ、ルピタ・ニョンゴ、マーティン・フリーマン、ダイナイ・グリラ、ウィンストン・デューク、フローレンス・カスンバらが前作キャストが再登場。新たに「フォーエバー・パージ」などで知られるテノッチ・ウエルタが参加した。
「ブラックパンサー2 ワカンダ・フォーエバー」のネタバレありの感想と解説(全体)
「#ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー」鑑賞
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2022年11月11日
色々言いたいことはある。しかし全ては王女のために、そして王のために。
故チャドウィック・ボーズマンの最大限の敬意と残された者たちの咆哮に涙が枯れた。
エモーショナルな演出は抑え、あくまで「継承」をテーマに絶妙なバランスで描かれる。 pic.twitter.com/kNuaZHvjoi
全ては王女のために、そして王のために
前作の名シーンを上手く対比させながら、シュリがブラックパンサーになるまでの苦悩と葛藤に泣かされっぱなしの161分。
2020年に亡くなったチャドウィック・ボーズマンの代役を立てずに作られた「ブラックパンサー」の続編ですが、当初の計画から大幅な変更が行われたことは想像に難くありません。
主人公不在のヒーロー映画。意図的にジェダイを省いた「ローグワン」のように予め計画されたものではなく、急遽変更せざるを得なくなったのです。
上映時間の長さ、単調なカットバックが多い、バトルシーンの交通整理力など、色々言いたいことはあります。
しかし、全ては王女と王のために。
王であり兄を亡くしたシュリが、ワカンダに再び訪れる危機に立ち向かい、想像を絶するほどの苦悩と葛藤と向き合いながら王になる過程を考えると、2時間じゃ足りないのはよく分かります。
これは映画を通した弔いでもあって、一概に映画として評価すること自体が難しくもあります。
冒頭、ティ・チャラが原因不明の病に倒れ緊急治療が行われている場面から始まります。もちろんティ・チャラの姿は映らない。というより映せない。
チャドウィック・ボーズマンの死因は大腸ガンであり、撮影中もガンを隠して仕事をしていました。この事実と重ねるように、今作でも突如ティ・チャラに死の危機が訪れシュリやオコエも寝耳に水の状態であることが分かります。
もうこの時点で涙が枯れそうでした。映画のファーストカットは一番伝えたい内容を持ってくることが多いです。今作の場合は、チャドウィック・ボーズマン=ティ・チャラの訃報を真っ先に持っていったのです。
その後はシュリとオコエを中心として、ワカンダと同じくヴィブラニウムを使うタロカン帝国と対峙。アメリカなど外の世界の関係性をなくし、ワカンダとタロカンの争いがフィーチャされます。
タロカン帝国のネイモアは今作のヴィラン的存在で、ククルカンと呼ばれる「羽を持つ蛇の神」。タロカン帝国の間では王であり神であり、絶対的な強さを持って今作に登場します。
強さのレベルでは、キルモンガーよりも断然強いのではないでしょうか。
既に王であるネイモアと王を継承するシュリとが話し合い、前作キルモンガーと同じように排外主義を強要する展開になっていく。ネイモアは完全にキルモンガーなんですよね。ネイモアにもキルモンガーの役割を与えることで、ティ・チャラとシュリが同じ道を辿っていく話になっているのですが、ティ・チャラの時のようにバトルで優劣を付けるようなことはできない。国が違うため二人が戦えば即戦争となってしまうんですよね。
もともと王としての道を想定しておらず、科学者として生きることを志していたシュリ。だからこそ、ティ・チャラとは王になる過程が全く違います。
まるでアイアンマンやスパイダーマンのように、科学の力を使ってハート型のハーブを開発したり、自らの意思でハーブを飲み干したり、部族のしきたりでなく自らの意思で王になったシュリが印象的でした。
ここまで前作に寄せて、ティ・チャラと比較せざるを得ない役割を担ったシュリことレティーシャ・ライト。彼女の演技力には脱帽でした。調子の良い妹だった前作と比べて、今作の表情は威厳があり一言一言の発言に強烈な力が込められている。
途中からティ・チャラに見えてくるんですよね・・・ 特にスーツを着て戦うシュリはまるでティ・チャラ。。。しかし弱音を吐くことなくワカンダの危機を救うために戦う。アンタ、いい顔してるよ・・・泣
そして最後は「ワイルドスピード スカイミッション」のような展開になっていきます。
シュリが王位継承の儀を辞退してまで向かったのはナキアの家。海のそばにあって、一人黄昏れるシュリ。はい、もうここまで書いたら展開は分かりますね。
ワイスピと非常に近い点が多々あって、ここはかなり参考にしたんじゃないかなぁ。
そんなことされたら、無条件で泣くに決まってますよね。しかも、ここも前作との対比になっていてまぁ上手いんだよなぁ・・・
MCUというよりも、ティ・チャラおよびチャドウィック・ボーズマンを弔うために作ったと言っても過言ではありません。エンドクレジット後の映像もないですし、ただ粛々とチャドウィック・ボーズマンに哀悼の意を捧げる内容になってるんですよね。
個人的に印象的だったのは、哀悼の意を告げるメッセージに「in memory of」ではなく「dedicated to」という言葉が使われていたこと。ブラックパンサーのために尽くしたチャドウィック・ボーズマンに敬意を表すための言葉だったのではないでしょうか。
情報の交通整理力が問われる場面も
ただし、上映時間161分の中身は少し冗長的でもありました。
前作と比べて登場人物が多く、ネイモア率いるタロカン帝国の描写がどうしても薄くなりがちだったと思います。ヴィランでありながら、ワカンダと同じ境遇であるため友好的な面もある。特にシュリとネイモアの交流は、単なる国交を超えた絆のようなものを感じました。
要はネイモアにあまりに大きな役割を与えすぎたんですよね。今作が初登場なのでちゃんと時間を使って丁寧に描かないといけないのですが、あまりにも描写が足りなすぎた。前作のキルモンガーはあれだけ上手くできていたのに、残念でしたねぇ。
あとは何よりバトルシーンでしょうか。
タロカン帝国は海の国であり、海中や海上で戦うシーンが多いのですが、暗くて何してるかが非常に分かりづらい!!
特に後半、ワカンダ軍とタロカン軍との総力戦がダメでした。ワカンダ軍が用意した巨大な船の甲板上で全員が戦うのですが、キャラクター同士があまりに密なんですよこれが・・・百合子が見たら怒ってますよきっと。
まるで戦国時代の足軽兵同士の戦いのように、無秩序で全方位的に戦いが行われるんですよね。実際の戦なら仕方ないですけど、これはフィクションですから、それにワンシーンで撮るカメラは一つだけですから、ワチャワチャしてるんですよねぇ。。。
例えば「シビルウォー」の時のように空港に着くか着かないかの一直線上で戦いを見せたりする描き方なら良いんですけど、今作はありのままの戦を描いてしまっているので各キャラを立たせづらい。アクションの交通整理力が足りないんですよ。
多くのキャラクターが登場する戦いのシーンではあえて平面的に直線的に戦いを見せることも大事かと思います。戦いの空間演出力が足りないとも言えるのかな?
「クリード」では全く気にならなかったんですけど、ボクシングは予め戦いの空間が規定されてますからね。あれくらい狭い場所だったら撮りやすかったのかな。。
なんにせよ、今作のバトルはぜひルッソ兄弟に監修してもらいたかったです!!
まとめ
とまぁ色々書いてきましたが、今作を客観的に評価することが難しいです。
考えても見てください。他人様のお葬式に参加して、やれ念仏が長いとか(上映時間が長いとか)、あれこれ言うのは野暮じゃないですか?
チャドウィック・ボーズマンに哀悼の意を捧げる映画としてはこれ以上ない出来栄えですし、ブラックパンサーが好きな人にはたまらない描写ばかりです。
また次回、ブラックパンサーがMCUに登場してくれることを祈っています!!
ワカンダフォーエバーーーーーー!!!
92点 / 100点