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映画「すずめの戸締まり」ネタバレあり感想解説と評価 「すずめ」の真の意味に鳥肌が立つ / 新海監督が描いた新たな「キョリ」

 
こんにちは! 
 
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この記事では、「すずめの戸締まり」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

今回批評する映画はこちら

 

「すずめの戸締まり」

 

(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会
とうとうやってキタァァぁぁぁぁああああ!!!!!!
新海誠最新作!!
 
ブログを始めて間もないころ、「君の名は」にハマって何度鑑賞したことか。。
チャリンコ乗りながら「ぜんぜんぜんせ〜〜からぼくは〜〜〜〜〜〜!!!」ってねぇ、狂ったように歌ってましたよwwww
 

 

いやー、あれからもう6年。もちろん「天気の子」も良かったんですけどね、やはり「君の名は」の影響が大きくて・・・

 

東宝の売上もこの映画に掛かってますからね!!!

劇場公開も半端ない回数やってます!一日10〜20回はやってるんじゃないでしょうかね!!

とんでもない事ですよ。ブラックパンサーも同日公開ですけど、空いてる箱がないんだよねぇ・・・

 

それでは「すずめの戸締まり」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

あらすじ

  
「君の名は。」「天気の子」の新海誠監督が、日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる「扉」を閉める旅に出た少女の冒険と成長を描いた長編アニメーション。

九州で暮らす17歳の岩戸鈴芽(すずめ)は、扉を探しているという旅の青年に出会う。彼の後を追って山中の廃墟にたどり着いたすずめは、そこだけ崩壊から取り残されたかのようにたたずむ古びた扉を見つけ、引き寄せられるようにその扉に手を伸ばす。やがて、日本各地で次々と扉が開き始める。扉の向こう側からは災いがやって来るため、すずめは扉を閉める「戸締りの旅」に出ることに。数々の驚きや困難に見舞われながらも前へと進み続けるすずめだったが……。

「罪の声」「胸が鳴るのは君のせい」などに出演してきた若手俳優の原菜乃華が、オーディションを経て主人公すずめ役の声優に抜てきされた。

すずめの戸締まり : 作品情報 - 映画.com

 

「すずめの戸締まり」のネタバレありの感想と解説(全体)

 
 

 

これぞハケンアニメ

いやぁーー、まさかこれほどとは。

深夜最速終わった後にすぐこのブログを書いてるので興奮が冷めあらん状況なのを理解してほしいんですけど、、、、控えめにいって最高!!!大興奮だよ!!!!  

 

「君の名は」を見た時以来の衝撃が走りました。。。

 

日本映画の覇権を握る東宝が社運を掛けて作った超大作。

日本の総力を結集したと言っても良いほどの豪華スタッフ、キャスト。

全国の劇場が今作に席を明け渡し、今作へと続く扉を大量に作りました。

 

その扉の先は、いつもと似ているようで全く違う新海誠でした。

商業映画ながらも新海監督の作家性を存分に発揮し、悪い言い方ですが東宝に「作らされている」感がまるでない。むしろ水を得た魚のように自由自在に動き回っていた印象。

 

抽象論ばかりで申し訳ないですが、新海監督でしか成し得ない偉業を達成したのではないでしょうか。冷静に考えて、「君の名は」「天気の子」そして今作「すずめの戸締まり」を作るに至ったメンタリティ、すごいですよ。

だって一度も背伸びしたことをやってないんだもの。

 

映画の中身に入っていきますと、今作はこれまでのコテコテな恋愛青春モノではなく、「自分と見つめあうこと」をテーマにした作品なのであります。

「君の名は」で見たことあるような制服を着たキャワイイ女の子と、マクロスFのアルト君のようなイケメン男子がキュンキュンするのがメインの映画ではないのです!!!

後で詳しく書きますが、今作は主人公の鈴芽がかつての自分に会いに行く、過去の自分に会いに行く話なんですよね。

 

九州の宮崎?から始まり、ひょんなことから謎深きネコを探しに出かけるロードムービーとなっていて、愛媛・神戸・東京・そして岩手へと旅をする。

旅をするのは「君の名は」でも描かれてましたが、これほど全国各地の移動を伴う新海作品も珍しいのではないでしょうか。

もちろん草太と交流したり距離を縮める描写もあるのですが、、、

 

彼、ずっと椅子の状態ですからwwwww

 

これはもう物理的にイチャコラできないですよねーww

ずっと近くに意中の人がいることには違いないのですが、なぜ恋をしたとかなぜ距離が縮まったとかの描写は薄いです。

『「一目惚れ」「運命の人」ってことでヨロシク!!』とだけ言い残したような冒頭を見せておいて、あとは日本横断の旅。

 

これは思い切った行動に出たなと。

でも、思ったほど違和感がない。むしろ、面白い。

テンポよく描かれる旅情記と、各地で巣食う禍々しい扉を閉めるSFアクション的要素が見事なバランスでケンカをせず、ワクワクドキドキが止まらない。

そして最後、旅の終着点に涙を禁じ得ませんでした。。

 

よくぞ真正面から描ききった

今作の旅路の終着点は、岩手です。

鈴芽の出身地が岩手だから、今作のテーマは「自分を見つめ直す旅」であるだから、だけではありません。

本編中に明記されてますが、今回岩手をテーマとしたのは明確な意図がありました。

 

ここから大きなネタバレ注意です・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

今回は3.11、東日本大震災を描いています。

メタファーではなく、東日本大震災そのものです。

これまで新海監督は、古から起こる天災を描いてきました。

「君の名は」では隕石衝突、「天気の子」では水害。

 

そして今作は「地震」です。

 

今や日本のアニメーション界を背負って立つ新海誠監督。

テレビでもラジオでも新聞でもネットでも。

多くのマスメディアの目に触れる超話題作において、東日本大震災そのものを描く作品がかつてあったでしょうか。

 

東宝繋がりで言いますと、2016年に公開された「シン・ゴジラ」が東日本大震災を彷彿とさせる描写がありました。放射能や東京から疎開する描写などです。

ただ、あれは完全なるフィクションでありメタファーだった。庵野秀明はリアルとフィクションに明確な線をひいたわけです。

 

しかし今作は対照的に、リアルをフィクションに持ち込みました。

これは大きな賭けだったと思います。

震災の時の記憶がいまだに色褪せません。

日本、終わったんだと本気で怯えました。

目を背けたい時もありました。

 

新海誠監督は逃げも隠れもせず、正々堂々と東日本大震災そのものを描ききって見せました。

直接的な津波の描写や大きな地震は見せなかったものの(素晴らしい配慮です)、鈴芽が書いた絵日記の「3がつ11にち」のページを見せることで。。どのような表現をしたのかはネタバレできません。ぜひ映画で確認してください。

リアルをフィクションに持ち込むこと、非常にリスキーなことです。なぜならアニメーションは、現実では描けないことを自由に描けるのが強みなのですから。

それに、東日本大震災を描くこと自体に強烈なクレームが来ることも予想されます。

0.1秒たりとも配慮に欠けた描写があると、今作は終わりなのですから。

 

でも、私は今作の方針に大賛成です。

 

なぜなら、大変お恥ずかしい話ですが、私は今作を見に行く時は「東日本大震災」の「ひ」の字すら頭に入ってなかったのですから。

今作は鈴芽がかつての自分に会いに行く話でしたが、鈴芽は日本人代表のように感じました。東日本大震災から11年。今や天災といえばコロナで頭が埋まり、東日本大震災のニュースも減りました。

今まで思い出せなかったのではありません。思い出さなかったのです。

今作を見て、ハッとさせられました。

まだ震災復興などしていない。まだまだ発展途上なんだと。

場所が場所なので混雑しないように気をつけないといけませんが、いつか必ず岩手の被災地を訪れたいと思います。

 

  

これぞ究極のセカイ系!新海監督が描いた新たな「キョリ」

これまで新海監督は色んな「距離」を描いてきました。

 

デビュー作「ほしのこえ」ではメールを使った時間的距離

「秒速5センチメートル」では自らが進む距離

「言の葉の庭」では年齢差の距離感

「君の名は」では地方と東京との空間的距離

 

そして今作の距離、、いやキョリは、「郷里」でした。

もちろん九州から岩手との遠い距離も新海監督味があるのですが、一番大切にしたのは郷里ではないでしょうか。

「君の名は」では監督の出身地である長野県を舞台にしました。そして今作では岩手県を描きました。

決して忘れてはならない郷里を、今作は思い出させてくれました。

 

「すずめ」の意味とは?

衝撃的だったのは、芹澤の車から流れてきた荒井由美の「ルージュの伝言」ですよ。

そして今作でキーとなる白猫、そして黒猫。。。

はい、もうお分かりですね。スタジオジブリの「魔女の宅急便」ですよ!!!!!

 

扉を閉じた時にエヴァ味のある描写も印象的でしたが、もっとも頭に浮かんだのはジブリへの意識ですねww

まぁ元ジブリスタッフも制作メンバーに入ってるから被るのかもしれませんが。

にしても!!にしても「ルージュの伝言」がジブリ以外のアニメ映画で流れるなんて信じられませんよ!!!!!!!

 

鳥肌が立ちましたね。。。。

芹澤は一言も言ってなかったですが、きっと新海監督は心の中で

 

「ハヤオパイセーーーン!! ちょっとルージュの伝言流しますねぇ!! シクヨロぉ!!!」

 

という気持ちを芹澤に込めたはずです。(嘘です)

この曲が流れることによって、宮崎駿と肩を並べたというか、、、

しかも魔女の宅急便みたいにオープニング曲としての使用じゃなくて、芹澤がテキトーに流した曲で、すぐに別の曲に移動するってのも凄いことですよwww

 

時間の制約があったとはいえ、ルージュの伝言が流れた時間が凄く短いんですよww

決して「軽い」なんて言い方はしたくないけど、芹澤のキャラクターとも相まって凄くチャラい使われ方がしたなぁとww いや、流石に言いすぎたかww

 

さて、本題の「すずめ」の意味に入っていきましょう。

猫と共に各地を旅する鈴芽=すずめ。そしてルージュの伝言。

 

これは明確に、すずめが日本各地を飛び回るという意味に取れるでしょう。

魔女の宅急便キキがホウキを持って飛び回ることと関連性が見いだせます。

 

ただ、今回は鷲でもカラスでもなく、「すずめ」なのです。

すずめの体は小さいです。寿命も短いです。

穿った見方ですが、新海監督はすずめを自身に例えたのではないでしょうか。

 

大先輩である宮崎駿監督へのオマージュを捧げて、「自分はまだまだ小さいですが追いつき追い越していきます」と宣言したのではないでしょうか。

すずめ=小職、という意味にも取れると思います。

 

単に可憐な少女に付ける名前にふさわしいという理由で「すずめ」と名付けたのではありません。私はそう思います。

 

そもそも、すずめが旅立った場所は宮崎県ですからね!!

宮崎発、なわけですよ。。ただの偶然でしょうか、何か意図的なものを感じてしまいます。

 

そんな中、今作の公開初日にジブリはとんでもない予告編を流しましたね。

 

 

正直、信じられないです。。。

なんで今作の公開日に流したんでしょうかね。。。

個人的には対抗心バッチバチやんけ!!!!!と勝手にアツくなってしまいましたww

 

 

まとめ

まさしくハケンアニメでした。

これだけ宣伝や色んなしがらみが絡んできたのに、こんな作品を作るなんて本当に凄い。

天下取りましたね、新海監督。

 

ラッドウィンプスの音楽はもちろんのこと、ジブリ出身の田中将賀さんのキャラデザは今回も秀逸。

セリフなしに2秒でキャラクターの特徴が掴めるキャッチーなデザインは本当にすごい。特に草太の友達の芹澤ですね!!一見チャラそうに見えてすげぇ友達思いで優しいヤツってのが一瞬で伝わるあの感じ・・・半端ないっすよ。

 

ラストの切れ味も良い!!

もう一回見たい!!!

素晴らしい!!!

 

 

95点 / 100点 

 

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 以上です! ご覧いただきありがとうございました!
 
 
 
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