まえがき
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「ブラック・ウィドウ」
待ちましたぁぁぁぁぁあああ!!!!
確か、1回目の緊急事態宣言の頃から、公開延期が発表されていた今作。
調べてみると、もともとは2020年5月に公開予定だったそう。
これまでディズニープラスで「ワンダビジョン」、「ファルコン&ウィンターソルジャー」、「ロキ」を鑑賞してきたが、こうしたドラマよりも先に、公開されるはずだったのだ。
信じられないほど遅れた分、若干ながら期待値が上がっている。
それでは「ブラック・ウィドウ」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。
あらすじ
・「アベンジャーズ」シリーズをはじめとしたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の各作品で活躍した、スカーレット・ヨハンソン演じるブラック・ウィドウが単独で主役を務めた作品で、孤高の暗殺者だったブラック・ウィドウがなぜアベンジャーズになったのか、知られざる物語が明らかにされる。物語の時代設定は「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」と「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」の間で、ブラック・ウィドウがアベンジャーズから離れていた時期に起こった出来事を描く。ブラック・ウィドウの前に突如現れた、“妹”エレーナ。姉妹は、自分たちを暗殺者に育てたスパイ組織「レッドルーム」の秘密を知ったことで命を狙われる。唯一の味方は、かつて組織が作り出した“偽りの家族”だけだった。しかし、その家族の再会によってレッドルームの恐るべき陰謀が動き出す。エレーナ役は「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」でアカデミー助演女優賞にノミネートされたフローレンス・ピュー。監督は、「ベルリン・シンドローム」のケイト・ショートランド。2021年7月8日から劇場公開され、7月9日からDisney+でも配信(追加料金が必要なプレミアアクセスで公開)。
「ブラック・ウィドウ」のネタバレありの感想と解説(全体)
「#ブラックウィドウ 」鑑賞!
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2021年7月8日
シビルウォーとインフィニティウォーの間、各地を逃避行するナターシャ。過去の清算をすべく「家族」との再会を試みる。
暗い冒頭から一転して中盤以降はギャグパート満載に。ただ、無理してギャグやろうとして全てが陳腐に見えるのがキツかった。あと長すぎよマジで。 pic.twitter.com/Gj6YOPQWyL
ナターシャは「まとめる」仕事に徹しすぎている
マーベル映画初期から参加し続けているナターシャ・ロマノフ。
これまで彼女がメインに描かれることは少なく、アイアンマン、キャプテン・アメリカの2トップをサポートする存在であった。
インフィニティウォー ではホークアイとの戦いで少しは注目されたが、基本的には自分勝手なヒーローたちを「まとめる」立場だった。
そんなナターシャを主役にした今作は、これまでと同様に家族を「まとめる」話でもあったように思えた。
シビルウォーとインフィニティウォーの間。ソコヴィア協定に違反したとみなされ、世界各地から追われる立場になっていたナターシャ。
アメリカから離れ、ブダペストで妹に再会。その後、刑務所から父を助け出し、母のいる実家へと帰る。
しかしこの家族、どうにもこうにもギクシャクしている。今作を見なくても既に伝えられている通り、ナターシャの家族は擬似家族であり、ロシア工作員としてミッションを遂行するための暫定的な家族だったのだ。
ナターシャとエレーナは孤児であり、2人ともドレイコフによるレッドルームなる暗殺者養成施設に収容され、暗殺者としての素養を強制的に身につけさせられる。
擬似家族であっても、彼女にとっては大切な家族。全ての元凶となったドレイコフに復讐すべく、家族ぐるみで擬似的な「アベンジャーズ 」を結成する。
ナターシャが主人公であるが、やはりいつものアベンジャーズ としてのナターシャ。
個人的には、せっかく主人公になったのだから、もっと彼女の内面に迫ったり、葛藤を描いてほしかった。
家族と会話をしても、家族の話を聞くのが中心になっていて、彼女が本当になにをしたいのか、何を考えているのか少し見えづらくなっていたのが正直なところ。
彼女の本質に迫っていくと思いきや、間髪入れずにドレイコフの手下が追いかけ、ヒューマンドラマどころじゃなくなってしまうのも、いかがなものかと思った。
何度も襲われる分、アクションに関してはバラエティに富むものになっていたが、もっとナターシャの内面に迫ってほしかった。
なぜ2時間半もの尺があるのに、できなかったのだろうか。
おまけに、宿敵ドレイコフとその娘に尺を使いすぎるのも頂けない。正直、彼とナターシャが会話するシーンはもっと削ってもよかったくらいだ。
なぜ、なぜこうも尺が長い割に1人の人間を深く描けなかったのか、残念で仕方ない。
重苦しい設定とは裏腹なギャグ満載な演出
孤児であったナターシャ。その家族は作り物の擬似家族。
そんな重苦しい設定であったのに、今作は基本的にギャグ満載でお届けされている。
冒頭からオープニングに入るまでは、非常にハードでダークな演出が徹底されていただけに、オープニングクレジットが明けてから一転して、ギャグが連発されるのは頂けなかった。
アベンジャーズシリーズは一貫して、隙あらばギャグを入れる作風になっている。
そんないつものアベンジャーズ の作風が、今作にも染み込んでいるせいか、ことあるごとにギャグを入れようとする。
妹エレーナがしきりに姉のナターシャをいじるシーンがある。スーパーヒーロー着地がダサいと何度も何度もいじる。
こういうメタ的なギャグは大好物なのだが、シリアスな展開を期待した私にとっては、かなり目障りになってしまった。
それに、ヒーロー着地をいじった作品としては「デッドプール 」に勝るものはない。つまり、アベンジャーズ やヒーローをいじるネタは前例があり、どれだけギャグを入れてきても既視感が拭えなかったのだ。
既視感で言えば、デブネタにも言及しないといけない。
久しぶりに再会した父が刑務所で激太りしていたせいで戦闘服が着れない、といったギャグが展開されるのだが、これも「エンドゲーム」でマイティソーが激太りして腹が出ていたシーンと重なってしまった。もちろん、エンドゲームの方が面白かった。
既存のマーベル作品を意識しすぎたのか、過去の作品で見たようなギャグが連発されてしまい、もっと新しい笑を追求してほしかった。
過去の鉄板ネタを奈良っているため、ギャグ自体は笑えるし楽しませてもらった。
だが、結局は「いつものマーベル映画」という印象から脱却できないのが、今作のギャグパートの致命的な欠点になっている。
何度もいうが、そもそも今作でギャグは必要だったのか。シリアスな展開を削ってまでやったギャグは既に手垢が付いたものばかで、もっと頑張っていただきたかった。
まとめ
せっかくのナターシャ主人公の映画だったのに、いつものアベンジャーズのナターシャがそこにあった。
アベンジャーズ ではまとめ役、そして今作も家族のまとめ役。彼女が真の主人公となるのは、いつなのだろうか。
マーベル映画は全ての作品が完璧ではないことは、今まで見た経験からわかっている。
が、最近は良作が続いてきただけに、少し残念な内容としか言えない。
唯一良かったのは、ドレイコフの空中要塞から落下しながら戦うラストシーンだろうか。
空を飛べないナターシャが空から落下することによって、一方向ではあるが空中戦を繰り広げたのはナイスアイディアだった。
・・・色々ツッコミたい部分はある空中戦だったが。
最後に、エンドクレジットについて詳細に言及した記事があるので、紹介したい。
60点 / 100点