まえがき
今回批評する映画はこちら
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
予告編も上手いんですよ。映画からいろいろ想像しちゃって泣けてくるんですよ。
カットが素早く切り替わって様々な職業のミシェル・ヨーに泣けちゃうんですよ。
これぞ映画でしか出来ないテンポ感と映像美。ミシェル・ヨーに一ミリも肩入れしたことないんですけど、なぜか評価が爆上がり!!
巷では大したことなかった、期待度が上がりすぎたって声がありますけどね。
私も期待しちゃってんですよw w
大丈夫かなぁ。なるべく期待値を下げて鑑賞してまいりますっ!!!
それでは「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。
あらすじ
・カンフーとマルチバース(並行宇宙)の要素を掛け合わせ、生活に追われるごく普通の中年女性が、マルチバースを行き来し、カンフーマスターとなって世界を救うことになる姿を描いた異色のアクションアドベンチャー。奇想天外な設定で話題を呼んだ「スイス・アーミー・マン」の監督コンビのダニエルズ(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)が手がけた。
経営するコインランドリーは破産寸前で、ボケているのに頑固な父親と、いつまでも反抗期が終わらない娘、優しいだけで頼りにならない夫に囲まれ、頭の痛い問題だらけのエヴリン。いっぱいっぱいの日々を送る彼女の前に、突如として「別の宇宙(ユニバース)から来た」という夫のウェイモンドが現れる。混乱するエヴリンに、「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と驚きの使命を背負わせるウェイモンド。そんな“別の宇宙の夫”に言われるがまま、ワケも分からずマルチバース(並行世界)に飛び込んだ彼女は、カンフーマスターばりの身体能力を手に入れ、まさかの救世主として覚醒。全人類の命運をかけた壮大な戦いに身を投じる。
エヴリン役は「シャン・チー テン・リングスの伝説」「グリーン・デスティニー」で知られるミシェル・ヨー。1980年代に子役として「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」「グーニーズ」などに出演して人気を博し、本作で20年ぶりにハリウッドの劇場公開映画に復帰を果たしたキー・ホイ・クァンが、夫のウェイモンドを演じて話題に。悪役ディアドラ役は「ハロウィン」シリーズのジェイミー・リー・カーティスが務めた。第95回アカデミー賞では作品、監督、脚本、主演女優ほか同年度最多の10部門11ノミネートを果たした。
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス : 作品情報 - 映画.com
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」のネタバレありの感想と解説(全体)
「#エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 」鑑賞
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2023年3月3日
MCUとは対照的に、全く理解させる気のない意地悪マルチバースの沼に見事にハマる。
意味不明、理解不能。
断罪などいくらでもできる。
しかし、自分が流した涙の意味を探ってみたい。
俺にも第三の眼が開眼しそう。#エブエブ開眼 pic.twitter.com/oL2bOmv87z
MCUがステーキだとしたら、今作はハンバーグ
マルチバースという概念を認知度を一気に高めたMCU。
その作り手たちが制作に携わり、ディズニーとは一切関係のないマルチバース映画を作った。
予告編のカオスさを遥かに越えるカオスで脳内を掻き回される139分。
意味不明で当然。理解不能で当たり前。
いくらでも断罪できる映画なのに。ボコボコにできる映画なのに。
マルチバースにいるもう一人の自分が殴る手を掴んでいるような、そんな感覚に陥ってます。
酷評を期待してた人ごめんね!!でも、こればっかりは自分に正直にならないと。
悪いところなんていくらでも見つかるんですよ!!
まるでドラム式の洗濯機のようにグチョグチョに掻き乱して、僕らの知ってるマルチバースとは似ても似つかぬ理路整然としない世界が展開されていく。
結局伝えたいことは普遍的なモノなんですよ。家族愛とか、人生讃歌とか。
「どこにいたって、どんな時だって、今そこにいるあなたの人生が正解なんだ。」
「今あなたのそばにいる人たちを大切にしなさい。」
とかね。
結論としては同じ。でも、あまりに伝え方が違いすぎて、途中まで理解が難しかったり拍子抜けな感じもする。今作を見た多くの人がそう感じたのではないでしょうか。
MCUのマルチバースがステーキだとしたら、今作はハンバーグみたいなモノなんですよ。
ステーキって単純明快じゃないですか。ひと目で材料が何か分かって、生肉を焼く過程を見ているだけでヨダレが出てくる。焼いてる最中の音、色の変化、完璧ですよね。
何も考えなくても美味しそうだってイメージできるんですよ。もちろん、食べても美味しいし。
でもハンバーグって作る過程見てて楽しめますかって話ですよ。
材料をグチョグチョにして、目にも見えない速さでかき混ぜて練り練り練り練り・・・
僕もね、何度かハンバーグ作ったことあるんですけど、途中で萎えてくるんですよw
確かに愛情込めて作ったハンバーグって美味しいですけどね、過程が全く楽しめないんですよ。ましてや、他人がハンバーグ作ってる過程見て面白いかっていう。
面白くないですよね? てか、なんでこんなの見せられてるんだって感じですよね?
確かにマルチバースの数も密度も桁違いだし、これを一本の映画に入れたのは凄い。
でも、それをハンバーグをネリネリするかのように見せられても楽しめるかっていう話ですよwww
エブリン一家が経営しているコインランドリーでぐるぐる回っているドラム式洗濯機。
あれがマルチバースの象徴だし巧い作りではあるんだけど、なんとまぁ地味なw
個人的にはハンバーグをネリネリしてるように見えたんですよね。
正直、途中までは面白いとは思いませんでした。ダニエルズの前作「スイス・アーミーマン」とは違って、全くシュールじゃない派手なコメディ演出も微妙で、致命的だったのはマルチバースに移動した瞬間全くワクワクしなかった点ですよ。
もうこれ以上かき混ぜないでくれ!!頭が混乱する!俺はステーキみたいな映画が見たいんだよって願ってましたよw w
でも、映画ってのは本当に不思議なもので、
途中から涙が止まらなかったんですよ。。。
ハンバーグに入れるためのタマネギがそうさせた訳じゃないんです。
カンフー、ミュージカル、コメディ、マトリックス的SF、キューブリックネタ、謎のウォンカーワァイネタw色んな材料を混ぜこぜにする過程を見せられた結果、いざ食べてみたらあまりに美味しくて涙が出ちゃったみたいな。そんな感覚なんですよ。
何故泣いたのか、その理由が自分でもよく分からなくって。。。
あまりに美味しかったので、どうやって作ってるのか気になって気になって仕方がない状態が今なんですよw w
なぜ賞レースで評価されるのか
つまるところ、今作は普通に見たって楽しむのが難しいとさえ感じてしまいました。
自分との相性は悪い方かもしれません。
でも、今作が持つ映画のメッセージ性とその伝え方があまりにも斬新で、アート映画を見たような感覚に近いんですよね。
普通に家族愛を描くならマルチバースなんていらない。ただ単にコインランドリーを営む中国系の家族の娘が白人のガールフレンドを連れてきてモメるって話にすれば良いだけなんですよ。
でも、マルチバースを入れたのには明確な理由があるんですよ。
マルチバースによって、全人類の全人生の縮図が詰められるんですよね。
カンフーの達人や俳優、歌手になったミシェルヨーばかりが目立ってはしまいますが、よく考えてくださいよ!!
石になるマルチバースも描いてますからね、これw
石みたいな人生でも良いことは必ずあるって言ってるんですよw
石頭みたいに頑固になったジジババも俺たちは肯定するよって言いたいのかw
なんというか、これほど懐の深い映画ってのも珍しいんですよね。
人生讃歌を謳う映画っていくらでもあるし、どんな状況に追い込まれても人生楽しいぜってメッセージは多くの映画であるんですけど、それにしたって石はないですよw
誰のどんな場面でも大切な瞬間があって、それをマルチバースにすることによって全ての人が共感できるような映画に仕上げようとしている。あまりに早くて見えなかったかもしれませんが、1/24コマに自分に似た人がいたかもしれませんねw
誰でも肯定する映画なんですよ。
その想いはミシェル・ヨーの役名にも込められてるんですよ。
エブリン・ワンですよ。
エブリン・ワン→エブリンワン→エブリワン→Everyoneですよ!!
誰にでもミシェル・ヨーのように色んな未来が、可能性があるってことを伝えたかったんじゃないですかね。
僕が思わず涙を流したのも、エブリンの無限のマルチバースの中に自分を見つけたのかもしれませんね。
それに、今作には人生の教訓も詰め込まれてましたね。
変なことをしないとバースジャンプできないって設定も、何か特別なことが出来ないと成功しないってメタファーでもある。
それは役者であるミシェル・ヨー自身が経験したことだし、アカデミー賞に投票できるようになるまで成功を収めた映画業界人なら共感できることです。
だからこそ、アカデミー賞最有力だしSAGで賞を取ったんでしょうね。
マルチバースで7変化するミシェル・ヨーって役者人生そのものじゃないですか!
死ぬほど役作りして現場に臨んでも、実際に映るのは主役ばかり。
どれだけ頑張っても1~2秒くらいしか映らないこともある。それでも夢を追いかけたい。どんな世界に生まれようが、役者として人生を全うしたい。
そんなメッセージを役者たちは受け取ったのではないでしょうか。
だからこそ役者の評価が高く、アカデミー賞最有力と言われてるんじゃないですかね。
まとめ
分かりやすく楽しめる映画ではないし、これを映画好きじゃない人に勧めるかと言われると少し悩んでしまいます。
いろいろ言いたいことがあるのは間違いないですが、やっぱり自分が泣いた理由ってのをちゃんと考えたいんですよね。
幸いにも、僕にはブログがあるし読んでくれる読者の方や友人がいる。
今自分が生きてる世界では、いくらでも自分の情報を発信して受け取ってくれる人がいる。なんて幸せな世界ですかね!
仮に石のマルチバースだったら何も出来ないからねww
今作を見た後だからこそ、表現できることコミュニケーションできることに感謝したいと思って、花金にこんな文章を書いてます。
間違いないのは、これでアカデミー賞が俄然面白くなってきたってことです!!
あ、ここで告知なんですけど、、
映画仲間たちと3/13にアカデミー賞キャスをやります!!
生放送です!!
朝7時半集合です!!!!
ツイキャスでやる予定なので、ぜひTwitterをフォローして頂いてリンクを踏んでいただければ、、、
よろしくお願いします!!
93点 / 100点