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映画「福田村事件」ネタバレあり感想解説と評価 FAKEを以て真実を炙る

 
こんにちは! 
 
Machinakaです!! 
 
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この記事では、「福田村事件」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「福田村事件」

 

(C)「福田村事件」プロジェクト 2023
年間ベストです(予告)
 
一番好きなドキュメンタリー監督映画が森達也さんで、新作とあれば初日に駆けつけています。
そして今回は「劇映画」を撮るということで、期待値は爆上がり。
 
もう、もう、、、、公開まで待ちきれませんでした!!!!

 

関東大震災をきっかけに朝鮮人に対する流言飛語によって讃岐国の日本人が虐殺されてしまった凄惨な事件を描いた映画です。

 

森達也監督はこれまでオウムや佐村河内守などニュースで話題になった人を取り上げて来ましたけど、直接的に殺人事件を取り上げることはなかったんですよね。

 

森達也の考える残虐描写、人間ドラマ、そしてカメラワーク、、、劇映画になることで、どれもこれもが新鮮で仕方ない。。。

 

あ〜早く見たい!!!!

 

それでは「福田村事件」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
「A」「A2」「i 新聞記者ドキュメント」など、数々の社会派ドキュメンタリー作品を手がけてきた森達也が自身初の劇映画作品として、関東大震災直後の混乱の中で実際に起こった虐殺事件・福田村事件を題材にメガホンを取ったドラマ。

1923年、澤田智一は教師をしていた日本統治下の京城(現・ソウル)を離れ、妻の静子とともに故郷の千葉県福田村に帰ってくる。澤田は日本軍が朝鮮で犯した虐殺事件の目撃者であったが、静子にもその事実を隠していた。その年の9月1日、関東地方を大地震が襲う。多くの人びとが大混乱となり、流言飛語が飛び交う9月6日、香川から関東へやってきた沼部新助率いる行商団15名は次の地に向かうために利根川の渡し場に向かう。沼部と渡し守の小さな口論に端を発した行き違いにより、興奮した村民の集団心理に火がつき、後に歴史に葬られる大虐殺が起こってしまう。

澤田夫妻役を井浦新、田中麗奈が演じるほか、永山瑛太、東出昌大、柄本明らが顔をそろえる。

福田村事件 : 作品情報 - 映画.com

 
 

「福田村事件」のネタバレありの感想と解説(全体)

 

 

 

FAKEを以て真実を炙る

一語で説明するなら「胸糞」です。

 

横浜のミニシアターで見たのですが、隣の人が「うわー」とか「やめてー」って喚いてました。

鑑賞中はなるべく静かにして欲しいんですけどね。でも気持ちは分かります。

私も凄く喚きたかったです・・・・

 

「虐殺される」という史実を知った上で映画に臨むので、どのキャラが殺されるのか分かってるわけですよ。讃岐国の人が殺されたって話が既に頭に入ってますから。

 

だからこそ、序盤から不穏な雰囲気が漂っている。朝鮮人と間違えられて殺されるという結末に帳尻を合わせるように、虐殺のパズルが完成されてしまう。。。

 

鑑賞後は、同じ日本人であることに腹が立つというか、胸糞が悪くなるというか、、、

 

 

いつもはエンドロールが始まるとすぐに帰っちゃうんですけど、今回は無理でした。

椅子から立てなかったです。劇場から出るまでに時間を要する映画でした。。

 

Xにも書きましたけど、ジワジワ首を締め上げてくるんですよ。

讃岐から千葉へと行商する一行。永山瑛太をリーダーに、讃岐をはじめ万国の薬を販売する。

 

彼らは間違いなく日本人ですが、身分制度の中では下位の人間なんですよね。

「えた・ひにん」という分類です。社会の授業で学んだと思いますけど、いまいち身分制度の酷さって分かりづらいですよね。

漢字にすると一発でわかりますよ。例えば「ひにん」は漢字にすると「非人」ですからね。酷いものですよ。

 

瑛太一行は道中で朝鮮人の飴売りと出会うんです。一行の中には差別意識が激しい者もいて、俺たちよりも朝鮮人の方が下だと豪語する人もいたのですが、瑛太は朝鮮人に対して凄く優しいんですよね。

自分たちも散々差別されてる身だからこそ、助け合おうという気持ちがあったのかもしれない。

 

太っ腹に大量の飴を購入するのですが、そこで朝鮮の扇子をもらってしまうんですよねぇ・・・・

ぐぬぬ・・・・

うぅ・・・・・

 

善意に対して善意で返す、素晴らしい行為なのですが、それが後半になって裏目に出てしまうという・・・

なんという不条理な・・・

ちなみに扇子を貰ったシーンで「やめて!!やめてくれ!!!」と思ってましたw

 

今作は善意が仇になり、悪意が悪のまま実行されてしまう映画なんですよね。

 

江戸時代が終わったとはいえ、まだまだ身分社会の激しい時代。

大正デモクラシーで平等な社会を求める人々の声が上がっていたとはいえ、軍国主義が高まっていたのも事実。

 

真実かどうかはどうでも良い、市井の心を掴む強い言葉が勝ってしまう恐ろしい事実を描いているんですよね。

単なる身分差別ではありません。今作から100年後の今も続いていることなんですよね。

流言飛語は、むしろ今の方が広まっているでしょう。

フェイクニュース、フェイク画像、フェイク動画。

なんでも捏造できる時代になってしまいました。

 

まるで現代の写鏡のような映画だったんですよね。。。

 

森達也監督は徹底してマイノリティを題材に映画を撮ってきました。

また、「悪者」だとレッテルを貼られた人に取材をして真実を炙り出そうとしてきました。

マイノリティだと判断されるのも、悪者とレッテルを貼られるのも、全ては流言飛語が原因なんですよね。

 

今作は劇映画で今までと作風が違うように見えて、徹底して同じことをテーマにしているんですよ。

劇映画というFAKEを以て真実を炙り出す大傑作でした。

 

・・・とはいえ、少し気になる点もあったのも事実です。

朝鮮居住時代に起きた事件について井浦新と田中麗奈が話しているシーンはあまりにも説明的だし、ただセリフを言わせているだけのように感じましたね。

劇中でナレーションが入ったり、説明画像が入ることは無かったので良かったのですが、もう少しセリフを端折っても良かったのかなと。

伝えたい気持ちは分かりますが、少しダレてしまったような気がします。

 

 

役者の起用が見事

さて、ここからは役者について個別に書いていきます!

 

まずは井浦新さん!見るからに弱々しく何も行動を起こさなそうな、常に白い顔をしている人。。

朝鮮人虐殺を一番知っている人なのに、何もできずに狼狽えている演技が凄かった。。個人的には、田中麗奈さんと東出昌大さんがイチャコラしているシーンを眺めていたシーンが良かったですねぇ。。遠い目をしていた。。

 

田中麗奈さん!あの不倫、とてもよく分かる。。。旦那が相手してくれなかったら別の男に手を出すわな。。寂しいもんな。。

ラストに井浦新さんを奮い立たせるシーンは良かった!あと肌白い・・・

 

永山瑛太さん!あなたが居なかったら今作は出来なかった!自分より下の人間をカモにするしたたかな薬売りと、差別に必死に抵抗するという難しい役所を見事に演じていました!!

 

東出昌大さん!!東出だったねぇwww モテたねぇww 半裸でキセルふかしてるシーン良かったねぇw 森監督はあのスキャンダル絶対に分かってるよねw 分かってやってるよねw

 

コムアイさん!色気すごかった・・・

未亡人感がすごかった・・・

 

松浦裕也さん!!!「岬の兄弟」から一貫して卑屈でこずるい男を演じるのが本当に上手いですよねww

彼を起点に殺戮が始まるのが本当に見ててしんどかった。。。

 

向里裕香さん!!!またしても素敵な演技拝見いたしました。。旦那の父である柄本明と出来ていたなんて・・・。柄本明が死んだ時に、胸をさらけ出して顔にうずめるシーンは驚愕でした・・・。出演シーンはわずかでしたが、絶対に忘れられません!!!!

 

そして、、、水道橋博士!!!!!

博士!!!すごかった!!!

少し硬さはありましたが、あの硬さが軍国主義に傾倒する当時の憲兵のように見えて凄く良かったです!!!!

博士のパーソナリティ上、この役を演じるのは本当に辛かったろうなぁ。。いつもマイノリティの見方をする人なのに、この役は。。。

うつ病が悪化して国会議員を辞職されましたが、これメンタルが強い人でも相当やられますよ。。

本当にお疲れ様でした!!!!

 

 

 

まとめ

劇映画でしたが、これまでの森達也映画と一貫性があり、本当に見事でした!!!

 

見ていてしんどかったですが、もう一度劇場に足を運んで気になったシーンを確かめてみたいと思います!!!

 

98点 / 100点 

 

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 以上です! ご覧いただきありがとうございました!
 
 
 
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