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映画「沈黙のパレード」ネタバレあり感想解説と評価 途中からこっちが沈黙してしまった

 
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この記事では、「沈黙のパレード」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次

まえがき

 

今回批評する映画はこちら

 

「沈黙のパレード」

 

(C)2022「沈黙のパレード」製作委員会
 
ガリレオ、放送当時はほとんど見たことがなくて、今回を機に予習!
 
「容疑者Xの献身」が予想以上に面白く、テレビシリーズのガリレオ(2007)もコミカルな掛け合いとド派手な物理トリックに興奮!
 
「真夏の方程式」は少し微妙だったのですが、内海刑事とのコンビなら大丈夫だと今作への期待も上がっていきました!

 

 

 

 

それでは「沈黙のパレード」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 
 

あらすじ

  
東野圭吾のベストセラー小説を原作に、福山雅治演じる天才物理学者・湯川学が難事件を鮮やかに解決していく姿を描く大ヒット作「ガリレオ」シリーズの劇場版第3作。
数年前から行方不明になっていた女子高生が、遺体となって発見された。警視庁捜査一課の刑事・内海によると事件の容疑者は、湯川の大学時代の同期でもある刑事・草薙がかつて担当した少女殺害事件の容疑者で、無罪となった男だった。男は今回も黙秘を貫いて証拠不十分で釈放され、女子高生が住んでいた町に戻って来る。憎悪の空気が町全体を覆う中、夏祭りのパレード当日、さらなる事件が起こる。
キャストには内海役の柴咲コウ、草薙役の北村一輝らおなじみのメンバーが集結。前2作に続いて西谷弘が監督、福田靖が脚本を手がけた。

沈黙のパレード : 作品情報 - 映画.com


 

 
 

「沈黙のパレード」のネタバレありの感想と解説(全体)

 

 

途中からこっちが沈黙してしまった

うーん、、、序盤が非常に面白かっただけに、完全否定はしたくない。

でも、ラストを迎えても頭がモヤモヤしていて、消化不良でした。

  

率直かつ簡潔に評価をするなら、「容疑者Xの献身」>>> 今作  >「真夏の方程式」と言ったところでしょうか。

 

序盤は白眉

まずは序盤を誉めておきたい。

 

これまでのシリーズと同じように、まずは被害者が殺されるところまでを描かれます。

のど自慢大会で緊張しながらも「Jupiter 」を歌う高校生。

審査員の目に留まり、シンデレラのようにアーティストへの階段を登っていくシーンがテンポ良く流れ、「あれ、劇場間違えたかな?」と思うほど華々しい場面でした。

しかし、さすがガリレオ。幸せに終わるわけがありません。冒頭に出てきた女子高生はすぐに殺されてしまいます。

 

女子高生の名前は並木佐織。「将来を約束された...」という内海刑事の切り出しから事件概要が語られ、もうこっちは頭がクラクラしますよw 何という天国と地獄。。

この急激な落差で心が鷲掴み。これは絶対に犯人を捕まえないといけない、と怒りに打ち震える場面でもありました。

そして、内海刑事と草薙刑事が署での会議が行われ、いつものガリレオが始まります。

 

2007年のテレビシリーズ、「容疑者Xの献身」の時と同じく内海刑事が加わり、湯川教授や草薙刑事との掛け合いが面白く座組みとしては間違いない。

特に序盤、湯川と内海が久しぶりに再開する場面は無条件で笑みが溢れてしまうし、どう見ても変態モードになっている福山雅治の名調子を見れるだけで最高でした。

 

湯川は並木家と交流し、仮装大会のパレードに参加。

子供を除けば、地元民と急速に仲良くなれる天賦の才能を持つ湯川。

「真夏の方程式」でよく学んだのか、何故か地元民には小難しい話は絶妙に回避。

コミュニケーションが苦手なのか得意なのかよく分からないが、そこらへんのアンバランスさも湯川の魅力

面白おかしく観れましたね。そこでパレード本番ですよ。道路を貸し切って大勢のエキストラに囲まれながらの撮影。まるで本物のお祭りのようで、非常に見応えがありました。

 

そんな中、案の定というべきか、大量のパトカーがパレードの明るい音楽を遮る。

あまりにも自然な流れで事件に巻き込まれる湯川。

 

内海と草薙と共に、密室での窒息死を持ち前の物理学の知識で見事にトリックを見破る。

ここまでは良かったのですが・・・

 

犯人探しから失速

ここから失速してしまいました。

トリックは見破り、犯人探しに入ってからが盛り上がらない。

「沈黙のパレード」とあるように、今作で起きる3つの事件のうち、最初と2つ目の事件の容疑者は沈黙を貫くのが特徴なのですが、沈黙である以上全くやりとりができない。

 

容疑者である蓮沼との駆け引きが全くなく、得体も知れず、ただただ悪いキャラクターに仕上がっているのが勿体無かったなぁと。

そして、最後の事件で蓮沼が殺されることになるのですが、そこからがまぁ何とも盛り上がりに欠ける。。

 

町を巻き込んだ犯人探しも、過去の事件が絡み合うことのサプライズも、何もかもが静的で全て湯川の口から語られるような展開になっていて、画が動かないのは厳しいものがありました。

加えて、もともと湯川はチートキャラ的な位置付けで今回も教授の範疇を超えて色々と事件解決に動くのですが、今回はチートすぎましたねww

 

内海と草薙の活躍があまりにも弱く、タッグ感が感じられないというか。

全て湯川の手のひらで事件が動かされているような展開が、物語に悪い意味で安定性を与えてしまい、上手く波が作れなかったなぁと思いました。

 

その分、「容疑者Xの献身」は湯川が全容を掴むまでに苦労して苦労して、葛藤しながら答えを掴むんですよね。内海とのやりとりや、内海と草薙の事情聴取の功績もあって上手くタッグ感が出てるんです。

 

しかし今回は全てが湯川主導で、面白くない。今回湯川のライバルになりうる人は誰もいないんですよね。

非常に悪い例えですが、、、

 

今回は雑魚キャラが多すぎる。

 

数少ないヒントから事件を見破る湯川に対して、犯人側が弱すぎるんです。

一番致命的だと思ったのは、事情聴取の時に容疑者がポロッと失言をしてしまう場面。

・・・これはダメでしょ!!

「沈黙」ってタイトルなんだから失言で犯行がバレてしまうのはダメだって!!!!

 

原作がそのような作りであれば仕方ないのですが、もう少し見せ方に工夫があっても良かっただろうと。

一番の欠点は、犯人側の描き方にあると思います。

 

 

犯人の内面は沈黙しないで欲しかった

ガリレオシリーズの特徴として、事件の犯人は観客の立場から見てかなり分かり易いんですよね。役者の表情や編集の間の撮り方ひとつで一発で判明してしまう。

 

だからこそ、

①犯人たちがなぜ凶行に走ったのか動機を明かしてほしい。

②隠し通そうとする犯人側の行動も映して欲しかった。

 

この2点がないと、既に犯人が分かっている状態からの展開は厳しいものになる。

 

今回も映ることは映るのですが、ちょっとした回想ばかりで散文的。まるで後出しジャンケンのようになっていて、映画の見せ方としては上手くない。

 

どう見ても街ぐるみの犯行なのに、犯行を企てる場面や実際に犯行に及ぶシーンは最後にしか出てこない。

今回は事件が3つも出てくるので、色々と描くのが大変だったかも知れません。

ただ、犯人側の描き方が序盤に不足していると、湯川との会話も盛り上がりに欠けてしまうんですよね。

 

こっちは既に犯人が誰だか分かっている(あるいは、予想がついている)ので、駆け引きも何も進展がないと映画に飽きてしまうんですよ。

  

そして案の定、予想通りの犯人だったわけで、、、

 

犯人たちがあまりにも記号的なんですよね。そりゃ自分の娘を殺されたら復讐にも駆られるだろうし、ひょんなことで人を殺してしまうことだってあるかもしれない。

でも、今作は映画を成立させるためにご都合的に人を殺しているというか、キャラクターに心が通っていないというか。

一言で言えば、犯人側のキャラクターに愛を持てませんでした。

 

 

キーとなるキャラクターの描写はもちろん、被害者が死ぬシーンもきちんと画に収めて欲しかったですね。

 

それらがないと、密室殺人のトリックを湯川が解いて以降はつまらなくなってしまうんですよね。

 

一番気になっているのは蓮沼ですよ。

彼はただ純粋悪のような存在で、彼が後半何かひっくり返してくれるかなぁと思いきや、ただの悪者で終わってしまっていたので、非常に勿体無い。

もっと彼の内面を描いて欲しかったですね。蓮沼がなぜあのような行動に至ったのか、もう少し詳しく書いて欲しかったなぁ。

 

もちろん、佐織ちゃん殺しに加担した新倉に関しても、もっと丁寧に描いて欲しかった。単なる回想じゃダメですよ。彼女が悲しみと憎しみに暮れる様子が描かれないと、ただ謎を解決するための存在になってしまうので。

 

 

まとめ

序盤が良かっただけに、非常に勿体ない結末となってしまいました。

 

何度も比較して申し訳ないのですが、「容疑者Xの献身」は本当に上手くできてたんですよね。

容疑者の心理描写やキャラクターも丁寧に描かれて、「どうか捕まらないでほしい!!」と願うことが出来ましたからね。

 

今回は、誰一人として犯人に同情できなかったです。

次回作があるか分かりませんが、今度こそは「容疑者Xの献身」を超える作品をば・・・

 

90点 / 100点 

 

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