- まえがき
- あらすじ
- 「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」のネタバレありの感想と解説(全体)
- これぞ俺たちの求めていた極悪英雄譚
- 正義感ゼロ、清潔感ゼロ、生産性ゼロのデスミッション
- ドブネズミみたいに美しくなりたい
- まとめ
まえがき
今回批評する映画はこちら
「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」
時は来た!!!
ついに本物のスーサイド・スクワッドがやってくる!!
2016年に公開された「スーサイド・スクワッド」を鑑賞した時は、同作だけでなくDC映画に対する不信感が募った。
思い出すだけで、気分が悪くなる。
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スースクなど絶対に見ないと思っていたのだが、 マーベル映画をクビになり文字通りスーサイド・スクワッドになったジェームズ・ガン監督がメガホンを取るのなら、話は別だ。
DC映画はユーモアのセンスがまるでないと思っていたのだが、今作をきっかけに変わるだろうか。
それでは「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。
あらすじ
・「バットマン」や「スーパーマン」を生んだDCコミックスに登場する悪役たちがチームを組んで戦う姿を描いたアクションエンタテインメント。デビッド・エアー監督により映画化された「スーサイド・スクワッド」を、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズで大きな成功を収めたジャームズ・ガン監督が新たに描く。ジョーカーと別れて彼氏募集中の身になり、ますますクレイジーになったハーレイ・クインを筆頭に、最強スナイパーのブラッドスポート、敵をチーズに変えてしまう能力を持つポルカドットマン、平和のためには暴力もいとわないという矛盾な生き様のピース・メイカー、ネズミを操って戦うラットキャッチャー2、そして食欲意外に興味のないキング・シャークという、いずれも強烈な個性をもった悪党たちが、減刑と引き換えに、危険な独裁国家から世界を救うという決死のミッションに挑む。出演は、前作に続いてハーレイ・クイン役を演じるマーゴット・ロビーほか、イドリス・エルバ、ジョン・シナ、ジョエル・キナマンら。キング・シャーク役はシルベスター・スタローンが担当した。
「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」のネタバレありの感想と解説(全体)
「#新スースク 」観賞‼️
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2021年8月13日
これぞ俺たちが求めていたスースクだ‼️
誰がいつ死ぬか分からない、むさしく決死部隊のデスミッションに大興奮‼️
悪趣味たっぷりの大虐殺‼️
神話性ゼロ‼️
生産性ゼロ‼️
清潔感ゼロ‼️
嫌われる要素だけは満載なヤツらがヒーローになる極悪英雄譚、ここに誕生‼️
観れて幸せ‼️ pic.twitter.com/VVGuzzU3Hy
これぞ俺たちの求めていた極悪英雄譚
前作の超絶駄作なスーサイドスクワッドから完全に生まれ変わり、俺たちの求めていた映画がついに登場した。
Google検索では今作を「スーサイドスクワッド2」などと検索する勘違いさん達が多いようだが、訂正しておきたい。
スーサイドスクワッドは一つしか存在しない。前作は、あくまでスーサイドスクワッドもどきだ!
スーサイドスクワッド=決死部隊の名前が相応しい、誰が死ぬかも分からないデスミッションに挑む17人の悪人達。
開始早々に司令官によってメンバーが集められ、ノルマンディ上陸作戦のごとく敵のアジトに上陸する。
この段階で、チームの名前も敵の正体も全く明かされていない。
現時点で分かっていることは、上陸し、敵を殺すことのみ。
異常な情報不足の中でミッションが開始されるが、なんと主要キャラと思しきスクワッドたちの9割が無惨にも殺されてしまう。
なんてこった。前作では死なないスーサイドスクワッドだったのに、今回は違う。
名前もうろ覚えの状態で殺される味方たち。
あまりにも無謀な作戦と各キャラの粗相連発によって、殺されてるのに何故か笑いが込み上げてくる。
これぞジェームズガンの真骨頂だ。死を笑いに変えるブラックユーモアの名手である彼は、悪者とはいえ主要キャラを無惨にも殺し、笑いを提供してしまう。
ちなみに、イタチと人間が混ざった、ガーディアンズオブギャラクシーのロケットのようなキャラクターは、上陸前に水死してしまう。泳ぎが不得意だったらしい。
特殊な能力、特殊な見た目だけを条件に絞った寄せ集めのチームは、並の歩兵にも劣る弱小軍団だった。特にT.D.Kの見た目は凄い割にロクに使えないクソ能力には爆笑した。
ワンピースのバギー船長を思い出した。
今作の司令部はあまりにも無能で、人の命を何とも思ってない連中。スーサイドスクワッドたちがあまりにも可哀想で仕方がない。
最低でも最悪な部隊であることを、あっさりと冒頭に可視化して見せたのだ。
スーサイドスクワッドは普通のヒーローの真逆をいく存在であるべき。品行方正なヤツらなどいない。いてほしくない。
そんな我々の願望を、見事に叶えてくれた。
それが俺たちの見たかったスーサイドスクワッドだ。
過去の不謹慎発言で悪人呼ばわり。マーベルをクビになったジェームズガン。
品行方正を求めるディズニーの資本下にある以上、仕方ない処罰ではある。
しかし、絶望的な状況の中で、DCが手を差し伸べて新たなヒーロー映画を作った。
ジェームズガンも、スーサイドスクワッドの一員なのだ。
よくやった。 ジェームズガンに感謝しかない。
正義感ゼロ、清潔感ゼロ、生産性ゼロのデスミッション
大失敗を犯した第一部隊の中に、かろうじて生きながらえたハーレイクイーン。
第二のミッションでは、敵のアジトに潜り込むと同時に、ハーレイクイーンを救出するミッションが課せられる。
冒頭で大量虐殺を目の当たりにしてしまった我々は、いつ死ぬんだとハラハラする。
どんな映画にもドキドキとハラハラは必要不可欠だが、誰が死んでもおかしくない極限状態を最初に作り出したのだ。
第二の部隊に選ばれたのは、ブラッドスポット、ピースメーカー、ラットキャッチャー2、ポルカドットマン、キングシャーク。
これで問題ないと思われたチームだが、実は穴だらけ。
射撃の名手であるブラッドスポットだが、実はピースメーカーも同じく射撃の名手。またもや司令官ビオラデイビスの悪手が光る。
キングシャークはサメが二足歩行している化け物で、話す言葉もbird, handと一語のみで全くコミュニケーションが取れない。怪力だけは評価されているが、明らかにイロモノな存在。
ガーディアンズオブギャラクシーのドラックスもまるで言葉を知らない愚鈍怪力キャラクターだったが、こういうキャラはガンの好みなのだろうか?
ちなみに、英語版ではシルベスタースタローンが声を当てている。
なぜ断らなかったのだろう?
適当すぎる寄せ集めのチームは、どっからどう見ても強調性も社会性もゼロ。
敵のアジトに上陸するも、ヒーローとは程遠い蛮行が繰り返される。
自分たち以外は全員敵という謎のターゲット設定により、味方であるレジスタンス達を皆殺しにしてしまう。キングシャークにいたっては、お腹が空いたと敵を丸呑み。
何より、囚われの身であるはずのハーレクインは、敵の大統領に求婚されて一夜を共にするも、彼女の逆鱗に触れた言動を取ってしまい、まさかの大統領殺害。自らの力で脱出してしまう。
清潔感ゼロ、生産性ゼロのミッションは、五里霧中で溢れている。
しかし、映画ではこの最低最悪な連中の行動が面白おかしく、常に死と爆笑がつきまとう。
つくづく真面目な人には向いてない映画だ。でも、大好きだ。
そもそもスーサイドスクワッドは、ヒーロー映画のアンチテーゼ的な立ち位置で存在しているはずだ。
この愚鈍な行動こそが、100点満点なのだ。
ドブネズミみたいに美しくなりたい
紆余曲折のスクワッドたちだが、最後の最後には泣かされてしまう。
ラットキャッチャー2の特殊能力であるネズミ操作は、このラストで生きてくる。
言うまでもなく、ネズミはスーサイドスクワッドたち自身のメタファーだ。
社会から蔑まれ、生きてる価値のないゴミ以下の存在。
しかし、そんな彼らが司令に歯向かい人々を救うのだ。
島中のネズミを集め、個では敵わないが集団でラスボスに立ち向かう姿は泣けて仕方がない。
ガーディアンズオブギャラクシーでも銀河を救うべく名もなき宇宙船が立ち向かうシーンがあったが、今作も名もなきネズミたちが人々の命を救う。
ネズミ帝国に追放されたジェームズガンは、最後にネズミを使って敵を殺してみせた。
まだ俺はネズミを捨ててない、というメッセージだったのだろうか。
まとめ
夏休みにピッタリの残酷無残なデスミッションムービー。
清く正しいヒーローはマーベルに任せて、ドブネズミのヒーローたちの活躍を見るのも良い。
本当に楽しかった!ありがとう、ジェームズガン!!
95点 / 100点