- まえがき
- あらすじ
- 「ザ・クリエイター 創造者」のネタバレありの感想と解説(全体)
- クリエイターの真の意味を知ると深い話
- 名作へのオマージュも
- 地獄の黙示録の終末世界から希望を創る
- AIの真の意味とは
- まとめ
まえがき
今回批評する映画はこちら
「ザ・クリエイター 創造者」
期待しかありません!!!!
まるでスターウォーズの世界観。多種多様な種族やロボットが生きるSF世界。。
最高です!!!
しかも想像者は子供!?
引き込まれるストーリーでございます!
予告で流れていたエアロスミスの「ドリーム・オン」もテンション上がりました!
これはIMAX案件ですよね!!!!
それでは「ザ・クリエイター 創造者」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。
あらすじ
・「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」のギャレス・エドワーズが監督・脚本を手がけた近未来SFアクション。
2075年、人間を守るために開発されたはずのAIが、ロサンゼルスで核爆発を引き起こした。人類とAIの存亡をかけた戦争が激化する中、元特殊部隊のジョシュアは、人類を滅亡させる兵器を創り出した「クリエイター」の潜伏先を突き止め、暗殺に向かう。しかしそこにいたのは、超進化型AIの幼い少女アルフィーだった。ジョシュアはある理由から、暗殺対象であるはずのアルフィーを守り抜くことを決意するが……。
「TENET テネット」のジョン・デビッド・ワシントンが主人公ジョシュアを演じ、「インセプション」の渡辺謙、「エターナルズ」のジェンマ・チャン、「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」のアリソン・ジャネイが共演。
「ザ・クリエイター 創造者」のネタバレありの感想と解説(全体)
「 #ザ・クリエイター創造者」鑑賞‼️
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2023年10月20日
「ローグワン」同様、敵の兵器を盗み守り抜く話を下敷きに人類とAIが殺し合う終末世界。
旧・新約聖書(西洋)と仏教(東洋)思想の衝突の先に生まれる結末に現代の奇跡を目撃した。
誰もが知る名作にオマージュを捧げつつ、俺も1人の創造主だと宣言する監督に大拍手👏 pic.twitter.com/9gYQw59YaX
クリエイターの真の意味を知ると深い話
とんでもない作品がやってきました。。。
年間ベスト級!と言っても良いでしょう!!!!
話は「ローグ・ワン」と同じなんですよ。
要は、敵の兵器を盗み、最後まで守り抜くお話です。
そして舞台もローグワンと同様、ベトナム戦争のような泥沼の陸地戦。
あの子供を「兵器」と言っていいかわかりませんが、人間側からすると「兵器」なわけですよ。ローグワンではデススターの設計図ですが、今回はAIロボットの子供。
それを主人公のジョシュアが盗もうとするも、子供と一緒に生活するにつれて情が生まれる。
子供を守ろうとする親、という構図になる。
しかし、単に他人の子供ではなく今作が仕掛けた綿密な設定によって、ただの他人の子供ではなくなる。次第に絡み合っていく2人の関係、そして運命。
最終的に親子愛へと繋がるラスト。感動しない人、なんていないですよね。。。
また、旧約聖書、新約聖書の西洋文化。そして仏教の東洋文化が見事な融合を果たし、ラストのあのシーンへと繋がる・・・。
なんというカタルシス!!!!
恐るべきですよ、監督。
なんでこんなに凄い作品を創るんでしょう、創れるんでしょう。。
SF作品で「物語」に感動することって普段ないんですけど、こればっかりは違いますねぇ。物語が凄い。。
人類とAIの戦争って「ターミネーター」とか思い出す映画が沢山あると思うんですけど、単に勝った負けたの話になってないんですよね。
人類とAIの戦争は終末世界で、絶望しかない。そこでの勝者っているんですかって話ですよ。
例え人類が勝ってもAIが勝っても、どちらかが敗者になるわけで。
単なる勝ち負けに終始せずに、いくら終末世界であっても未来に希望を託すという監督の気概が満ち溢れる作品になっておりました。
今作で描かれるAIとの戦争。あくまでSFの話のように見えて、現代で起きている問題と同じなんですよね。
特に映画業界(ハリウッド)は、AI(を利用する映画会社)と脚本家・俳優組合が衝突しストライキを起こしているわけです。
そして、いまだにこの争いは終わっていません。
監督自身もハリウッド騒動の渦中にいる1人のクリエイターとして、何か思う事があったのではないでしょうか。
AIと人間の共存は常に叫ばれていることです。
何より、映画界でAIとの共存が叫ばれているんですよ。
今作は人だけじゃ作れないんですよ。被せ物を着せてロボットを作るなんて今作の予算じゃできないわけですよ。CGが絶対必要なんです。そして現代のCGにはAIを活用しているんです。
例えば、今作ではジョージ・ルーカスの作ったILMがCGを全面製作していますが、ILMが開発したPhotoshopなどはAIで自動的に背景を補正するなどの機能があるわけですよ。AIロボットを大量配置したり、俳優の耳をくり抜いて機械を入れ込む表現はAIなしにできないわけですよ。
つまり現実にもAIロボットはAIが作っていて、AIが創造しているんですよ。
こうしたメタ的な視点で見ると、監督がどれだけ現代を意識して作っているのかが分かりますよね。
そして、今作の製作過程的にもAIと共存していこうよ、というメッセージが込められていると思うんです。
AIは愛とも呼ぶんだよ。世界はそれをAIと呼ぶんだぜ!!!
愛と平和!愛と平和!!
これを踏まえると、ラストにはどんな意味があるのかって話ですよ。
今作における「クリエイター」という言葉は、映画をはじめとする全ての表現に従事するクリエイターに向けて発信しているわけですよ。
最後に子供が生き残り笑っているシーンは、今後の創作物を担う若者に対して、
「どうだ!これが俺の映画だ!お前ら面白かっただろう!!お前らも面白い映画作れよ!!」
と叱咤激励しているようにも見えました。
子供=未来の希望というのが映画文法には多いですからね。
刺さりましたよ。
また、皆さんに言っておかなければいけないことがあります。
これはオリジナル映画なんですよ。
邦画しかり原作ありきで映画が作られている現代、オリジナルの大作を公開することの意義を考えて見てくださいよ。
監督も言っています。これを映画館で見てくれ、と。これを見た人が数年後数十年後のクリエイターになってくれよ、と。
みんな!見にいくんだぞ!!
名作へのオマージュも
前述した通り、きちんと監督の想いも込められた作品ではあるのですが、今作は数々の名作のオマージュが込められていました。
まず 一番分かりやすいのが「地獄の黙示録」ですよね。
主人公ジョシュアが一度敵のアジトに潜入し、数年後のある朝に目覚めるシーン。
プールから上がったあと、軍の上層部から「もう一度潜入してくれ」とお願いされる。
・・・これ完全に地獄の黙示録ですよねw
ここまで真似るのかぁと驚きましたw
本当は「ローグワン」でもやりたかったんだろうなぁ・・・。
その後ニューアジアにもう一度赴くわけですが、民兵も含んだ戦闘シーンの凄惨なこと。。
あそこまで酷い描写SF映画ではあまりないんですよね。完全に戦争映画の演出なわけです。
だからこそ地獄の黙示録を下敷きにしている意味があるんですけど。
そしてラストの展開は完全に「アルマゲドン」でした。
宇宙から飛来するミサイルは。
降り注ぐミサイルを見る市井の人々。
そしてそして!何よりジョシュアがアルフィーを脱出ポッドに乗せるシーン。。
・・・完全に「アルマゲドン」でしょ!!!!
アルフィーがベン・アフレックで、ジョシュアがブルース・ウィリスって事ですよ!!
ここまで完璧なオマージュを作るなんて、よっぽど大好きだったんだなぁ。
・・・余談ですが「アルマゲドン」に出ていたベンアフの嫁がリブ・タイラーなわけですが、彼女の父親がエアロスミスのスティーブン・タイラーなんですよね。
今回予告でエアロスミスの「ドリームオン」が使われていましたが、単なる偶然ですかね笑
地獄の黙示録の終末世界から希望を創る
そして、今回の物語の下敷きとなっているのは旧約聖書・新約聖書の世界観ですよね。
人類が滅亡する直前という終末世界は、新約聖書のヨハネの黙示録で書かれている世界の週末になぞらえていると思うんですよね。
だからこそ「地獄の黙示録」の映画にオマージュに捧げたのだと思います。
単に好きな映画だからって訳じゃないですよねw
終末世界に追いやったのは人間側が発端な訳ですが、対してAI側は仏教を信仰しているんです。ニューアジアと呼ばれる地域ですからね。ヒマラヤ山脈のような風景の中に寺院が映りますし、マヤが来世に転生できるという話もインド発祥の考え方なんです。
総じて東洋思想なんですよね。
西洋vs東洋の争いとも言えるわけですが、しかし今作の凄い点は前述した通り「勝った負けたの話にしない」という点です。
ラスト、宇宙にあるノマド基地にてジョシュアとマヤが再会するシーンがありますよね。
あれは単に2人が再会して感動〜〜ていう意味じゃないんですよ。
単刀直入に言いますと、ノマド基地というのは神=創造主のいる場所なんですよ。
旧約聖書では、人間は神から作られたと書かれています。
クリエイターという言葉には、「神」という意味合いも含まれています。
今作のクリエイターは、神であり創造主なわけです。
あくまでAIロボットですが、ノマド基地で大量の人型ロボットが出てくるのは、神が人を作ったという旧約聖書の記述になぞらえたものではないでしょうか?
また、その中でマヤが見つかるシーンは、東洋思想の輪廻転生を表していると思われます。
つまり、マヤの転生を通じて東洋と西洋の思想が混ざり合い、そして融和する。
鳥肌としか言いようがありません。
互いに異なる考え方であっても、人と人同士じゃなくても、誰とでも繋がりあえるって事なんですよね。
ちなみに、ジョシュアという名前は旧約聖書では預言者モーセの後継者。
一方、マヤという名前はヒンズー教で「概念を物質化する力」という意味合いを持ちます。
キャラクターの名前という点でも、西洋と東洋が混ざりあり、融和しているんですよ。
そして2人は再会してすぐにノマド基地から消え去ってしまうわけですが、ここは旧約聖書における「エデンの園から追放された」という話に結びつけたのではないでしょうか。
神が作った初めての人類、そして禁忌を破りエデンの園を追放された、という話ではないでしょうか。
そして、旧約聖書では2人は追放されて終わってしまいますが、今作はその2人から生まれた子供がアルフィーなんですよ。
神に抗い子供を産み、新たな希望を見出すラストになってるんですよね。
神をも超えた作品なんです。
AIの真の意味とは
今作で描かれるAIという単語、先ほどはAI=愛という図式にしましたが、もう一つ意味合いがあると思うんですよね。
AI=アイ、この言葉は旧約聖書とジョシュアとの関係を見るとある意味にたどり着きます。
モーセの後継者であるジョシュアは、アイという町に攻め込むんですよ。
その時の画像がこちら。
今作のシーンと酷似してませんか!?
焼け野原になる町、人々の服装。
これは今作におけるニューアジアの風景と非常に似ていると思います。
今作ではAIロボットのアジトに潜入するジョシュア。
旧約聖書ではアイという町に攻め込むジョシュア。
完全に付合してますよね。
監督はここまで考えていたのかもしれません。
まとめ
旧約聖書におけるアイという町はカナンの土地にあるんですよ。
つまり、今のイスラエルなんです。
そして、パレスチナと言う人もいる。
そして今、イスラエルとガザ地区で何が起こっているのかって話です。
AIと人類との戦争というSF設定の映画ではありますが、ちゃんと現代の争いに通底しているんですよね。
今作と同様に、現実世界も最悪の事態は避けていただきたい。
そして、叶うならば融和・平和へと向かってほしい。
以上、終わりの言葉とさせて頂きます。
97点 / 100点