ニュースで聞き覚えのある専門用語が
全数調査と標本調査の違い
全数調査とは、調査する対象の全てを調査することであり、他の統計であれば「国勢調査」が採用している手法である。
得られた標本数と調査結果を元に、推計を行う。
以下の式はテキトーに拾ってきたものだが、概ね推計方法はこんな感じ。
変数が多くて分かりづらいが、実はすごく簡単。
例えば、日本で年間どれだけ映画が鑑賞されているか、日本の年間総鑑賞本数を調べたいとする。
日本に住む人は約1億2000万人。これが母集団の数。
これを全て調査するわけにはいかないので、標本数を1000人に絞って調査したとする。
そこで、1000人が見た映画の鑑賞本数を計上し、1000人で割る。これで、一人当たりの鑑賞本数が分かる。
1000人の総鑑賞本数/1000人=一人当たりの鑑賞本数
これを、日本の人口1億2000万人で掛けてあげる。これで日本の総鑑賞本数を推計する。
日本の年間総鑑賞本数=1000人の総鑑賞本数/1000人*1億2000万人
厳密には様々な係数をかけており補正をしているが、簡単にいえば推計方法はこんな感じ。
虚偽記載はダメだけど、東京都は標本調査で全然OKだよ
東京都の統計年鑑における事業所数を見てみる。
今回の問題と同じ500人以上の事業所を見つけることは出来なかったが、300人以上の事業所数だけでも3283ある。
500人以上の事業所はより少なくなるが、十分多い数字だろう。
全事業所に対して調査をするなんて、どう考えてもおかしい。無理がある。
標本は十分すぎるほどあるのだ。わざわざ全数調査する必要がない。
ちなみに、全数調査を採用している国勢調査では、「日本で暮らしている人」を対象にするため、病院の入院患者や刑務所にいる人まで聞いているらしい。
虚偽記載は確かに問題だ。でも、標本調査自体が悪いわけじゃない。
特に東京都で500人以上働いている事業所なんて、ごまんといる。1/3しか集められなくたって、十分すぎるほどある。
例えば、全体が9事業所しかなく3事業所しか聞いてなかったら問題であろう。
しかし、900事業所のうち300事業所聞いていれば、統計調査においては十分すぎるほどの信頼性がある。
「精度が!」「精度が!!」と喚いている人は、今一度考え直して欲しい。