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映画「アンダードッグ 前編&後編」ネタバレあり感想解説と評価 ロッキーvsロッキーvsロッキーだ!

 
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この記事では、「アンダードッグ 前編&後編」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「アンダードッグ 前編&後編」

 
 

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(C)2020「アンダードッグ」製作委員会

 

 
 
時は来た!!!!
 
ハリーポッターのスピンオフながらも、原作者による脚本とエディ・レッドメインによる主演で、非常にクオリティの高い映画だった「ファンタスティックビーストと魔法使いの旅」の続編がついに公開です!!!

 

 

 

それでは「アンダードッグ 前編&後編」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
・「百円の恋」の武正晴監督が、森山未來、北村匠海、勝地涼をキャストに迎えたボクシング映画の前編。プロボクサーの末永晃はかつて掴みかけたチャンピオンの夢を諦めきれず、現在も“咬ませ犬”としてリングに上がり、ボクシングにしがみつく日々を送っていた。一方、児童養護施設出身で秘密の過去を持つ大村龍太は、ボクシングの才能を認められ将来を期待されている。大物俳優の2世タレントで芸人としても鳴かず飛ばずの宮木瞬は、テレビ番組の企画でボクシングの試合に挑むことに。それぞれの生き様を抱える3人の男たちは、人生の再起をかけて拳を交えるが……。「百円の恋」の足立紳が原作・脚本を担当。3人の男たちを中心に描いた「劇場版」は前後編の2部構成で同日公開。また、3人と彼らを取り巻く人々の群像劇として全8話のシリーズで描く「配信版」もABEMAプレミアムで配信される。

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主題歌は石崎ひゅーい!森山未來主演『アンダードッグ』胸アツの予告編

 
 
 
 

「アンダードッグ 前編&後編」のネタバレありの感想と解説(短評)

 
 

 
 
 

 前編はまるで「レスラー」のような。

 

この世の終わりをすでに観てきたような、そんな絶望に打ちひしがれているような顔をしている森山未来さんが映るところから本章はスタート。

 

荒んだボクシングジムで、1人サンドバッグと睨めっこ。そこにタイトルクレジットが青と赤で挿入される。

 

全裸監督の時もそうでしたが、荒んだ背景美術の作りが上手いですね。

正直、こんなとこでは絶対練習したくないって思わせるような背景ですよね。

 

ちなみにここではまだ、森山未來くんが一体どういう人間で、ボクサーとしてどれぐらいのレベルなのかとか、一切情報がないんですよね。で、ボクサーの練習終わってでも家に帰るんですけれども、その家が汚いんですよ。なんか、ゴミ屋敷みたいな。

 

で、そこから朝出勤するんですけど、そこで「レスラー」で流れたようなブルースの曲が流れてくるんですね。こういった曲の使い方とかすごい汚いところは、「レスラー」っぽいというのが最初の印象ですね。

 

すごい、静かな映画なんだろうなーって。哀愁が漂う映画なんだろうなーって、思いましたね。

 

で、森山未來くんはボクサーだけじゃなくてですね、何か裏稼業のようなアルバイトをしてるんですよね。でまぁ要はその風俗嬢を、出勤先まで送るドライバーのアルバイトをしてるんですよ。仕事やってる時もね、すごいつまんなそうなんですよ。

 

てか、ここまであらすじ書いてきましたけど、森山未來くん全然しゃべらないんですよ。もう音が流れると言えばブルースの曲位でね。もう全然喋んないの森山未來。

 

だから今ある情報としては、ボクサーとして一生懸命やってるって言うのと、アルバイトもなんかつまんなそうにやってると言う情報しかなくて、物語が一体どんな方向に進んでいくのかとかこの人は何を考えてるんだろうとかというのはもうその映像から察するしかないんですよね。

 

なので、観客の集中力が非常に試される映画だと思います。なので行家とかじゃなくてね、映画館でこれを見る映像だとそういう映画を作っているというのがすぐにわかります。

 

 

これまで見たことない、森山未来さんの演技

 

 

 

ただ、ボクシングについてはちょっと消極的なところがある。消極的というか、とてもじゃないけど世界チャンピオンを目指すような崇高な目標は無いように見えるんです。

ボクシングとは対照的なセックスシーンを見て、森山未来君は、いかにくすぶっている人間なんだというのがよくわかるんですよね。

 

とにかく、森山未來くんの岩のような顔とセックスシーンは、一見の価値ありです。

今まで森山くんの演技と言えば、「モテキ」や「ウォーターボーイズ」などの明るい童貞のようなキャラを演じていたんですよ。こんなに暗い森山くんを見たのは初めてですし、個性的な行為を見たのも初めてですし、とにかく森山くんの初めて集まった映画だったのではないでしょうか。

 

ロッキーがいっぱい

今作のメインキャラは、森山未來さん、北村匠海さん、勝地涼さんの3人のボクサーなんですけども、この3人の人物描写が濃厚すぎて、ロッキーがいっぱいいるように思えて仕方ないのです。要は負け犬がボクシングによって成長していく物語なんです。この3人がロッキーとして成長していく話なんですよ。

 

特に森山未來くんは、ボクシングだけじゃ食べていけないので危ないアルバイトをしていて。風俗嬢のドライバーとさっき言いましたけど、ボディーガードも兼ねているわけです。

この描写ロッキーですよね。労力ないので借金取りのアルバイトをしていた。

ただ、森山くんはアポロクリードでもあるわけです。森山くんはかつて日本チャンピオンで、大変優秀な選手だった。しかしピークが過ぎ年齢を過ぎ、タイトルを取れるような選手ではなくなってしまった。しかし人気はあるから、テレビ番組とかではボクシングの試合をすることができる。

 

彼は勝地涼さんが出演するバラエティ番組の企画として、エキシビションマッチを行うんですけれども、かつてのチャンピオンが有名な選手と試合を行うと言うのは、まさにロッキーのプロットそのものですよね。

 

森山くんはロッキーとアポロクリート、両方のキャラクターを背負わせたわけです。これを、前辺の部分だけで見せたのは素晴らしいです。

 

 

ガチとエンタメ

 

先ほども話した通り、森山未來さんも全然しゃべらないんですよね。だからボクシングとちょっとした表情の変化とかでキャラクターとか物語を伝える必要があるんですけれども、まぁそれを完璧にやってのけましたね。

 

特にですね、アルバイト先の同僚というか風俗嬢に森山未來さんは雇用するんですけれども、直接好きとか言えないわけですよ。でも、好きで好きでしょうがない。それをこの作品はどう伝えるのかといいますと、はっきり言って、「自慰行為」で初めて愛を伝えるんですね。

 

風俗嬢が仕事してる時ってドライバー暇なわけですよ。て声が外に漏れてくるわけですよ風俗嬢のね。でーその声を聞いてまぁシコシコしちゃうんですけども。

 

その時の森山未來くんの顔が、何か岩みたいなんですよ。すごい難いんです。カメラもちょっと青白く撮ってて、でも普通の人間には思えないような岩の顔。

 

この顔でシコシコしちゃうんですね。正直ね、怖いよ。怖すぎるよ。頭にしゃべらない映画なんで、感情はその表情で伝えるしかないんですけれども、この表情から俺は何を察しろと。どうやって恋愛感情をこの顔から感じればいいんだと、非常に困惑した瞬間でした。

 

全裸監督の時もそうでしたが、観客の気持ちよりも、キャラクターの気持ちを優先するんですよね。だから一見すると、主人公の気持ちが一瞬わからなくなってしまうんですよ。

 

要は、ただオナニーだけだと、単なる性の対象としてしか見てないんじゃないかと思ってしまうわけですよ。ほとんど恋愛に対するアプローチがないので、こいつは一体何を考えているんだと不思議な気持ちになるんですよ。

 

…結局何回かオナニーを繰り返すうちに、風俗嬢にばれて、エッチさせてもらえるんですけどね。

で、そのエッチと言うのか、まるで野獣のようなエッチなんですよ。車の中ではあるんですけれども、車がギッタンバッコンして、その激しさを物語っているんですよね。これは「野獣死すべし」の鹿賀丈史を思い出しましたね。

とにかく、森山未來は野獣のような男男だと言うのがよくわかるんですよね。

えて完全エンタメ(台本あり)で。一方でロバートの山本は、芸人にもかかわらず8店舗寝具をやってプロボクサーになった。この相対する2人の間に挟まっているのか勝地涼なんですね。

 

これは、私の完全なもうそうですか、勝地涼お前はどっちの道に進むんだと。ボクシングに対して価値なのかダメなのかどっちを取るんだと。そんな投げかけを2人のキャスティングによって行っているように見えました。

 

 

 前編まとめ

 

前編と後編がある映画の中でも、これほどまでにしゃべらない映画も珍しいのではないでしょうか。まるで「レスラー」と「ドライブ」の演出で「ロッキー」をやったような、そんな映画でした。

 

まぁロッキーなんでね、最後は燃え上がるようなボクシングのシーンが見れました。

ボクシングのラストってずるいですよね。盛り上がるに決まってるじゃないですか。

 

森山未來さん、勝地涼さん、一体勝つのはどちらなんでしょうか。ぜひとも前編を見て確かめてください。

 

◆以下から、後半の感想です!

 

 

前編とは一線を画す

こっちはファミレスで森山未来さんとその妻が口論しているところから始まります。

前編と同じく、森山未来はずっと黙っているかと思いきや、、、

めっちゃクチャしゃべるんですよ!!前編とは大違いな森山未來くんに驚きを隠せませんでした。入魂を止めるために必死に弁明する森山未來くんは、今まで僕が見てきた森山くんの演技でした。

前編と後編て、こんなにも演出が話し合うのか、なんだこの映画はと思ったのが正直なところです。

 

前半ではあんまりしゃべらなかった森山さんが、ここまで感情をあらわにしていると言うのか、心が震えて仕方ありませんでした。

 

その後のボクシングを続けるために必死にコーチに説得したり、働いている風俗店のために奮闘したりと、直接的なボクシングの描写が全くないんです。私独自の計算ですが冒頭から約50分間、ボクシングの描写がなかったと思います。

 

森山くん一他のキャラクターの熱い演技に圧倒されてしまった私。いったい俺は何を見ているんだろう。前編と後編こんなにも違うものなのかと、驚きを隠せません。

 

この演出の違いは意図的なのは間違いありません。全編・後編をうまく使い分け、観客に全く違う印象を持たせる演出をしているのです。

これは発明だと思います。前編後編でないと予算が取れない映画っていうのもたくさんあり、例えばコンサートのように、豪華なキャストやボクシングの会の体作り、多くのエキストラを入れての撮影などは今の日本ではなかなか難しくなってしまいました。映画を前編後編に分ける事は様々な賛否がありました。実際私も「進撃の巨人」で猛烈に批判をしてしまった覚えがあります。

 

ただこの映画違うんです。前編後編にする意味がちゃんとあるんです。前編では森山未來くんの静かな演技が際立ち、後編では全編でためにためた鬱憤を晴らすように、熱烈な演技を、動の演技をする森山未來くんを堪能することができるんです。

もしくは前編が映画的、後編がテレビ的と言えるのかもしれません。とにかく、この前編後編の違いを堪能していただけたら幸いです。

 

人間の本能と向き合う映画

先ほどこの映画にはロッキーがいっぱいいると言いましたが、後編にもなると森山未來さんと北村たくみくんのこれまでの背景が丁寧に描かれるので、正直誰にも負けてほしくないと言う感情が渦巻いてくるんです。

 

北村宅に行くにもちゃんとした僕進行する理由があって、実は子供の頃、森山未來さんと大きく関係があったんですね。1000編の冒頭では到底想像もつかなかった大きな関係があったんです。なぜあそこまで北村くんは森山さんに執着しているのか、と言うのか後半に明らかになるんですけれども、このプロットに燃えない人はいないでしょう。

 

北村たくみくんの、過去の振る舞いなどを見ていると、藤井道人監督の「デイアンドナイト」を思い出しました。

まぁ、撮影時期からしてもデイアンドナイトを真似ると言う事はありえないんですけれども、妙な共通点を感じました。というか、日本の子育ては大丈夫なのかと、心配もしてしまいました。

 

後半になってようやく北村匠くんの様々な人物描写が描かれるんですよね。でもこの映画は武監督がとってますから、かなり性描写も濃いんですよね。

北村匠海君をもちろん、いろいろやってちゃってくれてるんですけれども、その描写をですね私の横に座っていたおそらく北村匠海くんのファンと思われる女子高生がですね、目を塞いでたんですよね。

 

正直、ちょっとこの仕草には私興奮してしまったんですけれども。間こういった性描写も通して北村たくみくんの人物を描き出そうとする武監督の演出が光っていたと思います。ちなみに北村たくみくんのセックスは、荒々しかったです。

 

こうしたセックス描写も、人間の本能を描きたいと言う監督の思いから来てると思うんですね。ちなみに、森山未來さん・北村匠くん・勝地涼さんの性描写は必ず1回以上映ります。

 

「ボクシングは人間の本能と向き合うものである」と、確か劇中で言っていたと思います。

この直接的なセリフからも分かる通り、監督はボクシングや性描写を通して人間の本能を描きたいと言う意図があるんだと思います。

 

この作品のタイトルは「アンダードック」と、噛ませ犬と言う意味になりますけれども、そうした子の光を浴びない噛ませ犬たちがボクシングを通して本能をあらわにし、人間の本能的な強さを磨いていくそんな映画だと思いました。

 

実は社会派?謎に満ちたコメディ描写

ちょっと本筋から離れるんですけれども、この映画では社会派なギャグが多く出てくるんですよね。特に驚いたのは、テレビを見ていると明らかにトランプ前大統領が写っている画面が見えるんですね。で、このテレビを見ながら森山未來くんは服を着替えているんですけれどもそこでなぜか、思いっきりお尻を出すんですよね。これ、私の考えすぎかもしれませんが、トランプ大統領アスホール、と言う意味なんじゃないでしょうか。

 

ほんとにこれ映画の本筋ではないんですけれども。

 

あと、煽り運転の聖のような描写もあってですね、ちょいちょい社会問題を取り上げるようなネタが含まれてるんですよね。

 

後半まとめ

前編後編合わせて約4時間超えの大作となりました。開業ここまで長い物語で、みんなロッキー状態のボクサーの物語。監督の意図通り、人間が本能と向き合う平和だったと思います。

 

そしてラストの森山未來くんと北村匠くんの戦いは、正直おっさんの私からすると少し悲しかったんですけれども、まぁこれもこれで森山未來くんは勝者なんだと思いました。もちろん北村たくみくんも勝者で、後編には出てきませんでしたが、勝地涼さんもボクシングを通して人間として立派に成長していきました。

 

 

 

まとめ

武監督はボクシングを通して、底辺にいる人間たちをはい上がらせるそんな映画が好きなんだと思います。

 

おそらく、今作はアカデミーといっても日本ですけども日本アカデミー賞で数々の賞取ると思います。特に森山未来さんの主演男優賞、これは間違いないのではないでしょうか。とにかく、4時間超えですからこの映画。絶対に映画館でないと集中ができません。上映している今、見に行っていただければと思います。

 

90点 / 100点 

 
関連画像

 

 
 
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