「男はつらいよ お帰り寅さん」のネタバレありの感想と解説(短評)
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「男はつらいよ お帰り寅さん」
シリーズ累計50作。
長編映画のシリーズものとしては最多で、ギネス認定されているほどの長寿映画。
私はリアルタイムで寅さんを鑑賞していないし、あまり過去作も見ている方ではない。
ただ、日本のコメディ映画としては外せない作品であり、コメディ好きとしては見ずにはいられなかった。
過去の寅さんの映画を流しながらも、満男と泉の恋物語を進展させ、きちんと物語を前に進めた手腕は素晴らしい。
最後に登場するマドンナ総出演には舌をまき、いかに国民的映画だったのか、一目でわかる作りになっている。
古い映画だから?知らない俳優だから? 全然話を知らない?
という人も全く問題ない。他人の話を聞いても面白いように、他人の葬式に行っても泣いてしまうように、全く知らない人でも楽しめる作品。
数多くの映画あれど、寅さんのような「身勝手」で「横柄」で「意地悪」で「人間味」のある人はいない。こんな人が主役の映画は、そうそうない。
しかし、等身大の男をあえて演じることで多くの観客を取り込み、共感させたのだと感じる。
鑑賞後には、まるで親戚のおじさんのような親近感が湧いた。
是非とも寅さんに笑って泣いて、楽しんで頂きたい。
Tジョイプリンス品川にて「男はつらいよ おかえり寅さん」鑑賞
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2019年12月28日
昭和の日本映画を語る上で外せない作品。昔の寅さんの映像を使い過去を振り返りながらも、物語を前に進める手腕はお見事。
劇場で響く観客のしゃがれた笑い声にも思わず涙し、素晴らしい映画体験でした。#男はつらいよお帰り寅さん
あらすじ
・山田洋次監督による国民的人情喜劇「男はつらいよ」シリーズの50周年記念作品。1969年に第1作が劇場公開されてから50周年を迎え、97年の「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇」以来、22年ぶりに製作された。倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆らに加え、シリーズの看板俳優であり、96年に亡くなった渥美清も出演。さらに、歴代マドンナからは後藤久美子、浅丘ルリ子と「男はつらいよ」でおなじみのキャストが顔をそろえる。柴又の帝釈天の参道にかつてあった団子屋「くるまや」は、現在はカフェに生まれ変わっていた。その裏手にある住居では車寅次郎の甥である満男の妻の7回忌の法事で集まった人たちが昔話に花を咲かせていた。サラリーマンから小説家に転進した満男の最新作のサイン会の行列の中に、満男の初恋の人で結婚の約束までしたイズミの姿があった。イズミに再会した満男は「会わせたい人がいる」とイズミを小さなジャズ喫茶に連れて行く。その店はかつて寅次郎の恋人だったリリーが経営する喫茶店だった。
大胆な過去作の引用も目立たない作りに
冒頭は寅さんのテーマから始まるが、歌はなんと桑田佳祐さんが歌っている。
しかも、ただの歌でなく、画面に桑田佳祐が登場して歌っている。
過去の寅さんの映像と桑田佳祐が交互に流れ、冒頭から過去作の引用が見られる作品になっている。
その後も過去作の大胆な引用があり、本編の半分以上は過去作である49本の中から厳選した映像で占められている。
通常の映画なら受け入れがたい構成であり、昔の映像をまとめただけじゃないかと言われかねない。
しかし、寅さんはそうならなかった。自分が過去作をほとんど知らず、新鮮に感じたことも大きいが、今回の脚本に合致した映像を流してくれるので、全く気にならない。
過去の俳優を使った同窓会映画にも見えるが、50年前に一作目に出ている役者なんだと思うと、感動を禁じえない。
寅さんは男のリアル
普通の映画であれば、主人公が成長し、立派になり、正しい行いをするというのが筋というもの。
しかし寅さんはいつも同じ調子で、成長することがない。
基本的には場をかき乱し、自分勝手な論理をでっち上げ、周りの空気を読まない、正直面倒なタイプである。
寅さんがツイッターをやっていたら、さぞ有名な「くそリプおじさん」となったことだろう。
ただ、そんな面倒くさい寅さんではあるが、時には真面目に、名言を放つ。まるで大人版「クレヨンしんちゃん」のよう。
基本的にはふざけてばっかりのおじさんだが、池寅さんがいないとどこか寂しく感じる。
こういう大人がいるのも、悪くない。みんな寅さんを欲しているのだ。