Machinakaの日記

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映画「ようこそ映画音響の世界へ」ネタバレあり感想解説と評価 驚くべきは「映像」にあり!超名作の融合による奇跡の94分!

 
こんにちは! 
 
Machinakaです!! 
 
Twitterもやってます!
 
 
 
この記事では、「ようこそ映画音響の世界へ」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「ようこそ映画音響の世界へ」

 
 

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(C)2019 Ain't Heard Nothin' Yet Corp.All Rights Reserved.
 
久しぶりにドキュメンタリー映画を映画館で鑑賞します。
 
作り手のインタビューを多分に交えているシーンを観ると、観た感じすごく真面目な映画という印象を受けます。
 
この手のドキュメンタリーはあまり画が動かないから退屈になっちゃうんだよな。

こうした映画こそ映画館で観るべきなんですよね。それに映画音響ということで、サラウンド環境で大きな音で楽しまないと今作の意味がないと思い、是非とも映画館で鑑賞させてもらうことにしましょう! 

 

 

それでは「ようこそ映画音響の世界へ」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
・ハリウッドの映画音響にスポットをあてたドキュメンタリー。1927年に初のトーキー映画「ジャズシンガー」が誕生して以来、常に進化を続けている映画音響。本作では「キング・コング(1933)」「市民ケーン」「ROMA ローマ」など、新旧名作群の映像を使用し、映画音響の世界を紹介。ジョージ・ルーカス、スティーブン・スピルバーグ、デビッド・リンチ、クリストファー・ノーランら監督陣、「スター・ウォーズ」のベン・バート、「地獄の黙示録」のウォルター・マーチ、「ジュラシック・パーク」のゲイリー・ライドストロームといった映画音響界のレジェンドたちのインタビューを盛り込み、映画における「音」の効果と重要性に迫っていく。

eiga.com

 

 

 
 
 
 
 
 

「ようこそ映画音響の世界へ」のネタバレありの感想と解説(短評)

 
 
 

 
 
 
 

 

映画の「聴き方」が分かる稀有な映画

 

鑑賞直後は「今年ベスト」だと大興奮でツイートしてしまいましたが、鑑賞してしばらくたった今では、、、

 

 

気持ちは変わらず今年ベストです!!!

 

これほど自信を持って人に進められる映画も珍しいです。本当に何から語っていいか分からない。わからないです。

 

映画の詳しい感想は後で書くとして、、

 

コロナ禍で映画館が休業し、ディスニープラスなどの動画配信サービスで新作映画が自宅で見れる環境が進み、「おうち映画」というのがニューノーマルになっている今だからこそ観るべき映画であることは間違いありません。

 

今作は、映画館で映画を観ることの喜びに溢れているからです!!

 

どんなにテレビが大きくなっても良いスピーカーが導入されても、映画館という大きな空間のために設計された映画音響を家で再現できるはずがないのです。

やはり、映画は映画館で。そう思わせてくれる映画でした。

 

週末新作映画を劇場まで観に行く私がふと感じている疑問なのですが、「なぜ俺は映画館に行くのだろう」と感じるわけですよ。そして、映画好きでない人を映画館に勧める時に、どんな説得をすればよいのか、常々悩むわけですよ。

 

今作を観るまでは「大きなスクリーンが良い」だとか「観客のリアクションを楽しむ」とかいろんなことを言ってましたが、もう悩むことはありません。

 

映画館に行く理由は映画音響にあったんですよ!!

 

一般的に、映画を体験することを言葉に表すと、どうしても映画を「観る」という映像体験を強調した表現が目立つと思います。

 

でも今作を観て確信しました。映画は「観る」だけじゃない、映画は「聴く」ものでもあるんだ、と。

 

今まで映画音響に対してどうやって接すればよいんだと、接し方が全く分からなかったのですが、今作によって映画の見方ならぬ「映画の聴き方」が分かる教科書的な作品と鳴ったのは間違いありません。

 

映画の見方が分かる本は名作なので是非。

 

 

 

少し自分の話をさせてください。

 

私にとって、映画と音との関係はきわめてミーハー的なものでした。

「音が大きい」とか「このシーンにこの曲が合わさるのか」とか「サラウンドが良い」とか「主題歌がたまらん」とか、映画館で流される「完成された音」だけを観ていました。

 

当たり前ですが、ミュージシャンでもDJでもなんでもない、「表現のために音響を作った」経験のない私にとっては、映画と音の関係なんてそんなものだったのです。

 

自分なりには沢山映画を観てきたつもりで、色んな名作を観てきましたつもりでしたが、今作を観て改めて確信しました。

 

私は映画を「観た」だけに過ぎなかった。

映画を「聞いて」はいたけど「聴いて」いなかった。

 
映画音響がどのように作られて映画として流される前の過程の音響の存在を、右から左へと聞き流していたのです。
 
今作で次々と登場する、自分がかつて観たことのある名作が「映画音響」という一つのテーマで繋がることで、全く新しい見方が出来るようになったのですから。
 
映画を「聴く」という新たな映画の楽しみ方を教えてくれた今作に感謝しかありません。そして、映画館で映画を見る喜びを改めて教えてくれたことに感謝しかありません。
 
あと何回、この映画を映画館で見れるか楽しみです。
 
なぜなら、映画音響という題材だけあって、映画館の音響をフル活用した演出がふんだんに盛り込まれているからです。
 
スターウォーズのデス・スターを題材に、映画に音が付いている場合と無音の場合で映画がどう変わるかの比較。
モノラルとステレオ、サラウンドとの違いなど、普通の映画ではまず体験できない映画音響の裏側を映画館の音響設備で体験できることがこんなに素晴らしいものとは思いませんでした。
 
先ほど今作を「教科書」と説明してしまいましたが、お硬い作品などではありません。映画に音を入れるとこんなに楽しいんだ、という純粋な音の喜びが詰まった演出の数々を体験させてくれるんですよ。
 
今作ほど、映画館で観るべき作品もないと思います。
 
自宅で観る前に、様々な映画館の様々な音響で楽しみたいと思います!!!
 
 
 

 

驚くべきは「映像」にあり! 超名作の融合による奇跡の94分!

 

今作は音響に焦点を当てた映画ではありますが、個人的には「音響」と同じくらい「映像」が見事でしたし、心底驚いております。

 

後述しますが、今作94分間に流れる名作の多さにまず驚きます。

「スターウォーズ」や「地獄の黙示録」、「ジュラシックパーク」などの一度は観たことのある名作が、惜しみげもなく引用され、音響だけでなく映像が付いて流れるのです。

 

リアルタイムでは観れなかった、自宅でしか観たことのない名作が、今作により映画館で蘇るのです!!

 

名作1本を映画館で観るためには、名画座に行ったり午前十時の映画祭に行ったりするのが普通でしょう。

当たり前ですが、名作を映画館で観るためには一作一作フルで鑑賞する必要があり、時間とお金がいくらあっても足りないのが実情です。

 

しかし今作では、1作あたり僅かながらではありますが、1本の映画で名作の数々が映画館で堪能できるのです!!

 

映画館で観たかったあの名作の数々が、94分という尺が短い映画の中に凝縮されているんです。

 

この映画は奇跡です!!

 

映画館のスクリーンで、映画館の音響で名作が次々と見れることの幸せを、ひしひし感じることができました。

 

 

 

 

今作で取り上げられた映画をご紹介!

 

まだ1回目の鑑賞であるため 抜け漏れはあると思いますが、確認できる限り今作で取り上げられた作品を紹介したいと思います。

 

何度も言いますが、1本の映画でこのような大量の名作が流れるなんて奇跡です。

 

しかも、一本一本に「映画音響の技術」という観点が加わっており、今まで「映像」や「ストーリー」ばかり観てきた私にとっては目からウロコな情報ばかりでした。。

 

それでは今作で流れた名作紹介、行ってみよー!!!

 

 

映画音響の歴史編で取り上げられた映画

 

[映画と音の初接近]

 

・「つばさ」1927

アカデミー賞作品賞を獲った、第1次世界対戦を取り扱った。

 

・「ドンファン」1926

初のトーキー映画。ちなみにトーキーはTalkieでセリフを表す。

 

・「ジャズ・シンガー」1927

長編でかつ本格的なトーキー映画としては初の映画。

 

[オーソン・ウェルズの音響革命]

 

・「宇宙戦争」(ラジオ)1938

オーソン・ウェルズがSF小説「宇宙戦争」をラジオドラマ化。当時は映画音響よりもラジオの音楽演出の方が優れており、当時の映画人たちはこの放送に驚いた。

その後、オーソン・ウェルズは映画界に進出し、その名を轟かせた。

 

・「市民ケーン」1941

「宇宙戦争」の後、オーソン・ウェルズが作った名作で、歴代最高の映画とも呼ばれる。音響的には反響音を利用することで音に奥行きを表現した点が新しいと評された。

 

[野外で録音するという発明]

 

・「勝手にしやがれ」1960

ゴダールの知る人ぞ知る名作。当時は珍しいスタジオシステムから逸脱した野外撮影で映画に革命をもたらしたが、撮影と同時に音響も外で作る画期的な映画だった。当時パリに留学していた映画音響の作り手は衝撃を受け、アメリカに帰ると新たな映画音響作りに没頭した。

 

・「ファニー・ガール」1968

ブロードウェイを舞台としたミュージカル映画。当時の「音」に関する対比としてビートルズとロックが取り上げられ、映画音響と比較している点が驚いた。映画音響はビートルズと戦っていたのか・・。

 

[架空生物の声を創る]

 

・「キングコング」1933

キングコングの音声は動物園に行きトラとライオンの音声を録音し、ミックスして音を引き伸ばし、逆再生するなどして独自の声を作り上げた。この手法は現代の音響効果でも使われており、現代の映画音響づくりにおける「SE Sound Edit」の基礎となっている。

 

・「THX1138」1971

アメリカン・ゾエトロープ社による、ジョージ・ルーカス初の監督作品。工業的には失敗したが、後に「スターウォーズ」の素となった作品として注目を集める。

 

 

・「スターウォーズ」1977

映画自体はもはや説明不要。スターウィーズの音響作りの最初はウーキー族、つまりチューバッカの音声作りから入った。担当のベン・バートは「キングコング」のように複数の動物の音声を重ね合わせることを思いつき、熊とアザラシとオットセイとアナグマの声を重ねることで作成した。なお、一番苦労した音声はR2D2の声であり、作成に数ヶ月を要したという。

 

・「ジュラシックパーク」1990

これまで動物の声を重ね合わせて作っていた音響作りとは違って、これまでにない恐竜の声を作り上げた。

 

 

 

 

 

[無音という音の偉大さが伝わる]

 

・「2001年宇宙の旅」1969

スタンリー・キューブリックによる不朽の名作。クラシック音楽を映画に用いたことで有名ではあるが、今作では無音という音を巧みに使ったことが評価されていた。

 

 

・「鳥」1963

ヒッチコックが作ったセンセーショナルな動物パニック映画。今作より前の映画音響は常にクラシック音楽が流れたり、常に一定な音量で音楽が流れたていたが、今作により無音と大音量を巧みに使い分けることにより、音で「臨場感」を作った点が高く評価されている。あと、なぜか「アタック・オブ・ザ・キラートマト」で引用・オマージュが捧げられている。

 

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[マルチトラックという発明]

 

・「ナッシュビル」1975

ロバート・アルトマン監督の作品。今作より前の作品は音声が単一のトラックしか使われなかったが、今作により初めてマルチトラックが使われ、多層的な音響が使われるように鳴った。空港のシーンで飛行機の音声と人が喋る声が入り交ざる音響演出は当時衝撃を受けた、という音響クリエイターのコメントに、自分は驚きを隠せなかった。こんな映画の見方、いや聞き方があったんだ、と。。

 

 

[モノラルからステレオ、サラウンドスピーカーに]

 

・「風と共に去りぬ」1939

未だに色褪せぬ名作。今作ではモノラル音響(スクリーンの裏にスピーカーが一つあるのみ)の代表例として取り上げられた。

 

・「スター誕生」1976

これまでのモノラルスピーカーからステレオスピーカーでの上映が行われた。ちなみに、ステレオ上映を希望したのは主演のバーブラ・ストライサンドだった。

 

・「地獄の黙示録」1979

フランシス・フォード・コッポラによるベトナム戦争映画の傑作。冨田勲の楽曲「惑星」の4ch音響に衝撃を受け、世界で初めて5.1chによるサラウンドスピーカー上映を行った。今ではサラウンドスピーカーが当たり前になっているが、今作が初のサラウンドと聞いて鳥肌が立った。と同時に、IMAXによる上映がいかに大事な機会であったかを悔やむばかりである。もう一回、IMAXやってくれねぇかなぁ。

 

 

[音に感情をもたせる]

 

 

・「ジョーズ」1975

スピルバーグの出世作となる元祖サメ映画。サメが襲ってくる時に使われる不安を煽る音響はあまりにも有名。

 

 

・「イレイザーヘッド」1977

デヴィッド・リンチの代表作。あらゆる音響を駆使して悪魔的な音響を作ったことで有名。ちなみに、自分はまだ観ていない。

 

 

 

[デジタル音声の幕開け]

 

・「ルクソーJr.」1986

ピクサーの初期作品。ピクサーのクレジットに出てくる電球は今作の主人公である。今作の紹介の時にジョン・ラセターが喋っていたが、公の場でジョン・ラセターを観るのは本当に久しぶりだった。

 

・「トイ・ストーリー」1995

ゲイリー・ライドストロームが音響を担当し、音響による感情表現を行い、現代のピクサー映画の礎となった。

 

 

・「マトリックス」1999

デジタル音声を全面に使った音響効果が全世界に衝撃を与えた。

 

 

 

 

[ノイズ音の除去]

 

・「普通の人々」1980

ロバート・レッドフォード監督作品で、アカデミー作品賞を獲得。精神科医と主人公が会話するシーンにおいて、会話以外の雑音を取り除いた点で斬新だと評された。鑑賞時は現代の映画に慣れすぎて当たり前のように思えたが、今作を観てもう一度観たくなった。

 

 

・「パイレーツ・オブ・カリビアン」2003

セリフに不要な自然音をクリアにした作品。余談だが、久しぶりにジョニー・デップをスクリーンで見た。

 

・「ワンダーウーマン」2017

野外の撮影時に録音に邪魔な風音を除去するという観点で取り上げられていた。まさか今作でガル・ガドットが映るとは、思ってもみなかった。

 

 

 

[その他:総合的な音響のクオリティで取り上げられた]

 

・「ゴッドファーザー」1972

フランシス・フォード・コッポラによる、もはや言うまでもない名作。ちなみに、親友のジョージ・ルーカスも今作に協力している。

 

・「大統領の陰謀」1976

無音状態や無線のやり取り、テープを剥がす音などあらゆる音に対して画期的な演出を行った。あと今作には関係ないが、ダスティン・ホフマンの着るスーツがあまりに派手でどこで売ってるものなのかずっと気になっている。

 

・「イージーライダー」1969

主題歌の「Born to be wild」が流れながら、バイクに乗るピーター・フォンダとデニス・ホッパーが映り、さらにクレジットが流れるカッコ良すぎるオープニングがあまりにも有名。バイク音の使用も当時では珍しかったのではないか?

 

・「類人猿ターザン」1932

ターザンが「あーああーー」と叫ぶシーンが数秒写った。

 

・「シャイニング」1980

ドアから飛びだすジャック・ニコルソンが出て奥さんが「ぎゃあああああ」と叫ぶシーンが写った。

 

・「ロード・オブ・ザ・リング」2002

ガンダルフが魔法を放つシーンが写った。今ではすっかりコメディ映画のネタにされているガンダルフなので、久しぶりにオリジナルのガンダルフを見た。

 

・「ET」1982

スピルバーグの代表作。ほんの一瞬だけ登場。

 

・「北北西に進路を取れ」1959

ヒッチコック監督作。何もない一本道を歩く主人公。静寂したシーンから突如飛行機が襲われるシーンに場面転換し、無音から轟音へと急激に変化する音響が特徴。「鳥」といい、ヒッチコックは音に臨場感を持たせた第1人者だった。

 

・「グリーン・ディスティニー」2000

アン・リー監督のインタビューもあり、おそらく監督関連で紹介。

 

・「インディージョーンズ」(どのシリーズか不明)

 

 

 

映画音響に欠かせない4技術の紹介で取り上げられた映画

 

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http://eigaonkyo.com/

 

VOICE 編で取り上げられた映画

 

 

[ADR(アフレコ)の技術]

 

・「プリティ・リーグ」1992

トム・ハンクスと女子野球チームとのスポ根映画。撮影時の録音では女優の泣き声が小さく迫力がなかったことから、後で泣き声を再度収録した。

 

・「アルゴ」2012

ベン・アフレック監督で、アカデミー作品賞を獲得。大使館に詰め寄る暴漢の声は撮影時では臨場感のある声が取れず、後で録音した。

 

・「フランケンシュタイン」

 

・「ダークナイト」2008

通常映画の音は撮影の後に別収録されるのだが、ダークナイトでは撮影時に声を録音した点が評価されていた。

 

・「モンスター」2003

パティ・ジェンキンス監督の映画。「ダークナイト」と同じく撮影時に生の音声を録音し使用した例として取り上げられていた。

 

 

Sound Effect 編で取り上げられた映画

[SFX:効果音]

 

・「トップガン」1986

トニー・スコット監督による熱い熱い熱い空軍物語!トム・クルーズ主演作の中でもダントツに好きな作品。

今作の音楽というと80年代の流行を受けて、既存の楽曲を使用することでミュージックビデオ風にする演出により、オープニングのケニー・ロギンスの「デンジャーゾーン」があまりにも有名。しかし今作ではそのオープニングで挿入された飛行機の離陸音の録音などがフィーチャーされ、ケニー・ロギンスの曲はわずか数秒しか使われていないのが非常に独特。

この作品からオープニング曲+映像に沿った効果音という演出が生まれた。この影響を90年代のアニメは大きく影響を受けていると思う。思い出すと言っても、GガンダムやWガンダムだが・・。

 

・「ブレイブハート」1995

メル・ギブソン監督のアカデミー作品賞。

 

[フォーリー:音響編集し撮影時に録音された音と置き換えるための擬似的な音を作り上げる]

 

・「インセプション」2010

クリストファー・ノーラン監督作。映像ばかりに目がいってしまうが、雪道に着地するときの音や足音などをスタジオで収録している様子が流れた。

 

・「スパルタカス」1960

スタンリー・キューブリックによる作品。撮影が終わった後に、鎧の音に迫力がないと指摘されて困窮し、再度多くのエキストラを使って音の取り直しをするかと思った矢先、その場にあった車のキーを使って鎧の音を表現した。これが効果音の作成方法の元祖となり、実際の音ではなく「別のモノで音を作る」ことによって擬似的な音響を生み出した点が発明だと評価されていた。

 

・「プライベートライアン」1998

誰もが知る名作。様々な銃声の音を入れたことでも有名。この映画をきっかけに銃声音の革命が起きた。

 

 

[アンビエント:環境音の生成]

 

・「リバー・ランズ・スルー・イット」1992

ロバート・レッドフォードによる釣り映画。紹介が雑なのは、まだ観てないから。

今作では川の音を再現する様子が流れた。

 

・「ロストイントランスレーション」2003

ソフィア・コッポラによる東京を舞台にした映画。主人公より後ろで流れている街の雑踏や店舗の広告音など、普通ならノイズとして除去される要素をあえて環境音として使用することで、まるでその場にいるような音響環境を構築。

本当にどうでも良い話だが、このときのスカーレット・ヨハンソンが一番たまらん。二番目はウディ・アレンの「マッチポイント」。

 

・「ブロークバック・マウンテン」2005

風の音やドアの音に意味をもたせるという、環境音を使って物語を説明する演出が評価されていた。

 

・「グローリー/明日への行進」

服がはためく音や足音を撮影時に録音し、その場にいるような環境音を作った。

 

MUSIC 編で取り上げられた映画

・「ブラックパンサー」 2018

MCUの中でも屈指の傑作。南アフリカの音楽と現代音楽、そしてクラシックをかけ合わせて唯一無二の楽曲を作り出した。

 

・「ROMA」2018

赤ちゃんを見に病院に行くところで、野外で暴動が起きているシーンが取り上げられていた。病院から野外へカメラがパンすると、パンする方向に合わせて音が移動するという驚異の音響演出が取り上げられていた。サラウンド環境だからこそできる現代の音響演出だ。

 

 

SOUND MIXING 編で取り上げられた映画

これまで紹介してきたVOICE、SOUND EFFECT、MUSIC要素の全てを集め、各音のボリューム調整を行うのがサウンドミキシング。役者の声を優先するのか、効果音を優先するのか、ワンシーンワンシーンごとに音の強弱・オンオフを決める非常に重要な作業。

 

ちなみに、アカデミー賞で発表される録音賞というのが、このサウンドミキシングの作業に当たる。ややこしいのが、録音賞という名前が付いているのに実際には録音された音を合わせてボリューム調整を行う点。

一方で、アカデミー賞の音響編集賞はSound Editingと呼ばれ、これが音を作ったり効果音を録音する賞にあたる。本当にややこしい。。

 

・「ロードトゥーパーディション」2002

サム・メンデス監督作品。多種多様に録音された音を編集する様子が映された。

 

・「ブレイブハート」1995(再登場)

 

 

 

・・・はい、これまで今作で使われた映画をまとめましたが、ざっと数えて50作品の名作が1本の映画で流れたことになります。

 

ただの名作紹介でも、午前10時の映画祭の宣伝でもありません。「映画音響」という一つのテーマに沿って、同じベクトルを持った上で映画が引用されたんですよ?

 

当たり前ですが、これらの名作が「音響」だけでなく「映像」も付いて、一つの映画に集約されてるんですよ!? 

 

こんな映画、観たことないよ!!

 

大興奮だよ!!

 

  

 

 

まとめ

 

もう文句のつけようがありません。

 

これからは単に「映画を観る」という言い方はできないような、そんな言葉遣いの自省さえ感じております笑

 

今作を観る前は映像のための音響、という意識が大きかったのですが、音響のための映像という観点が新たに加わって、本当に嬉しいです。

 

あえて今作の欠点をいうのであれば、、

 

94分じゃ短すぎる!!!!

 

99点 / 100点 

 
関連画像

 

 
 
 以上です! ご覧いただきありがとうございました!
 
 
 
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