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映画「事故物件 恐い間取り」ネタバレあり感想解説と評価 中田秀夫監督の新たなホラーへのアプローチ

 
こんにちは! 
 
Machinakaです!! 
 
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この記事では、「事故物件 恐い間取り」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「事故物件 恐い間取り」

 
 

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(C)2020「事故物件 恐い間取り」製作委員会

 

 
実は、最近公開された映画の中でも一番楽しみにしていた映画でございます!!
 
 
なぜなら、この映画の元になった松原タニシさんの「怖い間取り」の、さらに元となっているニコニコ生放送の番組「大島てる×松原タニシの事故物件ラボ」のファンだからなんです!!
 
事故物件怪談 恐い間取り

事故物件怪談 恐い間取り

 

 

毎週月曜日にニコニコ生放送でひっそりと放送されている(すいません)番組を、毎月毎月楽しみに観ていたのですが、まさかここで紹介されていた事故物件が映画になるなんて、夢にも思ってませんでした。。 

 

www.nicovideo.jp

 

 

ちなみにモノガタリチャンネルにも登録しております!これ何人が知ってるチャンネルなのか、分かりませんけども・・ とにかく事故物件ラボ好きとしては、この映画が公開されるのを心待ちにしていたわけです! もう、楽しみで仕方がなかった!!!

 

ch.nicovideo.jp

 

 

亀梨くんが主演なんて想像もしなかったし、中田秀夫さんが監督するなんて・・・

 

ただ、少し不安ではあります。この映画自体が事故らないことを祈っております。。

 

それでは「事故物件 恐い間取り」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
・「事故物件住みます芸人」として、実際に9軒の事故物件に住んだ芸人・松原タニシの実体験を記したノンフィクション「事故物件怪談 恐い間取り」を亀梨和也主演で映画化。監督は、「スマホを落としただけなのに」「貞子」の中田秀夫が務めた。売れない芸人・山野ヤマメは「テレビに出してやるから事故物件に住んでみろ」と先輩から無茶ぶりされ、テレビ出演と家賃の安さから殺人事件が起きた物件に引っ越す。その部屋は一見普通の部屋だったが、部屋を撮影した映像には謎の白いものが映り込み、音声が乱れるなどといった現象が起こった。ヤマメの出演した番組は盛り上がり、ヤマメは新たなネタを求めて事故物件を転々とする。住む部屋、住む部屋でさまざまな怪奇現象に遭遇したヤマメは「事故物件住みます芸人」として大ブレークするが……。

eiga.com

 

 

 
 
 
 
 

「事故物件 恐い間取り」のネタバレありの感想と解説(短評)

 
 

 
 
 
 

中田秀夫監督の新境地? Jホラーの名人が考える新たなホラーの形

 
見る前は普通のホラーだと思ってました。
・・やっぱり言い直します。
 
見る前はつまんねぇホラーだろうなって思ってました。
 
事故物件という最近話題になっているものを題材に、中田秀夫監督と亀梨くんで集客を見込み、中身なんてないんだろうなぁーって思ってました。
 
最近の中田秀夫監督の作品を観ても、全く怖い感覚がなくて、全く期待してなかったのです。
 
が、見事に予想を裏切られました。
 
単刀直入に言いますと、
 
これ、ホラーじゃなかったよ! 
ホラーコメディだったよ!!!
 
 
こう思えるようになったのも、最近の中田秀夫監督の作品を目にしていた事が大きいです。
 
最近の中田秀夫監督作品は、かつてのJホラーのような薄暗くて不気味に幽霊を見せる演出は捨て去っています。
あえてピントがあった、明るい場所で幽霊を見せようとする演出ばかりが目立っていて、かつて自分が撮っていた作風から脱却するような印象があったんです。
 
「貞子」や「霊的ポリシェヴィキ」を観て、とてもじゃないが「リング」を撮った監督には見えないですよ。
 
もう俺の知ってる中田監督じゃないんだ、もう怖い映画は中田監督作品からは生まれないんだと、期待ゼロだったんです。

 

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 しかし、今作を観て改めて監督の意図が分かったような気がしました。
 
中田監督はJホラーに新たな風を吹き込もうとしている、単なるホラーで終わらせないようにしていると、強く感じたのです。
 
今回は事故物件というホラー要素に、「笑い」という一見相反する要素を入れることで、新たなJホラーの活路を見出そうとしたのではないでしょうか?
 
ホラーと笑いといえば、中島哲也監督作品の「来る」を思い出しますね。最初はガッツリホラーで、後半からおもしろ要素が増してくるっていうw 
 
霊媒師役の松たか子が「ビール頂いてもよろしいですか?」と言って缶ビールを空けてグビグビ飲むシーンはいつ見ても笑えるもんなぁ〜。

 

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また、 今作の特徴はJホラーらしからぬ明るい照明と幽霊の写し方。

 
幽霊をハッキリ写すことで、幽霊が生身の人間に見えるなんて普通のホラーではありえません。
 
随所に怖いシーンがあることはあるんですが、最後の最後に幽霊の黒幕と対峙するシーンで完全にコメディだと分かりました。ネタバレはできませんが、あっと驚く方法でタニシは幽霊に打ち勝ちます!!
どんな方法かは言えませんが、幽霊にダメージを与えますww
 
これまで幽霊に攻撃を加えるなんてJホラーらしくなかった。でも、中田監督は新境地を切り開いている途中なんです!!
 
怖くなかったという人も、今作を観て分かったでしょう。完全に笑わせにいってる作品だって笑
 
今回、事故物件と同じくらい大きなテーマになっているのが「笑い」なんですよね。タニシが言いますが、一回の笑いで174秒間 寿命が伸びると何度も言っていますよね。
 
 売れない芸人時代だけでなく、幼少期にまで遡って松原タニシを描いていたのも、今作が大切にしている松原タニシの笑いに対する気持ちが溢れている。
 
怖さだけを追求するのではなく、笑いも同時に映画に入れることで、松原タニシに生き方にシンクロさせる演出がおみごとでございました!
 
一番笑ったのは、まさかのカメオ出演を果たした高田純次の使い方ですよね。
これ、どう考えても「事故」つながりでの器用ですよねw
 
 
交通事故を起こしてしまった高田純次。もう芸能生活の復帰は厳しいと思ってましたが、こんなところで観るとはなぁ。
 
お守りを渡していましたが、交通安全のお守りにも見えたのでした笑
 
 
タレントが実際に起こした行動と今を結びつけて登場させる手法は、「サバイバルファミリー」でもやってましたね。
 
この作品で登場する藤原紀香は健康志向が妙に高く、主人公に差し出す水が水素水っていう何とも憎たらしい配役をしていましたねw

 

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事故物件に住む「前」を丁寧に描く

 
まずは原作者の松原タニシを大フューチャーした展開に驚きました。タイトルは「怖い間取り」でどう観てもホラーのようにしか思えなかったんですよ、鑑賞前は。
しかも中田秀夫監督ということでメインはホラーだろう、と勝手に腹をくくっておりました。
 
映画が始まって早々驚きました。
 
事故物件に住む前のパートが丁寧に丁寧に描かれているのです!!
 
いつまで経っても怖いパートはなし。「あれ、俺映画館間違えたかなぁ」「亀梨と間違って佐藤健の映画を見に来たかなぁ」と錯覚するほどで、私の計算では冒頭から20分くらいまでは事故物件に住む前の、普通の売れない芸人であった松原タニシの売れない生活を淡々と描いているのです。
 
正直、事故物件に住む前のパートはヒューマンドラマにしか見えないんですよ。
 
この作りが本当に驚きました。今作を観る前にニコニコ生放送の「事故物件ラボ」にハマっていた私は、松原タニシが放送中に語っていた「事故物件に住むまで」の話を映画化してくれたことに、感謝しかありません。
 
観る前から分かっていましたが、一冊の本、ニコ生の一番組が亀梨君主演で映画化するなんて信じられません。観たあとですが、未だに信じられません。
 
これは個人的な考察ですけど、松原タニシも中田秀夫監督と同じく、ホラーで映像作品を作る側の人間。
 
そんなタニシの姿を、監督は自分自身に重ねたのではないでしょうか? そう考えると、やたら可愛い女の子と一緒になるのも説明が付きます・・よね?笑
 
 
 
 

事実を大きく脚色した作りがお見事

 
松原タニシの実態を知っていると、今作は事実を大きく脚色した物語であったなぁとつくづく思います。
 
まず、事実との一番大きな違いはタニシに意中の女性がいること、常に女性と一緒に事故物件に住んでいること。
 
これ、実際にはタニシと後輩芸人である華井二等兵というおじさんの二人で住んでるんですよ!
 
もちろん女性の知り合いもタニシさんにはいるでしょうが、事故物件に住み続けるのは華井さんなんですよね。
 
また、木下ほうか演じるテレビ局のプロデューサーも、実際には北野誠の番組で誘われたんですよね。
 
余談ですが、最初は心霊番組の作法が分からず、大事なところでカメラを回さなかったタニシは、北野誠にこっぴどく叱られたそうです笑 こういうところは、木下ほうかが代弁してましたけどね笑
 
 
 
 
 

 

 

 

まとめ

 

再度言いますが、今作にホラーを求めるのはお門違いです。

 

怖くなかったからつまらない、とは思わないでほしいです。

 

ホラー・コメディとして捉えて頂ければと思います。

 

コメディと考えないと、あそこまで吉本芸人を起用したりしないですからね笑

また、今作にはあえて「ほつれ」を見せているところも面白かったです。

 

例えば瀬戸康史は基本的に関西弁なのですが、ふと「水はけやたら悪くない?」って標準語が挟まれるシーンがあるんですよねw これ編集ミスなのかもしれませんが、すんごい違和感があるシーンで、ほつれにしか思えなかったんですよね。

 

あと、事故物件の契約書を書く時に亀梨が手にしているのはボールペンでなく鉛筆といったあたりも、どこか虚構性を思わせたり、不思議なシーンでした。

 

鉛筆で契約書を作る場面って、、現実にないでしょ?笑

 

このように、あえてツッコミどころを作ることで、明らかに現実ではないと思わせる演出がふんだんに盛り込まれておりました。

 

単なるホラーじゃない、ホラーとコメディの融合を目指しているんだと、中田監督の目指す方向性が分かって本当に良かったです。

 

 

 

80点 / 100点 

 
関連画像

 

 
 
 以上です! ご覧いただきありがとうございました!
 
 
 
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