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映画「mid90s ミッドナインティーズ」ネタバレあり感想解説と評価 スケートは滑るより転ぶ方が多い

 
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この記事では、「mid90s ミッドナインティーズ」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「mid90s ミッドナインティーズ」

 
 

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(C)A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

 

A24配給!!
 
我らがジョナ・ヒルが監督・脚本!!
 
こんなの・・観るっきゃねぇ!!!!

 

 

 

それでは「mid90s ミッドナインティーズ」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
・「ウルフ・オブ・ウォールストリート」などの俳優ジョナ・ヒルが初監督・脚本を手がけ、自身が少年時代を過ごした1990年代のロサンゼルスを舞台に、13歳の少年の成長を描いた青春ドラマ。シングルマザーの家庭で育った13歳の少年スティーヴィーは力の強い兄に負けてばかりで、早く大きくなって見返してやりたいと願っていた。そんなある日、街のスケートボードショップに出入りする少年たちと知り合ったスティーヴィーは、驚くほど自由で格好良い彼らに憧れを抱き、近づこうとするが……。「ルイスと不思議の時計」のサニー・スリッチが主演を務め、母を「ファンタスティック・ビースト」シリーズのキャサリン・ウォーターストン、兄を「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のルーカス・ヘッジズがそれぞれ演じる。

eiga.com

 


 
 
 
 

「mid90s ミッドナインティーズ」のネタバレありの感想と解説(短評)

 
 

 
 
 

ジョナ・ヒルは、本当はシリアスなドラマを撮りたかったのか?

 「スーパーバッド」「21ジャンプストリート」「This is the end」など、もうタイトルを見ただけで笑ってしまいそうなコメディ映画に出演しているジョナ・ヒル。
彼はすっかりコメディアンの印象が根付いており、誰も異論はないと思います。

 

スーパーバッド 童貞ウォーズ (字幕版)

スーパーバッド 童貞ウォーズ (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 
21ジャンプストリート (字幕版)

21ジャンプストリート (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 
ディス・イズ・ジ・エンド(字幕版)

ディス・イズ・ジ・エンド(字幕版)

  • 発売日: 2014/05/02
  • メディア: Prime Video
 

 

しかし、「マネーボール」で助演男優賞ノミネートに選定されたり、「ジャンゴ」でタランティーノ作品に参加するなど、確かな演技力を持ってシリアスな場面もこなすジョナ・ヒルも、コメディ映画と同時進行で存在していたことは確かで。

 

マネーボール (字幕版)

マネーボール (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 
ジャンゴ 繋がれざる者 (字幕版)

ジャンゴ 繋がれざる者 (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

 

一番驚いたのはNetflixのマニアックですね。シニカルなコメディではなく、一風変わったドラマ活劇であって、このときの彼はコメディアンではなく「役者」といった一面が強かったです。

 

www.netflix.com

 
 
コメディ映画が注目されるがあまり、ジョナ・ヒルの多才さが見えづらかったのは仕方がないことかもしれません。
 
徐々に徐々にコメディ以外で活躍し、映画への関わり方が変容していったのは間違いありません。今回のクオリティのような作品が作れたのも、いきなりではないことは分かってます。
しかし、いきなり脚本・監督としてA24でデビューし優れた作品を作れてしまうジョナ・ヒルを見ると、やはり「鮮烈な監督デビュー」と言わざるを得ません。マネーボールで助演男優賞にノミネートされた時以来、ジョナ・ヒルに関して衝撃が走った作品でした。
 
ジョナ・ヒルは1983年生まれ、今作の舞台となる90年代半ばは間違いなく彼がリアルタイムで生きてきた時代です。彼の人生をどれだけ映画に投影したか分かりませんが、絶望的な現実をスケートで乗り切ろうとする若者の姿を見事にとらえていたと思います。
 
「グッドボーイズ」で子供に下ネタをやらせるのは大丈夫なの?コンプラ的に問題あるんじゃないの?と当時物議を醸しましたが、今作は「グッドボーイズ」の比ではないくらい、子供に残虐な演技をさせています。
詳しくは言えませんが、スティーヴィー役のサニー・スリッチさんは絶対にギャングになって欲しくないと思います。悪いことはあくまで役としてでお願いいたします。はい、鑑賞中になぜか親目線になっている私がいました笑
 
 
 
 

スケートは滑るより転ぶ方が多い

 
彼らが具体的に何年生かは語られませんが(フォースグレードは別だけど)、見たところ中1~中2のような年代に見受けられました。
 
親のお金をくすねてほしいものを買ったり、酒や煙草をしたり、見た目は子供ながら大人の階段を3段飛ばしくらいで駆け抜けていく様子が、85分という短い時間に詰め込まれていたと思います。
 
今やいい大人になってしまった私ですが、この映画を観ていると、かつて自分が少年だったことを思い出さずにはいられません。
 
おとなしかった子供が大人の階段を登っていく、一種のイニシエーション(通過儀礼)を描いた作品としては、最近では「グッドボーイズ」や「ブックスマート」といった傑作があると思います。
上記の作品たちは卒業パーティや酒・タバコなど、大人へのイニシエーションの楽しい部分や、思わず笑っちゃうような部分を強調し、明るく描いています。こんな生活をしてみたいって思えるような作品でした。まさに「青春映画」という言葉がピッタリくる。
 
 
一方で今作は、とにかく「痛い」「苦しい」といったようなワードがピッタリくるんです。だから、この映画を「青春映画」だなんて言いたくない。
青春とは可能性が開かれた状態であると思いますが、スケートに酒にタバコに夢中になる彼らは、とてもじゃないが可能性がある状態には見えないのです。
 
不良になって、学校にも行かず友達の店でタムロして、派手に暴れている。一見自由な行動をしているように見える彼らが、非常に狭苦しく見えて仕方なかったのです。スケートという選択を迫られているような、スケートをしないと気が変になりそうな、厳しすぎる現実から逃げるようにスケートしているようにしか見えなかったのです。
 
話は少し変わりますが、スケートを「滑る」と「転ぶ」の2つにざっくり分けると、今作を説明しやすいかと思います。
スケートを人生になぞらえると、なんの障害物もなくスイスイとスケート「滑る」ときもあれば、壁にぶち当たって「転ぶ」こともあるでしょう。
 
今作ではスケートが頻繁に登場しますが、「グッドボーイズ」や「ブックスマート」といった作品群はスケートの「滑る」シーンを強調し、今作では「転ぶ」シーンを強調したように見えます。
 
主人公のスティーヴィーが屋根から落ちるシーンや交通事故で大怪我に遭うシーンなど、見るに耐え難いシーンをあえて見せるのは、人生でつまづき転ぶ時もあるということを、伝えたかったのではないでしょうか?
 
特に、子供から大人になる時には様々な障壁があり、スイスイ大人になっていく人なんていないですよね。それをスケート初心者のスティーヴィーになぞらえて、スケートは滑るより転ぶ方が多い→大人になるには様々な代償が伴うことを描きたかったのではないでしょうか?
 
ジョナ・ヒル監督がどれくらい意識したか分かりませんが、少なくとも僕にはそう見えました。
 
 
また、親の保護下になく少年たちが無邪気に暴れまわるシーンは、是枝裕和監督の「誰も知らない」を思い出しましたね。(良い意味で)トラウマになった作品です。

 

誰も知らない

誰も知らない

  • 発売日: 2016/05/01
  • メディア: Prime Video
 

 

 

映像は90年代、音は最先端

 

まずは画面に驚かされます。フィルムの質感たっぷりの映像、サイズもスタンダードサイズと、物語や設定よりもまず、映像で90年代に立ち返ることができます。
 
スティーヴィーがストリートファイターⅡのサガットのTシャツを着ていたり、ラッパーのNASのTシャツを着ていたり、ニット帽にパーカーというストリートファッションを着こなしたり、、服装で90年代を表していて、彼らが90年代半ばに生きていた証が、服装に現れておりました。
  
しかし、音響に関しては90年代でなく、最先端であると感じました。
冒頭のシーンでとある家庭の廊下が映り、大柄な男が少年を虐待しているような映像が映ります。この時、殴られる音があまりにも強調されていることに、さらに驚きました。
 
普通の打撃音よりも鮮明に、音の解像度が高いんですよ。普通なら「バキッ」とか、聞き慣れた音響であることが多いんですけども、今回は「バァァキィィィ・・ッ」といったように、普段は聞こえないような音が聞こえてくる、名前を付けるならハイレゾ打撃音のような音響になってるんですよね。
 
古い質感の映像と、最新のクリアな音というアンビバレントな演出によって、90年代半ばの時代設定にも関わらずどこか新しさが垣間見える、そんな不思議な印象を受けた映画でありました。
 

 

まとめ

いつものコメディアンのジョナ・ヒルだと思ったら大間違い。ジョナ・ヒルの見方が大きく変わる作品であったと思います。

 

非行に走る少年たちにもドラマがあって、ちゃんとスケートをやる理由があって。一概に「不良」とレッテルを貼れない彼らの姿に、深い人間ドラマを見れたと思います。

 

こうして話すとシリアスなドラマのように見えてしまいますが、僅かながらギャグパートも存在しているんですよね。

 

立入禁止の広場にいるスティーヴィーたちと、彼らを注意する警備員たちのやり取りが本当に面白くてww

「立ち入り禁止だぞ!ここは!」と警備員が注意するシーンがあるのですが、スティーヴィーの友人であるロン毛男子を指差して「なんだその髪型は!シェリル・クロウかよ!」という謎の例えツッコミを見せる警備員w

 

言われっぱなしで悔しいスティーヴィーたちは、警備員がキリスト教信者だと知ると、「おい、タバコなんて吸ってんじゃねぇぞ!ジーザスはタバコ吸わねぇぞ!」と謎の反論を見せるスティーヴィーたちww

 

それに対して、「ちげぇよ!ジーザスはタバコを吸ってたんだよ!」と反論し、加えて「ジーザスはCOOLを吸ってたんだ!」と何の根拠もない嘘八百をまくしたて、最低限のメンツを保とうとする警備員に爆笑しましたww

 

今作は基本的に痛く苦々しい場面が多いので、こうしたコメディリリーフなシーンは本当に助かりましたw

 

今まで観たことのないジョナ・ヒルに会える作品です!(出演してないけど)

 

オススメです!!!

 

 

90点 / 100点 

 
関連画像

 

 
 
 以上です! ご覧いただきありがとうございました!
 
 
 
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