こんにちは!
Machinakaです!!
この記事では、「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
目次
まえがき
今回批評する映画はこちら
「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」
はい、新進気鋭の売れっ子二人を使ったニューヨークのラブコメディ。
ウッディ・アレン本当にこういうの好きですなぁ。。
また同じ話なのかなぁ、同じ展開なのかなぁと思いつつも、映画館でウディ・アレンが流れていると思わず見ちゃうんです。適度に笑えて適度に泣けて適度に驚ける、どの作品も一定のクオリティを保っていることが本当にすごいと思える監督なんですよね。
ただ今回は男が若い男ということで、オッサンと若い美女というウディ・アレンお得意の構図ではないようです。
今回も安定の面白さを信じて、鑑賞してきまっす!
それでは「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。
あらすじ
・巨匠ウッディ・アレン監督が、ティモシー・シャラメ、エル・ファニング、セレーナ・ゴメスら人気若手俳優たちをキャストに迎えメガホンをとったロマンティックコメディ。大学生のカップル、ギャツビーとアシュレーは、ニューヨークでロマンチックな週末を過ごそうとしていた。そのきっかけとなったのは、アシュレーが学校の課題で有名な映画監督ローランド・ポラードにマンハッタンでインタビューをするチャンスに恵まれたことだった。生粋のニューヨーカーのギャッツビーは、アリゾナ生まれのアシュレーにニューヨークの街を案内するためのさまざまなプランを詰め込む。しかし、その計画は狂い出し、思いもよらないさまざまな出来事が巻き起こってしまう。
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ティモシー・シャラメにエル・ファニング!ウディ・アレン監督『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』予告編
「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」のネタバレありの感想と解説(全体)
エル・ファニングとシャラメの旬な若手のラブコメと思いきや、途中から妙齢男性が次々とエルに恋に落ちていく、結局はウディ・アレンらしい完全自己投影な彼らしいラブコメディに仕上がっていた!!
不倫や浮気を軽やかにかつ自然に描いていく様は、不倫・浮気=極悪とする今の日本に生きる者に一石を投じるような作品に感じた。
浮気・不倫はダメ、ゼッタイ!でも他人の浮気に寛容になることも大事だよ!
また、「ノーマ・デズモンド」や「ロスト・ウィークエンド」といったセリフや主人公が自己の心境をナレーションする「サンセット大通り」的な演出が多く、ビリー・ワイルダーのオマージュがたっぷり!
好きなのは分かるけど、どんだけ好きなんだよウディさんよ!!!
これぞウディ・アレンの定番!
最初は若者の恋愛だと思っていたんですが、途中からウディ・アレンの映画に頻出する妙齢(40代−50代くらい)が登場し、ヒロインであるエル・ファニングに恋に落ちていくという、いつものウディ・アレン映画らしい展開に。
例えばこういう作品とか、おじさんと若い女の子の恋愛に至る展開が凄く多いんですよね。
定番といえば定番なんですが、変わらぬウディ・アレン作品を映画館で見れるというのは、コロナで映画館がしばらく休業していた事を考えると、いつもの映画館が戻ってきたと安心感を覚える自分がいました。
いくつになっても同じニューヨークで同じような主人公で同じような展開になるのは、マンネリでなく定番であると強く言っておきたい。たとえが適切か分かりませんが、吉本新喜劇を見ているような、いつものアレをやってくれ!って観客の願いを見事に叶えてくれるような、そんな作品でございました。
不倫や浮気を極めて自然に描く巧みさ
新聞の取材と題してニューヨークに旅行に行くエルとシャラメ。なんだこのリア充爆発旅行は!と最初は羨ましかったんですけど、エルが取材対象である映画監督ローランドに夢中で彼氏のシャラメの予定が次第に崩れていくところとか、、上手くいってそうな恋が次第に剥がれていく展開を描くのが本当に上手いですよね、ウディ・アレンは。
一見可哀想に見えるシャラメですが、彼も彼で偶然であったチャンとキスの演技をするハメになり、そこから浮気心が爆発する、、といったどちらも浮気心が全開な展開になるのもウディ・アレンぽいという印象がありました。
ただ、好きな人ならなりふり構わずに恋に落ち情事に至る、、という某グルメ芸人的なやり方ではなく、あくまで話の成り行きで、偶然に、自然に浮気や不倫が生まれていくというあたりが、ウディ・アレンの脚本の巧みさを証明していると思いました。
最初は偶然の出会いから始まって、会話でお互いを知り、ひょんな事から恋心が芽生え、ハグからキスに変わり・・という恋心が恋に、恋が愛になっていく過程を省略することなく丁寧に描いていくのもウディ・アレンの特徴で、これも浮気や不倫が自然に見える理由でしょうね。
冷静に考えましょうよ。本作を見て、浮気や不倫が彼氏・彼女で同時多発的に起こっていても、「あらやだぁ、、浮気だなんて」みたいに感じる人なんていないでしょう?
だからラストシーンを見ても、嫌な感じはしないでしょう? シャラメの顔面力とか関係なく、あくまで話の展開としてアリなら、浮気をしたってアリなんですよ!
最近ですね、ワイドショーで浮気や不倫のニュースが流れて、当事者を公開処刑するような記者会見とコメンテーターの冷たい意見やSNS上での容赦ない世論をずっと見聞きしている自分としては、この映画を見て本当に救われるというか。
そりゃ不倫や浮気なんてダメですよ。私もやる気はないし、仮に浮気心があった自分がいたら猛省しますよ。
でもねぇ、他人の恋沙汰を「最悪」とか「死ね」みたいに非難するのはおかしいと思ってるんですよ、私。
他人の恋は他人の自由じゃないですか。「不倫は文化」というおじさんも昔いましたが、俺的には「不倫は権利」だと思ってるんですよ笑 このたとえ、おかしいですが笑
そりゃ自分がやっちゃダメですよ。権利はあっても行使しなければよいので。
ただ、誰もが行使しないとは限らない。
誰しも浮気心は生まれるし、一線を越えてしまうこともあると思うんです。それに対して当事者ではない自分が、他人の恋にああだこうだ言うのはダメだと思うんです。その人の権利を干渉しているような気がしてならないのです。
なんか映画の感想と脱線してきましたが、この映画は他人の恋沙汰に深く鑑賞することなく、それぞれの恋を自由に見守っている点で非常に心地が良いという印象を感じたんですよ。
エル・ファニングが酔って「あれは男友達」的な感想をフランシスコ・ヴェガに言っちって、ヴェガの自宅に行ってエル・ファニングからエロ・ファニングに変貌するシーンとかねぇ、、もうたまんないですよ!!! そうだ、行け行けぇ!!!って気になりましたよ笑
昔見たウディ・アレンの作品で「夫たち妻たち」という映画があって。二組の夫婦がお互いの結婚や人生観に干渉し批判し合うような内容も含まれていたと思うんですけど、そういった干渉が一切ない作品だったのが、実に清々しいと思ったのです。
日本に住んでいると、次々と不倫のニュースが流れて、SNS上で袋叩きにされて。そういう現実にうんざりしている自分としては、今作で描かれていた軽やかで自然な浮気というのが非現実的で。
映画でしか味わえない非現実的な展開があって嬉しかったんだと思います。
また、脚本の巧みさだけでなく、ウディ・アレン独特のオシャレな雰囲気(クレジットのフォントとか、オレンジの間接照明を多用するところとか、絶妙に古くもあり新しくもある建物とか)が、どんな恋でも容認してくれそうな空気を助長させてくれているんだと感じました。
定番といえば、ヒロインの配役がエル・ファニングというのがなんとも絶妙で。ウディ・アレンは基本的に、今が旬のホットな20代前半の若手女優をヒロインに選ぶ傾向にあると思っております。
2000年代中盤であればスカーレット・ヨハンソン、2010年代ならエマ・ストーン、そして本作ではエル・ファニング。
アカデミー賞受賞を既に獲得した人ではなく、まだ取ってない人を使って撮る、という絶妙な配役をしているのです。
裏を返せばヒロインに選ばれた女優はアカデミー賞に引っかかりやすいという謎のジンクスがあり、スカヨハやエマ・ストーンなどは彼の作品に出演してから賞を取っているんですよね。
何でウディ・アレンの映画に出たら賞を取るのか明確な理由は分かりませんが、一つには本格的なコメディに挑戦できること、にあるんでしょうかね。
エル・ファニングは若いながら数多くの作品に出ていますが、本格的なコメディって出てないんじゃないかなぁ。しかもスラップスティックなギャグではなく、ウディ・アレンの真骨頂である会話中心のソフィスティケイテッド・コメディに出ると、その後の演技も上手くなるんでしょうかね。
変なCGや大袈裟なアクションがない代わりに、役者の絶妙な会話と行動で展開させる作風は、結果的に役者にとって大きなスキルアップになるのかもしれません。
今回のエル・ファニングは本当に絶妙な笑いどころが沢山用意してありましたね。
映画プロデューサー?とその妻の口論に遭遇し、エル自体が不倫相手と勘違いされた時も、絶妙に口論に横入りしてくる感じも最高に面白くて。
あと、今回本当に絶妙だったと思ったのは「しゃっくり」ですね!!
エル・ファニングという女優イメージもあるし、コメディとはいえ汚れ役をやらせるのはあまり良くない。でも笑いを取らないといけない。
そう考えた(のか分かりませんが)、エル・ファニングに絶妙な「しゃっくり」をさせることで爆笑をかっさらっていく、しかも可愛らしくて汚くもなくて、彼女のイメージを傷つけない。。
なんて上手いんだ!ウディ・アレンよ!!!
ビリー・ワイルダーへのオマージュがたくさん
今回目を見張ったのはビリー・ワイルダーへのオマージュがふんだんに盛り込まれていたこと。
シャラメの「ロスト・ウィークエンド」というセリフや、映画監督に「酒を飲むな!」と叱るくだりは、ビリー・ワイルダーの「失われた週末(現代:The Lost Weekend)」に繋がるし
また決定的だったのは「彼はノーマ・デスモンドのマネをするのよ」というセリフ。これ、「サンセット大通り」のキャラクター名と全く同じですからね!
また、主人公シャラメの心境を天の声的に語る演出も、サンセット大通りの主人公と全く同じなんだよなぁ。。
まとめ
はい、コメディ好きとしては外せないウディ・アレン。
いつもどおりの展開でしたが、定番が時には刺さることもあってですね。
決してアカデミー作品賞を取る作品ではないし、半年経ったら忘れてるかもしれない。本当に軽い気持ちで見れる作品なんですけど、そういう映画も自分は大切にしていきたいと思うんですよね。
映画全部が重くて一生心に刺さるものだったら大変じゃないですか笑
軽い気持ちで見て、ちゃんと楽しめて劇場をあとにできる作品って本当に貴重なんです。
あと余談ですが、イケメン俳優フランシスコ・ヴェガのキャラの元ネタって誰なんでしょうね。「環境活動に熱心なクソ野郎・・」的なことを言ってたので、ひょっとしてレオナルド・ディカプリオをイジってるんじゃないのかな?と勝手に勘ぐってしまいましたww
Leonardo DiCaprio (UN Messenger of Peace) at the opening of Climate Summit 2014
真偽の程は定かじゃありませんが、ウディ・アレンならやりかねないというか、、ディカプリオがなかなかアカデミー賞取れなかったのは、ウディ・アレンみたいな小馬鹿にしてる奴がいるからじゃないかと、勝手に思ってしまいました。
嘘か本当か、、それはウディ・アレンのみぞ知るってことで、あまり信用しないでくださいね笑
80点 / 100点
以上です! ご覧いただきありがとうございました!