まえがき
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「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」

トランプ大統領就任から間もない時期。最高に最高のタイミングでの鑑賞ではないでしょうか。
世界的にはトランプが大統領になる前に公開。とにかく洋画が遅い日本ならではの奇跡ではないでしょうか。
それでは「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。
あらすじ
・「ボーダー 二つの世界」のアリ・アッバシ監督が「キャプテン・アメリカ」シリーズのセバスチャン・スタンを主演に迎え、実業家で第45代アメリカ合衆国大統領として知られるドナルド・トランプの若き日を描いたドラマ。成功を夢見る20代のトランプが、伝説の弁護士に導かれて驚くべき変身を遂げ、トップへと成りあがるまでの道のりを描く。
1980年代。気弱で繊細な若き実業家ドナルド・トランプは、不動産業を営む父の会社が政府に訴えられ破産寸前まで追い込まれていた。そんな中、トランプは政財界の実力者が集まる高級クラブで、悪名高き弁護士ロイ・コーンと出会う。勝つためには手段を選ばない冷酷な男として知られるコーンは意外にもトランプを気に入り、「勝つための3つのルール」を伝授。コーンによって服装から生き方まで洗練された人物に仕立てあげられたトランプは数々の大事業を成功させるが、やがてコーンの想像をはるかに超える怪物へと変貌していく。
弁護士コーン役に「ジェントルメン」のジェレミー・ストロング。2024年・第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。第97回アカデミー賞ではセバスチャン・スタンが主演男優賞、ジェレミー・ストロングが助演男優賞にノミネートされた。
「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」のネタバレありの感想と解説(全体)
『#アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』鑑賞
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2025年1月31日
数え上げたらキリがない、莫大な不動産の持ち主。
と同時に心の狭さは四畳半。
勝利至上主義に酔いしれ、師と仰ぐ弁護士から継承してしまった勝利のルール。
絶対に勝つためには絶対に負けを認めない。単純な論理が人を動かして、同時に滅ぼす。 pic.twitter.com/dwZL8kdPAE
数えきれない不動産、でも心は四畳半
2度も大統領に就任した今を知っているからこその、トランプの過去への興味。
もちろん最初からあんな様子ではなかったはず。なぜ彼が、ああなってしまったのか。。
初めは普通の人なんですよ。というか、お金持ちではあるが苦労している。
不動産会社を営む父のもとに生まれ、とにかく厳しく弱さを見せたら一巻の終わり。
自分の言うことを聞かない人は断罪に次ぐ断罪。差別的発言。
本当に酷い、誰かに似てる・・・。
トランプに限らず、息子は父の影響を大きく受ける訳です笑
アリ・アッバシ監督は、決してトランプを最初から悪者に描く訳ではなく、1人の人間として描いていますよね。
だからこそ、原題が「The Apprentice」なのでしょう。アプレンティスは、見習いという意味です。
父の不動産会社の副社長、とはいえ下っ端仕事をやらされている「トランプ。
ロイ・コーンから勝負の勝ち方を叩き込まれて、飲みたくない酒を飲まされるトランプ。
トランプが見習いである状態は新鮮で、テレビに映った昔の映像よりも興味深い。
きちんとビジネスをやろうと、自分なりに夢はあるけどもくすぶっている状態。
等身大の人間としてのトランプがそこにいるんですよね。
「豹変」とも言ってもいい、トランプの様変わり。トランプ役のセバスチャン・スタンがどんどんトランプにしか見えなくなってくる。。
髪型とか、体型とか、メイクアップとか、それだけではなくて。
妙な自信を持った人の表情、といえば分かりやすいでしょうか。
大胆不敵な笑みを浮かべ、絶対に負けを認めない。鼻息さえもスクリーンから伝わってくるような、そんな恐るべき演技力でした。
彼の快進撃は、誰もが知る通り明らか。
確かに勝ちを続けて色んな意味ですごいなとは思う。けども、果たして彼の人生はバラ色なのだろうか。
アリ・アッバシ監督の見つめる目は平等で、そして冷静だ。
車に乗っている時は、無の表情で前を見つめている。妻のイヴァンは彼を見ることもなく、自分の爪を見つめている。
そして、車から降りた瞬間、空気が変わる。誰もが知る、あのトランプだ。
ワンピースでいうところの黒ひげだw
勝利に飢え、勝利のために全てを犠牲にし、人を押し退けて罵って罰してきた人生。
確かに富や栄誉はあるかもしれない。でも、空虚でしかない。
私から見ると、人を話を聞き入れたり受け入れられない人は、人としての魅力を感じない。
人間力がない。とさえ思ってしまう。
地獄の継承
今作では弁護士ロイ・コーンを師のように仰ぎ、勝利のルールを徹底的に叩き込まれる様子が描かれていました。
誰しも尊敬している人、影響を受けた人っていると思うんですよ。
トランプにとっては、それがロイ・コーンだったという話。
初めから悪者なんていない。性善説は本当にあるんだと思いました笑
数々の悪評があり、実際に無限の悪さを働いたロイ・コーン。
しかし彼にとっては「自身の勝利以外は関係ない」という恐るべき勝利哲学をお持ちの方で、我々がどれだけ何を言っても我が道を突き進む。
印象的だったのは勝利への3つのルール。
その中に、どんな時も勝利宣言をしろとルールが徹底されていました。
そこであ〜〜と思うことが。

ただの目立ちたがり、ではないと思うんですよね。
どんな人間でさえも、狼狽えてしまう場面。
ロイ・コーンに徹底的に仕込まれ、絶対に負けると終わったと思う時でも、自分の中では「勝った」と信じ続けているし他人にアピールする。
たとえ事実が負けだとしても、勝利は確実だと言い張る。
そして、今の大統領の椅子がある。
ポジティブシンキングや生活習慣という概念を完全に超えて、脊髄反射のような勝利宣言。一朝一夕で出来る芸当ではない。
ロイ・コーンの教えが、大統領に導いたように感じます。
まとめ
ロイ・コーンの日サロめっちゃ笑った。
94点 / 100点
